初の執筆活動となりますので、拙い点があると思いますが、生ぬるい目で見て頂ければ幸いです。
さて、まず初めにですが、この話にはご都合主義、独自解釈、オリキャラ、転生者が多数登場予定となりますので、ご了承下さい。
ちなみに僕の原作知識ですが、戦国シリーズは全プレイ済み、恋姫シリーズは1作目のコンシューマをプレイと真の設定資料集のみとなっておりますが、キャラ的には英雄譚のキャラまで出す予定でいます。
そのため特に英雄譚のキャラは原作との性格の差がかなり出る可能性があります。公式サイトのキャラ紹介からなんとか齟齬が生まれない様に執筆しますが、本家では絶対取らない様な致命的な行動や言動があった場合は指摘して頂けると助かります。
1話 上田での再会~信之とくのいち~
慶長20年5月某日、安居天神――
「手柄とせよ・・・」
男はそう目の前の足軽に呟くと、そっと目を閉じた。この男には、もはや抗う力は残っていない事は周りを囲んでいる誰の目からも明らかであった。
この男を討ち取れば、この戦い最大の手柄となるだろうが、あの鬼気迫るとも神々しいとも言える戦いぶりを目撃した足軽達には事切れるまで、只見ている他には無かった。
男の名は真田
後に『
………
……
…
それから七年程の月日が流れ、幸村に縁のあった地で民の間にある童歌が流行り始めた。
『花の様なる鶴頼様を~♪鬼の様なる真田が連れて~♪』
上田城下を視察した際に、その童歌を幸村の兄である真田 信之は耳にした。
「あの歌は一体?もしかしたら幸村は・・・」
一瞬そんな考えが信之の頭の中を過ったが、大坂の陣後すぐに幸村の亡骸を自ら受け取りに行った為、馬鹿な事をと自分を笑った。確かに幸村には、他人であれば見間違う様な影武者が居たが、実の肉親である信之が見間違う等、限りなく無い事であった。
「ならばあの歌は一体、なんなのであろうか?」
今度は、その様な疑問が信之の頭の中に沸いてきた。そもそも、この童歌には大きな疑問点が一つあった。
それは鶴頼様とは誰の事を言っているのかと言う事である。この歌詞が茶々様を~であれば分かる話ではあるが、全く聞いた事もない知らない名前なのだ。
茶々は、母であるお市が柴田勝家と共に自決した際に豊臣秀吉によって保護された。秀吉がお市に淡い憧れを抱いていたのは、妻のねねをはじめ多くの者が知っていた。その為、茶々の事を側室と思っている者も居るが、実際の所は養女として育てていたのだ。そして茶々は未婚だった為、大阪城落城と共に豊臣を継ぐ者が居なくなったのである。
たかが童歌と切って捨てても問題無い様にも思えるが、先の戦いにより真田は反徳川の旗印としては十分効果のある名前となっていた。好からぬ考えを持つ者が、存在しない豊臣の遺児とその守護神をでっち上げ幕府に反旗を翻そうとしているのであれば、それは信之にとってとても許せる物では無かった。
(父上や幸村と袂を分かってまで、護り抜いた真田の家に危険が及んではならない。他の者から見れば神経質過ぎると笑われそうだが、唯でさえ秀忠様と懇意にしている事に良い感情を抱いていない者もいる)
と考え、信之は納得のいくまで、童歌を調査する事に決めた。
上田城下や真田の郷では、得られる情報は無かったが幸村の死を告げると共に姿を消していたもう一人の家族と再会する事となった。
真田の郷の川沿いの土手に、その女性は居た。川を眺めていて、こちらを向いていないが恐らく気付いているのだろうと思いながら、信之はその後ろ姿に声をかけた。
「久しぶりだな。元気にしていたか?」
そう尋ねると、女性は振り返り
「はい、ぼちぼち……ご無沙汰しております、信之様」
と答えた。
女性の名を知る者はおらず、皆からは『くのいち』と呼ばれていた。
元は二人の父である真田 昌幸が仕えていた武田家の忍びだったが、武田家最後の当主、武田勝頼が昌幸に認めた最後の文を届けに来た際に幸村と信之が昌幸に頼み、そのまま真田家に仕える事となった。
幼少の頃、くのいちが真田家に来て暫くして幸村と信之が本名を尋ねる事があった。
すると、くのいちは少々困った顔で
「私の育った村では夫婦になった人だけに教える『真名』と言う風習があって、10歳になると両親か村長がつけてくれてたんですよね。だけど、その前に村が戦で無くなってしまって真名を付けて貰えずに一人になっちゃたんで、両親に付けて貰った名を真名したんです。なんで家族って呼んでくれた二人には本当に申し訳ないですけど名前はごめんなさい!!」
そう答えると、普段のお茶らけた様子とは違い深々と頭を下げて二人に謝罪した。
二人がこちらこそ申し訳ないと謝罪を返し、気まずい雰囲気が流れそうになったが、くのいちが頭を上げて
「でも二人は家族なんで、特別に苗字は教えますにゃあ♪私の苗字は望月っていいますです!」
と満面の笑みを浮かべ伝えた。それがすぐにからかう様な表情に変わり
「あっ!!お二人が、大きくなって私の旦那様になってくれたら、その時は名前も教えますにゃあ♪」
と一言付け加えた。初心な子供二人には、顔を真っ赤にして
「・・・・・・そうか/////。」
と答える事が精一杯だったが、いつの間にか気まずい雰囲気は霧散していた。
そんなムードメーカーな彼女だったが、現在の雰囲気は以前より暗い物となっていた。最後まで幸村に付き添い、その最後を看取ったのだ。それも仕方の無い事だと信之は思い、多くは聞かなかったが、今どうしているのかと言う事だけ尋ねた。
「今は、ただ色々な所をまわっています。あまり一つの所に留まっては居ませんが、近くまで来たもので。また近々発つと思います。」
と、くのいちはどこか寂しそうに答えた。
その様子を窺っていた信之は、くのいちに問いかけた。
「そなたさえ良ければまた真田に戻って来ないか?もちろん忍では無く真田の家族の一員としてだ。幸村もそれを望んでいると思う。」
「信之様、私は豊臣の落ち武者ですぜ。ご迷惑が掛かりますよ。」
「そんな事はどうとでもなる。それに家族なのだから、迷惑を掛けたり掛けられたり等、当たり前の事だ。」
戸惑う様子を見せるくのいちに対して、さも当然とばかりに信之は答えた。
そんな信之の言葉に、くのいちは少々考え込みながらも
「はい。またよろしくお願い致します。」
嬉しそうにそっと返事をした。
上田に戻りながら、二人は何をしていたかや、周囲の人について話していた。信之が冗談交じりに、彼の妻である稲姫がそのまま居なくなった事を怒っていたぞと伝えると、くのいちは悪戯がばれた子供の様な表情でゲッと発した後、優しく微笑みながら
「稲ちんにも心配かけたもんにゃあ・・・素直に怒られますか。」
と呟いていた。そんな掛け合いを幾分かした後、思い出した様に信之はくのいちに質問した。
「ところで、望月そなたは真名を教える相手はできたのか?」
「私の周りには日ノ本一の兵、天下の将軍様の右腕、表裏比興だけど子煩悩な父親、はたまた小生意気だけど優秀な後輩忍者とか色々いい男が多すぎて、目が肥えすぎてしまいまして~。残念ながらまだおりませぬ~よよよ」
と以前の様な満面の笑みで、くのいちは答えた。
信之はその昔の様な笑顔が只々嬉しかった。
次回もこんな感じで戦国無双の世界での話が展開する予定です。
茶々の養女設定は公式サイトやゲーム内でも側室と記載がなかった為取り入れました。
なので、童歌の秀頼は勝手に名前変えちゃいました。
幸村登場は、今しばらくお待ちください。
書き溜めとかはしておりませんので、ペースは安定しないと思いますができるだけ早く続きをあげられる様、努力致します。
では、また。