ブーディカさんとガチャを引くだけの話   作:青眼

8 / 28
さて、今回は女神ピックアップについての報告会です。オマケで、早々にやめた新宿ピックアップ(復刻版)についての話もあるので要チェック!

………はい、本編を更新するとか、次はサーヴァント強化クエスト組だとか言ってましたけど全然違う方向に進んですいませんでしたーーー!!! 何でもするので感想・指摘ください!! 

結果はですね。もう死んでも良いです、私。死にたく無いけどネ!


女神ピックアップ? おいおい、誰か足りなくないか?

「ブーディカ!! 番号札4番に作り置きしておいたターキーを出してくれ! それから、スープの残量はどうなっている!」

「あと半分くらいかな!? それよりターキーって事はアルトリアオルタかい!?」

「うはははははは! オカンとヴィクトリアよ! そろそろ味噌汁と米が無くなるぞ! 炊き出しはどうなっているのだワン!?」

「今米を洗い終わったとこだ! 次のご飯は30分待ちだと奴らに伝えろォ!」

 

 御飯時。それはどんな人間でさえ戦いより優先する物である。それは、たとえ人理を取り戻す戦いの最中であっても、あと数日で世界諸共自分が死ぬという時も変わらない。

 少なくとも、昼食と晩飯は特に酷い。2017年から先の未来を取り戻した事で、食料などの消耗品が補給できるようになった。なので、今まで割と抑えてくれていたサーヴァント達の食欲が解放されたのだ。加えて、アルトリア(リリィ)様に丁寧な味を好む人たちがいるのに対し、キリツグさんやアンデルセンみたいに、とりあえず腹が満たれば何でも良い人たち。挙句、ナーサリーや茨木といった甘い物が食べたい人たちに合わせて作っている。

 しかし、毎回毎回こちらの予想を超える量を平らげるので、その後追いをする羽目になり、毎日が忙しい事になっている。

 

「おい! 誰か麻婆豆腐を注文した馬鹿がいるぞ!?」

「なっ、誰だそんな無謀な事をした奴は!? 下手をしたら死人が出るぞ!?」

「注文したのは………あ、書文さんだ」

「先生チャレンジャーすぎるのだな!! まぁ良い、ならば先生の挑戦に答えてやるとしよう! それが、厨房に立つ我々の存在理由なのだからな!!」

 

 こういった、遂に食に対して修行を行う一部に人たちに合わせるべく、今日も厨房は慌ただしく活動する。

 

ーーー行くぞコックども。食材の貯蔵は十分か?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーつっかれた~~!! ったく、今日は今まで以上にしんどかったぁ!」

「確かにな。いやいや。まさか、パッションリップがあんなに飯を食べるとは思わなかった」

「けど、凄く美味しそうに食べてくれるから、作り甲斐があるんだよね~」

「うむ! しかし、スキルレベルが上がってないせいで留守番役なのだな! あんなに大量のご飯を食べれば、胸もあそこまで膨れ上がるというもの! ところでご主人、バレていないとはいえリップの胸を凝視するのはキャットとしてはポイントが低いので注意するがよい」

「!? なぜ、バレた…………!?」

 

 現在厨房組。ようやくピークを過ぎ去った俺たちは、ほぼ誰もいなくなった食堂に集まり、残り物を使った簡易な食事をしていた。といっても、作る人たちのレベルが高すぎるため、余り物でも豪勢な物に様変わりする。

 

「あ、エミヤ。あとで駄賃くれ。ガチャ回してくる」

「了解だ。今日のバイト代を出そう。聖晶石2つでどうだ?」

「ん~~、呼符残ってないか? 個人的には単発回してきたい」

「そうか? お前がそう言うなら別に構わないが……」

 

 虹色に輝く石を仕舞い、代わりに黄金の札を渡してくれるエミヤ。今は、何故か発生した特殊なピックアップと、呼符やマナプリズムが自然発生するという、謎の現象が発生している。誰かが意図的に作っているのは分かってるんだが、一体誰ガヤッテルンダロウナーーー(棒)

 

 

 ついでに書くと、去年と同じように茨木童子が大ボスとなって襲撃にしにくる、『鬼哭酔夢魔境 羅生門』も発生しており、そのピックアップも行われている。………まぁ、俺は去年の内に酒呑も茨木も所持しているので、ガチャを回さなくてもいいので気が楽だ。

 

「さてと、んじゃとっとと回しに行くかな。誰か付いてくるか?」

「私は辞めておこう。ここに新たなサーヴァントが召喚されるかもしれん。一応、残った食材で何か作って待っておくさ」

「ふむ……。付いていっても問題ないのだがそろそろ昼寝の時間なので辞退させてもらおう!」

「じゃあ、私は付いて行こうかな。エミヤ君に任せておけば、厨房は大丈夫だからね」

 

 こうして、食堂に揃った料理人達はそれぞれの持ち場に戻るのだった。前回のコラボイベントで散財したため、あまり石は残っていない。カルデアにいるダ・ヴィンチちゃんと、今のイベントで手にいてた呼符を握りしめ、俺たちは召喚場へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

「お前ら~~~! 女神様に会いたいか~~!!」

「お、お~~~~!!」

「太陽神(の分霊)に~~! 会いたいか~~~!」

「お~~~~~~~!!」

「それでは参りましょう、今回のチャレンジャーはこの方! 宿敵同士を召喚させて、施設が壊される事に胃を痛めている胃痛系マスター。黒鋼研砥さんで~す!!」

「おいコラ! 確かにその通りだけれど、他にも言うことがあるだろっ!?」

 

 突然始まったこの茶番。召喚場に向かう途中で会った玉藻さんを連れて来たのだが、服の何処かに隠していたであろうマイクを取り出すなり、何処かで見たことのあるバラエティー番組司会の真似事を始めた。ご丁寧にスポットライトまで用意する周到さである。さすが女神。準備が早い!(呆れ)

 

「ん~~、少しノリが悪いですよマスター? こういう時は明るく前向きに楽しむべきです!」

「いきなりそんな事されても、逆に困惑するだけなんだが……。ま、まぁでも、玉藻さんが善かれと思ってしてくれたのは分かってるからなぁ……」

「研砥、そこは甘やかすとこじゃないと思うんだけど。というか、前回といい今回といい。私たちを酷使し過ぎよ」

 

 ため息まじりに呟いたのは、俺の元にやって来てくれた初めての星4アーチャー。カルデアにいるイリヤスフィールという星5キャスターの(自称)姉、クロエだ。ロビンの絆レベルが10になってからというもの、彼には休暇を与えてしまったから代用としてクロエを連れましている。ここにいるのも、少し休憩させるためなのだが、本人から苦情が出るレベルにまで悪化していた。本当に申し訳ない。

 

「悪いな。ロビンには休暇を出したから、代わりにクロエを連れて来たんだが……。やっぱり、少し休むか?」

「別にいいわよ。貴方がそれだけ私を頼りにしてるって証拠なんだし。別に悪い気はしないわ。あ、でもでも! 戦闘後に魔力供給よろしくね♬」

 

 蠱惑的に微笑みながら舌舐めずりするクロエを見て、寒気がした俺は後ずさる。何故なら、前に魔力が足りないと言ったクロエが、家のキャスター勢に片っ端からキスして回った惨状を知っているからだ。一応合意の元とはいえ、やられた側がとんでもない顔をしてるから、余計(たち)が悪い。

 

「にしても、復刻版とはいったものの、酒呑ちゃんとばらきーちゃんがピックアップされて、金時さんがピックアップされないってのはどういう事なんですかね?」

「確かに……。羅生門って、金時君が活躍するイベントでしょ?」

「確かにそうだな。あ、もしかしたら、羅生門が終わった直後に、今度は続編の『鬼ヶ島』が始まって、その時にピックアップされるかもな!」

「それ、本当に極悪すぎるわね。よく飽きもせずガチャを回せるわよね~あなた達」

 

 現在進行形で行われている、女神系のサーヴァントをピックアップしたものと、羅生門のピックアップを見比べた俺たちは、大体似通った感想を言い合った。家はライダーの金時はいても、バーサーカーの金時がいない。居たらい居たですごく助かるのだ。主に、頼光さんや酒呑へのスケープゴート役として(黒笑)。

 

「さてと、どっちからガチャ回そうかな~。羅生門は礼装が欲しいだけだし、とりあえず交互に回してみるかな」

「ま、今回は気合い入れていきなさいよ? 前に散々爆死してるんだから、何か出さないと本当に地獄よ?」

「クロエちゃん。それ言っちゃダメなやつだよ……」

 

 集まってくれた3人に感謝しながら、とりあえず呼符を一枚、二枚と投げつける。今日も元気よく召喚システムは起動し、投げつけた枚数と

同じ数だけカードを吐き出す。

 

「おっ、『月霊髄液』か。これで3枚目だけど、中々優秀なカードじゃないか」

「無敵3回付与って結構使えるわよね~。……ま、最近無敵貫通状態の敵が多いから、何とも言えないけど」

「天草の宝具も受け切れる優秀な礼装だし、使い道はあるだろ」

 

 次々に呼符を投入していくが、出るカードの殆どが礼装だらけ。かれこれ7枚も呼符を投げ続けているが、召喚されたサーヴァントはメドゥーサさん1人だけ。女神ピックアップの方は礼装もピックアップなんてしてないはずだから、それなりにサーヴァントが出るはずなのだが。どうしてこんな事に……。

 

「あら、また星5の礼装じゃない。『2030年の欠片』って、さっきのと同じくらい優秀な礼装よね?」

「……いや、本当にどうした今回のガチャ。前回は前回で礼装祭りだったけど、ここまで優秀な礼装祭りは久しぶりだぞ?」

 

 毎ターンクリティカルスターを8個生産する最強礼装を手にしながら、ここでガチャをやめるべきか真剣に悩む。イベントやらダ・ヴィンチからもらった呼符の総数は約20枚。だから半数の10枚だけ回すと決めていたのだが、ここまで優秀な礼装ばかりなら、ここでやめるのもありかもしれない。

 

「どうすっかな~。サーヴァントは来てくれなかったけど、ここまで便利な礼装が来てくれたんなら、ここで辞めていいんだが……」

「申し訳ありませんマスター。お願いですから、お願いですからもう一度回してくださいまし!! 私、最後に出されたのがあれなのは絶対に嫌です!!」

 

 何故か俺の手を握ってまで嘆願する玉藻さん。そう言えば、『2030年の欠片』に描かれていた男性は、確か玉藻さんの元マスターだった。彼女曰く、『欠片男』は元カレで、『勝利者』は今カレだそうな。余談だが、俺は今カレと会う前の予行練習的な感じなので、擬似的な彼氏、略して擬似カレだそうな。まるで意味がわからないが、少しイラっと来るぜ!

 

「分かった分かった。それじゃ回すぞ~」

 

 9枚目の呼符を放り込み、システムを再び起動させる。今回の光のラインは3本。召喚されたサーヴァントのクラスカードは、黄金に輝く騎兵のカードだ。

 

「久しぶりに星4以上のライダーだね。え~と……今回だと、ケツァル・コアトルがピックアップされてたんだっけ?」

「ブーディカさん。そんな簡単に星5が来てくれるなら、前回辺りにギルとかメルトリリスを召喚できてるだろ? これはきっと、あれだ。龍を召喚してぶつける聖女様だよ。まだ持ってないし」

「ん~、もしかしてピックアップスルーで王様来るんじゃないかしら? ほら、あのエジプトの王様」

「どっちにしても太陽系の神性持ちなんですけど。まぁ、そっちの方が? 私とキャラ被りしなくていいですから楽ですけどね」

 

 四者四通りの意見を述べ後、遂にサーヴァントの現界が始まった。黄金に輝くカードから徐々に体が露わになる。

 

 

 始めに目に映ったのは、ここにいるクロエと良く似た朝黒い肌色。次に目に入ったのは、どこかの民族衣裳を着た背の高い女性。そして、最後に目が捉えたのは万人を照らす太陽の如き笑顔。

 

「ハァーイ! 女神ケツァル・コアトル。出番と聞いて駆けつけたわ! あら? 裸の神官かと思ったら、随分と可愛い召喚者なのね? うふふ。背の高いお姉さんは嫌いかしら?」

 

 他の人と比べて長い召喚口上の後、サークルに降り立った女神ケツァル・コアトル。その圧倒的な存在感に気圧されて、俺は息も忘れて目の前の女性を見つめていた。

 程よく露出した手足は美しく、後ろで一つに括られた金色の髪。ブーディカさんと良く似た、自然を思わせる翡翠の瞳。それを正しく理解した後、俺は塞がっていた口を開いた。

 

「け、ケツァルさんが来たァァァァァァァァ!?!?」

「ワァオ! 厚い歓迎デース! お呼ばれじゃなかった悲しかったので、嬉しいデース!」

「げぇ。本当に来ちゃいましたよ彼女。私とキャラ被りしちゃうから苦手なんですよねぇ。クラス相性的にも不利ですし」

 

 ピックアップされていた星5のライダー。ケツァル・コアトル。第七特異点では人類悪と化したティアマト神に特攻を仕掛けたり、最後の最後でマーリンに人類最古のコブラツイストを叩き込むなどなど。色々

笑い話を作り上げたあのケツァル・コアトル様が降臨していた。

 

「やっべぇよ。やべぇよ俺。ついこの間まで全然召喚できなかった運が回って来たぞォ!」

「やったね研砥! 今回は、溜め込んでいた種火も無駄じゃなかったね!!」

「ふぅ。ま、これ以上グレられたら堪ったものじゃなかったし、良かったんじゃない?」

 

 わいわいがやがやと賑やかになる召喚場。新たに召喚できた英霊、しかも宝具封印バスター宝具持ちという、どこぞの太陽王と同じ性能を誇るライダーの召喚に成功した。これは嬉しい。非常に嬉しい。

 

「さて! このまま終わるのもいいんだけど、まだ10枚目が残ってるし、最後にガチャを回すぞ~」

「いや、ここでやめときなさいよ研砥!? ここで低レア引いても意味ないでしょ!?」

「意味ならある! 何故なら! そこにガチャがあるのだからっ!!」

「思考停止してガチャ回すのはやめなさいよーーー!!」

 

 クロエの制止を振り切って最後の呼符を投げつける。今回最後のガチャのラインはまたまた3本。中央に光の柱が立ち昇り、その中から出現したのは、さっきと同じ黄金に輝くカード。描かれたのは魔術師のカードだ。

 

「えぇぇぇ!? れ、連続で高レアサーヴァントを召喚!? 10連ガチャもしてないのに!? 今回のガチャ運振り切ってない!?」

 

 目の前に広がる光景に驚いたクロエが叫ぶ。しかし、俺はそれに反応することなくサークルから少し離れて、左手を力強く握り締めて前屈みの体制に入る。

 

「……一応聞くんだけどさ。何してるの、研砥?」

「知れたこと。孔明が召喚されたら『座』に送り返す為に準備してるだけだ」

「「「やっぱ家のマスター捻くれ者だ!!」」」

 

 人理を救う旅を始めて既に500日が経ち、未だに召喚されない最高クラスのキャスター・諸葛孔明。その圧倒的な性能で多くの戦いをサポートして来た。だが、俺はその彼を殆ど使った覚えはない。理由は至極簡単。

 

「家の女王様を拉致った挙句、眠らせて放置たぁいい度胸してたからなァ。出会い頭に一発ぶん殴るのは様式美だろうがよォ………! つーか俺は、あんな使えば勝てる系のサーヴァントは種火周回以外使わねぇ……!」

「お願い、お願いだから元の研砥に戻って!? 子供達に見せられない顔してるよ!?」

「ふーん。今回のマスターは中々やりますねぇ! では、私も便乗して……」

「お願いですから悪ノリはやめてください!! というか、貴方は貴方で酷い顔ですよね!?」

 

 さりげなく顔☆芸を披露する俺とケツァルさん。いつでも殴り飛ばす準備が整ったその時、遂に高レアキャスターの現界が始まった。

ーーー直後、召喚されたその姿を見た時、俺の頭は再び考えることを放棄した。

 

 

 

 海の様な深い青色の巫女服を身に付け、桃色の髪から伸びる狐の耳。腰の辺りから伸びた黄金色に輝く尻尾。そう。彼女の名前はーーー

 

「御用とあらば即☆参☆上! 貴方の頼れる巫女狐、キャスターここに降臨☆ です♡」

 

 星5の、最高レアリティを誇るキャスターの一人、ここでは二度目の登場となる『玉藻の前』。平安時代において、大妖狐として都を荒らし、太陽神・天照大神の分霊たる彼女が、ここに再臨していた。

 

「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

「う、嘘でしょ!? あの研砥が、本当に単発で星5を二人も召喚したですって!?」

「というか私二人目!? どれだけ私が大好きなんですかっ!?」

 

 目の前に登場した二人目の玉藻さんを目の当たりにしたクロエと玉藻さんが、驚きのあまり手を使って驚きを表現する。それを見たブーディカさんも目をパチクリとさせていたが、なんの事情も知らないケツァルさんは拍手をしていた。

 

「ワァオ! まさかこんな日が訪れるなんて! というか貴方、頼れるお姉さん系で分霊って、私たちキャラ被ってるわよね! さては太陽系の分霊だったるするの?」

「はい? あ~、そうですねぇ。一応、天照大神の分霊ですからね。その感覚は正しいかと思いますよ?」

「やっぱり! 嬉しいわ! 同じ女神でも太陽系の女神と会えるなんて滅多にないわ! グラシアス! ありがとうネ! マスター!!」

 

 心の底から喜んでいるのだろう。ケツァルさんがその輝く笑顔をこちらに振り撒いてくる。とりあえずその事に頷いて返事を返すも、俺はとりあえず落ち着くべく深呼吸を繰り返した。

 

 整理しよう。呼符が大量にあるので半分だけ使ってガチャを回したら、星5が二人も登場した。しかも太陽系の女神が顕現した。OK把握した。それじゃまあとりあえずーーーー

 

「フンっグォ!?」

「け、研砥ぉぉ!?」

「ちょ、何してるんですかマスター!?」

 

 孔明をぶっ飛ばす為に構えていた拳を、そのまま自分の頬にぶち当てる。力を込めすぎたせいか一瞬頭の中が真っ白になって倒れそうになるが、気合と根性で踏みとどまる。これは確認だ。どこぞの花の魔術師が『幻術』をかけているかもしれないから、確認の為に殴ったのだ。

 

 

 だが、目の前の景色は変わることはない。この場で召喚した二人の女神様と、この場に呼んだ三人ののサーヴァントたち。これは幻ではなく、現実だということを認識する。

 

「………………ああ、そうか。ここが『遙か遠き理想郷(アヴァロン)』だったのか……」

「ちょ、研砥本当に大丈夫!? 血! 鼻から大量の血がぁ!?」

「あははっ! 今回のマスターは本当に面白い人デスね!」

「笑ってる場合!? あ~もう! 本当に世話を焼かせるんだから!」

 

 最後に笑みを浮かべながらそう口にし、顔を殴ったせいで朦朧として来た意識に逆らわずにゆっくりと目を閉じる。この間の爆死に打って変わっての結果に満足して、俺はゆっくりと眠りにつくのだった。

 

 余談だが、このことを知ったナイチンゲールが俺の腕を削ぎ落としに来て一悶着があったことを記しておく。自傷行為はダメ! ゼッタイ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ。復刻版新宿ピックアップ編。

 

「なぁ。羅生門が終わったのに、なんで鬼ヶ島ピックアップじゃなくて新宿復刻なのん?」

「そんなことを言われても茶々には分からないよ!」

「そんなことをよりトナカイさん!! 早く種火周回に行きましょうよ! せっかく育成してくれたんです、その力を発揮させてください!!」

 

 羅生門イベントを終わらせてから、ようやく育成が終わった茶々とジャンヌ・リリィを連れて、俺は再びこの召喚場に向かっていた。前回のピックアップではボブとロボを召喚できたので、あんまり興味が無い。だが、システム起動時に表示された画面に、モリアーティが映し出されたので、仕方なく単発を回すことにしたのだ。

 

「というか、何でマスターはガチャ回すの? 水着ガチャがあるから貯めるんだ〜って言ってなかった?」

「ふっ。俺はな? 起動時にブーディカさんか、ピックアップされている星5サーヴァントが出たら単発を回すって決めてんだよ」

「それ、ただ単にガチャを回したいだけですよね?」

「ーーーーーよし、ガチャを回すぞ!!」

「「あ、逃げたぞ(ましたよ)このマスター!!」」

 

 二人の制止を振り切って呼符を叩きつける。直後、サークルが虹色の輝きを放つーーーっておいちょっと待て!?!?

 

「おいコラちょっと待てェェェェェェェェェェ!? ナンデ!? 星5演出ナンデェ!?」

「えぇ!? マスターさんのガチャ運が振り切って無いですか!?」

「やばいよこれ!! しかも金色アーチャーだよぉ!?」

 

 召喚サークルの中央に現れたのは、虹色の輝きを伴った金色のアーチャー。その中から現れたのは、つい最近見かけた男性だった。

 

「我が名は、ジェームズ・モリアーティ。職業、教授兼悪の組織の親玉! ふははは!! 安心したまえ! 私にかかれば世界征服の一つや二つ!!」

 

 一見すればただのアラフィフに見える英国紳士。けれど、それは彼の本性を隠す仮面。杖に使っている仕込み銃に、彼の雰囲気をぶち壊す様な大きな棺桶。新宿のアーチャーこと『ジェームズ・モリアーティ』が目の前に降臨していた。

 

「おぉ! 今度はこっちで召喚されたのかネ! 良いねぇ、個人的に巌窟王君やジキル君のいるカルデアでも構わないけど、個人的にはこっちの方が居心地が良いんでね!!」

「おぉ〜! すっごくでかい棺桶!! ねぇねぇ! それ触っても良い!?」

「別に構わないとも! それにしても、美しいガール達だねぇ。うん、やっぱり女性はこうじゃ無いとねぇ!」

 

 嬉しそうに笑いながら、近づいてきた茶々の頭を撫でて愛でまくるモリアーティ。俺はというと、その光景に理解が追いつかなかった。というか、どうしてこんなことになってるんだ? こんな短期間に星5が3人?

 

「やべぇよ……ヤベェよ俺……これあれだよ。絶対水着鯖が召喚できないパターンだよ……!!」

「はははは! 安心したまえよ黒鋼クン! 別に来なくても、ここにいる私たちが君の力になるとも!」

「お前が一番胡散臭いだろうがアラフィフ! この間のSE.RA.PHガチャで爆死した当てつけかこの野郎! でも来てくれてありがとなっ!!」

 

 こうして、俺たちは新たにモリアーティを召喚した。今年に入って急に増え始めたアーチャー達。その育成が追いついていないことに頭を抱えながらも、俺は今日も種火周回に出かけるのだった。

 

 

 




と、いうわけで今回はケツァル・コアトルさんと、玉藻さんに加えてモリアーティが当たりましたー!! いや~、ケツァルさんは分かるけど玉藻さんは何で来たのか本当にわからない。いや確かに女神だけども。今回ピックアップされてないですよねぇ!

というか、モリアーティは何故に?私、星5サーヴァントは(計算上)2ヶ月に一人のペースで来るので、2月以降星5は来てないから、ケツァルさんと玉藻さんはまだ納得できるんですが、モリアーティが本当に意味が分からない………。はっ!!こ、これはまさか、水着でお前は爆死するという予言だというのか!?星5が一週間の内に3人とかありえないぃ……。

あ、女神といえば、ブリュンヒルデさんの再ピックアップはまだですか? 登場してから1年と4ヶ月程スルーされてるんですけど。幕間の物語も今更みたいに実装されたんで、再ピックアップ早よ。幕間2節目も早よ。ついでにモーション変更も早よ!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。