お気に入り500件も、もしかしたらいくかもしれませんね…
さて今回幕間2つに割ったので短いです。お許しを…
10日には原作最新刊ですね!個人的にはあまり今の展開は気に入ってないのですが霧葉が出るようですし楽しみです。
浅葱が去った部屋は再び静寂で満たされていた。
その中で古城は涙を流した浅葱、怒りをあらわにした紗矢華のことを思う。
そんなゆったりと流れる時間の中に割り込むように甲高い固定電話の着信音が響いた。
けたたましく響く不快な音はワンフレーズで途切れ、小さく囁く基樹の声へと変わった。
「こっそり垂れ流しとくから聞いとけよ」
しばらくの沈黙の後、様々な人間が集まって話す音が聞こえてくる。
場を仕切るのは那月らしい。
「まず今回の姫柊 雪菜失踪の件だが捜索は困難を極めることが予想される。位置情報はロスト、さらに体質上探査系魔術の類は効果が望めない」
「ってことで、この件について
那月の言葉を引き継いだのは基樹だ。
下された決定にその場にいる多くの人間が動揺するのが電話越しでも分かった。
「す、すみません!保留とはどういうことですか?」
「あん?」
基樹に意見した声は唯里のものだ。
めんどくさそうに返された基樹の言葉に怯みながらなんとか立ったままの姿を維持している。
「そのままだ、砂漠に落とした砂を探す気になるか?徒労に終わるだけだ。そんなもんに割く人員も暇もオレ達にはない」
「じゃあユッ…姫柊 雪菜の捜索は私が担当します!」
「めんどくせぇなぁ…、とりあえず却下だ」
それを理解しているため、大人しく席へと座ろうとした唯里の隣から新たに口を開くものが1人。
「私からも姫柊 雪菜捜索の件について今一度検討をお願いします」
「分かった分かった、勝手にしろ。本件は斐川 志緒と羽場 唯里に一任する」
雪菜が心配でない訳ではなかった基樹はにやりと笑っていた。
彼は最初から唯里と志緒を配置するつもりだったのだ。この件に必要とされる人材は雪菜のことを少しでも理解し単体での戦闘力が高く、自らの意思で任務に臨める者。
紗矢華だけでも問題ないが、保険として基樹は唯里と志緒の意思を試したのだった。
「那月ちゃん、本題よろしく」
「そうだな」
那月が再び前に立ったことで場の空気は一気に変わる。
「つい1時間前、混沌界域国境付近で起きたことについては知っていると思うがそのときこんな物を拾った」
机の上に悪趣味な人形と1枚の羊皮紙が置かれた。
「この紙に書かれていることは端的に言えば聖域条約機構に対する宣戦布告だ。内容はまだ詳しく教えることはできない。だが近いうちにまた戦争が起きるだろう…」
那月はその先を言うか言わないか迷うように基樹の方を一瞥する。
基樹はゆっくりと頷き、それに応えた。
「相手はおそらく最近噂になっていた過激な宗教団体。その規模は我々が思っていたよりもよほど大きなものらしい。そして、その教祖と崇められる者はこの
そこで受話器から流れる音声は途絶えた。
雪菜の失踪に新たな敵の存在。その全てについてまだなにも分からないが、古城は自分が腐っている場合ではないことは理解した。
ゆっくりと風呂場へと進み、この2年でボロボロになったパーカーを脱ぐ。
「猫叉…」
2年前この家を出る時に雪菜が渡してくれたそのパーカーには不器用に刺繍されたネコマたんが今も残っていた。
「クソ…」
古城は胸の中から溢れてくる様々な感情を汗とともにシャワーで洗い流した。
綺麗な服へ着替えた古城は深々とパーカーを被り、外へ出る。
2年という短い時間でも発展著しい
そんな中を古城は1人、ただひたすら歩く。
夜の暗さに映える電飾の光のせいか、別の場所にいるかのような感覚に襲われどこか悲しさを感じていた古城の袖が後ろから引っ張られる。
「誰だ…?」
一般人には認識されないようにしっかりと気配を殺す古城に気づけるものは知り合いかそれなりの実力者かのどちらかだ。
必然的に警戒心を高める古城の前に立っていたのは小さな青髪の少女だった。
「アスタルテか。どうかしたのか?」
古城の質問にアスタルテは首を横に振る。
「心配かけちまったか…」
アスタルテの頭をゆっくりと撫でた古城は再び歩き始めた。
そんな古城を追ってトタトタと走ってくるアスタルテは古城に腕を絡めてくる。
傍から見ればそれは親子、兄弟のようだ。
「子供はそろそろ帰らないとやばいんじゃないか?」
「──否定、古城はこの国の皇帝。罪に問われる可能性は皆無」
「そりゃそうか…。なら、ちょっと付き合ってくれるか?」
「
アスタルテは嬉しそうに古城の隣へと収まった。
ほんと久々なのに短くてすみません。
さて、今後の予定についてなのですが簡単に活動報告に載せたのでコメントいただけるとありがたいです。雪菜ファンには割と重要なので是非ご覧ください。
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