アーマード娘空 はーどもーど   作:人類種の天敵

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AMIDA……キサラギ……如月?

 

 

下水道にある生き残り艦娘の地下街から帰ってきて数日、俺たちはある作戦を実行するために準備をしてきた。

まあ、それもこれでようやく終わり。

準備を終えて司令官命令としてねくすと娘空とのーまる鋼鴉を下水道に続くマンホールの上に召集する。

 

「えー、本日は快晴に恵まれ、とびきりのピクニック日和です。ではこれより。第一回AMIDA狩り作戦『AMIDA祭り』を開始します」

 

ねくすと娘空は「AMIDA?なにそれおいしいの?」と首を傾げているが、一部ののーまる鋼鴉は「貴様正気か!?」とか「AMIDAーーーッ!!?ウゲェーーー!!」と絶望的な表情を浮かべている。

 

「とりあえず留守組と戦闘班を決めてるから班分けして」

 

戦闘班

 

A班

アリーヤ Lv23

シューマッハ Lv7

002-B Lv9

 

B班

キルドーザー Lv27

バガモール Lv40

デュアルフェイス Lv3

ビルニーズ Lv10

サウスネイル Lv2

ピンチベック Lv1

ディギー Lv4

 

鎮守府防衛

サイレントアバランチ Lv6

ワンダーレイド Lv5

フレンチ75 Lv1

グリーンウィッチ Lv1

リーパーバード Lv6

ドラグーン Lv5

フリューク Lv8

 

「………あれ?何でこいつこんな上がってんの???」

 

疑問を口にした要因はバガモールのレベル。

こいつ、なぜか一回の戦闘で40レベルまで到達してやがる。

あ、ありえねえ……………。

 

「我輩下水道にてロケットを撃ちまくってとってもスッキリしたのである!強いて言えばそれが理由か」

 

「なん……だと……!?」

 

アホか、スッキリしたくらいでレベルが40まで行けたらお前1週間でレベ100まで行くじゃねえか。

 

「AMIDAが経験値ブースト…とか?」

 

「ふむ。AMIDAの養殖も検討しよう」

 

あらやだAMIDAチャン逃げて!?クレイジークリケット女がAMIDA人生を狙ってるわ!?

 

「とりあえずA班は高速で周回しつつ下水道のマッピング。B班は目につくAMIDAを片っ端から☆ぶっ殺☆して資源として持ち帰るように」

 

ウゲェーーーッ!!と肩を落としたのーまる鋼鴉よ、多分お前たちの出番ねえから。

何故なら軽量娘空で元々の機動力が高いバガモールがレベル上昇で更に機動力に磨きがかかってるし隠しステータスか知らんけどロケットの高速リロード&5連弾撃ちとかマジ意味わかめ。

つーかドラクエかよ、特技かよ。

お前艦これの世界でドラクエやってんじゃねえよ。

 

 

 

とまあ、色々突っ込みどころは多いがAMIDA狩り班は予定通り下水道に直行。

なんか地面越しにAMIDAの悲鳴やロケの爆発音、バガモールの笑い声、金属が何かを撲殺する音、「どすこぉぉぉぉぉぉぉぉぉい!!」「Wasshoi!」とか聞こえる気がするがまあ…………幻聴だろう。

 

それはそうと鎮守府はいつの間にかECM装置が随所に設置されていた。

犯人はサイレントアバランチだった。

彼女は今もなおせっせと新しいECMを設置しようと機材を組み立てていた。

なにが彼女を駆り立てるというのか……一度聞いてみると、猛吹雪とECMが無いと不安だとか。

この鎮守府は南にあるので立地的に猛吹雪はダメ、なので病的なほどにECMを設置しているらしい。

 

あと鎮守府屋上に設置された長距離ロングレーザー砲のプロキオンは設定次第で遠隔操作が出来るようで、俺の場合は執務室においてあるPCかパッド型の端末を用いることで操作できる。

俺はプロキオン搭載のカメラマイクで狙いをつけたり車格を変更したりしなければならないが、サイレントアバランチは直にプロキオンを介して操作出来るらしい。

今後プロキオンを大量生産してどこそこにおいておけばそれだけで強固な要塞に早変わりするだろう……サイレントアバランチとプロキオンだけで。

 

「まあまだプロキオン一基だけだけど……え、なにこれ」

 

見上げたのは屋上に作られた小洒落た感じのビニールハウス。

その中から現れたのは仕事する気のない全身緑色の女、グリーンウィッチ。

彼女の手にはスコップと水道に繋がれたホースがある。

 

「あ、空さん。どうですか?私のプチ農園。ここからいっぱい緑を作りますよっ♪えへへ」

 

「………」

 

開いた口が塞がらなかったしなにも言えなかった。

グリーンウィッチが熱心に緑について話をしてきたが頷くこと数回をしただけで他に記憶がない。

 

(あれ……?俺こいつらに鎮守府防衛任せてたよね?)

 

不安になってきた。

執務室のPCのデータをアイパッドに一部移行させて所属下にあるねくすと娘空、のーまる鋼鴉の位置を確認しつつ全員を見て回る。

 

まず執務室のある3階の一室。

二部屋を強引にぶち抜いて広い空間を確保したその部屋は、フレンチ75の手によってモダンな洒落たカクテルバーに早変わりしていた。

もちろんバーのオーナー兼バーテンダーを務めるのはフレンチ75でそれらしい制服に身を包んだ彼女がマイブリスに四つ葉のクローバーを乗せたカクテルを手渡し、それをマイブリスは美味そうに飲んでいた。

他にもリーパーバードやドラグーン、それにワンダーレイドがソファで寛いでいる。

なあお前ら仕事は?

 

「良いカクテルだ。サンキューな」

 

「〝ワンダーランド〟一つ」

 

「どうぞ、ワンダーレイド。ふふ、司令官も一ついかがですか?」

 

「空か。こっちに来て寛いだらどうだ?今ドラグーンとポーカーをやってるんだ」

 

「どれ、一つ私達とポーカーでもしようじゃないか」

 

「あっはい」

 

リーパーバードとドラグーンにフルボッコにされて泣く泣くカクテルバーを出る、くっ殺!

 

 

 

次、鎮守府の2階、フリューク、自室で寝てる。

…………………………。

 

「すぴー、すぴー」

 

「…………」

 

おい仕事しろよ。

 

 

 

「どうだった」

 

「……………………この顔見りゃわかるだしょ?」

 

「それもそうか。因みにカクテルバー《レイヴンズネスト》は先日お前がシューマッハの身体に憑依してる時に有志を募って改築していたぞ」

 

「…………」

 

艦娘を配備しよう。

でなきゃこいつらぜってえ働かねえわ。

そう決意したところで雲龍から連絡があった。

どうやら雲龍含む地下の艦娘達は鎮守府に所属するようだ。

なので先ずAMIDAの悲鳴を止めて欲しいらしい。

………どうも駆逐艦組が怯えて泣いてる娘もいるのだとか。

 

「あー、バガモール?うん。うん。1時間だけで良いから待機ね。うん」

 

バガモールに連絡を入れると、どうやらAMIDAが一匹も集まらないようになってるるしく、ちょうど良いので待機命令を出した。

そして雲龍にも連絡を入れ、地下街の荷物や艦娘の墓などはディギーに運ばせ、自分たちの身と装備品だけ持って鎮守府に来て貰った。

 

「やあ、この姿だと初めましてかな。鎮守府司令官の風見空です」

 

「初めまして。雲龍型航空母艦の雲龍です」

 

鎮守府の窮地(働いてるやつ皆無)の所に来た雲龍さんに心の涙を流しつつ、早速雲龍含め精鋭に鎮守府防衛を命ずる。

今回担当するのは雲龍、榛名、日向、山城、鈴谷、羽黒、高雄、不知火、睦月だ。

 

そのほかの艦娘はディギー軍団が持ち帰った物資や荷解きに勤しんでいる。

あと鎮守府の食堂では大鯨、速吸、伊168、伊58、伊13、伊14がご飯を作っている。

大鯨、速吸は慣れた手つきで調理をしているが、潜水艦組は大鯨の手ほどきを受けたり見よう見まねで包丁を扱って指を切ったり(といっても血などでないが)だ。

 

あ……川内、ヒャッハー、響は着いてすぐカクテルバー《レイヴンズネスト》に飛び込んでいった。

 

他にも夕張はOWだよね?全てを焼き尽くす暴力だよね?と言わんばかりの装備類をアンカーで引きずりながら鎮守府の工廠に意気揚々と直行した。

その際に彼女のポケットから落ちた紙を拾ったが、《あんなもの》や《ヘンなの》の資料だった。

 

「……」

 

即座に焼却炉に入れて燃やしたが、俺は自分の判断が正常だったと思う。

………いや、既に財団的思考回路を持つ夕張と主任を引き合わせてしまっているのだ、これは地獄の序章にすぎないかもしれない。

 

 

 

執務室にて頭を抱えていると、アリーヤ達から連絡が来た。

 

『謎の敵勢力です!な、なにか……AMIDAみたいな…あの、その…???ヒトガタ?』

 

「なにそれこわい」

 

AMIDA……キサラギ…ヒトガタ……………え?如月?

 

雲龍に連絡をとった俺は彼女達の中に睦月型駆逐艦の如月がいなかったかどうか確認をすることにした。

 

しかしどうも悪い予感は当たってしまうようで、雲龍の代わりに執務室に来た浜風が名簿を持って来て言った。

 

「如月さんは……鎮守府奪還作戦行動中に行方不明になった艦娘です。書類上はMIAになっています。以前から火炎放射だのパイルバンカー?だのと夕張さんに艤装作成を依頼したり怪しげな研究活動など奇行が目立っていましたが…」

 

「オゥ……」

 

どうやら姫級の深海棲艦よりもヤバイ奴が鎮守府の真下に陣取っているようだった。

 

 

 


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