名探偵コナン×ペルソナ5   作:PrimeBlue

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FILE.28 時計じかけの摩天楼 二

 東都環状線に乗って米花町に戻るため、緑台駅へと向かう少年探偵団と暁達。

 

「何だか店が活気立ってるな。何かイベントでもあるのか?」

 

 道中、鞄の中のモルガナの呟きに道沿いの店に目を向ける暁。確かに、コンビニやスーパーなどの店が普段より活気立っているように見える。自然と興味を注がれる暁。

 同じように店の方へ視線を向けていた歩美は、まるで準備は整っているとでも言いたげにその小さな両の手を握り締めて頷くような仕草をしている。

 

「あ……あの、歩美ちゃん」

「え、何? 光彦くん」

「明日は、その……いえ、やっぱり何でもないです!」

 

 顔を赤らめた光彦が歩美に話しかけようとしているが、目は泳いでいて終始落ち着きがなく、全く話を切り出せない様子である。傍目から見ても、この光彦少年が歩美という女の子に気があることは明らかである。

 しかし、そうだとしてもなぜこんな駅へと向かう道中でそんな気恥ずかしさを覚えるような話題を出す必要があるのだろうか。ふと、暁は周りへと目を向けてみた。気にせいかもしれないが、妙に町の雰囲気が色めき立っているように感じる。

 イマイチその雰囲気の正体が掴めず、首を傾げる暁。今日は二月十三日、何か特別な日であっただろうか?

 

「ねえ、ラヴェンツァちゃん。ラヴェンツァちゃんはもう準備できてるの?」

「準備とは、何の準備ですか?」

「え? だって……」

 

 ラヴェンツァに何やら問いかけていた歩美は、どういうわけか何か言いたげに暁の方へ視線を向けた。暁がどうかしたのか聞こうとしたところで、先を歩いていた元太の声が耳に届く。

 

「おーい! 何やってんだよ! 電車もう着いちまうぞ!」

 

 いつの間にか目的地である緑台駅の前まで着いていたようだ。元太に急かされた歩美はラヴェンツァの手を引いて走り、光彦はそれを追う形で駆け出した。暁も小走りで子供達を追いかけ、改札を抜ける。階段を上ってホームに出ると、電車は既に駅を出発した後であった。

 

「チックショー! 間に合わなかったぜ!」

「仕方ありません。次の電車を待ちましょう」

 

 東都環状線は元の世界でいう山手線に当たる。少し待てばすぐに次の電車が来るだろう。子供達をホームにあるベンチに座らせて一息ついていると、暁のスマホが着信を知らせた。ポケットからスマホを取り出し、着信相手の名前を確認して電話に出る。

 

 ――私だ。

 

『って、誰だよ!』

 

 相手は怪盗キッドこと黒羽快斗であった。何事もなかったように組織についての話かと問いかける暁。

 

『あ、いや。そっちは相変わらず収穫なしだ。ちょっと別の話があってよ……』

 

 何やら話を切り出し難そうにしている快斗。遠慮のない性格をしている彼にしては珍しいことである。それくらいのことはまだ同盟を結んで日が浅い暁にも分かった。

 

『……えーっと、その前にオメーは今何してんだ?』

 

 とりあえずといった感じで快斗がそう聞いてきたので、暁はコナンが被害にあった爆弾事件についての話をする。

 

『ああ、それなら知ってるぜ。なんだ、例の爆弾処理した少年ってあの探偵坊主のことだったのか。まあ、予想はしてたけどな。というか、オメー知り合いだったのかよ』

 

 情報通な快斗は当然の如く知っていた。快斗は以前キッドとして鈴木家の家宝である黒真珠『漆黒の星(ブラックスター)』を狙った際にコナンと衝突したことがあるらしい。コナンに変装を見破られ、手に入れた宝石を手放して逃げる羽目になったとか。最も、目的の宝石ではなかったので元々返すつもりではあったが。

 それにしても、キッドの変装を見破るとは。つくづく子供とは思えない頭脳を持った少年だ。暁はサードアイのおかげで彼の変装を看破できたが、それなしで見破れと言われたらかなり難しいだろう。

 

 ともかく、コナンのことは置いておこう。暁は続けて爆弾犯についての話を始める。 

 今現在、警察は工藤新一が解決した平崎市の事件の関係者が怪しいと踏んでいる。だが、一番怪しいと思われる市長の息子にはアリバイがあった。

 その話を聞いていた暁としては、アリバイがあってもなくても市長の息子は犯人ではないだろうと思っていた。父親を庇うために罪を被ろうとした人だ。それが悪いことだとは重々理解していただろうし、そんな自己犠牲精神のある人が真実を見破った者を恨むとは思えないからである。

 

 さて、事件の関係者を洗っても怪しい人物がいないとしたら、別の線を探ってみる必要があるだろう。その事件で逮捕されたのは市長。そんな立場の者が逮捕されれば、影響を受けるのは何も人間だけではない。

 

 そう、平崎市の再開発計画だ。

 

 その計画が白紙となって不利益を被った者。その中に工藤新一を恨んでいる者がいても、何ら不思議はない。

 暁は快斗に平崎市の再開発計画について調べるのを手伝ってくれないかと頼んだ。工藤新一への個人的な恨みだとしたら例の組織が関わっている可能性は低いが、黙って見過ごすわけにもいかない。

 

『……しゃーねえな。分かったよ。確かに組織が関わってる可能性は低いが、こんな感じで犯罪を追ってりゃその内尻尾を掴めるかもしれねぇ。探偵の真似事をするのは癪だが、情報収集は怪盗にも必要なことだしな』

 

 暁は快斗に礼を言うと、そういえば何か話があったんじゃないかと聞く。元々、この電話は快斗の方から掛けてきたものだ。

 

『あー……オレの話はまた明日でいいや。何か分かったら連絡する。それじゃあな』

 

 結局、快斗は自分の話をしないまま電話を切ってしまった。幼児化してしまってからどういう生活をしているのか分からないし、何か困り事でもあるんじゃないかと暁は思っていたのだが……

 

「あ、来た来た!」

 

 暁が首を傾げてスマホをポケットに入れると、丁度電車がやってきた。元太達と共に電車に乗り込む暁達。

 そういえば、暁は元太達とは初対面であった。工藤邸での時は、彼らが帰路に着いてからラヴェンツァを迎えに行ったので、顔を合わせてはいないのだ。席に座りつつ、自己紹介をする暁。

 

「わたし、吉田歩美です!」

「円谷光彦です」

「小嶋元太ってんだ。よろしくな!」

 

 暁のことをラヴェンツァから耳にたこができるほど聞いている元太達は、この人が噂の暁お兄様かといった顔で受け答えしている。ついでとばかりに暁は学校でのラヴェンツァがどんな感じか聞いてみた。ちなみに、ラヴェンツァは暁の隣で会話を聞きながらガン見している。

 

「「「え˝?」」」

 

 三人共、口元を引き攣らせて妙な反応をしている。彼女は普段上から目線なところもあるし、授業態度があまり良くないのかもしれない。

 

「……お、大人びてて、勉強もできるみたいですし……えーっと、それから――」

「いっつも変なことばっか言ってる奴だぜ! この前も給食のカレー食べて『こんな物はカレーじゃありません』ってさ。普通にうめえのに」

「ちょっ! 元太君!」

 

 光彦と元太の話を聞いてラヴェンツァの方に目を向ける暁。ラヴェンツァは目線を返すが、首を傾げている。本人に変なことを言っている自覚はないのだろう。まあ、これは予想していたことだ。きっと、ポアロの梓が聞けば「やっぱりね……」と遠い目をするだろう。

 

「でも、すごく良い子だと思うよ! それに、暁お兄さんのお話も沢山してくれるの! ね、ラヴェンツァちゃん」

 

 健気にフォローを入れてくれる歩美。ラヴェンツァは当然だとばかりに頷いている。

 そのまましばらく話をしていると、元太のお腹が鳴った。見ると、他の二人も元太ほどでないにしろ空腹な様子である。

 

「腹減ったぜぇ……」

「もう少ししたら夕方になりますものね」

 

 せっかくだ。いつもラヴェンツァが世話になってるだろうし、米花町に着いたらポアロでカレーを御馳走しよう。暁がそう言うと、三人は声を上げて喜んだ。

 

「ホントですか!?」

「やったぜー!!」

「ラヴェンツァちゃんがすごく美味しいって言ってたカレーだよね? 楽しみー!」

 

 もちろん、快斗だけに調査を任せておけないし、カレーを御馳走し終えたら暁自身も平崎市の再開発計画について調べるつもりだ。子供達の喜ぶ声に微笑ましい気分になり、暁は小さく笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 さて、もうすぐ米花駅に着く頃だろう。

 

「……なあ、なんかこの電車おかしくないか?」

 

 しかし、モルガナが疑問の声を上げた。

 確かに。止まる駅を目前としているのにも関わらず、電車の速度が落ちるどころか増していっている。

 

『――歩美―ちゃ――聞―え―……』

 

 何かトラブルかと暁が思っていると、どこからか雑音混じりの声が聞こえ始めた。その声は、歩美の方から聞こえる。

 

「何か、声が聞こえますが……」

「あ、探偵バッジ!」

 

 ラヴェンツァの言葉で、歩美が胸元に着けているバッジを手に取った。それは、阿笠博士が子供達のために開発した探偵バッジなる超小型トランシーバーが内蔵されたバッジらしい。半径20km以内の通信可能距離を誇るとのことだが、玩具にしては凄まじすぎやしないだろうか。

 

「私も先ほど病室を出る間際に渡されかけましたが、断りました」

「えー! どうしてですか!?」

「必要ありませんから。そもそも、私は探偵団に入ったつもりはないです」

 

 ラヴェンツァは例のカードをスマホに見立てた方法で電波関係なしに連絡が取れる。それならば、確かに必要はないのかもしれない。

 歩美達三人以外で他にバッジを持っているのはコナンだけだ。バッジから聞こえる声は予想通りそのコナンであった。

 

『歩美ちゃん! 今どこにいるの!?』

「コナン君! えっとね、環状線の中だよ!」

『……やっぱりか』

 

 どうも様子がおかしい。コナンの口振りは、まるで環状線に乗っているのが不味いとでも言いたげだ。

 そうしている間にも、電車は止まるはずの米花駅をスピードを保ったまま通り過ぎていってしまった。他の乗客も様子がおかしいことに気づいて騒めき始める。

 

『――コナン君! 暁君が傍にいるはずだから、代わってもらって!』

 

 バッジから蘭の声が聞こえてきた。冷静に対処できそうな暁に代わってもらった方が良いと判断したのだろう。

 

『あっ、そ、そうだね。歩美ちゃん、暁兄ちゃんに代わって!』

「うん、分かった! はい、暁お兄さん」

 

 コナンに言われて暁に探偵バッジを渡す歩美。暁はそれを受け取り、子供達三人には聞こえないよう背を向けて応答する。

 

 

『……落ち着いて聞いてね。例の爆弾犯が、東都環状線に五つの爆弾を仕掛けたんだ』

 

 

 真剣な雰囲気と共に小声でそう伝えてきたコナン。さすがに驚く暁であったが、それを顔には出さずに詳しく教えてくれと詳細を促す。

 コナンによると、つい先ほど爆弾犯から脅迫電話が届いたとのこと。仕掛けられた爆弾は午後四時を過ぎてから電車の時速が60km未満になると爆発する仕掛けになっているらしい。加えて、日没を過ぎても爆発してしまうようだ。

 コナンの声の向こうから、目暮警部が爆弾がどうのこうのと声を上げているのが聞こえる。警部達も相当慌てているようだが、鉄道会社の指令所はそれ以上に大騒ぎとなっていることだろう。

 

『とにかく車掌さんが車内を調べるだろうから、子供達には上手く誤魔化して大人しくしてるように言って欲しいんだ』

 

 自分も子供だろうに、まるで歩美達少年探偵団の保護者のような口振りだ。暁はそれに分かったと返して探偵バッジを歩美に返そうとする。

 

『あ、ちょっと待って!』

 

 急に声を上げて待ったをかけるコナン。まだ何かあるのかと、暁はコナンの言葉を待つ。

 

『…………その……疑いをかけて、ごめんなさい』

 

 少しして、言い辛そうにしながらもそう謝罪の言葉が聞こえてきた。暁のことをジョーカーだと決めつけてかかってきた時のことだろう。実際当たっているのだから何とも言えないが……暁はフッと微笑んで気にしていないと返した。そして、子供達のことは任せてくれと言い、バッジを歩美に返す。

 

「ねえ、何のお話してたの?」

 

 そう聞いてくる歩美に、さてこの状況をどう誤魔化すかと考える暁。その時、車内放送が流れてきた。

 

『――大変申し訳ございませんが、この電車は非常事態発生によりしばらくの間駅には止まらず走行いたします。なお、車内で不審物を見つけましたら、絶対に手を触れず車掌までお知らせください。繰り返します――』

 

 実にタイミングの悪い車内放送だ。しょうがないことだが、これでは察しの良い人間なら爆弾を連想してしまいかねない。現に、子供達三人の中で一番頭が良いだろう光彦の顔は蒼褪めている。

 

「なあ、光彦。不審物って何だ?」

「そ、それは……多分、ば――」

「爆弾ですね」

 

 震える光彦の代わりとばかりに横からラヴェンツァが口を開き、あろうことか一切誤魔化さずに事実を伝えた。爆弾発言とはまさにこのことである。なぜバラすんだとラヴェンツァに目線をやりつつ暁は慌てて誤魔化そうとするが、時既に遅しだ。

 

「暁お兄さん。爆弾を探すの?」

 

 歩美がそう問いかけてくる。暁は誤魔化すのを諦め、頷いて答えた。爆弾の扱いはそれなりに慣れている。見つけた場合はもちろん車掌に伝えるが、いざという時は自分がなんとかするつもりだ。

 

「だったら、わたし達にも手伝わせて!」

「こういう時こそ、少年探偵団の出番です!」

「さっさと爆弾見つけて、カレー食べようぜ!」

 

 心意気はあっても、彼らはまだ小学一年生だ。幼稚園などに通っていなければ、蛇口の使い方さえ分からない子もいる年代である。

 暁は遊びじゃないんだぞと若干口調を強めて言う。彼らは少しビクッと震えたが、それでも「分かってる!」と返した。

 

「暁お兄様。仮に爆発するとして、何も知らないまま死ぬのは彼らとて本意ではないでしょう。それに、彼らはこれで何度か事件に巻き込まれているようですし、そこらの大人よりかはまともな対応ができると思いますよ」

 

 ラヴェンツァの言葉を聞いて、改めて歩美達を見る暁。少年少女達の混じり気のない純粋な目を見て、観念したかのように小さく笑みを浮かべた。

 協力してくれるのは構わないが、さっきの車内放送で言っていたように不審物が見つかっても絶対に触らずに車掌か自分に伝えろと念を押す。

 

「うん!」

「もちろんです!」

「よーしッ! 少年探偵団、出動だー!」

 

「「「おーッ!!」」」

 

 

 

 

 この列車は十一両編成だ。現在暁達がいるのは真ん中辺りの六両目。今いる六両目を調べた後、続けて進行方向の車両を調べることにする。

 

「なあ、大丈夫なのか? アイツラも一緒で」

 

 ラヴェンツァを伴った元太達を先頭に車両をくまなく調べていると、モルガナが暁にそう声を掛けた。恐らく、問題はないだろう。

 

 なぜなら、車両の中に爆弾は仕掛けられていないのだから。

 

 仮に車両内のどこかに爆弾を仕掛けたとしても、事を起こす前に車掌や乗客に発見される可能性が高い。暁自身、潜入道具として爆弾を何度も製作して使ってきた。自分が犯人の立場であったら、そんな方法は絶対に取らない。列車が一定の速度まで落ちると爆発するなんていうギミックを組み込んだ爆弾を作る犯人なら尚更である。

 

 仮に爆弾が仕掛けられているとしたら……車両の下か、それとも――

 

「すみません。ちょっとよろしいですか?」

 

 そこまで思考を巡らせていると、背後から暁の耳に聞き覚えのある声が届いた。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 先週起きた東都国立博物館のホープダイヤを巡った怪盗騒ぎ。

 それが当初の相手である怪盗キッドどころか心の怪盗団ザ・ファントムまでもが乱入し、ダイヤの所有者であった杉村が改心させられるという事件にまで発展してしまった。帝丹高校の校長と10億円強奪事件の実行犯に続いての犠牲者である。

 心を盗むなんてそんな絵空事、と誰もが思っていた。だが、今現在はどうだ。米花から始まり、関東を中心にして日本中が怪盗団は実在するものとして認知している。 

 

 その事実を前にして、環状線の座席に座っている新島真は目を閉じて小さく溜息を吐いた。

 

 大衆に怪盗団の存在が認知されているということは、警察側も何かしらの対応をせざるをえない。とは言うものの、警察とてどう対応すればいいか検討がつかない状況だ。せいぜいが対応しているという形だけの体裁を整えるのが関の山である。

 そして、その怪盗団対策の体裁を整える責任者として、なんと真が選ばれてしまった。キッド専任として活動している二課の中森警部のように、怪盗団関連は真が担当する形になったのである。

 三課でも二課でもなく一課の真に任されたのは、怪盗団に適用できる罪が傷害罪ぐらいだからだろう。本当に心を盗んでいるとしても、そんな荒唐無稽なことで窃盗罪として逮捕することはできない。厄介事を任されたというのはもちろんだが、それ以前に真自身なぜなのかは分からないが怪盗団を調査することにあまり乗り気になれずにいた。

 

 最も、それらのことが真に溜息を吐かせた理由というわけではない。

 真を憂鬱な気分にさせていること、それは――

 

 

 例の10億円強奪事件の際に無茶をしたせいで、免許停止処分になっているからであった。

 

 

 今日は非番の真が環状線に乗っているのもそのためである。先ほどまでは同じく非番であった警部補の佐藤美和子と一緒だった。用事を済ませて、そのまま車で実家に寄るという美和子と別れて今に至る。

 かれこれもう二週間はバイクに乗っていない。早く愛車のバンディット1250F――命名ヨハンナ――に乗りたい。彼女は今、自宅で寂しく留守番中だ。バイクに乗って気持ち良く風を切れば、その時だけは頭を悩ます多くの事柄を忘れることができる。バイクに乗ることこそが真の唯一のストレス解消法であった。

 しかし、乗れない。バイクに乗れないという事実を頭に浮かべてしまったせいか、真は苛立たしげに腕を組んで指をトントンと鳴らし始めた。

 

 ――ああ、早くバイクに乗りたい。乗りたい。乗りたい乗りたい……

 

 そんな感じで禁断症状を発症させている真は、ふと車内が何やら騒がしくなっていることに気づいた。何人かの乗客は立ち上がって車両を移動したり、不安そうに外を眺めている。

 

(何かあったのかしら……?)

 

 真がそう思っていると、車内放送が流れ始めた。

 

『――大変申し訳ございませんが、この電車は非常事態発生によりしばらくの間駅には止まらず走行いたします。なお、車内で不審物を見つけましたら、絶対に手を触れず車掌までお知らせください。繰り返します――』

 

 どうやら、何かしらのトラブルが発生して駅に止まることができない状況のようだ。確かに、真は禁断症状のせいで気づいていなかったが、いつもならとっくに駅に着いているはずである。 

 それはそれとして、車内で不審物を見つけたら絶対に触るなというお達し。警察の人間である真の頭に嫌な予想が浮かび上がる。

 

(もしかすると、本庁の誰かに連絡すれば情報が得られるかもしれない)

 

 そう思い立った真は、スマホを取り出して目暮警部に連絡を取った。

 

「もしもし、目暮警部」

『新島君! すまないが、今ちょっと立て込んでいてね……環状線に爆弾が仕掛けられたんだ!』

「…………私、今その環状線に乗ってるんですが」

『何ぃッ!?』

 

 真が今まさに事件の渦中にいることを知って、驚きの声を上げる目暮警部。そして、その環状線に五つの爆弾が仕掛けられたことや爆発する条件について口早に説明してくれた。

 

「とにかく、君なら冷静に対処できるだろう。車掌と協力して、車内を隈なく調べてみてくれ!」

「了解しました」

 

 電話を切った真は、すぐさま席を立って車掌を探しに車両を移動し始めた。

 真が座っていたのは最後尾の車両だ。そこから何両か乗客に警察手帳を見せて荷物を確認しつつ辺りに目を配らせながら移動したところで、視線の向こうにどこか既視感のある眼鏡の青年が目に入った。

 

「すみません。ちょっとよろしいですか?」

 

 何とはなしに、その青年に声をかける真。ゆっくりと振り返った青年は、真の顔を見るや否や目を見開いている。

 

「……? あの、車掌を探してるんですが、どこにいるか分かりますか?」

 

 その反応に首を傾げつつ、真は問いかける。

 しかし、青年から返事はない。まるで硬直しているかのようだ。

 

「あ、あの時の刑事さん!」

 

 どうしたものかと真が思っていると、青年が連れている子供の一人が真を見てそう呼んだ。

 

「貴方は、あの事件で人質にされた……確か、吉田歩美ちゃん?」

「はい、そうです!」

 

 その子供は、10億円強奪事件で杉本に人質にされた吉田歩美であった。その事件に続いて、今度は爆弾事件に巻き込まれているという事実に、彼女を不憫に思う気持ちと犯人に対しての憤りを感じる真。

 

「ねえ、車掌さんを見かけなかった?」

「ううん。わたし達も探してるところなの」

「それにしてもよー、ホントにあるのか? 爆だ――」

「元太君!」

 

 少し太り過ぎな少年の口を、そばかすの少年が慌てて塞ぐ。真は太り過ぎな少年が言いかけた言葉に反応する。

 

「今、貴方何て――」

 

 その時、一つ先の車両で車掌が乗客の男性と揉めているのが真の視界に入る。

 

「っ、ごめんなさい!」

 

 話を中断して、真は急ぎ足でそちらへと向かっていった。

 

 

「おい、不審物って何だ! まさか爆弾なんて言うんじゃねえだろうな!?」

「お、落ち着いてください!」

 

 車掌の襟首を掴んでいる男性は、不審物という単語から爆弾を連想して車掌を問いただしていたようだ。爆弾という単語を聞いて、周囲の乗客も慌てふためいている。

 

「ちょっと! 手を放しなさい!」

 

 真は男性の手を掴み、車掌から引き剥がす。

 

「何だ女!? 引っ込んでろ!」

「私は警察の人間です。これ以上暴れるのであれば、それ相応の覚悟はしてもらいますよ」

 

 そう言いながら、警察手帳を取り出して見せる真。男性は真が警察であることが分かると押し黙ってしまった。

 真は周りに聞こえないよう小声で車掌に確認する。

 

「……状況は聞きました。爆弾の方は見つかりましたか?」

「いえ、先頭車両からここまで隈なく調べましたが、まだ見つかっていません」

「私は最後尾の車両からここまで調べてきたのですが……見落としがあったのかしら」

 

 既に環状線を走る列車が止まらなくなって三十分以上は経過してしまっている。そろそろ夕方に入る頃合いだ。この列車は真という警察が睨みを利かせたため乗客の暴走をある程度抑えられているが、他の列車はそうもいかない。恐らく、そろそろ限界を迎えているはずだ。

 真は焦りを感じ始めていた。目暮警部から連絡がないことから、他の列車でも爆弾は発見できていないのだろう。爆弾は明らかに車両の中には隠されていないのだ。

 

 そもそも本当に爆弾は仕掛けられているのだろうか? 本当は爆弾など存在しないのでは? ……いや、それはない。目暮警部によると、犯人は数日前に堤無津川近辺で起きた爆弾事件にも関与しているらしい。高校生探偵として名高い工藤新一への挑戦状として。ならば、爆弾はどこかに必ず隠されているはずだ。 

 列車の速度が60kmを下回ると爆発し、さらには日が落ちても爆発してしまうという仕掛けになっている爆弾。もしかすると、この仕掛けが爆弾の在処に関係しているのではないだろうか?

 

(日が落ちると爆発……日……光……)

 

 そう真が考え込んでいると、彼女の視線の先――列車の窓の向こうにビルの壁面に設置されたソーラーパネルが目に入る。

 

(まさか――)

 

 それと同時に、彼女のスマホが着信を知らせる。歩美の探偵バッジからも声が聞こえ始めた。子供達と青年がそれに耳を傾ける。

 

『新島君! 工藤君のおかげで爆弾の在処が分かった! その在処は――線路の間だ!』

 

 やっぱり、と真。彼女も今しがたそう推理したところだったのである。

 爆弾は光を感知しなくなって一定時間以上経つと爆発する仕掛けになっているのだ。日没を過ぎると爆発するというのは、それが原因。そして、時速60km未満で走ってはいけない理由は爆弾が走行する車体の影に隠れてしまうから。60km以上が爆弾が爆発するまでの時間が経過しない最低限の速度なのだ。

 

 そうと分かれば、後は列車を環状線の線路から別の線路に移し、日没までに爆弾を処理してしまえばいい。とりあえず安心し、真は目暮警部との電話を切った。切ったところで、また電話が掛かってくる。相手は環状線に乗る前に別れた美和子だ。

 

「どうしたの、美和――」

『どうしたのじゃないわよ! ついさっき白鳥君から電話で聞いたんだけど、貴方今環状線に乗ってるの!?』

「だ、大丈夫よ。もう事件は解決したも同然だから!」

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 そして、指令所からの連絡を受けて環状線を走り続ける各列車は貨物線の線路へと移ることとなった。

 

『59、58……異常ありません!』

「よし! そのまま減速して貨物駅に停車してくれ!」

 

 貨物線へ移り、60km以下に減速しても爆発しない列車状況を見て、スタッフ達は汗を拭い安堵の溜息を吐く。

 

「し、指令長!」

 

 だが、最後の列車が貨物線へと移ったを見届けたところで、一人のスタッフが焦ったような声を上げた。すっかり解決ムードになっていた他のスタッフ達は冷や水を浴びせられたような面持ちになる。

 

「どうした! 何かあったのか!?」

「そ、それが……貨物線に移った最後の列車が、どんどん加速していってるんです!」

「な、何だって!?」

 

 指令所は、またしても深刻な状況に逆戻りしてしまった。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「だから、後は日没までに線路の間に設置された爆弾を処理すればいいのよ」

『……でも、万が一ってこともあるし、私迎えに行くわ。列車を降りたら連絡を頂戴』

「ええ、分かったわ。ありが――」

 

 迎えに来てくれるという美和子にお礼を言おうとする真。

 

 

 その時、車内が揺れた。

 

 

 各車両で悲鳴が上がる。真もバランスを崩しそうになったが、何とか踏み止まった。

 子供達も倒れかけたが、咄嗟に座席のスタンションポールを掴んだ眼鏡の青年が歩美の手を取り、そして歩美が金髪の少女の手を、その少女がそばかすの少年の手を、その少年が太った少年の手を、といった形で何とか難を逃れたようだ。

 だが、車掌は背中から勢い良く倒れ、ポールに後頭部を強く打ち付けて気絶してしまった。

 

『大丈夫、真! 何かあったの!?』

「わ、分からないわ……急に電車が揺れ始めて」

 

 無事に線路も移り、後は減速して貨物駅に停車するだけのはずだ。しかし、列車は減速するどころか急加速していっている。事態の把握のため、真は電話を切って急いで運転士のいる先頭車両へと走った。

 

 運転室の前まで辿り着く真。だが、ドアが開かない。

 

「運転士さん! どうして減速しないの!? 返事をして!」

 

 ドアを叩いて運転士に状況の説明を求めるが、返答はない。窓からは運転士の背中が見えるが、まるで真の声が聞こえていないかのようだ。まさか、意識を失っているのか?

 

「聞こえますか!? ここを開けてください!」

 

 必死に運転士へ声を掛け続ける真。

 すると、突然後ろから肩を叩かれる。振り向くと、先ほどの眼鏡の青年がそこに立っていた。その手には、鍵。目の前の扉を開けるための鍵だ。恐らく気絶した車掌から拝借したのだろう。

 

「あ、ありがとう!」

 

 真は礼を言って鍵を受け取り、ドアを開けて運転室の中に飛び込む。

 運転士は運転台に力なく項垂れるようにして操縦席に座っていた。だが、その様子とは裏腹に、その手はしっかりとマスコン――加速レバーを握っている。

 

「あの……大丈夫ですか?」

 

 真は近寄って運転士の肩を揺すった。その揺れで、運転士の顔が真の方へと向けられる。

 

 

 その両目は白く濁り、黒い泥のような液体を止めどなく流していた。

 

 

「――ッ!?」

 

 声にならない悲鳴を上げて運転士から離れる真。運転士は真へ顔を向けたまま、マスコンからゆっくりと手を離して床にうつ伏せになる形で倒れ込んだ。マスコンは手前に引かれたまま、列車は加速する一方。

 

 運転士の顔を見た真は、まるで金縛りになったかのように身動きが取れないでいた。

 

 

 

 

 

 

「お、おい! このまま止まらなかったら、オレ達どうなっちまうんだ!?」

 

 腰が抜けてしまったのか、床に這いつくばっている元太が怯えの混じった声を上げる。

 

「そ、それは、この貨物線は環状線と違って行き止まりがありますから……そこに正面衝突ですよ!」

「衝突したらどうなるんだよ!?」

「ボクらみんな死んじゃうに決まってるじゃないですかぁ!!」

 

 ポールにしがみつきながら元太に返事する光彦。

 彼と同じようにポールを掴んでいる歩美も、今まさに迫ってきている死に恐怖して震え、目元からは涙を零してしまっている。そんな彼女の目に、平然と立って先頭車両の方に視線を向けているラヴェンツァの姿が映る。ラヴェンツァは暁に言われて、歩美達の傍で待機しているのだ。

 

「ら、ラヴェンツァちゃんは、怖くないの? もうすぐわたし達、死んじゃうかもしれないんだよ」

「さあ、それはどうでしょうか?」

 

 いつもの調子で答えるラヴェンツァ。

 一体どうしてこの子はそこまで冷静でいられるのだろうか? 目の前の死から意識を逸らしたいがためか、歩美の頭はそんなこの状況にそぐわないことを考えていた。

 

「もしかして、何とかなるの?」

「分かりません。ですが、私は信じていますから。マイトリックスター……暁お兄様がなんとかしてくれると」

 

 一切の迷いのないその金色の瞳を向けて、ラヴェンツァは答えた。

 それを聞いて、歩美はコナンのことを思い浮かべる。きっと、彼がこの場にいたら自分もこう思うだろう。"コナン君がなんとかしてくれる"と。だが、その頼りになる彼は今この場にいない。

 

『友人という縁で結ばれた貴方達は泣き喚いてばかりでなく、その意思を継ぐべきなのではないですか?』

 

 以前、工藤邸での騒動でラヴェンツァに言われた言葉が思い出される。

 

「意思を……継ぐ」

 

 ――こういう時、コナン君ならどうするだろうか?

 

 そう考えた歩美は、ポールから手を離して先頭車両の方へと駆け始めた。

 

「あ、歩美ちゃん!?」

「どこ行くんだよ、おい!」

 

 光彦と元太も慌てて彼女を追う。

 そんな子供達を見て、ラヴェンツァは小さく笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 そして、転がりこむような形で運転室に入った歩美達。

 

「う、運転士さん!?」

「……し、死んでるのか!?」

 

 倒れている運転士を見て驚く光彦と元太。幸いにも、うつ伏せになっているので顔は見えていないようだ。

 傍には真がいるが、放心したようにその場に膝を突いている。

 

「電車を止めないと! 光彦君、ブレーキってどれ!?」

「え、ええ!? そんなの分かりませんよ!」

 

 運転席に駆け寄った歩美の言葉に、さしもの物知り光彦も答えられない。その時、手前へ引かれているマスコンのレバーが歩美の目に入る。

 

「もしかして、これがブレーキ!?」

「よし! 三人でやるぞ!」

「「「せーのッ!!」」」

 

 三人で力を合わせ、レバーを奥へと思いっきり倒した。

 

 ……しかし、止まらない。もう貨物駅は目の前だ。それを過ぎた先は車止め。このままでは、猛スピードで車止めに衝突してしまい、大惨事は免れない。

 

「そ、そんな……!」

「もう駄目だー!!」

 

 光彦と元太が目前に迫る車止めに、目を瞑ってその場にしゃがみ込む。

 

(コナン君――!)

 

 もう駄目だ――――誰もが、そう思った時だった。

 

 子供達に続く形で暁が運転室に入り込み、マスコンとは別のハンドルを思いっきり回した。

 車輪とレールの摩擦から鳴る耳をつんざくような甲高い音が乗客全員の鼓膜を刺激する。さながら、それは人生の終末を知らせる警笛音(ラッパ)にも聞こえた。

 皆目をきつく瞑って頭を抱え、来るであろう衝撃に備える。

 

 

 

 

 ……しかし、一向に衝撃は訪れない。

 

 列車は、車止めにピッタリ収まる形で停車していた。

 

 

 

 

 助かった。

 

 それが分かった乗客達は、一斉に歓声を上げる。

 我が子を抱いて泣く母親や、腰を抜かしたまま泣き笑いしている者。隣同士で知り合いでもないのに喜びを分かち合う者達。誰もが膝が笑っている状況の中、窮地から生還したことを心の底から喜んだ。今頃、指令所の方でも騒ぎになっているだろう。もちろん良い意味でだ。

 

「と、止まったー!」

「やりましたね!」

「少年探偵団の大勝利だぜー!」

 

 子供達も例に漏れず、諸手を挙げて喜び合っている。

 

 

 

「……と、止まったのね」

 

 一方で、真はようやく我に返ったところであった。

 気づけば、列車は止まっていた。運転士のあの顔を見て呆然自失となり、何もできなかった自分を恥じる。と同時に、運転士の安否を確認し始める。

 恐る恐るその身体を動かして上に向けさせると、その顔は黒い涙に塗れてぐちゃぐちゃになっていた。思わず顔を顰めてしまう真。脈を取り、死んではいないことを確認する。

 

(……同じ、だわ)

 

 死んではいないので状態にそぐわないが、白目を剥いて黒く汚れた顔を隠すため、真はポケットから取り出したハンカチを被せた。

 

 そうこうしている内に貨物駅のスタッフが駆けつけてきて、乗客達を列車から降ろし始めた。

 

「やっと降りれるんですね……」

「カレー! カレー食いに行こうぜ!」

「ラヴェンツァちゃん、先に降りてるね!」

 

 子供達は先んじて運転室を出ていく。続いて、眼鏡の青年といつの間に入っていたのか歩美にラヴェンツァと呼ばれた金髪の少女も運転室を出ようとする。

 

「……あ、待って! その、列車を止めてくれて、ありがとう」

 

 真がそう礼を言うと、青年は振り返らないまま首を振り、礼は先ほどの少年探偵団に言ってくれと答えた。それに、止めれたのはただ運が良かったからだと付け加える。自分は、運転が得意じゃないからと。

 

 その言葉に首を傾げる真を置いて、青年は少女と共に列車を降りていった。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 同時刻、暴走していた最後の列車が無事に止まったことをニュース番組が伝えていた。

 適当な駐車場で車を降り、通りがかった店前のテレビでそれを確認していた美和子は安堵の溜息を漏らす。

 

「チッ」

 

 その隣で、食い入るようにテレビを見ていた初老の男性が舌打ちをするのが聞こえた。

 

「……ちょっと、貴方」

 

 訝しんだ美和子が男性に声を掛けると、彼は答えずにそそくさとその場から離れようとする。

 しかし、段差に足を引っかけて勢い良く転んでしまう。そのポケットから、先端にボタンらしき物が付いた筒状の何かが零れ落ちた。

 

「だ、大丈夫? ……あら、何かしらこれ?」

 

 男性の安否を確認しつつ、筒状の物体を拾い上げる美和子。

 

「!? か、返せ!」

「ちょ、何するのよ!」

 

 それに気づいた男性は乱暴に美和子を押し退けて、筒を取り返そうとする。しかしその最中、男性の指が筒のボタンを押してしまった。

 

 

 

 その瞬間、遠く離れた場所で爆発が起こった。

 

 

 

「えっ!?」

 

 爆発音が聞こえた方向を確認する美和子。その方向には、隅田運河に架けられた橋梁があったはずだ。

 それを尻目に、コソコソその場から逃げようとする男性。あの男性が持っていた筒のボタンが押された瞬間に爆発音が聞こえた。ということは――

 

「――待ちなさい!」

 

 美和子は咄嗟に男性を取り押さえ羽交い絞めにする。

 そして、いつも携帯している古びた手錠を懐から出して、その男性の手に掛けたのであった。

 

 

 




前にも書きましたが、映画本編とは時系列が異なっていますのでご了承ください。







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