文章の書き方を忘れて色々おかしいかも知れませんが我慢してください…
短い幕間ですが、どうぞ!
人間戦争と呼ばれたエジプト連合との戦争を終えて早くも10日ほどが過ぎ絃神島にも新しい春がきた。
おっとりとした春の陽気に似合わない忙しない2人組が道を走っている。
「先輩ったら、こんなに大事な日にまで寝坊するなんて…」
「仕方ないだろ!?昨日しか休みなかったんだよ!」
そんな2人は今日行われるアルディギアとの調印式典が開催される場所の方へと走って行った──
「遅いですよ、古城」
「悪い、ラ・フォリア…。最近公務が多すぎてな…」
「仕方ないですね、私がなんとか場を持たせますから。古城は正装に着替えて出てきてください」
ラ・フォリアは古城のくたびれたパーカーを見ると微笑みながらそう言って式典会場へと出て行った。
古城は急いで用意された服に着替え、ラ・フォリアの待つ会場へと出て行く。
「なっ…!?」
出るなりいきなり大勢から見られた古城は初めての経験に驚きの声を漏らす。
「古城、緊張するのは分かりますがとりあえず私に任せておいてください」
「ああ…」
そんなラ・フォリアの気遣いもあり式典は滞りなく進み最後に古城とラ・フォリアが熱い握手を交わす。
「見てください!アルディギア王国第一王女ラ・フォリア様と暁様が…き、キス…を?」
お決まりのセリフを言おうとしたアナウンサーの言葉が急に予想外のものに変わった。
ラ・フォリアがカメラの前で急に古城にキスをしたのだ。
「おい、ラ・フォリア!?」古城が慌てて素の自分を出してしまう。
「この際、既成事実を作っておこうかと」
「お前なぁ…」古城は自分にだけ聞こえるようにそう言ってきたラ・フォリアに呆れ、突然のことで周りが固まっている間に裏へと戻り逃げる。
「すみません、古城。ちょっと最近妬けましたので」
「だからってな…あんな世界中に放送されてるカメラの前で…」
「すみませんね」悪戯な笑みを浮かべながら可愛らしく首を傾げた彼女は奥へと消えていってしまった。
「先輩…」
「ひ、姫柊!?オレは別に悪くないからな!?」
「そう…ですね…」傍に来た雪菜の古城を見る目が痛い。
「とりあえずどうでもいいから帰って寝させてくれ…」
「わかりました…、あとは私たちでなんとかしておくので先輩は帰って休んでおいてください」
連日の公務で疲れきった古城を見て雪菜がため息をつきながらそんなことを言ってくれる。
その言葉に甘えた古城はこっそりと家へ帰り昼過ぎから眠りこけた──
「明るい…?朝まで寝てたか…」
昼過ぎから寝ていた古城は当然だがいつもより朝早く起きた。
凪沙を起こさないように気をつけながら部屋の外に出てなにか空腹を満たせるものを探す。
冷蔵庫の中はほぼ空っぽだった。
「仕方ない…コンビニでパンでも買ってきとくか」
古城はまだ眠い目をこすりながらゆっくりと家の外に出た。
「おはよう古城、こんな朝からどこ行く気なの?」
「煌坂か、悪いな起こしちまったか?」
「ううん、私結構朝は早いの。それに、疲れてる雪菜にこんな早くから監視任務を任せるのも気が引けるし」
「そうだな、優しいよな煌坂は」
「別に、あなたにお礼を言われるようなことは何も…」
「そうだな、コンビニ行くだけだけど一緒に行くか?」
「当たり前でしょ、ここまで来て行かないなんて有り得ないでしょ」
そう言って紗矢華は古城の隣をついてくる。
紗矢華が古城の『血の伴侶』となってから2人でどこかに行くことが多くなった。
単純に雪菜が忙しいということもあるのだがそれでも2人の仲は日を追うごとに良くなっている。
「なあ、煌坂」
「なに?」
「お前こんな早く起きて毎日何してるんだ?」
「髪の手入れとか部屋の掃除とか装備の手入れとか色々。舞威媛は隠密任務が多いから少ない睡眠時間でも大丈夫なように訓練されてるの」
「そうか…オレは最低でも6時間は寝ないとやってられねぇよ…」
「吸血鬼なのに朝から活動してるだけ大したものよ」
「お、おう」まさか自分が褒められるとは思っていなかった古城はなんとなく照れくさくなってしまう。
「ほら、着いたわよ。何を買うつもりなの?」
「家に何もなかったから朝飯になるようなものをな」
2人は早朝で客がいないコンビニへと入り菓子パンやおにぎりを適当に選び買い物を終わらせ帰宅した。
「おはよう…古城くん…今日は珍しく早起きなんだね」
「たまたまな、朝飯コンビニで買ってきた。何も無かっただろ?」
「そうだったね、すっかり忘れてたよー…」
笑いながら凪沙が頭を掻く。
彼女のこういうミスは珍しい、彼女もまた相当に疲れているのだろう。
紗矢華が雪菜を呼びに行き4人が揃ったところでニュースを見ながらいつも通り朝食をとる。
どのニュースも昨日のラ・フォリアが古城にキスをしたことばかりだ。
「やばい、今ラ・フォリアの親父さんが怒ってるのがちらっと見えたんだが…」
「ルーカス国王ですね、あの方は先輩の事を危険視していますから…」
「次会ったら絶対殺される…」
古城が命の危険を感じている間に食べ終わった他の3人はそれぞれ1日の準備を始めていた。
来週からは春休みが終わりまた学校が始まる。
凪沙も雪菜も高校へと進み古城たちも2年へと進級することになる。
実は期間も短く、忙しいのが学生の春休みなのだ。
凪沙は友達の家に課題を終わらせに雪菜と紗矢華は何やら獅子王機関から呼ばれているらしい。
古城はすることもないのでいつものように浅葱と基樹とファミレスで課題片手に他愛もない話に花を咲かせていた。
「ちょっと古城、さっきから全然手動いてないじゃない」
「あとちょっとだって思うとなかなかやる気がな」
「頑張れよ、古城。オレは終わったから寝るわ」
基樹はそう言うと本当に眠り始める。
浅葱もそれを見てなにやらスマホをいじり始めた。
「薄情だよな…おまえら…」
仕方なく残りの課題へと手をつけなんとか2時間ほどで終わらせた古城は浅葱がなにやら不可解な目で自分を見ているのに気づいた。
「どうした?浅葱」
「別に?」
「なんもないってことはないだろ、その顔」
「知らないうちに妻子持ちになってたやつにムカついてるだけ」
「うっ…」
浅葱は今回の戦いで雪菜と紗矢華が『血の伴侶』となったことを知ったのだった。
「私には興味なかったってわけね」
「いや、そうじゃなくてな!?」
「でも私にあんなこと言っといて、もう2人も伴侶がいるんでしょ?」
「いや、それは事故でだな…仕方なく…」
「はいはい、分かったわよ。もういい馬鹿らしくなってきた」
浅葱は言いたいことを言ってすっきりしたのか怒るのをやめたらしい。
「うるせぇな、お前ら…眠ってるやつのことも考えてくれよ」
2人の声に基樹が起きてしまう。
「悪い、うるさかったな」
「起きたもんは仕方ない、よしとするか。それより古城ちょっといいか?」
「なんだよ、改まって」
「いや、この国さ名前がないんだよ。報道の時は第四の
「そうだな、でも勝手に決めていいのか?」
「いや、皇帝が決めたら誰も文句ないだろ」
「めんどくさいし基樹が決めなさいよ、上級理事様」
「こういうときだけ、役職名で呼ぶなよ…」
「はい、じゃあどうぞ私たちの国の名前は?」
浅葱が基樹にそんな無茶振りをかます。
「え…あー…古城、いや…暁…暁の帝国…」
「は?」
「いや…だから暁の帝国ー…」
「もっと
「あー…ですよね。でも、ライヒ・デア・モルゲンロートだぜ?」
「浅葱、いいじゃないかなんでも。考えるのも面倒だしそれで行こう」
「古城、あんたセンスないわよ」
「そんな中二病的センスはいらねーよ…」
「まあ、古城がOKしたんだこれで通しておくからなー」
そんな言葉を最後に残し基樹は逃げるように帰って行った。
「あーあ、基樹のやつ逃げちゃったか。私も帰ろうかな」
「んじゃあ、帰るかオレらも。課題も終わったし」
「そうね、次会うのは多分始業式になるわね」
「1週間も休みあるんだぞ、また会うこともあるだろ」
「ふーん、じゃあどこか誘ってくれるの待ってる」
浅葱は少し嬉しそうな顔をして店から出ていった。
「会計はまたオレか…」
会計を済ませ家へと戻った古城に1通の手紙が届いていた──
次回から新章の予定です。
まだあまり話の内容を詰めれてないので更新が遅くなるかもしれませんがゆっくりお待ちください。
推薦してくれたメルたそさんにこの場を借りてお礼を…ありがとうございます^^*
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