結月ゆかりがISの世界で仮面ライダーになるようです。 作:海棠
鈴にケンカを売ったらしいラウラ。彼女たちを止めるために割り込んだセシリアも鈴とともにラウラに敗北した。
しかし、その後のラウラの"生身の人間に対してISをまとって詰め寄る"という行為によって駆け付けた結月ゆかりの逆鱗に触れ、クロックアップによって叩きのめされた。
彼女のISを取り上げた結月と縋りつくラウラ。そして結月を止めようとする一夏。結月と一夏の戦いは結月の勝利によって終わった。その時織斑千冬が参上する。
待機状態になっているラウラのISを一夏に投げつけた彼女はクロックアップを使ってしまったという自責の念に駆られながらその場を後にしたのだった。
あれから数日たちまして、大会当日がやってきてまいりました。
「ついに来ましたね。タッグトーナメント」
「そうだね」
「そうね」
私たちはおなじみの第3アリーナで観戦していました。ちなみに私のペアは簪ちゃんです。
「…おっっしゃああぁああぁああぁあ!!!」「ついにこの日がきたぞぉおおおおおおお!!!」「あぁ、待っていてください織斑先生! 今私が先生の為に勝利を勝ち取ってみせます! そしてあなたのハートをつかんで見せます!!」「フフフ、私はこの時のために6ヶ月前から練習してきた!!! そしてその成果を見せる時が来たぁあああああああ!!!」「【規制音】してやらぁああああああああああああっ!!!」「【P―――――――――――】!!!」
私はそっと簪ちゃんの耳をふさぎました。なんでこんなに殺気わいてんだよこの人たち。すごく怖いよ。
『皆さん、こんにちわ。この第3アリーナでは実況は私、山田真耶と』
『解説の織斑千冬だ』
『この二人でお送りします。今日は改めてよろしくお願いします』
『ああ。こちらこそよろしく頼む』
「あ、織斑先生と山田先生がやるのね」
「そもそも山田先生はともかくとして
「ゆかりさん今結構失礼なこと言ったよね?」
さて、なんのことやら。
『さて、織斑先生。今年の試合は中々に期待できると思いますがどうですか?』
『ああ、確かに今年の1年には専用機持ちが多いからな』
「そういう風に持ち込んだのはどこのどいつだ」
「ゆかりさん、そういうのは思ってても言っちゃだめだよ」
あら、ついうっかり口が滑っちゃいました。
『それに3年は企業や団体からのスカウト、2年は去年から学んできたことの確認でそれぞれ人が来ているからな。まぁ、1年の諸君にはあまり関係ないだろうが上位を目指して頑張ってくれ』
「そういや優勝したら織斑さんと付き合えるとか噂が流れてますね」
「・・・確かにそうだね」
「私辞退していいですか?」
「やめて」
「まぁ、たかだか噂よ。気にしないほうがいいわ」
「もしも本当だったら舌を嚙み切って死んでやる」
「「そこまで?!」」
『なお、各学年の一位ペアは今大会のラストイベントとしてサバイバルマッチに参加していただきます』
「ほう、つまり1年は死ねと・・・」
「どうやったらそういう結論に至るの?!」
「だって経験の差が段違いじゃないですかマジでふざけんな」
「結月ちゃんなら3年生と2年生の先輩も蹴り倒しそうよね・・・」
「・・・」
「否定しないんだ・・・」
「・・・ところで、大会っていつもこんな感じなんですか?」
「さぁ、わからないわ・・・。だけど、そうなんじゃないかしら」
「私お姉ちゃんいるから去年の話は聞いたことあるよ。去年は実況がすごく激しかったらしいんだって」
「へぇ・・・」
私のイメージしてたのと全然違いますねぇ・・・。
「私はもう少し静かだと思ってたんですが・・・」
「それはもう昔のことよ。私、ISの大会を見に行ったことあったんだけどすごくにぎやかだったわよ?」
「そうですか・・・」
私もまだまだそういうことに関しては疎いということですか・・・。
「結月ちゃん! あなた体中の穴という穴から黒いもやが出てきてるけど、大丈夫?!」
「大丈夫でしょう。今ちょっと自己嫌悪に陥ってただけですから」
「自己嫌悪に陥ったらそんなになるの?!」
「今回は偶然ですよ」
「「なにが?!」」
すると待合室のほうから声が聞こえてきました。
「ヒィイイイイイイイハァアアアアアアアアアア!!!!」「っしゃああああああああああああああ!!!!」「逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ」「震えるぞハート! 燃え尽きるほどヒートォ!」「ただ優勝あるのみ! それ以外は全てビリィイイイイイイイイイ!!!」「キェエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!」「FOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO↑↑↑!!!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・。
「私本格的に帰っていいですか?」
「やめて! さすがに私もすごく引いたけどやめて! 簪ちゃんの為にもやめたげて!!」
「放してください! さすがの私でもあんな正気の沙汰とは思えないような狂った空間にいれる自信がありません! というよりあんなに(いろんな意味で)狂った空間見るの初めて見ました!」
実際私の言葉に嘘はありません。昔試験管ベビーの製造&実験場を壊しに行ったことはありましたがそこのリーダーはここまで狂ってはいませんでした。というよりあそこまでヒートアップして狂った人を見るのは今回が初めてです。
「で、最初は誰と誰のぺアが戦うんでしたっけ?」
「急に話し変えないでよ・・・。えっと確か・・・」
「あ、来たよ!」
私たちはパンフレットから顔をあげるとそこには織斑・デュノアさんペアと篠ノ之・ボーデヴィッヒさんペアがいました。・・・えぇ(困惑)
「あら、珍しいペアね」
「見ててくださいよ。あれ絶対連携できませんから」
「どうしてそう思うの?」
「あんなお互い自分のことしか考えれない上に引くことを知らないような人間同士がペアを組んでもろくなことにならなかったのを私見たことありますから」
「そうなんだ」
「あ、始まったよ!」
「あ、急に突っ込みましたね」
「しかもそのうえで捕まってるわ。あれ、なかなか厄介だと思わない?」
「思いますよ。何ですかあのチェーン。」
「たぶんあれ1対1を目的としてないんだと思うよ」
「確かボーデヴィッヒさんって軍所属でしたよね。多分、というよりそれが確実に関係してますよね」
「どうしてそんなことが言えるの?」
「良く考えてみてくださいよ。軍隊で隊列組んで敵と戦ってるときに1対1で戦う状況って意外とないでしょ?」
「「・・・あー」」
「たぶん多数対1を目的として作られてるISだと思います。だから拘束するためのチェーンがあるんでしょう。おそらくですが凰さんやオルコットさんもあれでやられた可能性があります」
「なるほど・・・」
「お、そんなこと言ってる間にも進展があったようですよ」
「あ、デュノアちゃんが助けに行ったわよ」
「あれ、もしかしてわざとだったんですかね」
「もしかしたらこれも作戦の内・・・?」
「そもそも剣一本しかないのが最大の問題よね」
「せめて拳銃位は持たせてやってもよかったんじゃないでしょうか・・・」
「・・・持つとしたらどんな拳銃?」
「装甲を破壊するような「はいアウト」なんでですか」
「それ試合で使ったら退場どころじゃ絶対済まないから」
「むぅ・・・」
「そんなふくれっ面してもだめなものはだめだよ・・・」
「ところで破壊って言ってもいろいろあるじゃない」
「そうですね」
「どんなものを想像してたの?」
「まず弾が装甲に突き刺さるじゃないですか」
「「うん(ええ)」」
「そして0.3秒くらい経ったら爆発するような…」
「「・・・」」
「なんですか、その顔」
私はすごく嫌そうな顔をする二人に突っ込んだ。
「いや、だって、それ、確実に破壊すること前提じゃない…」
「だから言ったじゃないですか。"破壊する"って」
「そこまで徹底すると逆に引くよ・・・」
「そ、そんなことより試合見ましょうよ。お、篠ノ之さん退場しましたよ」
「いや、あれ、ボーデヴィッヒちゃんからも攻撃受けてるように見えたんだけど・・・」
「おそらく彼女にとっては邪魔だったんでしょうねぇ・・・」
「私、ああいう人嫌い」
簪ちゃんは嫌そうな顔をしながらそう言った。
「私もあまり好きじゃないですね。目的が一緒の人がいたら何がともあれ手を組んで協力するのが筋合いってものです」
「「え」」
「・・・何ですかその顔」
「いや、だって、ゆかりさんどんな状況でもスタンドプレーしそうなイメージあったし」
「右に同じく」
「私だってさすがに協力はしますよ。いざというときは織斑さんとも組むと思いますよ?」
「・・・(ムスー」
「なんでそんなにふてくされた顔するんですか……」
私はなんでかふてくされている簪ちゃんをなでなでします。するとにへらと表情が緩みました。あらかわいい。
「これで終わりだぁあああああ!!」
「おお!」
「あれが零落白夜、なのね。やはりきれいだわ」
「戦いに下手な綺麗事なんていらないと思いますけどね」
「・・・そういうものかしら」
「そういうものですよ。あ、やられましたね」
「これで終わりね」
「さーて、準備しまs「う、うわぁああああああ!!!!!」な、なんですか?」
私と簪ちゃんが立ち上がろうとした瞬間、急に叫び声が上がりました。
見ると、ボーデヴィッヒさんから青い電流が流れていました。そして急に彼女のISが黒くドロドロしたものになったかと思うとそのまま彼女を包み込みました。そして人型になりました。
・・・もしやあれって。
「VTシステム…?! クソッ、なくなってなかったのか・・・!」
「なに、VTシステムって?!」
「VTシステム・・・、それは悪魔のシステムと言っても過言ではありません。あれを使うことによって織斑千冬と同じくらいの力を手に入れることができるんです」
「そ、それって・・・」
「ええ、はっきり言えば量産型
「ど、どんな・・・?」
「使用者の意思、肉体をガン無視することです。そして最終的には使用者を"死"に至らしめます」
「そ、それって!」
「ええ、だからアラスカ条約で"一応"使うことは禁止されてるんですが・・・。どっかの
私が指さしたそこには顔を真っ青にしてあわあわしている外国人がいた。おそらくドイツのお偉いさんだろう。ざまぁみやがれってんだ。
「わたしはどうすればいい?」
「月影さんは避難誘導をお願いします。簪ちゃん」
「なに?」
「覚悟できてますか?」
「ここ1年分なら」
「よし、行きますよ」
私は月影さんが避難誘導しに行くのを確認するとベルトを腰に装着する。そしてハーゼちゃんを呼び出す。
簪ちゃんはポーズを決める。
そして私はベルトにハーゼちゃんを差し込みながら、簪ちゃんはポーズを決めながら叫んだ。
「「変身!」」
すると私はベルトから体にかけて、簪ちゃんは左手首から全身にかけて装甲が展開されていく。そして展開し終わると私たちは仲良くそろってシールドを突き破って中へ侵入した。
続く
おまけ≪簪ちゃんの変身順序≫
①まず両手を握りしめて合わせる。ちょうどライダーマンがヘルメットを召喚する前動作をイメージしていただければ。
その時に肩幅より少し広げて足は構えておくと尚良し。別に閉じててもかまわないけど。
②次に左腕を右斜め前に突き出す。それと同時に右手首を左ひじの下に添える。ちなみにここで左手の甲は下に、右手の甲は上を向ける。
この時右手首と左ひじはくっつけておいた方が後が楽。
③そしてそのまま左手を右から左へスライドさせるように動かす。その時にひじはそのまま固定しておく。
④そしてそのまま動かしきったら「変身!」と叫ぶ。ちなみに左腕を動かしている最中に「変…身!」と言ってもオールOK。
⑤すると左手首に装備されている腕輪から装甲が展開されていき、展開し終わると変身完了。
ちなみにラウラ&モッピーVS一夏&シャルの描写も書こうかな、と思ったけどやめた。
次回の『結月ゆかりはISの世界で仮面ライダーになるようです。』は!
「放せ! 俺がやるんだ!」
『そんな理想とかかかげてるから弱いままなんですよ。この理想主義のおぼっちゃまくん』
『やっぱり織斑先生は伊達じゃないね・・・!』
『生きたいか?』
「生き・・・たい・・・!」
『私は弱い者の味方ではありません。生きたいと願う者の味方です』
次回、『模倣』