日本 某所──
「羽波 唯里、斐川 志緖、前へ」
「「はい」」
声の通り2人の少女が前へと歩みでる。
「当代の獅子王機関三聖が一人、閑 古詠の名において現時刻を持って羽波 唯里、斐川 志緖以下二名の現在遂行中の任を解き、待機を命じる──」
「失礼ですが、それはどういうことでしょうか」
「時がくれば分かることです」
これ以上何を聞いても無駄と判断した2人はその場からすぐに立ち去った──
様子のおかしかった雪菜と別れてから古城は春休みの疲れを癒すためゆっくりと湯に浸かりホテルの広いベッドでぐっすりと眠った。
「古城くーん、起きてよー」
凪沙の声で起きた古城は時間を確認して飛び起きた。
10時に帰りの飛行機へと乗る予定なのだが、もうすでに時計は9時半を指している。
「やばい、オレだけ置いていかれる!」
「私達先に行ってるからねー」
凪沙以外のメンバーはもうすでにホテルの外へと出ているらしかった。
荷物を無理やり詰め込み顔を洗い、古城はフライトギリギリに待ち合わせ場所へと到着した。
「ちょっと、古城また寝坊したんでしょ。しっかりしなさいよ、置いていくわよ」
「浅葱も分かってるなら起こせよな…」
ブツブツと文句を言う古城を他所にそれぞれが荷物を運び込み機内のシートへと座る。
ほどなくして絃神島へと飛び立ってすぐ、飛行機の中にパイロットと思しき男の声が響き始める。
「当機は間もなく着陸態勢へと入ります。シートベルトをしっかりと──」
そこでアナウンスは終わってしまう。
機体がガクリと不自然に揺れる。
「大丈夫か、これ…」
古城が不安を口にした瞬間、飛行機は不時着気味になんとか着陸した。
「痛ってて…、みんな大丈夫か?」
古城の疑問に答える声はひとつもない。
おかしく思った古城はシートベルトを外し周りを見渡す。
そこには虚ろな目をする雪菜たちが座っていた。
「どうなってんだよ…、姫柊!姫柊!」
雪菜の肩を掴み身体を揺すりながら呼びかけるが、返事はやはり返ってこない。
所々、破損した飛行機から外へと出た古城の目の前には雪菜たちと同じような虚ろな目をした人たちが彷徨い歩きまわっていた。
見るからに異常な事態にとりあえず携帯を確認した古城は5件の不在着信と1件の留守電が入っていることに気づく。
古城が飛行機に乗っている間にかかってきたものだ。
その中から1件の留守電を再生する。
「古城、これを聞いたらすぐに、すぐにだ。浅葱や姫柊ちゃん達連れて島から逃げろ。お前らがここにいるとまずいことになる、図書──」
基樹からのメッセージはそこで途絶えていた。
「一体何があったんだ…魔術かなにかか?」
魔術という線に思い当たった古城は機内の荷物の中から雪霞狼を取り出し雪菜へと握らせた。
「先…輩…?」
「姫柊!!」
古城の思惑通り、雪菜がなんらかの魔術から解放され意識を取り戻した──
久々の連続投稿でしたが、どうだったでしょうか。
明日更新できるかは分かりませんが数日内に新章が始まる予定です。
楽しみにお待ちください。
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