ダンジョンにアチャクレスがいるのは間違ってるだろうか?   作:リーグロード

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英雄強者に出会うの続きです。


英雄強者に出会う2

あれから神様と一緒に獲得したスキル【英雄の卵(ヒーローエッグ)】と【英雄の弟子】がどういう効果を持つか考えた。

 

「これは僕が思いつくにはきっと【英雄の卵(ヒーローエッグ)】の効果は例えばダンジョンでゴブリンを一匹倒したら二匹倒した量の経験値(エクセリア)を手に入れることが出来るとかだろうけど英雄の力の源は良く分からないな?」

 

「けどなんで僕にそんな凄いスキルが発現したんでしょう?」

 

何故自分にそんな凄いスキルが発現したか分からないベルは戸惑った顔でヘスティアを見る。

 

「多分ヘラクレス君と訓練しているからじゃないのかな?君のスキルにあっただろ【英雄の弟子】っていうスキルがさ!」

 

ベルは確かにという顔でポンと手を叩いて納得する。

 

「じゃあ僕ヘラクレスさんにこのこと知らせてきます!」

 

ベルは自身のステイタスをすぐにヘラクレスに話に行きスキルの訓練が始まった。

 

「ベルよ、お前のスキル【英雄の弟子】は私の動きをトレースし自身の動きにすることができるスキルだろう、ならば私の動きを見て更に私を動かしてみせよ!」

 

ヘラクレスはそう言うとまたベルと共に訓練を再開した。

 

――――――――――――

 

3日前の出来事を思い出していたヘラクレスは唐突に動きを止めた。

 

「どうしたんですかヘラクレスさん?僕ならまだ動けますよ」

 

突然止まったヘラクレスに困惑したベルはまだまだ戦えるとアピールする。

 

「そろそろベルもソロでダンジョンに潜ってもよい頃だと思ってな」

 

突然のヘラクレスの発言に驚くベルは間抜けな顔を作り数秒間突っ立っていた。

 

「そ、そんないきなり言われても僕一人でダンジョンなんて無理ですよ!」

 

「弱音を吐くなベル!お前は多少なりとも私の動きについてきた今までダンジョンで会ってきたモンスターの中で敵わないと思った敵はいたか?」

 

「いえ、いませんでした」

 

「ならば恐れることはない!冒険者は冒険をしてはいけないとエイナは言っていたが冒険しない者が自身の殻を破れはせぬ、だからベルよ今日からお前の判断でダンジョンに挑んでみよ!」

 

弱気なベルに気合をいれたヘラクレスは訓練を終わらしダンジョンへ向かう。

 

――――――――――――

 

ダンジョン28層目

 

ベルと別れ半日近く経過し28層目についたヘラクレスは奇妙な空間に入り込んでしまっていた。

 

「ここはどこだ?ダンジョンの中のようだが固有結界のような気配もする!」

 

今まで岩だらけのダンジョンの道から剣が大量に刺さった緑の丘のような場所にでてきていた。

 

「この剣は迷宮の武器庫(ランドフォーム)のようだな」

 

ヘラクレスは丘に刺さっている剣を観察している途中獣の雄叫びが聞こえてきた。

 

「グルルルルル……」

 

遠くの丘に黒い瘴気のようなものを纏わりつかしている黒い鎧の騎士が立っていた。

ヘラクレスは見た瞬間理解した、あの戦士はかつての自分と同じバーサーカーだと!

黒い鎧の騎士はこちらを見た瞬間鎧を着ているとは思えないスピードで向かってきた。

だが流石はギリシャ神話の英雄ヘラクレス!相手が2歩進んだ時点で弓を手に取り戦闘態勢に入った。

 

「何者かは知らんが向かってくるなら容赦はしない!」

 

次の瞬間から人ならざる英雄同士の戦いが始まった。

黒い鎧の騎士は狂気を発し、ヘラクレスは覇気を発して戦場を駆ける。

黒い鎧の騎士は雄叫びを上げながらそこらじゅうに刺さっている剣を手に取りヘラクレスに向うもヘラクレスは弓で矢を放ち黒い鎧の騎士が持つ剣をことごとく破壊する、まさに百発百中の腕前で黒い鎧の騎士の周りには剣がもう一本も残っていなかった。

 

「ガアアアアア……」

 

剣を全て壊された黒い鎧の騎士はヘラクレスに殴りかかるが理性がなく技術もないただのパンチがヘラクレスに通じる筈もなくあっさりカウンターで殴り返される。

だが黒い鎧の騎士はヘラクレスが腕を引く瞬間足を腕に絡ませへし折ろうとするもすぐさま腕を振り下ろされ地面に激突し弾き飛ばされる。

弾き飛ばされた先には黒い鎧の騎士と同様黒い瘴気を纏った剣が刺さっていた。

 

「ガルルルルル……」

 

黒い鎧の騎士は刺さっていた剣を抜き取り再びヘラクレスに向かって駆け抜ける。

ヘラクレスもまた弓で矢を放つもその全ての矢を斬り落とされる。

 

「狂化し理性をなくしているにもかかわらず私の矢を全て斬り落とすとは、えらく芸達者な奴だ!!」

 

敵の技量に目を見張るヘラクレス、狂化してなお身体に染み付いた武芸は、あのサーヴァントがいかに優れた英霊なのかをひしひしと伝えてくる。

 

「生前はさぞかし名のある英雄だったのであろうその剣が貴様の宝具かバーサーカー?」

 

 

「グルルルルル……」

 

ヘラクレスの問いもバーサーカーは唸り声で返すだけであった。

 

「ははははは、言葉は戦場にて不要というわけか!いいだろう全力で相手をしよう」

 

ヘラクレスは弓に矢をつがえ迫りくるバーサーカーに放つ。

その一撃は先ほどまで斬り落としてきた矢ではないと直感で感じ取ったバーサーカーは剣で斬り落とすのではなく回避に徹した。

その読みは正しく矢が刺さった場所はドロドロに溶け煙を出していた。

 

「よく避けた、今の矢の先にはヒュドラの毒を仕込んでいたのだ!いかにその剣でも触れれば溶けてなくなる代物よ!」

 

ヘラクレスは嬉々として矢を放つ。

生前も自身と対等に戦えた者は怪物意外にいなかった為この闘いを長く楽しみたかった。

その期待に応えたかのようにバーサーカーは矢を避け時には丘に刺さっている剣を犠牲に斬り落としてゆく。

そしてようやくバーサーカーは剣の届く間合いまでヘラクレスに近づいた。

剣を振りぬくも既にヘラクレスは剣の間合いから離れ丘に刺さった剣を土台に空中に飛び3つの矢を放つ。

バーサーカーもすぐさま矢を避けヘラクレスと同じように近くの剣を土台に空中に飛び上がる。

ヘラクレスはその動きにその技に興奮する。

全身に衝撃が走り、全心に感動が湧きたつ。

これほどの男、どこを探しても会えるものではない!

騒ぐ心を落ち着かせ下から迫ってくるバーサーカーに向かって冷静に一射を放つ。

空中では身動きできない為回避は不可能、剣で斬り落とすにも持っている剣は唯一の勝機の為使うこともできないそんな中バーサーカーがとった行為はその身で受けることだった。

迫りくる矢に自身のヘルメットで受け貫通するよりも速くヘルメットを脱ぎ捨てる。

まさかの行為に流石のヘラクレスも驚きを隠せず顔に出してしまうが動きは止めず迫りかかってくるバーサーカーに向かって弓に矢をつがえ迎撃の態勢に入る。

 

「これが私の最後の一撃だバーサーカー!!」

 

「グガアアアア!!!」

 

ヘラクレスは矢を放ちバーサーカーは剣を槍のようにぶん投げる。

ほぼ同時に放った矢と剣は互いの目の前まで迫っていた。

ヘラクレスは自分の目の前まで迫った剣を空を蹴り避けたのだ!

その剣の速度は、鋭さは、受けに徹しても受け切れぬほどである。 

だから避けたのだ、矢除けの加護もなく、ましてや空を飛ぶ力もない。

鍛え抜かれた心眼が、師から賜った武技が、怪物達と戦い抜いた身体が、それをあっさりと可能にしたのだった。

バーサーカーはヘラクレスの放った矢を受け止めようと飛んできた矢の棒の部分を手で掴もうしたが怪物さえも貫いた強弓を掴めるはずもなく、その一撃は強固な鎧を貫通しバーサーカーの右の脇腹に刺さった。

矢に射抜かれ受け身も取れずに地面へ激突するバーサーカーとその隣に着地するヘラクレス。

 

「勝負あったなバーサーカーよ!毒は体全体を蝕みやがて死ぬ」

 

冷淡にヘラクレスはバーサーカーに死の宣告を言う。

 

「見事だ、この私が狂化されていたとはいえ無傷でこの私に勝つとはさぞや名のある英雄なのだろう…」

 

地面に倒れていたバーサーカーは立ち上がりヘラクレスに名を訪ねる。

 

「私の名はヘラクレスだ」

 

「そうか!ギリシャ神話の英雄ヘラクレスならばこの程度試練にも入らないであろうな」

 

乾いた笑みを浮かべてヘラクレスに自身の名を告げる。

 

「私は円卓の騎士ランスロットだ」

 

「なるほど、最高の騎士と言われるランスロットならば狂化されていながらもあれほどの動きができるわけだ」

 

「ギリシャ神話最強の貴方に言われるとは光栄の限りだ、しかし、ブリテンの滅びに加担した自分が最高の騎士など笑わせる、私は聖騎士(セイバー)よりも狂戦士(バーサーカー)のほうが相応しい、グフ!」

 

皮肉を口にしたランスロットは毒の痛みのに苦痛の声を上げる。

 

「頼みがあるヘラクレスよこの私と一騎打ちをしてくれまいか騎士として最後は自身の剣で戦い散っていきたいのだ!」

 

ランスロットの切実な思いに答えたのか空に向かって飛んで行った黒い瘴気を纏った剣がランスロットの前に落ちて刺さり黒い瘴気は晴れランスロットの愛剣アロンダイトが姿を現す。

 

「剣を取れランスロットよ貴殿の願い聞き入れよう」

 

再び弓と矢を手に取りランスロットと距離をとる。

 

「我が願いを聞き入れてくれて感謝する、もうこの身はあと少しで消え去るだろう全身全霊をもって相手をしよう」

 

二人の英雄は互いの持つ最強の宝具で決着をつけようとしていた。

 

「ゆくぞランスロットよ!グラアアアアア射殺す百頭(ナインライブズ)

 

不死の怪物を倒すために至った境地、一撃一撃が即死レベルの威力を持つ矢を無数に放つ流星のような絶技に感心する。

 

「最果てに至れ限界を超えよ、彼方の王よ、この光をごらんあれ、縛鎖全断・過重湖光(アロンダイト・オーバーロード)

 

ランスロットが持つ剣が光に包まれる。

無数の死の矢がランスロットに迫るがランスロットはその全てを斬り落とすがそのたびに剣に宿る光は薄れいっている。

 

「まさか私の射殺す百頭(ナインライブズ)の中を突き進むとは見事!」

 

やがてランスロットは傷だらけになりながらも矢の雨を潜り抜けヘラクレスの元へとたどり着く。

 

「ギリシャ神話の英雄ヘラクレスよその身に傷をつけたこと私は誇りに思う」

 

そしてランスロットが持つ宝剣アロンダイトがヘラクレスの体を斜めに斬り裂いた、その際に剣に籠められていた魔力が切断面から溢れ、青い光がほとばしりまさに湖のようであった。

だがヘラクレスの宝具の中を突き進んだ際に剣の魔力を使いすぎヘラクレスの胸の肉を浅く斬る程度しかできなかったが確かにヘラクレスの体に傷は残せた。

 

「円卓の騎士ランスロットよ貴殿の名はこの傷にかけて忘れぬ事を誓おう」

 

ヘラクレスはそう誓うとランスロットは満足げに微笑み剣と黒い魔石を置いて消えていった。

 




ヘラクレスさんの勇士とランスロットの熱い友情に感動されたかたはぜひ感想を!!
それとヘラクレスが宝具を使う時に言うセリフを知らないのでバーサーカー風にしてみました。

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