ストライクウィッチーズ~あべこべ世界の炊事兵~   作:大鳳

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2話を修正したので初投稿です。


燃ゆる扶桑海
1話 明野にて(修正版)


 気が付けば入隊してから2度目の夏の6月後半になっていた。陰鬱な色であった6月の空が通り過ぎ夏間近の晴れ渡った空にセミがアホのように鳴き声を響き渡らせている。そんな空をウィッチたちは鋼鉄の箒を身につけ飛んでいた。

 

 去年の春に入隊した自分であったが人事の方では上へ下への大騒ぎであったそうだ。男性志願者はいるものの全員が後方で事務方や陸軍病院へ看護師としての勤務するようで自分のように部隊勤務を希望したものは前例がなくどのような扱いをすればいいのかわからなかったようだ。生活環境を女性と同じ環境にするわけにもいかない。一緒にするということは飢えた肉食獣の檻の中に草食獣を放り込むのと同じくらい危険なことである。そのため男性である自分には個室が割り当てられることとなりその部屋で寝起きすることとなった。ただでさえ天然記念物と同じような扱いをされるほど貴重であるのに女性の集団の中に男性を放り込むことなどできるわけがない。もし同室にしたとして女性に男性が乱暴されるということが起き表沙汰になったとすると基地司令だけでなく陸軍首脳部総辞任などといった笑えないほどまずい事態になってしまう。この辺りの事情は人事担当の人から説明を受けたが、自分が入隊するまでに上層部の方で相当な政治内紛があったらしい。陸軍初の男性部隊勤務員を手元に置くことによって自身の派閥の軍内での発言力を強化しようといろんな派閥の人たちがあれやこれやと画策していたようだが現状は何とか落ち着いている状態のようだ。こうした事情を教えてくれた人事担当の人は内ゲバに巻き込まれ体重が10キロほど落ちたと乾いた笑みを浮かべており非常に申し訳なかった。

 

 紆余曲折がありながら入隊できたがキツイとは思わなかった。友人のほとんどが女性だったので同期で入隊した子たちとは仲良く過ごすことができた。軍管区内から集められるので同じ管区とはいっても出身の地域は違うので別の地方について面白い話を聞くことができた。陸軍には内務班というものがあり14名で一斑を編成し食事や携帯品の管理、朝晩の点呼といった軍隊での生活を共に過ごすのだ。先ほども言ったように朝晩の点呼があるがこれがかなりのくせ者なのだ。自分が寝起きしている個室から所属している内務班の部屋までは大分距離がある。起床ラッパが鳴る前に起きないと確実に点呼に遅刻してしまう。入隊一か月目は2回ほど遅刻したが、いずれの遅刻も班長である軍曹から大変ありがたいお小言をいただいた。点呼後は基地周辺10㎞を一時間ほどかけて走る。その後朝食、午前中は訓練を行い午後から座学という生活をおくる。訓練は銃剣術や射撃といった実戦的なものを行い、座学では陸軍刑法や軍人勅諭といった講義が行われる。昼食後の講義はたいへん退屈で眠たいものだが寝ないように鉛筆で手の甲をつつくという寝ないような努力を行っている。なにしろ軍曹殿から次に問題を起こしたら個人的にお話をしましょうと言われているからである。そういった軍曹殿の目は目の前にいる草食動物にとびかからんとする肉食獣の目のようであったということは明言しないでおこう。

 生活面などでは、女子から仲間外れにされるというような事もなく無事に基礎課程を過ごしていた自分であったがここで個人的な問題が生じた。それは、身体に心が追い付かないというものであった。日中の訓練で疲れて寝台に入っても3時間ほど寝ただけでなぜか目が覚めてしまうのである。今まで目を背け続けていたがここにきて向き合わなくてはならなかった。そう『老い』に対して。こちらに来たのは22の時であった。6月に肉体年齢は16になったのでこちらに来てから13年が経っている。つまり自分が感じている年齢は35ということになる。

 この計算結果が出たのに対して納得できるところがあった。こちらの女性は向こうでは美人や美少女と呼ばれるであろう方が多い。来たばかりのころは、ちょっと粉かけてみようかなというような下心があった。だが今ではあの子かわいいやんと思うことがあっても、ちょっとお茶でも誘ってみようかなぁと思うことがないのだ。例えるならば、親戚の女の子を見ているような感覚なのだ。これに気が付いたときついに枯れたのかと一晩中枕を濡らしたものだ。

 

 実年齢の壁と戦いつつ1か月が過ぎ、現在所属している中隊の中で特業兵と呼ばれる特殊技能を持った兵士が選抜される第一期検閲時期というものがあるのだが

 

 

 「また個人面談でありますか?」

 

 「いや、申し訳ない。なにせ君の立場が非常に難しくてね。特業兵に選抜するとしても変な所から横槍が入りそうでね。名目上こうして『男性隊員に対しての面談による意思確認』という非常にめんどくさい作業をしないとならんのだよ。」

 

 と、申し訳なさそうにしている中隊長。現在中隊長室に呼び出されまた個人面談が行われている。立派な机の上には、様々な書類が山のように置かれている。

 

 「ここ4か月の生活だけど問題点はなし。あえて挙げるならば、朝点呼に2回遅刻これは仕方ないから問題点ではないね。訓練や座学においても真面目に取り組んでいるみたいだから教官たちからの評価も高いねぇ。」

 

 

 満足げに手元の書類に目を通していた。書類に一通り目を通したのかこちらに目を向けてきた。

 

 「でだ、この結果と陸軍省の人事からの通達で本来ならこのままだと二等兵だけど特別措置ということで上等兵候補に選抜されたよ。残り1か月以内にこれに対する教育を終わらせないといけないからまぁがんばってね。」

 

 にっこりと、微笑む中隊長。

 

 「確かそれって本来推薦じゃないとできないしいくらか段階があるはずでは?」

 

 「いや~それがね、人事の偉い人がいうには初の男性部隊員が一番下からというのはあんまりではないかということでそこそこの階級につけようって上が考えたみたいらしくてこの決定がくだされたんだって。」

 

 どうやら男性に対する過保護さは軍隊にもあるようだ。

 

 「それと追加の話が2つあってね。そのうちの一つが本題なんだけど男子中学校にいたころの成績から判断して炊事兵に任命されることが決定したから。あと、配属先の話になるけど君の希望通り航空歩兵隊付として明野飛行学校になったから。」

 

 

 一番大切なことをサラッと言われた。

 

 「そういうのは先に言ってもらいたいものなんですが。」

 

 若干の抗議の意思を込めた目をむけながらいう。

 

 「この書類の山からわざわざ君に関する書類を引っ張り出したんだぞ?それだけでも、いいと思わないのかい?」

 

 そういって、机の上に積み上げられた書類の山を指さす。今にも雪崩を起こしそうだが何故か絶妙なバランスを維持していて崩れそうにないこの山を中隊内では『書類のエベレスト』と古参の方々は呼んでいるらしい。これがいつ崩れるかということを賭けにしているようだが真偽は定かではない。

 

 

 個人面談による意思確認という建前による特業兵及び配属先決定は終わったわけであるが本当に大変だったのはその後であった。転属までの1か月で受講する科目の数が増えたのだ。畜生、人事部余計なことをしやがってと心の内で毒を吐きつつ増えた科目の内容を頭の中に叩き込んだのだった。

 その後野飛行学校付に上等兵として配属されたが毎日2時頃に当直の兵士に起こされ炊事場へ向かい朝食を作ったのちに点呼に参加し炊事場に戻り次第昼食の準備をするといった生活を過ごしていた。食事を配膳するときにウィッチ達の食事を見ていたが朝食には納豆が、昼食には加給食という名目で饅頭や羊羹といった甘味が付属していた。納豆が朝食に出されるのは、整腸作用が納豆にはあり腸内ガスの発生を抑え高高度を飛行しても腸内ガスが膨張し意識を失うといったことを防ぐことができるからであろう。

 一日のほとんどを炊事場で過ごす生活には2か月もすればなれ調理に関しても新しい技を覚える余裕が生まれてきた。炊事兵はその名目上前職がシェフや板前といった元料理人が優先して配属されることが多い。そういった人たちの技を覚えようとするのはなかなかに難しいことだった。

 軍隊生活には慣れたが未だに慣れないものがあるそれは女性からの視線だ。向こうにいたときにサークルの女友達(彼氏持ち)が女性は視線に敏感だからどこを見ているかがすぐ分かると酒の席で愚痴っていたのを冗談だろうと聞き流していたが冗談だろうと疑ったことを謝罪したい。立場が変わった今になって分かったがどこに視線が向けられているかが良く分かるのだ。まぁ、野郎だらけの職場に女性がいたら見てしまうもんだしね。自分もバイト先の環境がそうだったのでそこは割り切って受け入れている。

 炊事兵という職種上厄介なのは一日のほとんどを炊事場で過ごすため自分の面倒を自分で見れないという点である。そのため、洗濯物などをしてもらう代わりに余った食材などや甘味などを渡すことがあるのだが洗濯物を受け取るとき顔を真っ赤にしながら渡してくる時があるが大丈夫だと思いたい。

 

 上等兵候補に選抜された時もそうだが男性というだけで特別扱いを受ける。それを受け入れてしまっていてもよいのだろうか?とウィッチ達が訓練に励んでいる様子を見学しながらふとそう思った。少女たちが訓練に励んでいるのに対して自分は軍隊にいても男性であるという特権を享受してしまっている。少なくとも降りかかる火の粉は自分で払えるようにはならねばならないだろう。物は相談だと思いつつ訓練場から自分の職場である炊事場へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 ところ変わってストライカーが整備・保管されている格納庫では3人の少女たちが自分たちが使っていたストライカーが整備されている様子を格納庫の中にあった椅子に座りながら見守っていた。1人はゴーグルを頭につけもう一人は艶のある黒髪を腰まで伸ばしていたもう1人は前述の少女たちとは違い巫女服のような飛行服ではなく陸軍の士官服を着用していた。

 

 「いちいち飛ぶ度に発動機背負うのは辛いわね。」

 

 と長髪の少女である穴拭智子が愚痴をこぼす。

 

 「海軍さんでは、新型のストライカーの開発が進んでいるみたいだね~。何でも発動機を背負う必要がないらしいよ。」

 

 とゴーグルを頭につけた加東圭子が愚痴にこたえる。

 

 「それはいいわね。発動機を背負う手間がなくなれば出撃がかなり楽になるじゃない。」

 

 嬉しそうに士官服の加藤武子が答えた。それほどまでに発動機を背負うのは彼女たちとって面倒くさいものであるのだ。そんな面倒な動作を行わなくていいというのは彼女たちにとってかなり魅力的なことなのである。新型ストライカー談義に華を咲かせていた3人だったが整備兵達の様子が普段と違っていることに気が付いた。まるで遠足を次に控えた小学生のような雰囲気がしているのだ。

 

 「普段となんか様子が違うわね。」

 

 「それはそうよ武子。だって明日は休みよ、遊びにでも行くんじゃないの。」

 

 肩をすくめながら智子は答えた。ここで言う『遊び』とは『男遊び』のことである。希少な男性があんなサービスやこんなサービスをしてくれるという女性隊員にとって最高のストレス解消の場所である。事務方や陸軍病院といった男性がいるような後方の部署とは違い、歩兵や騎兵といった先頭に関係のあるような部隊に男性が志願を出すことはない。更に世間の男性の間では皇立大出のエリート官僚や一流企業に勤めるような女性の人気が高い。軍に所属している女性はあまり人気がない。軍に所属している女性で人気があるのは騎兵のような華のある部隊に所属しているような女性である。裏方である整備隊では男性に会う機会がほとんど言っていいほどない。そのため男性と会うことができる機会が『男遊び』だけである。それ以外では怪我などで陸軍病院に入院した際に運が良ければ男性看護師に看護してもらうことができるといったくらいのものである。そのため、貴重な機会を明日に控えた整備兵たちは普段と様子が違ったのであった。

 

 

 「浮かれて機体を壊されたらたまったもんじゃないわ!!そもそも、軍に所属していながら男にうつつを抜かすとは何事よ!!自分の職務を全うするのが軍人でしょ!!」

 

 

 そう怒りをあらわにする智子。そんな智子に苦笑しつつ圭子は声をかける。

 

 「でも、智子は男性に興味がないわけじゃないでしょう?」

 

 今までの怒髪衝天といった様子から一転して顔を赤くしもじもじといじり始める智子。

 

 「そ、それはないわけじゃないけどまず出会いなんてないし・・・。」

 

 彼女たちウィッチは魔法力の発現が確認されると陸海軍それぞれのウィッチ養成機関に入校することができる。軍という組織上女性のみの環境で過ごすことになるため、話したことがある男性が自分の父親のみといったような子がいることが珍しくない。そのため男性との接し方がわからず話すときに挙動不審になってしまうものが多かった。また、ウィッチは20歳前後に魔力減衰が始まり退役もしくは予備役となりそれぞれの故郷へと戻るのだが、故郷に帰った時に目にするものが友人たちが結婚しているという光景を目にすることになる。そのため現役の間に結婚相手を探そうとするのだが男性との接し方がわからない上に競争率が高い男性という存在を逃さないようにがっついてしまう事が多くあった。たたでさえ、女性からの過激なアプローチに恐怖している男性であるのにウィッチ達のこうした行動がさらに恐怖心を増大させるものとなってしまっている。そのため小さな小さな男性コミュニティの中では『ウィッチはちょっと・・・。』という風潮が漂っており男性がウィッチを避けるという事態に陥ってしまっている。

 

 

 「私だって出来れば男の人と付き合ってみたいのに、訓練に次ぐ訓練だし休みの日に街に行っても甘味処行くだけだし見かける男はほとんど女連れだし。そうじゃない男がいてもこっちを見かけたらそそくさと逃げちゃうし。どうすりゃいいのよ。」

 

 智子のはぁというため息とともに周囲を重苦しい空気が支配する。智子に男性の話題を振った圭子達であったが彼女たちも智子同様に男性と付き合いたいという願望を持っている。しかし、出会いのチャンスがなかったのだが最近になって男性と接することのできる機会を得たのだ。

 

 「でも、ここ(明野)に彼が配属されたじゃない。チャンスがあるかも知れないわね。」

 

 若干の希望を込めてそう言う武子。武子の言った『彼』とは昨年の8月に航空歩兵隊付き炊事兵として配属された陸軍初の男性部隊勤務員である伊勢崎正上等兵のことである。彼が明野に配属さた当初基地内は彼の話題でもちきりであった。普段食堂ではなく仕出しなどを食べている士官たちが彼の姿を一目見ようと食堂に押し掛けたものだ。

 

 

 「どうせ私たちウィッチなんか見向きもしないわよ。エリートさんでも目当てに来たんじゃないの?」

 

 

 「でも、飛行服のほつれた所を縫ってもらったって娘がいるっていうし。噂じゃウィッチの飛ぶ姿に一目ぼれして軍に入隊したって聞いたけど。私の服も縫ってもえないかなぁ。」

 

 と自分の飛行服のどこかがほつれていないか探している圭子。

 

 「圭子、それ噂じゃなくて本当のことじゃない?私たちが訓練飛行している時滑走路の近くに立ってるのをよく見かけるし、訓練場でよく訓練してるのを面白そうに見てるって聞いたわよ。」

 

 「単に私たちが飛んでいる姿が好きなだけでしょ。そういうのはよく聞くわ。てか、のど渇いたし食堂でも行かない?食堂に行けばいやというほど見れるわよきっと。」

 

 

 そう言いつつ座っていた椅子から立ち上がろうとした智子の目の前のテーブルに湯呑に入った麦茶が置かれた。ありがとうと後ろを振り向かずに感謝の言葉を伝え湯呑に口をつける。そこでふと前を見ると武子と圭子がメデューサをみてしまった人間よろしく固まっているのに気が付いた。

 

 

 「一体どうしたのよ二人とも固まって。熊でも出たみたいな顔し・・・。」

 

 冗談を交えつつ後ろを振り向くと今まで話題にしていた人物がいた。身長170センチ前半長身に作業の邪魔にならないよう短く切りそろえている髪。整っている部類に入るであろう顔に気まずそうな表情を浮かべている。

 

 「あ、あんたいつからそこにいたのよ!?」

 

 「少尉殿が、のどが渇いたとおっしゃられたあたりからであります。」

 

 直立不動の姿勢を取り正はそういった。

 

 「風呂敷なんか持ってどうしたのよ?帰省でもするの?」

 

 そういって風呂敷を指さす武子。帰省するには時期が早いうえ、そんなに中身が入ってないようだ。

 

 

 「いや、実はそこにおられる加東少尉殿にお願いがあって参りました。」

 

 いきなり名前を呼ばれた圭子。

 

 「は、はい!!何でしょうか!!」

 

 慌てて返事をする。

 

 「少々頼みづらいのですが射撃のご指導願えないかと思いまして。あんまりいいもんがな

かったのでこんなものしか渡せないんですが。」

 

 そう言って風呂敷の中のものを取り出す。テーブルの上に置かれたのは羊羹や饅頭、金平糖といった菓子類であった。軍に所属しているといってもそこは10代の少女たちでありこうしたものには目がないのだ

 

 「そのお願いは嬉しいんだけど、どうして私に?もっと教えるのがうまい人がいるでしょう?」

 

 ここ明野陸軍飛行学校では主に空中射撃や空中戦闘の研究と教育を行っている。圭子よりも射撃ががうまい人間がいるはずだがなぜ彼は自分に射撃の指導を依頼しに来たのだろうという疑問をぶつけた。

 

 彼は照れくさそうに頬を搔きながら微笑み

 

 「食事の時にウィッチの方々の話が聞こえるのですが、射撃に関してなら加東少尉が右に出るものなしという意見が多く聞こえてきたものでして。それに自分の中で一番の決め手になったのはおいしそうに食事をされていたからですかね。」

 

と言った。圭子はこの言葉を聞いて胸が高鳴るのを感じた。そして、この胸の高鳴りの正体に気が付き納得した。ああ、これが一目惚れというものかと。今まで恋愛小説を読んできたが環境が環境なだけにそんなことはないだろうと思っていたし男性との出会いに半ばあきらめかけていた。しかし、男性と出会うことができた上にチャンスが舞い込んできたのだ。圭子はこのチャンスを逃すつもりはなかった。

 

 「そこまで言うなら仕方ないわね、私でよければいくらでも教えるわ。」

 

 「ありがとうございます!!どうかよろしくお願いたします。」

 

 頭を深々と下げる正。そして正が見ていないのをいいことに智子と武子に対してドヤ顔を見せる圭子。そのドヤ顔をみて愛刀である『備前長船』を抜き圭子に切りかかろうとする智子。そんな智子を必死に抑えようとしている武子。その光景を遠巻きに見守っている整備員たちという奇妙な光景が格納庫では見られた。基地の上空では、夏の象徴ともいえる入道雲からポツポツと雨粒が降り出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヒスパニア戦役という大雨が過ぎ去ってから1年が経とうとしていた。人々は、平和という晴天を楽しんでいた。その中で誰が予測できただろうか扶桑海事変と呼ばれる豪雨が降ろうとしていることを。そして、その豪雨でさえ世界を長期間にわたって覆うことになる豪雨のきっかけに過ぎないものであるということを・・・。

 

 

 




3話は現在執筆中なのでもうしばらくお待ちください。

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