ストライク・ザ・ブラッド〜空白の20年〜   作:黒 蓮

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第1章の題名?章名?が決まったので追加しました。
あと若干の誤字修正、表現の変更などもちょくちょく加えました!(内容が変わる訳では無いのでどうってことはないのですが)
そして、ヒロイン回の話にはその話の主役?になっているヒロインの名前と番号を振りました。お忙しくて推しキャラだけ読みたい!とか読み直すときにご活用いただければと思います。
長くなりましたので、とりあえずどうぞ!


第6話 煌坂 紗矢華Ⅱ

絃神島の日の出は早い。

今日も水平線から太陽が顔を出し、1日が始まろうとしている時。

2人の少女はコソコソと話をしていた。

 

「それで、先輩には昨日の事件のことは暫く内緒にしておくというのは私も賛成なんですが…、実は…」そう言いながら雪菜が取り出したのは1通の書状だった。

「もう、そんな時期なの!?」

「いえ、何故か最近頻度が増えてしまって…」雪菜が取り出したのは獅子王機関からの定期検診の通達だった。

吸血鬼と接触した職員には、血の従者になっていないかの定期検診が義務付けられている。頻度が増えているのは雪菜の模造天使化のこともあったりするのだが…

「でも、大丈夫。雪菜がいない間は私がしっかり暁 古城を監視するから」

「だといいんですけど…」この間の風呂場での古城と紗矢華のことを思い出し心配する雪菜。

「と、とりあえずそろそろ凪沙ちゃんも起きてるだろうしたまには色々手伝って楽させてあげましょ」

「そうですね、では私は荷物の準備をしてきます。紗矢華さんは先に凪沙ちゃんのところに」

「わかったわ、じゃあ後でね?」そう言うと紗矢華は機嫌よく部屋に出ていった。

雪菜と古城といられる時間が増えて最近の紗矢華の機嫌は控えめに言ってすごくいい。そうやって自分の先輩が浮かれているからこそ、雪菜は色々と心配事が尽きないのだが──

 

「起きなさい、暁 古城」

「なんだ、煌坂か」

「なんだとはなによ。凪沙ちゃんの方がよかったの?」

「いや、そんなことはないんだけどさ。お前が起こしに来るのはなんか珍しいなと思って」

「いいでしょ、別に。たまには私が起こしても」

古城は自分ではなかなか起きないためいつも凪沙か雪菜が起こしにくるが、紗矢華が来たのは初めてだった。

「じゃあ、向こうで待ってるわね」

「ああ」

一通り朝の用意を終わらし、いつものようにリビングへと向かう古城。

「古城くん、はやくー。朝ごはん冷めちゃうよー」

「悪い、おはよう姫柊」凪沙に言われ急いで自分の席に座った古城はまだ起きてから言葉を交わしていない姫柊に声をかけた。

「姫柊?」

「はっ、なんですか?先輩」

「大丈夫か?なんかぼうっとしてたけど」

「雪菜ちゃん、2、3日いないんだって。きっと自分がいないうちに古城くんと紗矢華さんがいい感じにならないか不安なんだよ」

「違います!」

「あれれ、雪菜ちゃん怒っちゃった?」凪沙の悪ふざけに怒る雪菜と顔を赤らめる紗矢華。

「また、定期検診ってやつか?」

「そうなんです、私がいないからってあんまり紗矢華さんにいやらしいことしないでくださいね?先輩は目を離すとすぐに他の娘にいやらしいことをするんですから」

「そこまで見境なくはねぇよ…、そういえば定期検診の紙で揉めたこともあったな。帰還命令がどうのとかで」

「その話はもうやめてください!誰にでも失敗はあります!」

「悪かったって」恥ずかしそうに怒る雪菜を躱し、古城がテレビをつける。

暁家の朝はニュースと決まっている。

「また吸血鬼の暴走事件があったんだ、物騒だね」

「「…っ!」」凪沙のなんとなくの言葉に冷や汗を掻く雪菜と紗矢華。

恐る恐る2人は古城の顔色を伺う。

「まあ、今のところ被害がでてないのが救いだな」あまり気にしていない様子の古城に安心する2人。

「で、では、私はこの辺で。飛行機の時間があるので」

「姫柊、気をつけてな」

「わかりました、先輩も私のいない間に無茶しないように。紗矢華さんもお願いしますね」去り際に釘を刺した雪菜はそさくさと外へと出ていった。

「信用ないな…ほんと」

「それだけ雪菜ちゃんは古城くんのことを心配してるんだよ」頭を抱える古城に凪沙は友達に一応のフォローを入れておく。

「じゃあ、俺達も行くか」

「そうね」

「2人ともちょっと早いよ、もうちょっと待ってよー」文句を言う凪沙を待って3人も学校へと向かう。

紗矢華が転校してからたった2日だが、春休み直前という不思議な時期に転校してきたモデル顔負けの美少女の話は学校中に広がっており、古城へのヘイトは上がる一方なのであった──

 

昨日と同じように授業を終え、那月との補習を終えて暗い学校を出ると校門に紗矢華が立っていた。

「お疲れ様」そう言って古城にコーラのペットボトルを渡してくる。

「ああ、サンキュ。でも煌坂も大変だっただろ」

昼休みが始まると共にクラス内に留まらず大勢のグループから昼食の誘いを受けて泡を吹きそうになっていた紗矢華を無理やり連れ出したことを思い出す。

「うん、その…ありがと」

「いいよ、煌坂には色々助けてもらってるしな」

「あ、暁 古城」

「なんだ?」

「ううん、やっぱりなんでもないの」

「そうか。なぁ煌坂、オレ気になってたんだけどさ。いい加減そのフルネームでオレの事呼ぶのなんとかならないか?すごい距離を感じるっていうかさ、もちろん嫌なら今のままでいいんだけどな?」途中から俯いていた紗矢華を見てどんどん歯切れが悪くなる古城。

「嫌、じゃないわよ…」

「そうか、ならちょっとずつでいいから頼む」

「分かったわよ、こじょう…」

「ああ」2人はそれっきり話すこともなくなってしまった。

 

「なぁ、煌──」沈黙に耐えかねた古城が話を振ろうと紗矢華に声をかけたときだった。

いきなり後ろの方で爆発が起こったのだ。

「暁 古城!アナタは凪沙ちゃんのところにすぐに帰って!」紗矢華は古城に有無を言わさぬ勢いでそう言い放ち、爆発の方へと走って行った。

「おい、煌坂!待て!オレも!」古城の叫びも虚しくパニックになった人たちの波に流され古城はどんどん紗矢華から離れていく。

次の瞬間─最初に爆発があった場所から一際大きな爆発が起こった。

「クソっ、煌坂…」古城は歯がゆそうに唇を噛んだ。




バトルシーンを書く前にいい区切りが出来てしまったので急遽切りました…。バトルシーンは夜にでも出そうと思うのでお待ちください( ̄▽ ̄;)

個人的なメッセージとか、誤字指摘はいただけるのですが…なかなか感想評価はいただけず…読んでもらえるだけで充分ありがたいのですか笑

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