ダンジョンにアチャクレスがいるのは間違ってるだろうか?   作:リーグロード

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久しぶりに書きました。数か月ぶりです。読者の人たちには迷惑かけました。


男は傷を負ってこそ強くなる!

 強い人に教えを受けていたから自分が強くなったと勘違いしていた。確かに自分は以前よりも遥かに強くはなった。

 

 …けれど、僕が目指している強さはこんな程度じゃないはずだろ!僕が憧れたあの二人はもっと強かった。それだけじゃない、そこで慢心せずに、更に強くなるために闘い続けている。だったら僕はそれに追いつく為に、もっと戦わなくちゃならないんだ!

 だけど我武者羅に戦うな!勝つためにもっと速く、戦い続けるためにもっと無駄をなくせ、あの人達に追いつく為にもっと技を磨くんだ!!!

 

「はあはあ、こんなもんじゃダメだあの人達はもっと速かった、もっと強かった!」

 

 例え万人が今の僕の行為を笑おうとも、僕は諦めない、僕は必ず強くなるんだ!あの人達の背中を追い抜くために!!!

 溢れかえるように湧き出るモンスターに剣を向けて、僕は走り続けた。

 少年はロクな装備もせず手に持っているのはギルドで支給されている初心者用のナイフだけ。はたから見ればただの自殺志願者であろうだが少年はモンスターをナイフ一本で倒し続ける。

 

 

 あれからどのくらい戦い続けたのだろうか?1時間?それとも5時間以上か?もう時間の感覚が分からない。ダンジョンのモンスターを何体倒したのだろうか?10か?それとも100か?

体はヘトヘトだった、あれだけ燃え盛っていた精神も真っ白に燃え尽きた。周りにモンスターはいない、だったら少しくらい倒れてもいいよね?

 

 モンスターとの激闘で傷だらけとなった体を横にしようと考えた瞬間に、足の力が急に抜けて倒れそうになると、後ろから背中を大きな手が支えてくれた。

 顔を上げると、店に置いてきてしまったヘラクレスさんの顔があった。

 

「へ、ヘラクレスさん!どっ、どうしてこきょに!?」

 

ベルは急いで立ち上がり、噛みながらも、どうしてここにヘラクレスがいるのかと聞く。

 

「どうしても何も、ベルが心配だったからに決まっておるだろう。それに店の勘定がまだだからな。もう今からでは遅いだろうし、明日二人で謝るとしよう」

 

「あっ!そうでしたね。僕が誘ったのにすみません」

 

頭を下げたベルにヘラクレスは弓を手に取り矢を射抜く。

ベルの頭上を神さえも殺す矢が通り抜けた。

 

「グギャギャギャ!!!」

 

「…へっ!?」

 

矢が飛んで行った先にはベルが見逃していたモンスターがいた。

矢はモンスターの上半身を吹き飛ばし更にダンジョンの壁に大きな傷跡を残す。

 

「あ、ありがとうございますヘラクレスさん」

 

「根を張り詰めすぎだベル今日はもう戻った方がいい」

 

ヘラクレスの言うことは正論だ、確かにこのまま続けていても身体を壊すだけだろう。だがそんなことではいつまで経っても追いつけないという焦燥感がベルを突き動かし続ける。

 

「けど、僕は弱いままじゃいけないんです!もっと強くなって貴方の隣を胸を張って歩けるぐらい強くならなくちゃいけないんだ!!!」

 

ベルの心の底から湧き出る必死の叫びだった。

ただ後ろを着いて歩くのではなく隣に立って歩きたいという子供のような願い。ヘラクレスはそんなベルの気持ちに答えたかった。

 

「そうか、だが休む事も大切なことだ。今のままでは駄目だと思う事は良いことだ、自分の限界に挑戦して、───それを更に越えていけベルよ」

 

ボロボロになったベルの頭を優しく大きな手で撫でる。

頭を撫でられ緊張が解けたのかベルは体の力が抜けていく。

力が抜け倒れそうになるベルをヘラクレスは優しく抱きかかえる。

 

「よくがんばった。あとはゆっくり休むがいい」

 

その言葉を聴いた瞬間にベルは安心しきったという表情でヘラクレスの背で眠りに着く。

そしてヘラクレスは眠りについたベルを背負いホームへと帰る。

道中モンスターに会うも獣のような、いや、猛獣の如き睨みをぶつけ追い払う。

 

ダンジョンを抜け寂れた教会であるホームに着くと、教会の前で神ヘスティアが待っていた。

 

「おっそーい!!どこに行っていたんだ二人とも、しかもベル君が凄い怪我をしているじゃないか!?…どういうことか説明してもらおうかヘラクレス君?」

 

ヘスティアは瞳を真っ赤にして、涙目になりながらも勢い良く突っ込んでくる。その様子に大英雄であるヘラクレスも申し訳なさが浮かんでくる。

ヘラクレスはヘスティアにこれまであった事を包み隠さず話した。

 

「はぁ、き・み・た・ち・は!!!もっと自分の事もそうだけど心配する僕の身にもなってくれよ」

 

やれやれと困ったように額に手を置いて首を振るヘスティアに申し訳なさで一杯にベルとヘラクレスは「申し訳ありませんでした」と、か細い声で謝る。

 

二人の反省した態度に納得したのか、ヘスティアは「しょうがないか」と言って、やんちゃな子供を持つ母親のような顔を見せる。

 

「いつまでもホームの前で反省はご近所さんに変な目で見られるだろうし、それに早くベル君の怪我の手当もしなきゃだしね」

 

「うわっ!ちょ、神様!」

 

傷だらけになっているベルの手を引っ張るヘスティアと、それに苦笑いしながらもうれしさを顔に出すベルにヘラクレスは、今度こそ守りたいものを守るという思いを更に強くする。




久しぶりなので、結構短めです。今はなろうでも小説を書いていて、そっちに集中しているのでこの作品や他の作品は息抜きがてらに書こうと思います。
評価や感想が多ければやる気は上がりますぜ読者様方(^_-)

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