ストライク・ザ・ブラッド〜空白の20年〜   作:黒 蓮

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予想外にview数が多かったので(22時30分現在)更新頑張ろうかなと

今回は状況説明、古城、浅葱、基樹の日常パート、etc..
なかなか退屈な話かも知れませんがよければお付き合い下さい!

では、どうぞ!


第1話

日中で1番気温が高い14時頃、昼時を過ぎ空き始めたファミリーレストランでプリントを広げ何やら駄弁っている学生達がいた。

 

「もう、疲れた…」

「しっかりやらないとまた補習に引っかかるわよ?あれだけ学校サボって許してもらえるんだからありがたく思いなさいよ」

 

倒れ込んだ古城を見ながら浅葱は美味しそうにパフェを食べている。

 

「そんなこと言ったって仕方ないだろ…オレが悪いわけじゃないし」

「文句言うならレポート見せないわよ?」

「悪い、古城。オレそろそろ用事があるから帰るわ」

「私もバイトあるからそろそろ帰らなきゃ」

 

浅葱と基樹が席を立つ。

 

「ってことで、オレらは帰るから会計よろしくなー」

「ちょっ、待てよ!」

 

古城の叫びも虚しく2人は去っていく。

 

「そりゃないだろ…」

 

浅葱と基樹の食べ散らかしたあととレシートを見ながら項垂れる古城。

気分を変えるため場所を移そうと三人分の会計を済ませ店の外にでると、ギターケースを背負った黒髪の中学生が立っていた。

 

「お疲れ様です、先輩」

「姫柊か」

「…はい」

 

最近古城が雪菜のことを呼ぶとき姫柊と呼ぶと雪菜は少し機嫌を悪くする。

といってもそんなことを鈍い古城が気づくわけはないのだが。

 

「どちらに行かれるんですか?」

「ちょっとぶらついて図書館にでも行こうかなって」

「図書館ですか、ご一緒します」

 

そうして2人は歩き始めた。2人が並んで歩くのももはや慣れたものだった。

 

「ふわぁぁ…」

「さすがに疲れてますね、少し休んだ方が…」

 

あくびをした古城を気遣う雪菜。

 

「まあな、それは姫柊も一緒だろ。オレだけ休んでるわけにもいかないさ」

 

絃神島が第四真祖の夜の帝国となって早1週間。

古城は想像を絶するスケジュールで様々な国や機関の代表と面会をし、雪菜は監視役としての仕事のみならず第四真祖を1番よく知っているという理由で人工島管理公社から古城の秘書という役目を任されている。そこには獅子王機関が噛んでいたりもするのだが。

 

「姫柊?」

「なんですか?」

「なんか、振りまわしちまってごめんな」

「大丈夫ですよ、先輩に振りまわされるのは慣れてますから」

 

 

「お兄さん?」「古城くん?」

 

古城と雪菜がいい雰囲気になっていたところにいきなり現れたのは古城の妹の暁 凪沙とその同級生の叶瀬 夏音だった。

 

「うぉっ!凪沙に叶瀬!?」

「凪沙さん!夏音ちゃん!こ、これは…」

 

いきなりの2人の登場に驚いた古城と雪菜。

 

「なんか、邪魔しちゃった…?」

「ごめんなさいでした」

 

空気を読んでどこかへ行く2人。

 

「最悪だ…」

「最悪…ですか…、そうですか…」

 

古城の一言に怒る雪菜。

 

「なんで姫柊が怒るんだよ」

「別に怒ってなんかいません!」

「怒ってるだろ…」

 

皇帝になっても古城の不甲斐なさは相変わらずなのであった。

 

 

図書館でレポートを終え、外に出た時にはもう陽が沈んでいた。

 

「疲れたな、早く帰って寝たい…」

「何言ってるんですか、先輩。これからラ・フォリアさんとの面会ですよ?」

「なんだって!?今日だけは1日休みのはずじゃ」古城が不服そうに言う。

「今朝ラ・フォリアさんから連絡があったんです」

「はぁ…ラ・フォリアなら別の日に変えてもらったり出来ないのか?今日は休みたいんだが」

「駄目ですよ、遊びに来ているんじゃないんです。北欧アルディギア王国との大事な話なんですから」

 

古城が駄々をこねている間に人工島管理公社の迎えの黒い車が古城の前に止まる。

 

「暁様、お待たせしました。早くお乗りください、ラ・フォリア様がお待ちです」

 

運転手が乗車を促してくる。

 

「いや、でも」

「先輩?」

 

雪菜の一言で仕方なく車に乗る古城。

 

「では、すぐ到着しますのでくつろいでおいてください」

 

運転手はそう言うと車を走らせた。

 

「それで、今日はなんの話なんだ?」

「私も詳しいことは聞いていませんが、多分いつもの件でしょう」

 

絃神島が夜の帝国となってからというもの世界中のあらゆる国が同盟を求めてくるようになった。

元々魔族特区ということに加え周りが海に囲まれた島である絃神島は世界的に見ても最先端の技術を持ち資源にも恵まれている。

さらに、皇帝はあの第四真祖である。数々の国が同盟を求めてくるのも当たり前なのだ。

 

「暁様、まもなく到着しますのでご準備を」

 

その話が終わらないうちに運転手から準備を促される。

 

 

絃神島でも最高級のホテルに着き、黒のスーツに着替えた古城は雪菜に連れられて大きな部屋の前まで連れられた。

 

「ラ・フォリアさんはこの中だそうです」

「じゃあ、入るか」

 

さっきまでの嫌そうな顔はせず、中に入ろうとする古城。なんやかんや言って根は真面目なのだ。

 

「悪い、遅くな──」

 

古城が言い終わらないうちに銀髪の美人が抱きついてきた。

 

「遅かったですわね、古城」

「ラ・フォリアさん、先輩から離れてください」

 

雪菜が冷ややかな目でラ・フォリアを引きはがす。

席に座った後、他愛もない話をした古城は本題に入る。

 

「それで、今日はなんの話なんだ?」

「私と古城の婚約の話なのですけど」

「婚約!?」

 

古城本人より驚いて声を上げたのは雪菜だった。

 

「冗談ですよ」

 

雪菜は堪らず赤くなってしまう。

 

「変な冗談はよせよ…」

「冗談ではないのですけれど」

 

彼女は悪戯な笑みを浮かべる。

「今日は我がアルディギア王国との同盟についての話をしにきたのです」

「待てよ、ラ・フォリア。アルディギアはそんなことしなくても充分な力を持ってるだろ?どうして同盟なんか」

「確かに、我がアルディギア王国は魔族に対しての対抗手段があります。しかし、近い将来この国が力をつけていったときに今の人類と魔族のパワーバランスが崩れてしまう時が来ます。その時のための同盟なのです」

「そうか…でもすぐに決めろって言われてもオレはまだそんな大きなことをすぐ決断できるようなやつじゃないぞ」

「分かっていますよ、古城。ですからすぐにとは言いません、決断ができれば連絡をくださいね?」

「あぁ、わかった」

 

古城は珍しく簡単に引き下がるラ・フォリアに肩透かしをくらう。

 

「では、古城も疲れていると思うので今回はこれで帰りますね」

「ラ・フォリアもあんまり無茶しないようにな」

「雪菜、古城をよろしくお願いしますね」

 

 

「なんか今回は大人しく帰っていったなラ・フォリアのやつ」

「そうですね、大人しくされると逆に何かありそうですけど…」

「姫柊、考えすぎだ」

 

いまいちしっくりこない古城と雪菜であった。

 

 

「でも、先輩が簡単に返事をしなくて安心しました」

「それは、当たり前だろ。オレにはまだ国同士のこととかよく分からないからな、今までの判断は人工島管理公社のお偉いさんに任せてきたし」

 

現在の絃神島の行政の大半は人工島管理公社が担っており、この国の代表は古城ということになっているが、まだ未熟なため完全にお飾りなのだ。

 

「オレも色々勉強しないとダメだな」

「そうですね、なるべくお手伝いします」

「悪いな、姫柊」

「私は先輩の監視役ですから、早く帰らないと凪沙ちゃんが待ってますよ?」

 

気を遣ってか普通の話に戻す雪菜。

 

「そうだな、1週間分寝溜めしないとな」

「明日は日曜日ですけど、お昼から予定が入ってますよ?」

「マジか…いつ休めばいいんだよ…」

 

途方に暮れる古城であった。

 

それから、久々に自宅に帰り凪沙と雪菜と夕飯を食べた古城は泥のように眠ったのだった――





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