幕間なのに尺をとるなんて…と思わずにお付き合いください。
「どうするか…」雪霞狼を持つ雪菜に散々追いかけ回された古城は3人に渡すプレゼントを睨みながら思案する。
もう昼になり今日ももうすぐ終わりへと向かう中3人にそれも別々にプレゼントを渡すのは至難の技だ。
「古城くーん、ご飯できたよー」古城は凪沙が自分を呼ぶ声を聞き彼女に頼んで雪菜と紗矢華を別々に呼び出してもらうことを思いついた。
昼食をたべるためにリビングへと向かった古城は2つの冷ややかな目線に思わず悲鳴をあげそうになった。
古城は凪沙が料理を運んでくると同時に素早く自分の分を掻き込み雪菜と紗矢華の視線から逃げるように自室へと戻った。
「あんな怒ってる2人に話しかけるとか無理がある…」
自分たちが古城のためにと家を空けてやったというのに、その間に自分たち以外の女の子を連れ込んでいたと思えば怒るのも仕方が無い。
怒りだすと古城の話を一瞬も聞かなくなるのは彼女達の悪い癖でもあるが。
「とりあえず凪沙にメールするか」隣の部屋にいるにも関わらず妹にメールを送る。しばらくして凪沙が部屋に入ってきた。
「どうしたの?古城くん。もしかして、雪菜ちゃんと紗矢華さんに謝るから手伝ってとか?」
「まあ、大体そんな感じだ」
「いいけど、何もないなら今行っても余計に怒らせるだけだと思うよ?」
「それはそうなんだが…何もないってわけじゃないんだ、2人には渡したい物があってだな」
「古城くんが、ホワイトデーにお返しをあげるの!?」凪沙は鈍感な兄が初めてホワイトデーというイベントに参加することを驚いた。
「まあ、色々世話になってるからな。それで呼び出して欲しいんだけどさ」
「なるほどねー、雪菜ちゃんか紗矢華さんかどっちが先?」全てを察したらしい凪沙がノリノリで話を進める。
「じゃあ…煌坂で頼む」
「ちょっと待っててねー」そう言うと凪沙は部屋から出ていい少し経って紗矢華が部屋へと入ってきた。
「どうしたの?いきなり呼んで、さっきのことで土下座でもするつもり?」
「いや、さっきのことは色々あってな…。それとは別に煌坂に渡したいものがあってさ」
「渡したいもの?」さっきまでの冷たい視線がなくなりなにか期待するような顔になる紗矢華。
「もし気に入らなかったら捨てるなりなんなりしてくれていいんだけど、これ」そう言うと古城は2つの箱を取り出し紗矢華の手の上に乗せる。
「えっ…あっ、開けてもいい?」
「反応は怖いけど開けてくれ」
「うん…」紗矢華が大きめの箱に手を伸ばし、恐る恐る箱から中身を取り出す。
「どうだ?」
「…、…けて?」
「え?」
「その…つけてくれる?」紗矢華は古城に髪飾りを渡し後ろを向き、古城の方に長くて綺麗な髪を向けてくる。
「ああ」
「お願い…」古城が髪飾りを付け終わると2人を沈黙が包んだ。
「もう、似合ってるとか似合ってないとかなんとか言ったらどうなの?」
「あ、ああ悪い。すごく似合ってる、普段でも綺麗な煌坂が余計に眩しく見えるよ」長くて綺麗な紗矢華の茶髪のポニーテールに銀の髪飾りの輝きはかなりよく似合っていた。
「そう…?ありがと…」
「もう1つも開けてみてくれ」
「うん…」紗矢華はまた恐る恐る箱から中身を取り出した。
「どうだ?」今度は古城が聞いた。
「綺麗…」
「髪飾りと同じ感じのにしたけどそれでよかったか…?」
「うん、これがいいの。高かったんじゃないの…?」
「そっか、煌坂は気にしなくていいんだよ。いつも世話になってるお礼に貰っといてくれ」
「うん、ありがとう…大事にする…」紗矢華は照れた時特有のしおらしさでそう言った。
「喜んでくれたみたいでよかったよ」
「古城…?そのお返しに…」
「ん?…いやいやなにやってんだ!?」
「だから…お返しに私の血を吸わせてあげようかなって…」
「いいのか?」ここで拒めば紗矢華を傷つけることになり古城も紗矢華の血を吸いたくないわけもないので確認をとる。
「うん…好きなだけ吸っていいわよ?」
「じゃあ…遠慮なく」そう言うと古城は紗矢華の首元へと顔を近づけ、白く柔らかい肌に牙を突き立てた。
「うっ…」
一瞬のチクリとした痛みに紗矢華が声を上げたがすぐに古城に身体をあずけてきた。
古城はそれを最後の確認とし本能のままに紗矢華を抱きしめ白い肌に牙を埋め血を吸っていく。
「あっ…ん…」
古城は吸血されるとき特有の快感に声を上げた紗矢華をさらに抱きしめ白い首元から牙を抜いた。
「お返しのつもりだったのに血を吸ってごめんな」よろける紗矢華を受け止めしばらく余韻に浸った古城は紗矢華の頭を撫でながら言った。
「嬉しかったからいいの、それと嫌なことがあったわけじゃないなら謝らないで。私の血に不満があるみたいでしょ」今更になって恥ずかしくなったのか紗矢華は顔を真っ赤にして早々と乱れた服を整え部屋を出ようとする。
「おい、煌坂!」
「ど、どうしたの?」
「これからも迷惑かけると思うけどよろしくな」
「──」部屋を出ようとして振り向いた最後に紗矢華がなんと言ったのかは聞こえなかったが喜んでくれたのならそれでいいと古城は安堵した。
「紗矢華さん満足してくれた?」紗矢華が部屋から出て行き1人になった古城の所に凪沙がやって来る。
「ああ、なんとかな」
「じゃあ、雪菜ちゃん呼んでくるねー」
「凪沙、ちょっと待ってくれ浅葱に連絡する」古城は携帯を掴み浅葱に19時に待ち合わせをしたいという内容だけの簡単なメールを送った。
「もういい?」
「ああ、姫柊を呼んできてくれ」
「はーい」凪沙が部屋から出ていき、またしばらくして雪菜が部屋へと入ってきた──
短くてすみません!風呂あがり次第雪菜の話も出そうと思うので少しお待ちください( ̄▽ ̄;)
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