先に言わせてもらうと基本的にカービィとエグゼイドキャスト以外はそんなに出番ないと思うのであしからず。
あとデデデ大王、ごめんね。
ゼロの復活から、少だけ前のこと。
地球から遠く離れた、時空管理局や銀河連邦警察でさえその存在を観測できないほど果てにある惑星――――ポップスター。
生命に溢れ、十人十色な種族が暮らす星の中に、国・プププランドはあった。
広大な領地に自然が溢れ、生命体は自由奔放に、それでいてしっかりと秩序が保たれた生活を営んでいる。すべては偉大なるデデデ大王の功績……などではなく、国民たちが自ら望み、選んだ生命の営みだ。
一見平和な国に見えなくもないが、実は幾度となくこの国は侵略者の魔の手に晒されてきた。
その度に住民は恐怖に震え、困窮疲弊を余儀なくされていた……。
では、そんな危険な場所が、どうやって危機を乗り越えてきたのだろうか。国家として成立していながら軍隊は存在せず、多少特殊な力はあれど、決して強大な侵略者に敵うはずもないこのプププランドが、いかにして今日まで平穏を保ち続けているのか……。
答えは単純明快。至ってシンプルで分かりやすいものである。
プププランドには、勇敢な一人の戦士がいるからだ。
え、デデデ大王?冗談はよしてくれ三流の分際で。byインクレティブルレモン
その日も彼は大量のマキシムトマトをカゴに入れて、呑気に丘の上でそれを食していた。
大食漢である彼は、マキシムトマトを口径吸引によってほぼ一口で平らげる。小さい体の、いったいどこにそんな大量のマキシムトマトが収まるのかは、定かではない……。
しかし彼はまだ満足していない。ブラックホールな胃袋は早く食わせろと奔放な獣のように唸っていた。
彼は立ち上がった。そして、見つけた。
なぜかは分からないが、ご馳走であることには違いないショートケーキがいくつも落ちている。こんな無防備の甘いスイーツを腹に入れないなんて、彼のとっては天と地がひっくり返ろうともあり得なかった。
一つ、また一つ……。綺麗に並べられたショートケーキを平らげていく。
最後の一つを、口に放り込んだ瞬間……。
「!」
彼は本物のブラックホールに吸い込まれていく……。
その日、星の戦士『カービィ』がプププランドから姿を消した――――。
聖都大学附属病院の地下には、電脳救命救急センター…通称「CR」が存在する。CRはゲームから発生した正体不明のバグスターウイルスから人々を守りながら、ウイルスの根絶を目指す組織だ。
「ポッピーピプペポピッポッパッポ、ポッピーパピペポピプポー!」
小児科研修医『宝生永夢』は、バグスターと戦う仮面ライダーの一人である。彼の傍ではライダーをサポートするキャラクター『ポッピーピポパポ』がクルクル回りながら歌を歌っていた。
「……明日那さん、やけに楽しそうですけど、どうかしたんですか?」
「永夢知らないの?今日は世界的アーティスト、風鳴翼のライブ中継があるの!楽しみで仕方ないのは全人類共通の姿だよ~!」
「は、はぁ……」
永夢は曖昧な返事しかできない。風鳴翼がどのような人物なのか知らないが、常にハイテンションのポッピーがいつにも増してベリーハイテンションなところを見ると余程の人物なのだろう。
(そういえばもうすぐ任天堂から新作ゲームが発売するんだよな…バグスターがいつ現れるかもわからないし、今日のうちに予約しに行こうかな)
永夢は立ち上がると、舞い上がって周囲が見えていない明日那に一声かけてからCRを出た。ちなみに、ポッピーは気がついていない……。
永夢は白衣姿のまま、わくわくしながら街の中を走る。今日は小児科の仕事はないし、バグスター出現の気配もない。彼が望む平和そのものだ。
バグスターウイルスの脅威がなくなること、そして何よりも患者が笑顔になれるよう懸命に勤めている永夢にとってこの光景は理想的である。
(今日も何事なく、終わってくれるといいな)
心の中で思う永夢。だから夢にも思わない。その願いは呆気なく崩れ去るなどと……。
唐突に、街から太陽の光が消えた。
永夢や周囲の人々が異常をきたした空を見上げる。
『闇』が、青空を消し去るように広がっていた。
「! なんだあれ!?」
次の瞬間、目を疑った。『闇』の中から小さな目玉を黒い衣で覆ったような生物が地上へと降り注ぎ建物へと突っ込んでいくではないか。
唐突の破壊活動に、人々はパニックになって逃げ惑う。
「バグスター!でも、なんで空から!?」
考えていても仕方がない。アレらが人に危害を加える前に倒さなければと、永夢はゲーマドライバーを装着しガシャットを起動させた。
『マイティアクションエーックス!』
現実に人気ゲーム「マイティアクションX」を再現したゲームエリアが展開する。
「変身!」
大きくポーズをとり、ガシャットをドライバーに挿し込んだ。
『ガシャット!レッツゲーム・メッチャゲーム・ムッチャゲーム・ワッチャネーム!?アイム ア カメンライダー!』
キャラクターセレクトのエフェクトが消失すると共に、宝生永夢は仮面ライダーエグゼイド アクションゲーマーレベル1へと変身を果たす。
「いくぜ!」
ガシャコンブレイカーを手に、エグゼイドはバグスターと思しき存在へ立ち向かう。
あちこちに出現したブロックを踏みつけながら、次々と対象を叩き落としていくエグゼイド。その俊敏かつ豪快、それでいて精密な動きは彼の異名、天才ゲーマー「M」としての才能あってのものだ。
だがバグスター?の数は減るどころか、どんどん増えている……。
「あの暗雲が発生源になってるのか!」
戦いながら、エグゼイドは空を覆った『闇』がバグスター発生装置のような役割を果たしていることに気がついた。現に、奴らは『闇』の中から途絶えることなく降下してきていた。人間に直接危害は加えていないようだが、建物を破していく際に二次被害が出る可能性もあった。
「とにかく全員が逃げ切るまでこいつらを引き付けないと……ぐあ!」
エグゼイドは再び戦闘を始めようとしたが、突如衝撃に襲われ大きく地面を転がった。
「う……いったい、なんだ?」
エグゼイドの眼前に、大柄の男が佇んでいた。この男は拳を突き出しており、エグゼイドは殴られたのだと理解する。明らかに、民間人ではない。
「仮面ライダーエグゼイドだな?」
「お前誰だ!?この黒い奴らの仲間か!?」
「俺の名はDマインド。我が主の野望のため、貴様には消えてもらう」
そう言うと、男…Dマインドは眼魂の可動部を押し込んだ。
「あれは、タケル君の……」
エグゼイドは、男が手に持ったアイテムに見覚えがある。あれは以前、Dr.パックマンこと財前美智彦を妥当すべく、共に戦った仮面ライダーゴーストの変身アイテム「ゴースト眼魂」に酷似していた。
正確にはゴースト眼魂ではなく眼魔眼魂だが、エグゼイドがそんなことを知るはずもない。
瘴気に覆われたDマインドの身体を、RPGに出てくる魔王のような甲冑が包み、彼の周囲に四対の鏡が出現した。
「!」
エグゼイドは、Dマインドのただならぬ殺気に肌を震わせる。
「視えるぞ。ダークミラーを通じて、貴様が戦慄している姿が」
Dマインドは、浮遊しながらスターバレットを連続射撃してきた。
エグゼイドはそれらを紙一重で躱し切り、ゲーマドライバーのレバーに手をかけた。
「大変身!!」
『ガッチャーン!レベルアーップ!』
ゲーマドライバーとライダーガシャットを用いたシステム最大の特徴…それはレベルアップ。
『マイティジャンプ!マイティキック!マイティ・マイティアクションエーックス!!』
患者からバグスターを切り離すオペの役目を果たすレベル1の装甲は外れ、エグゼイドは敵を駆逐するためのレベル2へとレベルアップ。
ガシャコンブレイカー ブレードモードを手に、Dマインドと激しい戦闘へと突入する。
「な、なにこれ空が……」
「いったい、何が起こってるというんだ?」
その時、騒ぎを聞いて駆けつけたポッピーピポパポこと人としての姿である仮野明日那と、永夢と同じCR所属の外科医『鏡飛彩』は事の大きさに戸惑いを隠せなかった。
上空を『闇』が埋め尽くし、目玉のような生物が建物を破壊している。極めつけはエグゼイドが魔王のような怪人と激闘を繰り広げているのだから、無理もない。
「ありゃあ何だ、新種のバグスターか?」
戦場と化した街に、また一人の男が現れる。その名は『花家大我』。かつてCRに所属していた仮面ライダーの一人であり、闇医者。
「! 大我!」
「花家大我……」
「そう怖い顔すんなよ。今はいがみ合ってる場合じゃないはずだろ、お坊ちゃん?」
「…………端から貴様など、相手にするつもりはない。俺はオペを完遂するだけだ」
「ああそうかよ。なら好きなだけお医者さんごっこしてろ」
険悪なムードになりながらも、飛彩と大我はお互いにガシャットを構えた。
『タドルクエスト!』
『バンバンシューティング!』
ゲーマドライバーを装着し、ガシャットを起動。
「「変身」」
飛彩はRPG「タドルクエスト」の騎士をモデルとした仮面ライダーブレイブに、大我はSTG「バンバンシューティング」の銃士をモデルとした仮面ライダースナイプへと変身すると、すかさずレバーに手をかけて、
「術式レベル2」「第2戦術」
『ガッチャーン!レベルアーップ!タドルメグル・タドルメグル・タドルクエストー!!』
『ガッチャーン!レベルアーップ!ババンバン・バンババン・バンバンシューティング!!』
レベル1をすっとばしてレベル2に。
エグゼイドがDマインドと戦う隙に、残りの敵を狙いに向かおうとする。
「やらせん!」
「!?」
しかし横から剣を構えた青年が二人の行く手を阻んだ。
「仮面ライダーブレイブ、仮面ライダースナイプ。私が相手だ」
青年『Dソード』は左手で眼魂を起動し、単眼の剣士のような怪人へと変貌する。
一方のエグゼイドは、Dマインドのワープ能力を駆使した変則的な射撃とダークミラーによる反射攻撃に苦しめられていた。
「どうした、その程度か!」
「くっ……舐めるな!」
負けじとガシャコンブレイカーで斬りかかるが、寸でのところで背後にワープされスターバレットの集中砲火に晒される。
「ぐああああああ!!!!」
吹き飛ばされたエグゼイドの身体が跳ね、地面にクレーターを作る……。ライダーゲージがレッドゾーンにまで減少し、危険を知らせるアラームがスーツから流れた。
「永夢!」
明日那も気が気でならない。これ以上攻撃を受け続ければ、ゲーマドライバーが許容できるダメージを超えれば……ゲームオーバー。すなわち生命活動の停止を意味する。
「クソッ!」
エグゼイドはキメワザスロットホルダーに装備されている「ドラゴナイトハンターZガシャット」に手をかける。レベル5のガシャットであれば、Dマインドを倒せるかもしれない。だが、ダメージを顧みずただひたすら敵の殲滅に特化するこのガシャットでは、倒す前に自分が死ぬ可能性がはるかに高い。
ブレイブとスナイプはDソードと戦っていた。二人にもエグゼイドを救出できる余裕はない。まさに、絶体絶命……。
「終わりだ仮面ライダー!」
Dマインドが再びスターバレットを放とうとする。今度は小細工なしの直線放出……エグゼイドが行動不能だからだ。
刹那、『闇』を切り裂くようにして流星が瞬く。
『それ』は、エグゼイドとDマインドを遮るように落下してきた。
「!?」
Dマインドの攻撃の手が止んだ。彼だけではない。Dソードも剣を下ろし、落下物に注目していた。
エグゼイドと明日那は呆然する。ブレイブやスナイプは新手かと身構える。
「むっ……こいつは!」
終始冷静だったDソードが、驚愕の声を上げた。
地面に墜落してきた輝き…その中から現れたのは、ピンクで、丸い……。
「ぽよ?」
――――カービィだった。
ちなみにわかりにくいですがポッピーの歌のリズムはドレミファビート(のつもりです)
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