結月ゆかりがISの世界で仮面ライダーになるようです。   作:海棠

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前回のあらすじ
専用機もちだけが集められた次の日、そこに篠ノ之束がやってきた。そして彼女は誕生日プレゼントということで自身の妹、篠ノ之箒にISを贈る。

しかその時、アメリカ軍の保有しているIS、『銀の福音』が暴走を起こし、こちらに向かってくる情報を受け取り、作戦会議をすることとなった。

そこで戦うと豪語した一夏に対して「お前のそのヒーロー面にはもううんざりだ」と言い切り、共に戦うことを拒否した結月ゆかり。

その後、作戦は決行されたが大失敗。織斑一夏は意識を失うという重体になったのであった。








最初に言っておく。

割ととどめと戦闘シーンがあっけないうえにしょぼい!

期待してくれていた皆様には本当にお詫び申し上げます。


20話『決戦』

夜、私と簪ちゃんは自分の部屋で夜景を眺めていました。とてもいい眺めです。

・・・銀の福音があそこでじっとしてなければもっといい眺めになっていたでしょうけど。

 

「動かないね」

「動きませんねぇ」

「動かないのが逆に不気味だよね」

そして私たちの部屋にはなぜか束さんが居座っていた。

 

「ところでなんで束さんがここに?」

「この騒動が終わるまではここにいるよ」

「そうですか」

そんなことを話してると廊下が少し騒がしくなってきました。

少し聞くことに集中すると会話が聞こえてきました。

 

 

『僕たちの実力じゃ難しいよ!』

『ええい、うるさい! お前は一夏がやられたことが悔しくないのか!』

『そりゃあ、悔しいけど・・・』

『それにあいつは気に食わないが実力は本物だ。戦力になれば心強いだろう』

『でも、話聞いてくれるかな?』

『聞いてくれないかもしれないがまずは交渉からだろう!』

 

 

すると部屋に人がなだれ込んできました。

よく見るとなだれ込んできたのは織斑さんLoversでした。

私は少しため息をつきながら声をかけます。

 

「どうしたんですか?」

「頼みがあるんだ」

私は少し顔をしかめました。

 

「で、なんなの? 頼みたいことって」

そんな私の代わりに簪ちゃんが尋ねました。

 

「これからリベンジしに行こうと思うんだ」

「やめといたほうがいいですよ。どうせろくなことになりませんから」

「話は最後まで聞け。それで、だ。あの時は慢心していたから負けてしまったんだ。だが、今は違う。だから私たちでやろうと考えているんだ」

「はーん・・・」

「なんだその態度は」

「いや、よくそんな馬鹿なことが言ってられるなって」

「なんだと?!」

「リベンジってバカですか? あんなのアメリカ軍か先生に任せればいいんですよ。なんであなたがやる必要があるんですか? ・・・どうですか? 私、おかしなこと言ってますか?」

「貴様・・・!」

「だから言ったじゃんか。話聞いてくれないって」

・・・はぁ。

 

「まさかそれだけでここに来たわけじゃありませんよね?」

すると全員が沈黙した。・・・まったく。

 

「あそこにいますね」

私は外にいる福音を指さしました。そして私はニヤニヤしながら言葉を続けます。

 

「で、行かないんですか? どうなんですか? 私は知りませんけど」

そういうと篠ノ之さんは急に立ち上がるとずかずかと出て行きました。

 

「あ、箒ちゃん・・・」

「ほっときましょう。ああいうのはほっとくのが一番です。少々痛い目にあっとけばいいんですよ」

「そうなのかな・・・」

「なんだかんだで痛い目にあった方が人間成長するんですよ?」

「・・・よくわかんないや」

そう言うと束さんは外を見た。

 

「・・・で、行かないんですか? あなた方は」

「止めないの?」

「ホントは止めたいですよ。ですけどね、あの人一人だと危ないでしょう? あなた方が守ってあげないと。今はあの人よりあなた方のほうが判断力があるんですから」

「・・・そうかしら」

「そうですよ。ほら、いったいった」

「あ、ちょっと押さないで」

私は廊下まで二人を押すとそのままドアを閉めました。

 

「・・・やっぱり、行くのかな?」

「じゃあ私たちはその結末をここで見届けましょう」

「・・・もしも負けたらどうするの?」

「その時はその時です」

「・・・そんなこと言っておきながら助けに行くんでしょ?」

「さぁ、どうだか」

私はそうはぐらかすと窓の方を向きました。ドアをノックする音が聞こえました。

 

「どうぞ」

私がそう答えるとドアが開いてラウラさんとセシリアさんと月影さんが入ってきました。

 

「あら、どうしたんですか?」

「ラウラちゃんが結月ちゃんと一緒じゃないと嫌だってダダこねて・・・」

「・・・(グスン」

「こらこらラウラさん。今は状況が状況なんですから、ね?」

「でも、おかーさんが心配だったんだもん」

「・・・」

私は少し頭をかきました。

 

「あ、戦闘始めたよ」

束さんがそうつぶやくと全員が窓付近に集まりました。

そこには銀の福音に立ち向かう4人の姿が!

 

「結月さん、あなたはあの方々が勝てると思いますの?」

「正直言って無理だと思いますよ」

「なんでですの?」

「そもそもISのコアにも自我があるらしいじゃないですか」

「ええ」

「それが正しければ操縦者の動きも記憶すると思うんですよ」

「ええ、確かに」

「それに軍となるとさらに訓練時間は私たちより多いわけですから」

「・・・あ」

「わかりましたか? 経験値が生きるんです。それはもう機体の性能以上をたたき出すくらいには」

「それに軍のものとなると・・・」

「元々の性能がいいですからね。並大抵の競技用のISじゃあ太刀打ちできないんじゃないですかね」

「あ、向こうの方へ行っちゃった。・・・あっちって小島以外なかったような」

「・・・」

私は無言で立ち上がるとベルトを腰に巻き付けてドアの方へ向かいます。

 

「どこへ行くのかしら?」

「・・・どうやら私も、私が思っていた以上にだいぶ甘い人間みたいです」

「ということは・・・」

「行きますよ、助けに」

「だめだよ!」

束さんはそう言うと手を握りしめてきました。

 

「・・・この手を放してください」

「ヤダ! 私の夢を理解してくれる人を、私は失いたくない! お願いだよ! 行かないでよ!」

そう叫ぶと束さんの目から涙がこぼれ堕ちました。全員がぎょっとしました。

 

「・・・束さん」

「なに・・・?」

「私はあの人たちのことがはっきり言って好きじゃありません。ですが、こうなったら好きとか、好きじゃないとかそんなこと言ってられないんですよ」

「なんで・・・?」

「あの人たちも、一応これから生活を共にする同士です。ここで助けずに、見殺しにしたらものすごく後味が悪い。その後の学園生活に支障が出る。だから助けるんです」

「・・・うん、わかった。だけど、やくそくして?」

「なんですか?」

「ぜったいに、ほうきちゃんをたすけて。そしてかえってきて」

私は束さんの言葉に対して束さんの手を取り、そして笑顔で言った。

 

「ええ、帰ってきますとも」

 

 

 

 

しばらくして。&視点変更。

 

 

 

 

「ウワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」

叫びながら砂浜に墜落する箒。そして離れたところには彼女とともに戦いを挑んだ2人も砂浜に打ち付けられていた。

 

「つ、強すぎる・・・」

「こんなの歯が立たないよ・・・」

「なんなのよ、あいつ・・・!」

3人は口々に言う。そして上空に浮いて月の光を背中に受けている福音はさながら悪魔のようだった。

そして福音は砲を3人に向けた。

全員が死を覚悟した。

次の瞬間、チェーンが福音の体を縛り付けた。

 

【Rider_Jump!】

 

そんな音声が鳴り響いた瞬間、何かが上空に出現した。

 

【Rider_Kick!】

 

するとその影はチェーンごと福音を蹴り飛ばした。

そして福音は海面に激突し、影は水上に浮いてるバイクに着地すると前進して砂浜に乗りあがった。

 

『大丈夫ですか』

「結月・・・! お前・・・!」

『おっと勘違いしないでくださいよ』

ゆかりは何か驚いたような目をしている箒にぴしっと指をさして言った。

 

『私はあなたが気になって来たわけじゃありませんからね。あなたのお姉さんがあなたを助けてあげてと言ったからここに来ただけですからね』

彼女はそのあとの会話を思い出す。

 

 

 

『セシリアさんはここに残ってください』

『理由をうかがっても?』

『いざというときの、ね?』

『私では少し頼りないと思いますが?』

『誰もいないよりかはマシです。それに』

『?』

『どうしてそんなに弱気なんですか? あの時の英国淑女はどこ行きましたか?』

『・・・あれは黒歴史ですわ』

『そうですか』

 

 

 

『・・・で』

ゆかりは海上を見る。そこには火花を散らしながらゆっくりと体勢を戻している福音の姿があった。

 

『簪ちゃん、ラウラさん』

「『なに?/なんですか?』」

『あそこの3人をよろしくお願いします』

彼女はそう言うとエンジンをふかして一気に突っ込んでいった。

すると福音は砲を構えると発射した。

 

『とぅ!』

彼女は掛け声をあげて跳びあがった。次の瞬間、バイクが火を噴いた。

 

『あ』

彼女は少しあっけにとられながらもレバーをいじる。

 

【Rider_Kick!】

 

彼女は左足に電流をまとうと砲を連続で蹴りつける。

そして最後に本体を蹴り飛ばそうとした。

しかし、福音は彼女のゼクターを思いきり殴りつけて吹っ飛ばした。

 

『っ?!』

彼女は波打ち際まで吹っ飛ばされて地面を転がる。

 

『ハーゼちゃん!』

≪ダ、ダイジョ、ザザッ・・・ダイジョゥブ・・・ザザッ≫

『あの野郎、やりやがったな・・・!』

彼女はそう言って軽く舌打ちすると構えなおす。

すると次の瞬間、福音が急接近して剣で肉薄してきた。

 

『うぉ?!』

ゆかりは体をひねるも避けきれず胸の装甲に切り傷が入った。

もしももう少し胸が大きかったら刃は深く入っていたかもしれない。この時ばかりは自分の胸のなさに感謝した。

 

『・・・!』ブンッ

『ぐはっ!』

しかし、そう悠長にしていられない。さらに猛攻を加えてくる。

そして何発も蹴られたり切られたりした後思いきり吹っ飛ばされた。全身に痛みが走る。

すると突然ゆかりの変身が解除された。

 

「なっ・・・!」

彼女はベルトに装着しているハーゼクターを見る。するとゼクターは火花を散らしていた。

 

「ハーゼちゃん!」

『チョッ・・・ザザッ・・・ト、マッ・・・テ・・・』

『・・・!』

「うおっ?!」

彼女に福音は容赦なく攻撃を加えようとする。しかし、彼女は必死になってよける。

 

「おかーさんに近づくな!」

そう叫んだラウラは砲の発射口を福音に向けた。そして発射した。

そして着弾する直前、福音は振り向きざまに刀を振り回してはじいた。

 

「なっ・・・!」

『ラウラちゃん、危ない!』

簪が間一髪にラウラを横から抱きしめつつそのまま飛ぶとその場所に福音が斬りかかってきた。

 

「くそっ! こういう時に変身ができれば・・・!」

『ユ・・・カ・・リリ・・チャン』

「なんですか?!」

『ワタシガ・・・ザザッ・・・イマ、ザザッ緊急あっぷでーとヲカケタ、カラ』

「ええ、それで?!」

『完了スルマデ・・・耐エテ』

「お安い御用で!」

そう叫んだ瞬間、福音が襲い掛かってきた。

 

「くっ!」

『・・・!』ブンッ

「その手に乗るかよ!」

『・・・!!』ブォンッ

「しまっ・・・!」

彼女は後ろに跳んだがよけきれず左腕を浅く切られる。そして彼女はさらに全身の痛みを感じ、ひざまずいてしまった。

 

「ぐぅ・・・!」

『終ワッタヨ!』

「へ、変身!」

 

【HENSHIN】

 

次の瞬間、福音は斬りかかった。

 

「うぉおおおおおお!!!!」

すると右腕を装甲が覆い、剣撃を防いだ。

 

「変わった!! っらぁ!!!!」

彼女はそれを見ると空いている左腕で奴の腹部を思い切り殴った時、その腕はすでに装甲に包まれていた。

 

「アァアアアアアアアアア!!!!』

そして痛みが走る全身を奮い立たせて無理やり立ち上がった時、体中を装甲が覆っていった。そして顔を覆いきると全身から蒸気と熱風が噴射される。

 

 

 

【CHANGE! ※※※※!】

 

 

 

音の途中でノイズが走って最後まで聞こえなかったがそれでも彼女は感じた。今、自分とゼクターは完全に一心同体だと。

 

『行くよ、ハーゼちゃん!』

『ゥん・・・ザザッ・・・イクョ・・・!』

『『私たちは一心同体だ!』』

 

福音は確認すると剣を構えて襲い掛かってきた。

しかし、それよりも早く彼女は懐に飛び込むと思いきり殴りつける。次の瞬間、殴った腕にすさまじい衝撃が走った。

 

『ぐっ・・・』

『ダイジョ・・・ザザッ・・・ブ?』

『これくらいどうってことないです・・・よ・・・ハァ・・・ハァ・・・ゴホッ』

彼女は肩で息をしながら構える。

次の瞬間、彼女は殴りつけられた。

 

『ガッ・・・!』

彼女は背中を打ち付ける。そこに覆いかぶさるように福音が殴りかかる。

そして何回も殴られているうちにマスクが割れた。

そこから血を流している彼女の顔がのぞいた。

 

「おかーさん!」『ゆかりさん!』

『この・・・!』

ゆかりは左足を福音に突き刺すように蹴りこんですぐにゼクターをいじる。

次の瞬間、福音は上空に吹っ飛ばされた。

そして彼女は痛みが走る全身を奮い立たせて立ち上がるともう一回ゼクターをいじった。

 

『はぁああああああああ・・・とう!』

彼女は左腕を右斜め上に突きあげながら息を吐くと跳びあがった。

そして足を福音に向けると叫んだ。

 

『これが! 私の! いや、私たちの!』

『『力だぁああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!』』

そして直撃した。そのまま二つの影はそのまま落下していく。

 

「『ゆかりさん!』」

簪とラウラが二つの影をキャッチする。

するとそこに人参型のロケットが飛んできた。

そして砂浜に着地すると中から篠ノ之束が出てきた。

 

「箒ちゃん! 大丈夫?!」

「あ、ああ! ですがその前に!」

「ああ、うん! そうだね! ゆかりちゃん!」

「ああ、たばねさん・・・」

ゆかりは頭から血を流していた。そして体の各部分にやけどや切り傷があった。

 

「た・・・たばねさん・・・ハァ・・・ハァ・・・」

「今はしゃべっちゃダメ! しゃべったら悪化するかもしれないから!」

「きいてください・・・。ハァ・・・ハァ・・・わたし、ほしいものがあるんです・・・ゴホッ」

「なに? ほしいものってなに?」

ゆかりは束の腕をつかんで言った。

 

 

 

「力がなくて、ハァ・・・ハァ・・・泣いている人たちを、・・・ハァ・・・ハァ・・・全て救える力・・・! ハァ・・・ハァ・・・私は、私はそれがほしい・・・!」

 

 

 

彼女はそう言うと気を失った。

 

「ゆかりちゃん! ゆかりちゃん!」

束は彼女を泣きながらゆすった。

 

 

続く




おまけ
仮面ライダーハーゼ緊急アップデート
・ハーゼクターが銀の福音を倒すために急場しのぎでアップデートをかけた姿。
・体のいたるところから機械パーツが露出している。イメージとしては仮面ライダー超デッドヒートドライブ。
・装甲が不完全のため防御力は低くなっているがその分パワーが大幅に上がっており、普通のパンチやキックでもすさまじいパワーをたたき出す。その分、負担が普通の比ではないことが欠点。
・ゼクターを作動させても音声が鳴らないので変身者は少し構えて一拍おく必要がある。
・必殺技は【ライダージャンプ】からの【ライダーキック】。威力は50t。ライダーキックの発動前には左腕を右斜め上に突きあげる動作をとる。





次回の『結月ゆかりはISの世界で仮面ライダーになるようです。』は!


「その間はもう一つのあれで頑張ってくれないか?」

「ゆかりちゃん! あなたものすごく大変だったらしいじゃない!」

「風都、キタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!」

「おかーさん! 見てください! いっぱい風車がありますよ!」

「銀色のカニに金色のサイだぁ?!!」
「逆です! 金色のカニに銀色のサイです!」

「変身!」


21話『ようこそFへ/町の名は風都』

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