【HCS】 星のカービィ -DARKWARS-   作:黒廃者

22 / 24
サイトの人気作品とか漁ってると、やっぱりみんなTS転生とか憑依とか大好きなんだなぁって思います。


私も何かやろうかしら……(フラグ)


決着 ~DARKWARS編~

 奴はこの宇宙に生まれ落ちた瞬間から破壊者であった。

 何色をも飲み込む『闇』……それは奴が操る力であり、奴自身でもあった。

 

 

 

 

 

 

 ゼロが放った闇色の弾幕が全てを破壊し尽くす。

 それを、火の玉が打ち消しながら、本体を狙う。

 火の玉――『バーニング』のコピー能力を得たカービィが切り込んだ。

「小賢しいっ!」

「ここだ!」

「!?」

 突撃をかわすため、体を左に傾けたゼロ。だが、そこを思わぬ伏兵――エグゼイドのガシャコンブレイカーに狙われた。

 ゼロはカービィを弾き飛ばした後、『闇』のシールドを前面に張ることでエグゼイドの攻撃を防ぐ。

 ゼロの注意がエグゼイドに向いている隙に、飛ばされたカービィはゼロの背後にあったブロックを破壊し、新たなコピー能力を吸い込んだ。

『カッター』の特性を得たカービィは、無防備なゼロの背中に鋭いブーメラン型の刃物を射出する。

 舌打ち、シールドを解除してエグゼイドの首に掴みかかり放り投げ、『カッター』を弾き返した。

 間髪入れず、続け様にコピー能力『アイス』を獲得したカービィが凍てつく息吹を噴射する。

 

 

『ゲキトツロボッツ!』

 

「大・大・大変身!!」

 

 

『ガッチョーン!ガシャット!ガッチャーン!レベルアーップ!マイティジャンプ!マイティキック!マイティ・マイティアクション!エーックス!!アガッチャ!ぶっ飛ばせー!突撃!激突パンチ!ゲ・キ・ト・ツ・ロボッツ!!』

 

 

 響く軽快な電子音声。

 同時に、エグゼイド ロボットアクションゲーマー レベル3のロケットパンチがゼロを捉えた。

 それだけならば、ゼロにとって脅威ではない。しかしカービィの『アイス』が地面と共にゼロを凍らせることで動きを制限させ、単調なパターンになってしまうエグゼイドの攻撃を支援することで、彼らはゼロの十分な脅威となって畳み掛ける。

「そら!」

 ついにその豪快な機械の左腕がゼロにクリーンヒットし、砕けた氷を辺りに散らしながら後方へ吹き飛んだ。

 両足のつま先でなんとか踏ん張るが、ダメージが修復されることはない。

 それは、仲間達の奮闘の賜物だ。

「よし、効いてる!」

 攻撃に確かな手応えを感じたエグゼイドは、カービィとアイコンタクトすると、巧みなコンビネーションでゼロを翻弄する。

 コピー能力『スパーク』がゼロの光弾を相殺し、その合間を縫うようにエグゼイドが懐に攻め入ってはダメージを受ける前に後退するヒット&アウェイを繰り返し、少量ダメージを確実に与えていく。

 同じ戦法を繰り返すため、徐々に攻撃が防がれる確率が高くなっていくが、今はそれで十分だった。

「……!?」

 ゼロは肉体に違和感を覚える……それが左足に蓄積されたダメージによる筋力低下であると気づいた時には、エグゼイドは仮面の下でニヤリと口角を釣り上げていた。

 その時、『スパーク』から『ニードル』へと能力を変化させていたカービィが、一瞬だけ気が逸れたゼロを牽制。

 

 

『ゲキトツ・クリティカル・ストライク!』

 

 

 隙を見つけたエグゼイドは、すかさずガシャットをスロットホルダーに挿入。それに呼応するように、カービィも新たに『ストーン』の能力を発現させてその身を岩石へと変化させ、エグゼイドのすぐ前に落下していった。

 なぜ敵ではなく味方のすぐそばに落ちるのか、その解答は、すぐに得られた。

「はぁあああああ!!!」

 ロケットパンチの推進力を利用した岩石激突である。

 唸るように『闇』のシールドを貫通し、ゼロが吹き飛んだ。

 カービィとエグゼイドの合体技が見事に炸裂した瞬間だ。

「ぐ、う……」

 粉塵を巻き上げ、地球に復活した中で最大級の傷を負いながらも、ゼロは倒れなかった。

 ゼロのダメージは、微々たるものでしかない。

 だが解せない。

 レベル5にも勝利した、カービィをも圧倒できる程にパワーアップを果たした……客観的に考えて、ゼロが二人に苦戦を強いられる要素はないはず。

 確かに精神こそ乱れてはいるものの、そんなものくらいで覆るほどの力量差ではない。ではなぜか。単純な力や能力ではない、別の要因があるからだ。

(”覚悟”の差だとでも言うのか……)

 そんなもの、認められるはずがない。

 感情論など馬鹿馬鹿しいと一笑に伏せて、より一層の殺気を放つゼロ。

「ああ、本当に貴様ら……小賢しいぞっ!!!」

『闇』こそが全て、『闇』こそが絶対。

 憤慨と共に巻き起こる大爆発。

 二人は体勢を崩しつつ何とかそれから逃れきると、再び戦闘態勢に入った。

 

 

『ドラゴナイトハンターゼェェェット!』

 

「大大大大・大変身!!」

 

 

『レベルアーップ!ドラ・ドラ・ドラゴナイトハンター!ゼェェェット!!』

 

 

 エグゼイドはハンターアクションゲーマー レベル5……そのフルドラゴン状態へと強化変身を遂げると、『パラソル』のコピー能力を得たカービィと共に、自ら黒煙の中へ飛び込んで、二刀の刃を手にしたゼロと荒々しく接近戦を始める。

 しかしやはりというべきか、ゼロは手強かった。

 フルドラゴンのエグゼイドの攻撃は当たっているにも関わらず、それを意に返さずゼロも反撃する。

 カービィも手に持った『パラソル』でいくらか応戦するも全て弾かれてしまっており、これまでの余裕に満ちた傲慢な戦闘スタイルとは打って変わって、標的を殲滅することだけに特化した殺戮兵器のようだ。

「ぐっ!」

「私を愚弄した罪、地球と共に償ってもらおうか!!」

「こっちも負けてたまるか!うぉおおおおお!!!」

 

 

『ドラゴナイト・クリティカル・ストライク!』

 

 

 雄叫びの中で、エグゼイドとゼロの技が拮抗する。

 二人から発生した莫大なエネルギーによる衝撃波が豪勢な城内装飾を塵へと変え、コンクリートは砕け飛ぶ。

 拮抗していたエネルギーはお互いがその威力に耐え切れず、すぐに二人を巻き込む形で大爆発を起こし、両者ともボロボロになって地面を転がった。

「はぁ、はぁ……」

 結果、エグゼイドはドラゴナイトハンターZガシャットがドライバーから外れ、レベル2の姿で地面に倒れていた。

 カービィは崩れた瓦礫の中から這い上がると、急いでエグゼイドの下へ駆け寄り心配そうに見つめる……。

「へへ……なんとか大丈夫」

 幸い、エグゼイドはすぐに起き上がって、カービィに仮面の下で笑ってみせた。

 

 

 

「……なぜだ!!!」

 

 

 

 カービィの手を借りてエグゼイドが立ち上がると、同じくボロボロになったゼロが傷口を押さえながら、よろよろと前に足を踏み出す。

「私はダークマターだぞ!神にも等しい存在なのだ!!それがなぜ、貴様ら如きにぃ!!!」

 これまで同様、ゼロが強い存在感を放っていることに違いはない。だが今は、子供のように駄々をこねて、たった一つの事実を否定し続けるその様を、哀れと感じるのであった……。

 最早支配者としての傲慢さすら消え失せたゼロに、エグゼイドは告げる。

「俺達は、独りで戦ってるんじゃない。みんなの想いを背負ってここにいる」

 響、士郎、ブラックロックシューター、ポッピー、飛彩、大我、貴利矢、翼、クリス、吹雪、日向、灰馬――――みんなが、二人の勝利を信じてくれている。

 それは、二人の力となって、今、ここにある。

「一族の為だなんて言いながら、結局自分が頂点に立つことしか考えていないお前の独善的で自分勝手な野望の前に俺達は屈しない!みんなと一緒に戦う俺達が、お前なんかに負けるわけないだろ!!!」

 だから、強い意志の下に言えた。

 一人一人では決して適わなくとも、誰かと一緒なら救える命があるから……。

 

 

「言わせておけばぁああああ!!!」

 逆上するゼロ。

「いくぞカービィ!」

「!!」

 ワープスターにカービィが飛び乗り、その背後ではエグゼイドがクリティカルストライクを発動させる。

 みんなの想いが力となって、カービィ&エグゼイドは流星となる。

 それは『闇』をも照らし尽くす、二つの希望。

 心身一体となった輝星が、巨大な悪を打ち貫く!

 

 

 

 

 

「ぐぁあああああああああああああああ!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 支配者の断末魔が消えていくと、『闇』が晴れ、世界は青空を取り戻していく……。

 

 

 

 

「わぁ!空が見えてきた!」

「どうやら、やったみたいだな」

「…………お疲れ様」

 

 

 

 

「終わったのか」

「随分待たせやがって」

「やるじゃん、名人」

「つっかれた~!とっとと帰ろうぜ」

「うむ。見事な晴天だ」

 

 

 

 

「見てください!『闇』が晴れていきますよ!」

「ああ!」

 

 

 

 

「おお、『闇』が消えていく!流石私の息子だ!」

「む?眼魂の気配が消えおった……」

「よくやってくれた、永夢!」

 

「やったんだね。カービィ、永夢!」

 

 

 

 

 

 二人は地に足を付けると、途端に緊張が解けて地面にへたりこんだ。

 ガシャットを抜き取って、永夢はカービィと共に取り戻した青空を見上げた。

(終わったんだ、全部……)

 本当に苦しい戦いだった。

 カービィを失って絶望しかけたこともあったけれど、みんなのおかげで、ついにダークマターを倒すことができた。

 カービィとボロボロの顔を見合わせて、永夢は微笑んだ。

 

 

 事態を知る誰もが、危機は去ったのだと確信していた。

 

 

 

 それが誤りであると理解したのは、笑顔があふれ始めた、まさにその直後だった。

 

 

 

 

 突如、先ほどまでゼロがいた位置から大量の『闇』が間欠泉の如く吹き出した。

 

「「!?」」

 

 突然の事態に驚愕するカービィと永夢、そして仲間達……。

 やがて大量の『闇』は霧散し、その内部より現れたのは、巨大な白い球体。

 

 

 

 

『全ての命に終焉を。全ての惑星に破滅を』

 

 

 

 

 木霊と共に、球体の中央の割れ目がパッと見開かれる。

 血液のようなどす黒い紅色の液体を流したそれは、目玉だった。

 島にいた者達も、遥か遠くにいるポッピー達も瞬時に理解する。これが、この姿こそが……。

 

 

「ゼロの、真の姿なのか……!?」

 

 

 

 

 再び、戦いが始まる…………。

 




もう少しでこの作品も完結です。どうか最後まで温かい目で読んでやって下さい。








▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。