ボーイ・ミーツ・パイレーツ   作:麺太郎
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今回の話は随分と書き直しました。今後の展開に絡めようと思ったら、主人公が鬱になったりボコボコにされたりでシリアスまっしぐらだったので。
借り暮らしの有りエッティ?すまん、ありゃ嘘だった。





あらすじ

有明は主人公がお好き。

「やっと首輪手錠から解放されてスッキリだぜ~」




ボーイ・ミーツ・ネイビー

◇月?日

俺、海軍に捕まっちゃった!これってやばいんでない?海軍って読んで字の如く海の軍隊だよね?警察みたいな組織だよね?何かインペルダウンってとこに連れて行かれるらしいんだけどインペルダウンって何なの!?

俺は今朝空き屋で目を覚ました後、今後どうするか考えるために散歩に繰り出していた。すると目の前に、めっさノッポのおにーさんが現れた。ダルそうに道を塞いで現れたその人は、どう見ても一般人じゃない。あまつさえ幼気な俺に声をかけてきた!!どう見ても事案でしたよ!!

身の危険を悟った俺は、動揺のあまり「キェエエエアアアフシンシャァァアアア!!!」と叫んで人混みに逃げ込んだ。ふははは!こんなとき低身長が役に立つぜ!!そう思っていた時期が俺にも()

「そんな逃げないでよ手間かかるから」と言っておにーさんは一瞬で俺の首から下を氷付けにした。心なしか彼の体から冷気が出ていたような気がする。そして発言が不審者にしか聞こえなかった。

隙を見て氷を気合で粉砕し、助けてお巡りさん!!と逃げ出そうとしたら首根っこ掴まれて吊られた。えっ?あなたお巡りさんなんですか、あっ…そうですか…傷害罪で逮捕…ですよねー!

ということで大人しく吊られることにした。もうひとつの理由としては、オジサンは比較的穏やかそうな顔をしているのに、逃げ出せるビジョンが全く想像出来なかったということが挙げられる。今回は首から下の表面だけ凍らされたが、全身、それも体の中まで凍らされたらと思うとゾッとする。おにーさん曰く、表面だけならまだしも中身まで凍らされたら完全に氷になってしまうそうな。割れたらそこでジ・エンド。怖すぎだろ。

吊られたまま嫌がらせ程度に軽く蹴ってみたけど、俺の足はオジサンの腹を通過し、空を切った。その風圧で地面が裂けたので精神的な面で言えばダメージを受けたのは俺の方だった。

逃げようとしても無駄だとやんわり言われたけどまず絶対逃げられないよね。物理攻撃も無効化されたし。うーん、チートかな?ひどいパワーインフレを見た気がする。

俺は根が穏健な日本人なので、これ以上暴れて罪を重ねたくはない。それにあんだけ傷を負わせたなら逮捕されて当然だよなあ。そう思いながら手錠をかけられ、おにーさんに連行されたのである。

低い目線に辟易していた俺は、おにーさんの背が高かったので肩車を強請ったら戸惑われたけど腹いせに無理やり肩車させてやったわ!俺をインペルダウンとやらに連れて行くための船が見えてきたとき、そこにいた海兵達は俺とおにーさんを見て絶句していた。フヒヒwwwサーセンwww 気分は仲良し親子。腕にかけられたゴツい手錠が無ければね!












「天竜人を一度に2人も再起不能にしたアルビノ種、ねえ…」

海軍大将の一角を担う男…青雉ことクザンは、手元の写真を眺めながらシャボンディの街中を歩いていた。写真には透き通るような白い髪を持ち、宝石のように美しい瞳の少年が写っている。加えて肌が雪のように白い。ものの美醜にそこまで頓着しない青雉でさえ、写真を見た瞬間目を奪われるような美少年だ。

まるで汚れを知らないような顔をしている写真の中の少年。しかしそれでいて彼は、天竜人であるシャルリア宮を公衆の面前で散々罵倒した挙げ句に、右手が原型を留められず二度と動かなくなるような大怪我を負わせたらしい。さらには超新星と呼ばれる海賊ですらも死に追い込む海軍の新兵器を拳一発で仕留めたとか。

「顔に似合わず、て言葉の典型だよねえ」

青雉が聞いた話では、この少年は幼いながら天竜人に目を付けられてしまったがために既に懸賞金を懸けられたらしい。自分たちが馬鹿にされてお冠の世界貴族様達は、この少年の抹殺ないしはインペルダウンへの投獄を望んでいる。本来ならこんなに幼い少年を大罪人が収容されるインペルダウンへ、だなんてことはしない。未発達で善悪の区別がつかないであろう子供には、十分に情状酌量の余地があるからだ。それに「海軍が子供を手に掛けた」だなんてことが民衆に知られれば、株がガタ落ちすること間違いなしである。

しかし少年が賞金首で、天竜人がそれを望むのならばそうするしかないのが海軍だ。懸けられた額もまた問題だった。寝覚めが悪いったらありゃしないが、幸いにも命じられたのは投獄か抹殺。青雉は一も二もなく投獄を選んだ。一瞬オハラでの出来事が脳裏を過ぎり逃亡させるのもまた一つの手かと思ったが、あれはロビンが少女ながらに天才であったから逃げおおせられたのであって、この少年がそれと同じように上手く逃亡できるかは分からない。海軍がオハラ以上に出入りしている現在のシャボンディ諸島から気付かれずに脱出するのは、青雉をして困難であると感じられた。

青雉は思う。これで、任されたのが黄色いのと赤いの、どちらかであったとしたら。…彼の少年がただで済まないに決まっている。自分に任されたのが幸運だったと思ってほしいくらいだ。

手元の写真…いや、“指名手配書”を再度見下ろす。“アリアケ・タツマ”………5億ベリー。とんでもない金額だ。誰もが印刷ミスを疑ったくらいだ。初手配でこの金額は、史上類を見ない額である。それもこの歳でだ。幼少期のニコ・ロビンの手配額もかなり破格であったが、これはそんなものではない。この金額になった理由としては、天竜人であるチャルロス聖がぶちのめされたその場で、元々人魚を買うために使うつもりだった本人が全額を怒りのままに懸賞金に出したためらしい。勢いとは怖いものである。癒えない傷を残されたシャルリア宮なんかは倍出しても良いと言っていたそうだが。

そんな不遇な少年は、昨日から今日にかけての1日で“竜殺しのアリアケ”の異名を与えられた。写真の中でつまらなさそうにそっぽを向いている幼気な顔と反比例するかの如く随分と大仰である。不味いことにこの手配書は既に今朝世界中に配られたため、きっと見つかろうものなら賞金稼ぎが彼の元に殺到することだろう。

青雉はそうなるのを防ぐためにここへ来たのだ。一刻も早く少年を見付け、トラウマは残るだろうが外よりは安全な牢獄へ入れてやらなければならない。

そんな決意を胸に人通りが殆ど無くなってくる29番グローブを歩いていると、

“フーフフン、フフフン♪“

「…え~?」

今まさに自分の頭を悩ませる少年が呑気に鼻歌を歌いながら歩いてきた。その間抜けそうな歌が徹○の部屋のテーマソングだとは知らない青雉は頭を抱えた。この子は間違いなく自分がどれだけのことをしたのか分かっていない。あまつさえ、目の前のノッポな自分に気付きもしない。目の前の小石でドリブルするのに夢中で周りが見えていないのだ。

ため息をひとつ吐いて、声をかける。そこでようやく青雉の存在を認識したらしい。驚いたように目を見開いていた。とてつもなく美しい顔のつくりをしておいて、どことなくアホそうな表情がそれを全て台無しにしている。神は彼に二物を与えなかったらしい。

すると、少年は突然小刻みに震え始める。ブルブルブルと震えたかと思えば、次の瞬間



“キェエエエアアアフシンシャァァアアア!!!“



風になって消えた。


風になるとはまさにこのこと。気配を追って咄嗟に振り向けば、彼は既に点にしか見えず、29番グローブと30番グローブの境目にまで到達して人ごみに飛び込もうとしていた。

「おいおい、ここから何百メートルあると思ってんだ…!?…それに、」

鼻歌の時点では口を開いていなかったので全く気付かなかったが、彼は確実に覇気を使って脳内に直接叫んでいた。無駄遣い甚だしい限りだが、それが彼をより一層要注意人物へとランクアップさせる。

考えながらも全力で走って戻れば、見た目が目立つせいで全く人ごみに紛れられていない少年が人の波に揉まれていた。あのまま飛び込まずに走り続ければ逃げられただろうに。青雉の中で少年は要注意人物からアホへとすぐさまランクダウンする。やはり彼だけで逃亡するのは無理だ。諦めよう。

「 そんな逃げないでよ…手間かかるか、らッ! 」

すぐさま氷で足を捕捉。そのまま表面を首まで凍らせたが、次の瞬間砕け散る。色々規格外過ぎるだろ!青雉は嘆いた。

“たたたたすけてお巡りさーーん!!不審者がいますぅー!!!”

周りの人間が突然脳内に飛び込んできた声にキョロキョロとし始める。まずい。目立たせたくなかったのにこれでは青雉の思惑が全ておじゃんだ。予想外の行動ばかりする少年に胃が悲鳴を上げた。

「はいはい。俺がお巡りさんですよっ、と」

「ヒュッ」
“ぐえっ!!…え?は?…マジで?”

「マジよ、大マジ」

さっと首根っこを掴めば、思いのほか少年は大人しくなった。猫か。

「俺は海軍本部大将の青雉…先日のことで君を逮捕するために来たっつーことなんだけど…」

“えっ?逮捕??もしかして昨日のアレがヤバかったのか”

「そうそう。だから君を連行しなくちゃいけないんだよね」

“ええ…?そんなあ………どりゃっ!!”

瞬間、青雉の腹が消し飛んだ。少年の足が青雉の腹を蹴った衝撃で、消し飛んだのだ。

「ッ!?」

“あれ!?キックがすり抜けた!?うそ、おにーさん物理攻撃無効なの!?なにそれチート!”

周りから見れば無音で、青雉にとっては喧しいほどに騒ぐ少年。恐る恐る後ろを振り向けば、背後の地面に10メートルほどにも及ぶ爪跡が残っていた。少年は自分が起こしたその光景に絶句しているようだが言わせてもらえばこっちの方が心臓に悪かった。軽く蹴ってみただけ…?これが?

「…君のためにも、逃げない方がいいと思うけどねえ。さっきは足元だけ凍らせたけど、全身骨の髄まで一瞬で凍らせることも出来るよ。割れたら即死の氷像になんてなりたくないだろ」

“ヒェ~物理無効とか無理だわ…絶対逃げらんねえじゃん…”

相変わらず心の声がダダ漏れの少年はそれ以降大人しくなった。こんな子供を脅すのは心苦しいが、これも少年のためだと自分に言い聞かせつつ、少年の手首に海楼石の手錠をかける。触っていると自分もしんどい代物だが、大人しくしている相手に填めるくらいなら可能なのである。

「さ、行こうか」

“えー、なら肩車してよおにーさん”

「…えっ?」

“肩車してよ、してくれるよね、するでしょ?はい無言はオッケーサインってことで!!”

何を考えているのか、突然体をひねって俺の首を足で挟んだ。へし折られるのかと思ったがどうやら本当に肩車を望んでいたようで、すとんと俺の肩に乗った。曲芸師のような一連の動きに面食らっていたが、そのうち、歩きを催促する少年に従って軍艦への道を歩き始めた。おおー、たけ~!と声無き歓声をあげるのは良いが暴れないでほしい。地味に首が痛い。











このあと、親子のようにやってきた海軍本部大将と竜殺しと呼ばれる少年に、船着き場で待機していた男達は阿鼻叫喚であった。







次回、
(牢獄に)借り暮らしの有りエッティ。








そのときの皆さん

冥王…アップを始めました

ケイミー…色々と鬱

青雉…内心涙目

世界中…五億とか嘘だろアリアケ!

賞金稼ぎ…密かに狙っていたが地面を蹴りの風圧で割った
     主人公に「アッハイ」と言って立ち去った