双剣の騎士 ベイリン   作:とれんた

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まだ見てませんが、蒼銀とfakeを大人買いしました。蒼銀の挿絵を見るだけで少し心が躍ります。ロリトリアさんは五歳です。ベイリンさんはアルトリアさんを女性だと見抜いています。


八話

 俺は金髪の子を見つけたのち、すぐに声をかけられた。声の主は、ケイであった。その後ろに続いてきたエクター卿は少し疲れた様子であった。だが、俺とベイランの姿を見せた途端、エクタ-卿は自分の疲れた様子を隠し俺とベイランに言った。

 

「そうか、来てくれたのか。昨日言っていた、もう一人増えるかもしれないというのは彼のことだ。アルトリア、ベイリン君とベイラン君にあいさつを」

 

エクター卿は金髪の子に挨拶を促しながら、俺たちが来てくれたことがうれしそうに言った。それに対して、人形のようにかわいらしい顔をした女の子ぽいっ子はいかにもどこにでもいる町娘のような明るさで俺とベイランに対して自己紹介をしてきた。

 

「エクターの養子であるアルトリアと言います。一応、ケイ兄さんの義理の弟になっています。あなた方の話はエクターから少し聞いております。なんでも、ベイリンはその年で恐ろしく剣術が達者らしいですね。楽しみさせてもらいます」

 

と今にも飛び出しそうにワクワクしながら言ってきた。何が彼女をそう興奮させているのか知らないが、無意識に俺はその言葉に短くあぁ、と答えて、自身の自己紹介をした。

 

「俺の名はベイリンだ。そして、こっちが」

「弟のベイランと言います」

 

その後、自己紹介が終わったのをエクター卿が見計らって、こちらに話しかけてきた。内容は、まずはアルトリアがどの程度できるのかを確認し、ケイとの打ち込みが終了し次第、俺との訓練を開始するということだった。俺はそれに対して、了解と端的に答えた後、アルトリアの訓練が終わるまでケイに一緒に訓練をしないかと聞いた。すると、ケイはこちらの提案に対して少しうなって、短く拒否の意の言葉を発した。その理由をケイは語った。

 

「俺がお前と訓練すると互いのためにならん。俺とお前では剣術の腕に差がありすぎるからな。お前の素振りを俺が見たりするのは良い訓練になるかもしれないがな」

 

そのことを言われたので、俺はベイランに訓練を誘った。ベイランは嬉々としてその誘いに乗って、エクター卿とは少し離れたところで訓練を一緒に始めた。ベイランとの訓練は、王都に来る前からしていたようにベイランが剣で打ち込み、それに対して俺が剣で防御しながら、ベイランに対して重心がずれているや、足の位置が不自然だなどといったことを一振り一振りに注意しながらやっていく。この方法は俺が母からしてもらった方法でもある。この方法をしていると、母とやっているときのことを思い出すが、そのことを顔に出すことはせずに、ベイランと粛々訓練をする。ふと、ベイランの訓練をしながら横のケイの様子を見ていると、驚いたかのような顔をしていた。いや、かのようなではなく、驚いていた。ベイランが息が上がり始めているの気付いたので、少し休憩しようとベイランに言って、ケイになぜ驚いていたのかを問うた。

 

「ケイ、なぜベイランとの訓練中、お前は驚いていたのだ? 別に驚くべきことなどではないだろう」

 

すると、ケイははっと鼻で笑った後、あきれるかのように

 

「俺が驚いたのはお前の妹の剣の腕に驚いたのだ。それと、お前の指導方法にもな。だいたい、俺より年下のくせして、俺より剣術が上達しているように見えるぞ」

 

といった。そのこと言っているときの顔はかなり不機嫌そうだった。それに対し、俺はケイに言い聞かせるように

 

「おい、ケイ。ベイランは男だぞ。だから、妹ではなく弟だ。それと剣の腕に関してだが、王都に来る前の母の方法を採用しているだけだ」

 

というと、ケイはその歳で他人の剣筋が見えていて、ぶれていたりするのを見えることと重心がどこにあるべきかわかるのがすげぇんだよと悪態をついていた。そんな会話をしていると、ベイランが

 

「そろそろ、訓練を再開しませんかお兄様」

 

といったので、その言葉に従い、ベイランとの訓練を開始した。

 

最初にベイランが下段に構え、下段から切り上げのように剣を振り上げていく。それに対し、俺は直角になるように上段から振り下げを行う。つばぜり合いが起こらないように力加減を調整するのが少し難しかったが、それも今日の数回ベイランの太刀筋を受けているうちに慣れた。次にベイランが右から横なぎをしようとするのを読み取ると、また、直角になるように剣を振る。そのように、また、ベイランの息が切れるまで稽古をつづけた。そして、ベイランの息が切れてきて、休憩に入ろうとしたとき、エクター卿がこちらを見ているのに気付いた。彼は感心したかのような表情をして、こちら見ていた。そして、俺に問うてきた。

 

「ベイリン君、今の訓練方法は誰から教わったのかを教えてくれるかい。できれば、あってみたいのだが」

 

と言ってきたので、俺は少し悲壮感を感じながら言いずらそうに短く母ですと答え、次に母は先日亡くなったことを伝えた。すると、エクター卿はバツが悪そうな顔をして、こういった。

 

「そうか、君の年齢で君のように育てた人物がどのような人物か知りたかったのだが、故人ではしたかないな」

 

その言い方は母の死が本当に残念だと言わんばかりだった。それは俺に母がエクター卿も死を惜しむ人だという風に感じさせた。そう感じたことを伝え、感謝しようとした矢先にエクター卿は言った。

 

「ベイリン君、申し訳ないが君の訓練方法をみて、そして、君の剣術の腕からケイとの訓練中アルトリアを君に少し訓練をつけてほしいんだがいいか?」

 

その提案に対し、俺は先ほど言いかけていた言葉ともに快諾の意思を表すことを伝えた。その様子をエクター卿は嬉しそうにそうかというと、ケイとの訓練をしに少し離れた場所にケイを呼んで行った。そして、俺はエクター卿と訓練をしていた例のアルトリアをよび、エクター卿から言われたエクター卿がケイとの訓練にまい進している間、俺が訓練つけることを伝えると彼女はものすごくよろこんで、

 

「では、剣術の稽古よろしくお願いしますね」

 

と言うのだった。

 

 




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