ダンジョンにアチャクレスがいるのは間違ってるだろうか?   作:リーグロード

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英雄オラリオ到着

「えーと、聖杯戦争に呼ばれた筈が何故か草原に立っていたって事ですか!なら一緒にオラリオに行きませんか?」

 

ベルは先程現れた巨漢のヘラクレスに物怖じしながらも放って置くことができず事情を聞き一緒にオラリオに来ないかと誘ってみる。

 

「ふむ、行くあてもない今オラリオとやらに行ってみるか」

 

「正直言うと一人だと心細かったので助かります」

 

花のような笑顔を浮かべたベルに思わずヘラクレスは「いい…」と小声で呟いた。

実はヘラクレスはかつて生前ギリシャ神話が乗り込んだアルゴー号に乗って黄金羊毛を求め旅立ったが途中ヒュラースという少年がさらわれてしまい助けに行ったところ、船が出てしまい置いて行かれたという話がある。この少年は、ヘラクレスの情夫であったという。つまりベルはこの時すでにヘラクレスに目をつけられたのだ。

 

「へ?何か言いました?」

 

「いや何も、それより少年名は何という」

 

「あ!そういえば自己紹介がまだでしたね!僕はベル・クラネルといいます」

 

「私はヘラクレスというこれからよろしく頼むベルよ」

 

互いに握手を交わし迷宮都市オラリオを目指す。

旅の途中ベルは自分の夢の為オラリオに旅立つ事やヘラクレスの武勇を聞き自分を鍛えてくれと頼み込んだり、神々が地上に降り立っているという事にヘラクレスが驚いたりとしてようやく二人はオラリオに辿り着く。

 

迷宮都市オラリオの入り口の前には二人の少年と巨漢の大男が立っていた。

 

「さっそく僕たちが入るファミリアを探しましょう!冒険者の登録するにはまずファミリアに入らないといけませんからね!」

 

ヘラクレスは道中にベルからファミリアが『神の眷族』つまり神様による派閥を指していることに驚いたがオラリオにつくとそこら中から僅かながらだが神性を感じ取りその言葉が嘘ではなく真実だと分かる。

 

「ふむ、だがベル私は少し寄りたいところがあるのですまぬが一人でファミリアを探してきてくれないか」

 

ヘラクレスはベルに申し訳なさそうに頼み込む。

 

「はい!任せてください!きっといいファミリアを探して見せます」

 

ベルは道中ヘラクレスの話を聞いてヘラクレスが自分が憧れるような英雄であると知ったためその英雄に頼られて舞い上がってしまう。

 

「それでは今日の夕方にギルド本部前で待ち合わせとしよう…良いか?」

 

「はい!きっと満足できるようなファミリアを探しに行ってきます!」

 

そう言い切るとベルは走り去って行った。

 

「……さてそろそろ私も行くとするか」

 

 

ベルと別れたヘラクレスはバベルの塔の前に立っていた。

 

「神の恩恵を受ける前に自分の力がダンジョンに通じるか試さねばな」

 

そういうとヘラクレスは弓と矢を持ちダンジョンに入って行く。

 

「なるほどダンジョンの中は目視できるほど明るいのだな」

 

ダンジョンの神秘に関心しつつ迫りくるゴブリンなどを弓で貫いてゆくがダンジョン最弱のモンスターが英雄の頂点にいる大英雄の一撃に耐えられるはずもなく魔石ごと粉々に吹き飛んでゆく。

 

「あまりに脆すぎる、これでは力試しにもなりはしないな」

 

若干落胆し更に奥に進むがどのモンスターもヘラクレスの弓の一撃に耐えられず粉々に吹っ飛んでゆく。

それを見ていた他の冒険者は後にこう言い残した、「あれはダンジョンが生み出した破壊神だ」

 

あれからベル・クラネルはヘラクレスと別れてからいろんなファミリアに入れてほしいと頼み回ったがどこのファミリアもベルの体格を見て門前払いの連続であった。

ベルは断われ続けて近くの噴水に腰を掛ける。

 

「ヘラクレスさんが満足できるファミリアを見つけてくるって言ったのに、これじゃあ顔向け出来ないよ」

 

もう辺りは日が落ち始め約束の時刻に迫ってきている。まだ子供といっていいぐらいの年齢のベルは現実の冷たさに思わず涙を流そうとしてしまう。

その時目の前に現れた女の子に声をかけられる。

 

「そこの君ファミリアを探しているのかい?ならウチのファミリアにおいでよ」

 

女の子はそう言ってベルの手を掴む。

 

「はい、ありがとうございます」

 

人の温かさに触れて我慢していた涙がほんの一滴目から零れ落ちた。

 

 

「成程ベル君は英雄になりたくてオラリオに来たんだね」

 

「はい!いつかヘラクレスさんのような強い英雄になりたいんです」

 

二人は自己紹介を終えヘラクレスとの待ち合わせのギルド本部前で話し合っている。

 

「それにしても今日一日で二人も僕のファミリアに入ってくれるなんて嬉しいよ」

 

「いえ、こちらこそ困っていたところを助けてくれてありがとうございます」

 

ベルはヘスティアに満面の笑顔を向けてお礼を言った。

(グハーー!ベル君の笑顔なんて可愛らしいんだもう僕のハートはベル君という名のアーチャーに撃ち抜かれてしまったよ)

 

「神様!神様!!」

 

「ど、どうしたんだいベル君!」

 

「急にぼーっとしてどうしたんですか?」

 

「な、なんでもないよあっはっはっはっは!!」

 

二人が話始め20分が過ぎたころ遠くから人ごみの中頭3つ分抜けた巨漢のヘラクレスが近づいてくるのが見えた。

 

「あ、来ましたよヘラクレスさん!おーいこっちです」

 

「べ、ベル君あれが君が言ってたヘラクレス君かい?」

 

若干声を震わせながらヘスティアはベルに尋ねる。

 

「そうですよ神様」

 

ヘラクレスは人ごみを抜けベルの元に辿り着く。

 

「すまない、待たせてしまったか」

 

「いえ、神様と喋っていたので大丈夫です、あっ!こちらが僕達がお世話になる神ヘスティア様です」

 

「よ、よろしくねヘラクレス君」

 

「こちらこそよろしく頼むヘスティア様」

 

互いに握手を交わし気づくこいつはベルを狙っていると!!

 

「ヘラクレス君男同士の恋愛はちょっとどうかと思うんだけど」

 

「愛に性別は関係ないと思っていますよ神ヘスティア」

 

二人の間には目には見えない火花が散っている。

水面下で自身を巡って争いが起きていると知らずベルはのほほんとしている。

 

「じゃあ、ヘラクレスさんとも合流できたのでそろそろホームへ移動しましょうか、もう日が落ちて暗くなってきましたしね」

 

そう僕が神様に言うとヘラクレスとにらみ合っていた神様がビクッと動いた。

 

「そ、そうだねもう暗くなってきたしホームに案内しようか…さあこっちだよ二人ともついてきてくれ」

 

ぎこちない笑顔のまま神様がホームへ向かって歩き出す、これからの冒険の拠点となるホームを想像しながら神様の後についていく。

神様は寂れた教会の前で止まり僕たちの方を見てきた。

これってまさか!

僕の嫌な予感は当たってしまった。

 

「……え~と。ここが僕達のホームになります。ちなみに僕の眷族は君たち二人!やったね!はじめてのホーム!はじめての眷族だよ!はじめて尽くしだね!」

 

僕は恐る恐るヘラクレスさんの方を見てみるとヘラクレスさんは落胆したような呆れたような複雑な顔をしていた。

 

 

 


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