やはり俺の異世界転生は命がけだ   作:ピーターパンシンドローム

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side八幡

 

黒服が来てから30分はたった。

 

「雪ノ下、一色、戸塚、少し待っててくれ」

 

「「「え?」」」

 

3人は顔面蒼白で此方を見ているが、もう時間的猶予はないからこっちから動くしかない。

俺は葉山側の通路の反対からしゃがんで様子を見る。黒服の男は無線のようなもので誰かと連絡を取っているようだが、なかなか隙を見せない。

どうする!?これ以上はいつ墜落するかわからない…

葉山の方を見るとあいつもしゃがんだままでなかなか動けないようだ。葉山はもう一度こっちを見て笑ってみせるとクラウチングスタートの体制をとった。

おい…それはやめろ!!

俺は必死に目で訴えるが、あいつはまるで弾丸のように黒服に飛び込んでいった。

 

 

 

 

side葉山

 

もうこれ以上はいつ墜落するかわからない。

俺の頭かなり冷たくなっていた。ここで残された一手はーー

俺は比企谷と目を合わせ、笑ってみせる。

一呼吸して、黒服に向かって飛び出した。

黒服はまだ無線に気を取られており、俺との距離は3メートル程度!

俺はさらに速度を上げる。

あと2メートル!

もっと速くだ!

さらに強く踏み込もうとした時、

 

「葉山くん!?」

 

視界の隅で少女が俺の名前を叫んだ。

俺はおもわず渇いた笑いが出る。

ああ、やってくれたな…相模さん…

 

「なんだテメエ!」

 

そして銃声が俺の耳を木霊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を覚ますと天井がかなり高いところにあった。俺は身体をなんとか起き上がらせ、まわりを一瞥すると見知った顔が白いタイルの床に倒れていた。

ーー2年F組のみんなだ。

…あと雪乃ちゃんといろはもいるな。

 

 

side八幡

 

ゆっくり目を開けると、由比ヶ浜、一色、雪ノ下が今にも泣き出してしまいそうな顔を覗き込んでくる。

由比ヶ浜は実際少し泣いてるな、うん。

 

「ヒッキーやっとおきた!」

 

俺はまだ寝ぼけている頭を持ち上げまわりを見る。

これは…宮殿というやつか?

床から天井まで白い石のようなもので統一されており、壁には騎士の鎧が置いてある。

俺は確か飛行機に乗ってて…これは助かったのか?

俺は必死に状況を整理していると祭壇の横の扉が開き、中から銀髪の美女がでてきた。銀髪は腰まであり、鼻は筋が通っており、目は切れ長である。隆起の大きいボディラインが強調されるような白いドレスを身に纏い、煌びやかな宝石を散りばめた髪飾りをつけている。

絶世の美女や傾国の美女とはまさにこの女性を指すのであろう。

俺だけではなく、周りの奴らも彼女に数秒の間目を奪われ続けた。

すると、彼女は宮殿に響く声でこう告げた。

 

「あなた達は一度死んでおります。しかし、もしももう一度あの世界に戻りたいのならばこの世界の魔王を倒してください。」

はぁ?俺たちが死んでる?何言ってんのこの子?電波か?

周りが一気に騒がしくなる。

 

「みんな!俺たちで協力して元の世界に戻ろう!」

おい、葉山までなにいっちゃってんだよ!もっと人を疑うことを知ろうよ!

すると周りは目に見えるように葉山の言葉に賛同していく。

はぁ、なんなんだこいつら。あれか、思考をすべて葉山に丸投げってやつか。

 

「おい、ちょっと待てよ。そんなすぐ信じられるかよ。そもそも俺たちは死んでもいない。そんだけ言うんだったら証拠だせ証拠。」

俺が少し強めの口調で言うと、周りは急に静かになり、何人か俯いてる。

すると葉山が気まずそうな顔を押して告げた。

 

「君が証拠だ」

 

は?どういう意味だ?

ーー俺がそう言おうとした時、

 

「君は確かに死んだんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ、そうか、俺はあの時死んだのか。

 




第3話は少しだけ飛行機の中の話をします

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