個人的にFate/ 君の名は ISなどの中にストブラが混ざってて嬉しいです笑笑
今回、雪菜回かつ第1章が早くも終了します!雪菜は正妻ポジを取れるのでしょうか
それでは、どうぞ!
「あーもう、どうなってるのよ…」浅葱はぼやきながらエラー表示で埋め尽くされた画面を見つめながら文句を垂れている。
「ケケッ、どうやら龍脈の魔力にちょっかいかけてるやつがいるみたいだな」妙に人間臭い口調のAIが現状を報告する。
「それじゃ、魔力建材は使えないわね…なんとか頑張っては見るけど半日くらいしか保たないわよ」
「十分だ、半日保てば吸血鬼の兄ちゃんが何とかしてるだろうよ」
「古城のやつ…後で覚えておきなさいよ!モグワイ!」昼に古城と話していたときにはぐらかされたことを思い出した浅葱は荒々しく相棒のAIに命令し仕事をこなしていった──
次々と迫り来る獣人をなんとか退けようとするが、元から身体の丈夫さが魔族の中でも抜きん出ている獣人が強化されているだけありジリジリと包囲網を狭められていく。
「紗矢華さん!まずいです、このままだと私達みんな八つ裂きにされちゃいます」獣人の群れの先頭の何体かを蹴り飛ばし、後ろで負傷した古城を抱えながら戦う紗矢華の方を向く。
「しっかりしなさいよ、古城!あなたが守らないなら誰がこの国を守るのよ!」傷だらけの古城の顔にビンタをくらわした。
「怪我人にビンタはないだろビンタは…」
「ご、ごめんなさい」
「それにまだ眷獣を使えるほど回復してないんだ、無理に使って暴走したら意味が無いしな」身体の傷は表面こそ治りつつあったがまだ中身がくっついていないのか動けそうにない古城が苦しい顔をする。
「その…暁 古城?」
「なんだ、煌坂こんなときに」紗矢華が迎撃をやめたことで負担が格段に増えている雪菜の方を心配そうに見つめながら古城が返す。
「ほんっとうに、不本意なんだけど…私の血を吸わせてあげる。雪菜は今日は危ない日だし…、その…、緊急事態だから…」
「なんで、お前が姫柊のことをそこまで知っているのかはこの際聞かないが、いいのか?血を貰えるならオレとしても嬉しいんだが」吸血鬼が人間の血を吸う場合、月齢などの条件が重なると吸血された人間は『血の従者』つまり1代限りの擬似吸血鬼になってしまうのだ。
「よくなかったら言ってないわよ!」
「そうだよな」雪菜が無理となると今は紗矢華しか古城に血を与えられる者がいない。傷口から血を摂取したり、血液だけを貰うことも出来るのだが吸血鬼にとって血の鮮度は重要なのだ。どんなに高い霊力や魔力を内包した血であっても1度空気に触れてしまえば力が逃げてしまい血液の中には本来の1/10ほどしか残らなくなってしまうのだ。
「煌坂…」今の状況で生半可な力では足りないと感じた古城は覚悟を決めて紗矢華を呼ぶことで吸血の意思を伝える。
無言で綺麗な首元を露わにし古城に寄りかかることで紗矢華も了承の意を伝えた。寄りかかる紗矢華を激しく抱き寄せた古城の口からは通常の人間よりも1回り長くなった犬歯が覗き、紗矢華の綺麗な首元へと吸い込まれるように近づいていき、その白い肌に牙を突き立て優しく噛み付いた。
「あっ…、んっ……、はぁっんっ…!!」紗矢華の艶かしい声が響き渡った──
「もう、いいですか?先輩」横目で古城と紗矢華の吸血シーンを見せつけられなかなか離れない2人にイライラする雪菜が声をかけた。
「悪い、待たせたな姫柊は下がっててくれ。煌坂を頼む」そう言うと吸血後特有の力が抜けてしまった紗矢華を雪菜に預け獣人の群れへと向かっていく古城。
「こいよ、お前ら。全員まとめてぶっ飛ばしてやる!!」
古城の怒りに呼応するように飛びかかる獣人の拳や蹴りや爪による斬撃は古城の周りに展開される金剛石の壁によって何一つ通らない。
「
「レイハーネ!こんな獣人いくら用意しても無駄なことは分かっただろ!大人しく降りてこい!」ビルの上に座るレイハーネの方を向きもう終わりだとばかりに叫ぶ古城を見てレイハーネが高々と笑い出した。
「ハハハハハハ!勝ったつもりでいるのか第四真祖。存外傲慢なやつだなお前も」
「先輩!」周りに残っていた獣人の中にある魔力濃度の急激な高まりにいち早く気づいた雪菜が古城に危険を知らせたのと同時に周囲の獣人の身体が自らの魔力濃度に耐えきれず凄まじい光と魔力波を伴いながら爆散する─
「先輩…?」
「暁 古城…?」あれだけの爆発があったにも関わらずかすり傷1つ付いていない自分たちを見て古城が助けてくれたのだと悟った2人は目の前にいる少年の名を呼ぶ。
「ああ、なんとか大丈夫だ」そう告げる古城の前には雷光を纏った巨大な獅子が3人を守るように身体を入れていた。古城の方も服にはところどころ焦げたあとがあったが怪我はしていないようでそのことに安心したときだった。古城の後ろが淡く光り、美しい人魚の姿をした眷獣と共に綺麗な鞭を持ったレイハーネが現れ古城に軽くその鞭を当てたのだった。
「お前達、今すぐここから離れた方がいいと思うぞ?」後ろにいた雪菜と紗矢華の方へそう言いながらレイハーネは古城から距離をとる。
その瞬間古城の叫び声と共に膨大な魔力が彼の身体から噴き出し、その圧倒的な暴風に吹き飛ばされそうになる2人。
「先輩に何をしたんですか!!」
「お前達が今まで見てきたのと同じことだ。私の眷獣で第四真祖に魔力を供給しているんだよ限界までな」
「こんな魔力一体どこから…」雪菜は古城から溢れる異常すぎる魔力濃度に危険を感じながらもレイハーネへと問う。
「まだ分からないのか?この島には何が通っている?」
「まさか龍脈を!?」
「無限にも等しい魔力源の龍脈と世界最強の吸血鬼とも言われる第四真祖この二つが合わさればどうなるか、お前達はもう知っているのだろう?」そう言われ、真祖大戦でヴァトラーが龍脈の力を眷獣に合わせて使っていたことを思い出す。
「そんな…あれが暴走したらこの島くらい一瞬で失くなってしまうじゃない…」
「それでいい、この島には私のために沈んでもらう。まだ若干の意識が残っているようだがそれも時間の問題だ。第四真祖が完全に暴走しこの島が沈めばあいつは私の
「なんのためにそんなことをするのかは知りませんが、先輩は返してもらいます!」そう言うと雪菜は雪霞狼を持ち暴走する古城の方へと走っていき古城の周りに吹き荒れる魔力波に槍を突き立てる。雪霞狼の神格振動波駆動術式が展開され古城の身体から出る魔力波と一瞬の間拮抗する。しかし、すぐに雪菜は弾き飛ばされてしまった。
「無駄だ、剣巫。お前の持つ
「無限には無限をぶつければいいということですね…」
「まあ、そうなるな。どう足掻いても不可能なことだが」まだ古城を諦めない雪菜に哀れみを感じたのかレイハーネが冷ややかに笑う。
「それなら…」雪菜は雪霞狼を握りしめ瞑想を始め、彼女の瞳は一切の感情をなくし、凪いだ水面のように古城だけを映していた。
雪菜の美しい肌と艶やかな唇が異形の人外を想わせる。
「
剣巫とは即ち巫女である。雪菜は強大な神霊を自らの身体に憑依させることにより人間では届かないレベルの戦闘力を手に入れたのだった。わずかでも制御を誤れば自らの人格を破壊し、周囲に凄まじい災厄を引き起こすことになるだろう。しかし、雪菜はその力を完全に制御していた。
「雪菜…」古城のためとはいえ迷わず
感情の消えた瞳で紗矢華の方を見た雪菜が古城の方へと走って行きもう1度槍を突きつけると同時に周囲に花弁を連想させる神格振動波の結晶を生み出し古城から溢れる魔力を次々と消していく、しかし数分の拮抗の後またしても雪菜は弾き飛ばされてしまった。
「雪菜!」無防備に投げ出される雪菜を受け止め心配する紗矢華。
「先輩…」しかし、雪菜には古城のことしか見えていないらしい。
「雪菜!!あなたがそこまでする必要はないはずよ。もう古城は止められないの!」
「ダメなんです。私は先輩に一緒に背負うって約束しましたから」雪菜は古城と出会って間もない時のことを思い出しながら紗矢華が制止する手をどける。
「紗矢華さん、先輩を止めてきます。私がもし帰ってこれなかったら先輩のことをよろしくお願いします。先輩は私がいないとすぐ無茶をするんです、誰かが見ててあげないとダメなんです。」そう言いながら雪菜は指から古城の肋骨を元に作られた
「ダメよ、雪菜!他の方法だってきっと!」雪菜に帰ってくるの意思がないことを悟った紗矢華は必死で止める。
「紗矢華さん、そんな時間はもうありませんよ。先輩によろしくお願いしますね」再度紗矢華の手を振りほどいた雪菜の身体を白い光が満たし背中から白銀の翼が生えてくる。
「
そんな彼女には見向きもさず純白の天使となった雪菜は未だ叫びながら圧倒的魔力を撒き散らし続ける古城の方へとゆっくりと進んでいき、慈しむように古城の身体を抱きしめる。
紗矢華の目には、古城を抱きしめる天使の瞳にうっすらと涙が流れたように見えた。永遠にも思える時間抱き合った2人を爆風が包み残されたのは抱き合う2人を閉じ込めた神格振動波の結晶だった。
「嘘だ…こんなことが…」計画が破綻し狼狽えるレイハーネを無視し
紗矢華は煌華鱗で2人を閉じ込める結晶を砕き古城と雪菜を引っ張り出した。
「煌坂…?」
「このバカ真祖!」目を覚ました古城に泣きながらビンタをくらわせる紗矢華。
「どうしたんだ、姫柊は…」自分の隣に横たわる天使の姿を見て全てを察した古城。
「あなたのせいで、雪菜がこんなことに!」呆然とする古城の胸を叩きながら泣き叫ぶ紗矢華の手から雪菜が付けていた指輪が転げ落ちる。
その指輪を拾い、救いを求めるかのように天使となった雪菜の指へと嵌める古城を嘲笑うかのように指輪が音を立てて砕け散る。
「もう、何をしても助からないわよ」
「そんなっ、なんで姫柊はオレのためにこんな!」
「あなたのためだからでしょう!雪菜はあなたと約束したからって、一緒に背負うって約束したからって!世界最強の吸血鬼なら、自分の周りくらい守りなさいよ!なんとかしなさいよ!」
「そうか…姫柊はそこまで…姫柊が命を張って助けてくれたならオレも命を張らないとな」紗矢華の言葉で我に返った古城はゆっくりと天使となった雪菜の身体へと近づいていく。
「ぐっ!!」雪菜に触れただけで古城の身体を雪菜の体から溢れる膨大な神気が犯す。
「姫柊…」その痛みをこらえ雪菜の首元へと顔を寄せ自らの牙を突き立て雪菜を離さない古城。
「ちょっと、何やってるのよ…。指が…」古城が何をしようとしているのかが分からなかった紗矢華だったが雪菜の指先が元に戻っていることに気づく。
「雪菜の身体にある膨大な神気を吸い取ってる…?」魔族にとって身体に神気を入れるということは自殺行為にも等しいことであり、身体が焼けるなどという程度では済まない痛みが古城の身体を襲っているはずだ。現に古城の口や身体の末端は焼けただれたように黒く変色している。しかし、そんな痛みを全く感じさせず古城は雪菜の首元から口を離さない。
「それ以上やったらあなたの身体が」古城の身体の8割程が黒ずんできたところで紗矢華が見ていられないと目を背ける。
「第四真祖っていうのは、世界最強の吸血鬼なんだろ。傍にいる女の子1人を救えないで何が真祖だ、皇帝だよ…オレは姫柊を助けるまで絶対に離さない」そう言いながら雪菜の神気を吸い続けた古城の祈りが届いたのか、雪菜の腕が古城の頭を抱き寄せた。
「もう…ボロボロじゃないですか…。無理しないでって言ったのに…。やっぱり私がいないとダメなんですから…」全身が黒ずみ見るに耐えない姿となった古城に抱きついたのはいつもと変わらない雪菜だった。
「よかった…姫柊戻ってこれたんだな…」
「よくないですよ、自分の身体を見たらどうですか?」微笑みながら古城へそう言いながら、制服の襟をまくり首元を古城の方に向ける雪菜。
「多分、今先輩に血を吸われたら私はほぼ確実に先輩の『血の伴侶』になっちゃいます。でも、それでいいと思うんです。先輩は私がいないとこうして無茶ばかりしますし。何より先輩と約束しましたから、全部一緒に背負うって」
「姫柊…」雪菜の覚悟を改めて知った古城は感慨深そうに雪菜の名前を呼ぶ。
「先輩、私は先輩のことが好きです。先輩とずっと一緒にいたい、最後まで先輩の力になりたい、そう思うんです。だから、もし先輩が私を『血の伴侶』にしてもいいと思うなら好きなだけ血を吸ってください」
「姫柊…先輩先輩って何回言うつもりだよ」そう言いながら再び古城は雪菜の首元に顔を埋め牙を突き立てる。
「あっ…んっ…先輩…」古城に本能のままに激しく血を吸われ声が漏れてしまう。
「姫柊はやっぱりいい匂いがするな」すっかり回復した古城が懐かしいことを言った。
「まったく…先輩は本当にイヤラシイ人ですね」
「あのー…見つめあってるところ悪いんだけど、私がいることも忘れないでくれるかしら?」熱い吸血シーンを見せられ顔が赤くなっている紗矢華がレイハーネを連れて2人の所へやってくる。
「ああ、悪いな煌坂」急いで抱き合っていた身体を離し紗矢華の方へと体を向ける。
「それで、この子の身柄なんだけど…」
「そやつの身柄は渡してもらうぞ、第四真祖」そう言いながら紗矢華からレイハーネを奪い取ったのは、突如現れたのは滅びの王朝の第9王子イブリスベールだった。
「待てよ、イブリスベール!」
「こいつは滅びの王朝の吸血鬼だ、今回の処罰はこちらで決める」
「それじゃ、こっちの気が収まらないって言ってるんだよ!」イブリスベールに食ってかかる古城。
「そうか、ならこうしよう」そう言うと突如レイハーネの周りに竜巻が生じ彼女の体は跡形もなく消え去った。イブリスベールの眷獣ドゥアムトエフによる攻撃だ。
「おい、なにやってんだよ!」いきなりのことで叫ぶ古城を見てイブリスベールが嘲笑う。
「以前お前には真祖の器があると言ったが、どうやら間違いだったようだ。お前はただの我儘な子供だ、第四真祖。いや、暁 古城。いずれ今回の件については聖域条約機構を通してそれ相応の謝罪をする」そう言い残しイブリスベールは霧となって消えてしまった。
「クソっ…イブリスベールのやつ」それなりに話の分かる相手だと思っていただけに古城の中にある感情は複雑だ。
「先輩…とりあえず、今は帰りましょう」
「そうね、私たちもボロボロだし…街もだいぶ壊れちゃってるし」
「そう…だな」
「そういえば、紗矢華さん。先輩のことを呼び捨てにしてませんでした?」
「いや、ち、違うの雪菜!その…それは古城がそうしろって言うから…」
「私がいないあいだになにかイヤラシイことでもされたんですか…?」どんどんと声が小さくなる紗矢華に質問攻めをする雪菜。
そんな2人のやり取りを見ていて緊張感がすっかり失くなってしまった古城は2人のあとに続いて凪沙の待つ家の方へと歩いて行った──
疲れた…。
どうだったでしょうか…これにて第1章 滅びの王朝の逆徒編は終了となります。(若干の加筆修正を後で加えるかも知れませんが)
さて、第1章が終わったということで批判でもよろしいので感想&評価をいただけたらなというか…是非お願いします!
次回からは数回の幕間を挟みつつ短めの第2章へと移っていけたらなと思います!
今のところ第3章まではしっかりとした話を考えられているので当分このスピードで更新できそうです^^*