結月ゆかりがISの世界で仮面ライダーになるようです。 作:海棠
ZECTの保護下に置かれることになった結月一同。そして彼女は戦う決意をしたのだ。
・・・前回でゆかりさんの活躍を期待した皆様、すいません。一気に時間が飛びます。そして一気にゆかりさんの性格が変わっています。
そこのところをご了承の上、ご観覧ください。
・・・あれからいろんなことがありました。
あの後、感銘を受けた男の人はそのまま立ち去りました。そして次の日、ZECTの皆様が家に訪問していろいろと説明を受けました。そしてさらに次の日にはなんか髪のぼさっとした男の人が来て私をZECTの本社まで連れて行きました。ちなみにその男の人は天道総司という人でした。
そこで私は訓練を受けました。といっても先輩方からタコ殴りにされるという簡単で地獄のようなやり方でしたが。
そのあともいろんなことを学びました。
「つまりだ。自分が正しいと自慢して言えることを一つでもいいから持っておけば自信喪失なんかしなくなるぞ」
「なるほど・・・」
加賀美さんからは自信の持ち方。
「いや、もっとこう、かかげるように、だ」
「こ、こうですか?」
「そんなにおずおずではなく、もっと堂々と」
「・・・これ、本当にためになるんですか?」
「いずれためになる」
「さいですか・・・」
天道さんからはためになる語録の数々。
「いいよなぁ、お前は。地獄のような下っ端時代を味合わないでよぉ・・・」
「そ、そんなこと言われてもぉ・・・」アセアセ
「兄貴、ゆかりちゃん困ってるよ。はい、1、2!」
「ワンツー!」
「・・・もっと腰を入れろ。それじゃあ倒せないぞ」
「はい!」
矢車さんや影山さんからは蹴り技や格闘スタイルを教えてもらったり。
「女性というのは髪の毛にまで気を付けないと意味がないんだよ」クシトカシー
「そ、そうなんですか?」
なぜか風間さんからはおしゃれの仕方を教えてもらったり。
「ユ・カーリ!僕が君に剣術を教えてあげよう!」
「私の名前はゆかりです」
「ユ・カーリ?」
「ゆ・か・り・です!」
「ゆか、ゆ、ゆゆ、ゆ・・・」
「・・・もうユ・カーリでいいです」グスッ
神代さんからは剣術を教えてもらったり。
「これが君専用のゼクターだ」
「へ?!」
結城博士から直々に専用のゼクター、【ハーゼクター】をもらったり。
「と、いうわけで結月君にはIS学園に行ってもらいたい」
「・・・は?なんでですか?」
急にIS学園に行けとか命令されたり。
・・・あれから3年間、本当にいろんなことがありました。
『私がその分戦います! そして笑顔にしてみせます!』
・・・私の信念はどこ行ったんでしょうか。もう、どっかに消え去ったんでしょうか。様々な仕事とかの関係上、外国にも行きました。社会の裏がどれだけ汚いかを思い知らされました。だからなんでしょう。
私の目が死んだのは。私がかなりひねくれたのは。
そして私は今、人工島の上に建っているIS学園のざわざわと騒がしい教室にいました。幸いなことに席は窓際の一番後ろ。この席だったら教室の皆さんを一望できます。
ちなみに私の服装はスカートではなくズボンでその上にパーカーを羽織っています。・・・なんでこんなに白いんでしょう。汚れとか目立っちゃうじゃないですか。
そしてさっきから皆さんは一人の男子生徒に集中しています。
彼の名前は織斑・・・だれでしたっけ?まあ、いいや。
とにかく珍しいんでしょう。当然です。今まで女子にしか使えなかったIS。つまりここIS学園には女子生徒しかいなかったわけですが、そこに急に男子生徒が入ってくるわけですからさぞみな興味もひかれることでしょう。
しかもなぜか教卓の目の前の席という拷問にしか思えないような配置ですしね。
そんなことを考えていると、この教室を出入り出来る扉が自動で開き、全員が一斉に扉の方に顔を向けました。
・・・自動ドアって、よく考えたら学園にしちゃあ豪華すぎると思うんですが・・・。
まあ、そんなことはどうでもいい。問題は入ってきた人です。
「・・・中学生?」
私は思わずつぶやいた。幸いなことに皆には聞こえていなかったようだが。
だってよく考えてみてくださいよ。
中学生ぐらいしかない身長の黄緑色の髪をした人がどことなく大人っぽい恰好をしてきたんですよ?というよりあの髪はなんですか。染めてるんですか。というより胸でかいですね。なんだあのグラスマスボディー。卑怯じゃないんですか。私なんか身長172㎝はあるのに胸は一向に成長しないんですよ?!どうなってるんですか神様!
私がそんなことを思ってると女性は黒板前にある教卓の前に立つと振り向いて黒板の近くにあるチョークを手に取って何かを書き始めました。
そして終わった時には黒板にこう書かれていました。そして彼女は口を開きました。
【山田真耶】
「今日からこのクラスで貴女達に勉強を教える事になった山田真耶です。よろしくお願いします。」
・・・え?! 先生なんですか?! あんなにちっこいのに先生?!
うーむ・・・、人は見た目で判断していけないとか言いますがその通りですね。見た目にすっかり騙されてしまいました。とにかく目上の人には常に礼儀が基本です。そこんとこの常識はまだ残っていますからね。
「よろしくお願いします」
・・・あれ? なんで私以外誰も言わないんですか?!
・・・ああ、あの男子生徒に気が散ってるから誰もしゃべらないんですね。
というか一応あれでも先生なんですから皆さんもうちょっと敬意とか払ったらどうですか?! ホラ!泣きそうになってますよあの人?!
「そ、それよりもクラスの皆さんも自己紹介して下さい! 勿論、この教卓の前に立って、それとあいうえお順でお願いします!」
山田先生がそう言うとさすがにクラスのみんなは反応したようで頷きました。すると、一人の女の子が立ち上がって教卓の前に立つと、自分の胸に手を当てながら自己紹介をし始める。その子は赤髪掛かった紫色のショートカットに琥珀色の瞳が特徴的だった。だからなんで髪染めてるんですか。私ですか?今の私の髪って真っ白なんです。どうやら過度のストレスで白くなっちゃったみたいですね。
「相川清香です。得意な事は……」
割愛。
「え~っと、お、織斑君!」
「は、はい! な、なんですか?」
「ゴメンね、大きな声を出しちゃって。次は織斑君の番ですよ。だから自己紹介してください」
そう言われると織斑さんはしぶしぶと教卓の前に立ちました。クラスの皆が彼をじーっと見つめています。いったい彼に何を期待してるんでしょうか?
「織斑、一夏、です。よろしくお願いします」
『『『(wkwk)』』』
「い、以上です」
コミュ障か!
ズココッ
そしてそんな効果音が鳴りそうなほど皆様綺麗に転びました。
すると教室に入ってきたスーツを着た女の人が出席簿で織斑さんの頭をたたきました。
「げぇっ?! 関羽!?」
何言ってるんでしょう、この人。急に三国志の英雄の名前出すとか頭おかしい。
で、スーツ姿の女の人はもう一回織斑さんの頭をたたくと教卓に立ちました。
・・・ふむ、目が釣り目できつい印象を与えますが怖いと言うよりもかっこいいと印象のほうが近いですね。黒髪を後ろで1つに束ね降ろしていますがそれがなんとなく綺麗にまとめられている印象を受けます。
まあ、わりとそんなことはどうでもいいですけどね。
「諸君、私が織斑千冬だ! 私の質問には『ハイ』か『『イエス』かで答えろ! いいな!」
あんたはどこの独裁者だ。いや、今時こんな独裁者もはやらないけど。かの有名なヒトラーでもさすがにこんなことしませんでしたよ。・・・よく考えたら彼は民衆の心をつかむのが相当うまかったんですねぇ。そこは見習わないといけないかもしれませんね。
「キャァ――――――! 千冬様よ! 最強のヴァルキリー『ブリュンヒルデ』!」
「生まれたときからファンでした!」
「私はテレビを見てて一目ぼれしました!」
「私、御姉様に憧れて猛勉強してきました! 北九州から!」
「不束者でございますが私に夜の勉強会を開いてください!」
「私、御姉様のためなら死ねます! 御姉様がアブノーマルな性癖でも耐えます! 例え調教でも! いいえむしろ調教して!」
どうやらクラスの皆さまには受けたようですがなかなかにうるさいです。というよりみんなMなんですかどうなんですか。
ですが、世界最強は彼女ではありません。天道さんにかかれば簡単に負けるはずです、たぶん。
「・・・なんで私が受け持つクラスにはバカしか集まらないんだ・・・」
それに私も含まれているのなら今すぐ訂正してください。私はバカじゃないですから、たぶん。
割愛。
「では結月さ~ん?自己紹介してくださ~い?」
「・・・わかりました。」
ついに来ましたか・・・。さすがにちょっと緊張しますね。
私は教壇に上がり教卓の上に立つ。・・・うわ、こっちみんな。
しかし今は自己紹介。皆に見られるのは仕方のないことなのでとりあえず天道さんがやっていたように天に向かって人差し指を突き上げる。そして言った。
「全てを結ぶ月とかいて『結月』。そして『ゆかりの色』の『ゆかり』。私の名前は『結月ゆかり』です」
フフフ、皆ぽかんとしてますね。・・・あと何個か付け足しときますか。
「趣味はトレーニング。好きなものはウサギ、嫌いなものは女尊男卑にこだわるボンクラ共。よろしくお願いします」
刹那殺気を感じたので首を傾ける。すると私の頭の上を出席簿がかすめた。そしてそのまま飛んで行った出席簿は窓ガラスをつき破って外へ飛んで行ってしまった。
「・・・自己紹介で暴力とは先生のやることじゃあないですねぇ」
私は少し口端をニヤリとゆがめながら言う。訴えたらこっちの方が勝つんだぞ、わかってんのか。
「お前がふざけているからだ」
「こういうのはノリのいい方がいいんですよ。かたいのは嫌いですしね~。自己紹介くらい個性見せてもいいでしょう?」
すると織斑先生は納得したように黙った。私はすたすたと席に戻るとドカッと座った。
そして少しため息をはくと背もたれにもたれかかる。あ~、疲れた。
それと同時に授業の終了を知らせるチャイムが鳴った。
割愛。&視点変更
今は授業でISの基本的なことを習っていた。といっても結月ゆかりは一応大まかなことは頭の中に叩き込んでいるので大丈夫だが、織斑一夏、彼はそうもいかないみたいだ。
そりゃそうだ。そもそも男子なのに頭の中に叩き込んでいるわけがない。いるとしたら性同一性障害者だけではなかろうか。とかゆかりは鉛筆を回しながら思っていた。
「織斑君、何かわからないことはありますか?」
「ぜ、全部です」
「え?全部、ですか?」
「はい、全部です」
「おい、織斑。入学前に渡した参考書はどうした?」
「電話帳と間違えて捨てました・・・」
全員ずっこけた。ゆかりはあくびをした。そして織斑千冬が出席簿で彼をたたく音がした。
・・・電話帳と間違えて捨てるって完全に興味ない証拠じゃないですか。勉強なめてんのか。とゆかりは思った。
「放課後参考書を渡すから1週間以内に覚えろ」
「え、でも・・・」
「いいな?」
「・・・はい」
自業自得とはまさにこのことだと結月は思った。
「ほかの皆様は何かわからないことはありますか?」
「(スッ)」
ゆかりは手をあげた。
「はい、なんでしょう?」
「はい。元々ISは宇宙に飛び立つために篠ノ之博士が開発したパワードスーツですよね?」
「はい、そうですね」
「だったらなぜ競技や軍とかに使われているのか説明してもらえますか?」
「えっとそれは・・・」
山田は困ってしまった。なぜなら、彼女は今までそんなことを一度も考えたことがなかったからだ。
すると突然出席簿が飛んだ。ゆかりが再び首をかしげてよけると出席簿はそのまま後ろのロッカーに突き刺さった。
(どう考えても人間じゃないでしょ。人間に擬態してるワームじゃないんですかあれ?)
「おい、結月。お前今失礼なことを考えてなかったか?」
「気のせいですよ」
どうやら読心術も使えるらしい。織斑先生はなるべく敵にしないでおこうとその時彼女は思った。
続く
次回の、「結月ゆかりはISの世界で仮面ライダーになるようです。」は!
「少しよろしくて?」
「ん?」
「まぁまぁ、落ち着いてください二人とも。見苦しいですよ」
「天道さんが言っていました…。」
4話『英国』