ストライク・ザ・ブラッド〜空白の20年〜   作:黒 蓮

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GWいかがお過ごしでしょうか。

作者は休みなしで死にそうです。

30分ほどで書いたので文章おかしいかも知れませんがあまり気にせず…

本編は週末更新の予定です。


ex:『獅子王の姫巫女の苦難』

古城がアスタルテを連れ、姿を消してから約1ヶ月。

残された雪菜、紗矢華、浅葱を始め古城の周囲の人間は寝る暇もなく働くこととなった。

 

元々多少他人よりどこか1つか2つ程度出来ることがあるだけで、彼女らとてまだ学生。

急に小さいとはいえ、国1つを運営しろと言われても無理な話なのだ。

 

そんな彼らの前に現れた救世主が北欧アルティギア王国第一皇女たるラ・フォリア・リハヴァインだ。

彼女の類まれなる経営手腕の才能と生まれ持ったカリスマ性のお陰か、他国や他組織に頼ることは多いが、どうにか国家運営を軌道に載せられていると言ってよい水準を維持できるようになっていた。

 

しかし、ある程度の成功の裏には功労者が存在し、そこには少なからず負担が生まれるものなのだ。

そして、そんな負担を被っている少女2人は久々の休暇を満喫しようとしていた。

 

事の発端は3日前、世間がGWという至福の時を過ごしている中デスクへと向かい愚痴をこぼしながら仕事をしていた紗矢華に基樹が

 

「お前ら頑張ってるから、最終日くらい1日休みとってもいいぞ。オレらでなんとかしておくし」

 

と言い紗矢華の下に9月まで訪れる予定がなかった休日が舞い込んだことが原因だ。

 

朝9時頃、GW最終日ということもあってか辺りを歩く人は疎らだ。

最長9、10連休ともなれば最後の日は休みが終わってしまうという喪失感と次の日から始まる日常への倦怠感に苛まれながら時間を浪費する人が多いのだろう。

 

「すみません、紗矢華さん。遅くなりました」

 

そう言いながらかわいらしく清涼感のある水色のワンピースで駆け寄ってくるのは後輩の姫柊 雪菜だ。

 

「ううん、大丈夫。私も今来たところだから」

 

紗矢華は雪菜と会えると思うと前日から眠れず、挙句の果てに待ち合わせ時間の1時間半前からこの場所にいるのだがそんなテンプレートのようなセリフを平然と言ってのけた。

 

が、しかし元ルームメイトである親しい後輩の雪菜はそんなことはお見通しだった。

5月初旬といえど絃神島は常夏の島。

昼間には35度を越えることなどよくあることだ。

そんな中長く外でたっていれば疲労を感じるのは想像に難くない。

そして紗矢華の身体は今や吸血鬼、見るからにいつもよりしんどそうなのだった。

 

「走ってきたせいで喉が乾いたので、朝ごはんもまだですし…どこか喫茶店にでも行きませんか?」

 

そんな紗矢華の姿も雪菜にとっては、もうご愛敬。

紗矢華を傷つけず、休ませるために気を利かせてそんな提案をする。

 

「そ、そうね。朝ごはんは大事よね!」

「あはは…」

 

こんな調子で紗矢華の身体は大丈夫なのか、そんな心配を抱えながら雪菜は彼女を近場の喫茶店へと連れて入る。

紗矢華がアイスコーヒー、雪菜がアイスティーを

そして2人でクラブハウスサンドをひと皿頼み、それを挟んで久しぶりの会話に花を咲かせる。

 

「そういえば、紗矢華さん。最近その服着ていることが多いですね」

 

雪菜がなんとなく指したその服とは、紗矢華が羽織っている薄手の白パーカーのことだった。

 

「え!?」

「あっ…」

 

紗矢華の反応を見て雪菜は自分が少し無神経であったことに気づく。

白いパーカーを着ている人間と言えば2人の周りに1人しかいないからだ。

その人物に紗矢華が感化されていることは言うまでもなかった。

 

「私達『擬似吸血鬼』ですもんね、日光遮りたいって気持ちは分かりますよ!あ…」

 

咄嗟にフォローを出したつもりの雪菜だが、またしても自らの失態に気づいてしまう。

どちらから言い出したわけでもないのだが、古城の話はタブーという暗黙の了解のようなところがあったりする。

というのも、いざ古城の話となるとどちらも止まらなくなるのだ。

 

このままでは雰囲気が悪くなると判断した紗矢華は残りのサンドイッチを鷲掴み、口へとぶち込みアイスコーヒーで流し込んだ。

 

「雪菜、早くどこか行きましょうか。せっかくの休みなんだから時間を持て余す暇なんてないわよ」

「そうですね!」

 

支払いを終え、逃げるように喫茶店からでた2人は街を歩いていく。

 

しかし、どこへ行ってもお互い古城との小さな思い出が沸き起こってしまう。

 

「はあ…疲れるわね。この島ちょっと狭いんじゃない?」

「島に文句言わないでくださいよ、紗矢華さんったら…」

 

どっと疲れてしまった2人は顔を見合わせ笑い合う。

 

「仕方ないわ、今日はあのバカの愚痴でも言い合いましょうか」

「そうですね、お菓子とか買って帰──」

 

そんな雪菜の言葉を遮ったのは同時に鳴り出した携帯端末だ。

電話の主は藍羽 浅葱。

もう悪い予感しかしなかった。

 

「2人とも、仕事頼める?基樹のやつが勝手に休みにしたみたいだけど、人手足らないから!」

 

2人は同時に深いため息をついた。

 

「外の仕事にしてくれる?」

「私も当分はこっちでの仕事は…」

 

絃神島にいる限り古城のことをどうしても思い出してしまうのだ。

 

こうして2人の短い休日が終わり、姫巫女たちは日常へと帰っていった──




紗矢華と雪菜はこれ以降ずっと海外を飛び回って…ます苦笑


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