【HCS】 星のカービィ -DARKWARS-   作:黒廃者

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私が執筆をサボっている間にいろいろなことが目まぐるしく変化していって作品の独自解釈設定が歪む歪む(主にエグゼイド)

時間かけた割に今回も粗が目立つかも知れないので違和感を感じられたらご指摘ください。


決着 ~レジェンド編~

 ブラックロックシューターはロックカノンを突き出し黒い岩石を射出して、追跡してきたDソードを城壁の一部ごと木っ端微塵に吹き飛ばした。

 Dソードは爆風と爆煙にまみれながらも空中でバランスを取って華麗に着地する。

「ゆけ!」

 そして周囲に人型ダークマターを呼び寄せ、剣先をブラックロックシューターへと向けて戦隊へと号令。

「…………」

 先兵隊となって走ってくるダークマターに、黒衣の少女は表情を変えなかった。

 ただその左眼には、淡い青炎が宿っていた……。

 ロックカノンをしまうと共に右手に刃を持って、ブラックロックシューターはダークマター達の横をすり抜けながら斬り伏せていく。

「いざ尋常に……」

 その瞳の先に映るのは、単眼の騎士。

「勝負!」

 ついに交わる刃。

 Dソードの剣技は、翼やブレイブに勝るとも劣らない実力があった。

 若干、本当に若干ながら、ややブラックロックシューターは劣勢である。

 ついに剣を巻かれ、その刃が彼女の首を狙う。

 しかしブラックロックシューターも負けず、Dソードの胸を蹴って上半身を後ろへ逸らしながら攻撃を回避すると共に牽制することに成功した。

 一回転しながら地に足を付け、再びロックカノンを左腕に装着し砲先をDソードへと向け、放つ。

「くう!?」

 連続的に襲い来る砲撃に、たまらず地面を転がった。

 しかしすぐに体勢を立て直し『闇』のエネルギー波を剣にまとわせ、斬撃として飛ばす。

 ブラックロックシューターはそれをロックカノンで撃ち落とし切る前に地を蹴ってDソードへ肉薄、勢いを保ったまま押し切った。

 大きく後退するDソードはそのまま城壁に激突どころかめり込んだ。

 よろよろと壁から抜け、数歩前へ出るものの、ブラックロックシューターが容赦なくその体を下から斬り上げ、空中へと放り出された。

 右手にあったはずの剣はなかった。先の一撃で、何処かへ吹き飛ばされていた。

 自由落下に従って落ちていくDソード。

 その真下には、普段のものより何倍も大きなロックカノンの射出準備を行う少女の姿。

 ブラックロックシューターの左眼は、さらに強い青炎を宿す。

 そして、上空のDソードへロックカノンを放出した。

「……お見事!」

 それは騎士道精神故か、Dソードは散り際にそう言い残し消滅した……。

 

 

 

 

 

 

 

 葉を付けていない雑木林の中では、衛宮士郎がDマインドの攻撃から逃げ回っていた。

「ふははは!どうした、そんなものか!!」

 士郎は会敵してから、まだ一度も攻撃を仕掛けていない。当初こそDマインドは慎重だったものの、まるで反撃してこないためか余裕が生まれ、得意げに高笑いする。

 さらに勢いを増すミラーを配置したスターバレットの四方位変則攻撃を短剣で弾き飛ばしていくうちに、士郎の干将と莫耶はひび割れ、ついには粉々に。

 それを見て、さらに心の高揚を露わにするDマインド。

 真に限りなく近い『贋作』を投影する士郎の魔術。それを破壊するということは、決して弱い存在でないことが伺える。

「……なるほど」

 しかし士郎は冷静に心を落ち着かせると、再び二振りの短剣を握った。その意志に、未だ敗北はない。

「これで終わらせてやろう!!」

 それに気づいているのかいまいのか、Dマインドはマントの内側に仕組まれた禍々しい目玉のような物体を露出させると、破壊光線を放つ。

 周囲の景色を一変させる程の強烈な一撃が士郎を襲い、Dマインドの勝利が確定……。

 

 

「――熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)

 

 

 することはなかった。

「なに!?」

 彼は無傷であった。信じられないと言いたげに表情を歪ませるDマインド。

 士郎の身を守ったのは、花弁のように展開する七枚の結界宝具だった。

 投擲に対しては絶対的な防御力を誇る、原作はギリシャ神話に登場するアイアスの盾である。

「さて、ここからは俺の番だ」

 言って、干将と莫耶で左右から現れたダークマターを全て蹴散らすと共に、ついに、士郎は初めて攻撃に転じた。

 地を蹴り一直線にDマインドを目指す。

 動揺のままに放たれるスターバレットは一撃すら当たることはない。

 一気に懐に飛び込んだ士郎は三度の投影による必殺技「鶴翼三連」でDマインドの鎧に傷をつけていく。

「ぐあああ!!!」

 いや、卓越した戦闘技術は鎧など容易に砕き直にダメージを与えていた。

 だがやはりというべきか、贋作者(フェイカー)の武器は攻撃に耐えられず砕け散る。その度に新たな贋作武器を作り出すことで、絶え間なく攻め立てていた。

 干将・莫耶を強化したオーバーエッジで鎧を完全に破壊すると、英雄フェルグスの剣に彼なりのアレンジを加えた「偽・螺旋剣(カラドボルグⅡ)」を止めに突き立て、Dマインドは後方へ転がるように吹き飛んだ。

「おのれぇ!」

 悪態付きながらよろよろと立ち上がる。しかし……。

 

 

「――体は剣で出来ている(I am the bone of my sword.)

 

 

「!?」

 

 詠唱が、始まっていた。

 

血潮は鉄で、心は硝子(Steel is my body,and fire is my blood.) 幾度の戦場を越えて不敗(I have created over a thousand blades. )

 

 Dマインドは何事か困惑する。

 

ただ一度の敗走もなく(Unaware of loss. ) ただ一度の勝利もなし(Nor aware of gain. ) 担い手はここに独り(Withstood pain to create weapons, ) 剣の丘で鉄を鍛つ(waiting for one's arrival. )

 

 敵を前にして、何やらぶつぶつと呟いているのは何ゆえか……。

 

ならば我が生涯に意味は不要ず(I have no regrets.This is the only path.)

 

 ついに疑問を経て、気付く。これは、自分を仕留めるためのものだと。

 

 しかし時既に遅し。

 

この体は(My whole life was )……」

 

 

 士郎の瞳が、ゆっくりと開かれると共に、世界が一変する。

 

 

 

「――――無限の剣で出来ていた("unlimited blade works" )

 

 

 

 

 

 気が付けば激しい闘争の後に、全てが終焉を迎えてしまったかのような光景が広がっていた。

 荒野に突き刺さる無数の武具。

 そこは、衛宮士郎の心相世界……固有結界の中であった。

 

 

無限の剣製("unlimited blade works" )

 

 

「な、なんだこれは……」

 絶句するDマインド。次に彼がとった行動は、やけくそに四方八方へばら蒔くスターバレット。

 しかしそれらは全て、数多の贋作たちの前に撃ち落とされ、最終的に士郎自らが持った弓矢が鏡を穿った。

 もはや全ての攻撃が無意味であることを悟ったDマインドは、無謀にも己の肉体を使っての突貫を仕掛けた。

「うおおおおおおお!!!!」

 士郎はその場から動くことはしなかった。ただ、その手に、愛した者の武器を投影する。

「人類の命を脅かしたお前らを、許すことはできない」

 ゆっくりと、静かに、騎士王の聖剣(エクスカリバー・フェイク )を振り下ろした。

「あ……が……」

 文字通り真っ二つにされたDマインドは、完全に消滅。

 士郎はふう、と緊張を解いた。

 ふと、目に止まったDマインドのダークミラー……ひび割れ、消滅を待つだけであったその鏡に、士郎は驚愕なものを見る……。

 

 

「セイバー……!?」

 

 

 戦いですら一切の焦りを見せることのなかった士郎が、今、動揺を隠せないでいる。

 鏡の中には、かつての聖杯戦争で彼の使い魔だった甲冑の少女が映っていた。

 まるで鏡は別の世界を写しているかのように、現実の景色と相対していなかった。

 少女はその両手で聖剣を握り、異形の者共と対峙している。

 よく覗き込むと、少女の他にも様々な戦士が戦っているようであった。

 しばらくの間その光景を凝視していた士郎だったが、巨大な盾を持った少女らしき後ろ姿が映ったところで、ついに鏡は消滅してしまった。

「…………」

 今のは、なんだったのだろう。

 こことは異なる並行世界の出来事が、偶然写りこんだだけなのか……。

 気になるが、干渉の術を失った今、士郎にはどうすることもできない。

「それでも、あいつが幸せであるのなら……」

 密かな想いを胸に仕舞い、彼はこの戦いの結末を見守るように、城の方へと戻っていった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ガングニール】は伝承通りであれば槍である。

 歴代装者の天羽奏もマリア・カデンツァヴナ・イヴもアームドギアは槍であった。

 しかし立花響が纏った時、それは槍どころか武器としての形を成さない。

 争いを望まない響の心理を反映した結果、彼女は生粋のインファイターとなった。

 彼女のアームドギアは、己自身だ。

「はぁあああああ!!!」

 人型ダークマターを全て殴り飛ばし、Dミラクルに立ち向かう。

「懐に入りたがっているのが見え見えですよ!」

「くっ!」

 一方、Dミラクルはカービィのコピー能力と酷似した特殊能力を持っていた。

 体術の届かない距離を保ちながら、『カッター』や『ボム』を駆使して響を近づけさせない。

 それでもえぐり込んできた時は『アイス』や『ニードル』を展開してしっかり防御、彼女を苦戦させる。

「どうしましたぁ?さっきまでの勢いがなくなりましたねぇ?」

 わざとらしい猫なで声で挑発するDミラクル。

 響は、一直線にDミラクルを再び狙いにいく。

 体の力を抜き、ただ一点を狙って、攻撃の瞬間に、拳に力を込めた。

「ふう……な!め!る!なぁああああ!!!」

「な!?」

 フォニックゲインが高まり、『ストーン』を発現するDミラクルを殴り飛ばした。

 大ダメージには至らなかったものの、Dミラクルは予想以上のパワーに目を白黒させた。

(こ、これほどとは……)

 しかしバチバチと『スパーク』を発現させ、地を蹴った。

「全力で叩き潰してあげましょう!」

 

 ――奇跡が宿った機械仕掛けのこのアームには意味がある

 

 響は【歌】と共に拳を握り、正面からDミラクルと対峙する。

 

 

『リトルミラクル–Grip it tight-』

 

 

「普通の日常、何でもない日々。そんな夢の為だと!」

 Dミラクルの突進を跳躍で躱し、『スパーク』の射程範囲外距離を保ちながら、足で地面を削って砕けた岩を蹴り上げる。

「正義を信じ、握り締めよう!やり直せばいい、壊れたって!!」

 岩石に対処すべくDミラクルは『スパーク』から『バーニング』へ能力を変化、岩石を一撃で粉砕する火の玉となって響の拳と真っ向勝負に挑んだ。

「もうへいきへっちゃら!ハート響かせ合い、なけなしの勇気、だって『勇気』。泣けるほどギュッと!愛になる!」

 二人の戦場は爆発的なエネルギーに耐えられず、衝撃で徐々に崩壊していく。

「私は奇跡の名を冠するダークマター!あなたのようなものに負けることなどありえないのです!!」

 ジリジリと、『バーニング』が響の右拳を焼いていく……それでも、彼女は拳を引かなかった。

「馬鹿ですねぇ。このままでは右腕が使い物にならないくなりますよ?苦痛も尋常ではないはずだ」

「……今、街の人達は苦しんでいる」

「ん?」

 膨大なエネルギーのぶつかり合いの中で、響は呟く。

「私の友達も、お父さんもお母さんも、不安と恐怖と戦ってるんだ。翼さんやクリスちゃん、他のみんなだって!」

 Dミラクルは気付く。

(! 押し返されている!?)

「だから、私は逃げるなんてことはしない!!」

 それはまごう事なき、心優しい少女の、正義の叫びだった。

「うわぁああああああ!!!!」

 ついに押し負けたDミラクルが地面を転がる。

 響は痛々しい右手を、なんら平気そうに突き出して言った。

 

 

「このくらいの痛み、へいきへっちゃらだ!!!」

 

 

 直後、首下にあるイグナイトモジュールに左手をかける。

「イグナイトモジュール――抜剣!!」

 

 

『限界突破G-best (IGNITED arrangement)』

 

 

「一点突破の決意の右手 私と云う音響く中でぇええ!」

「ぐはっ!」

 暴走状態を管理下におき、決意を固めた響にDミラクルは為す術もなく拳を食らう。

『ストーン』の防御力を無視した一撃に、目玉の一つを潰された。

 

 奏でられる【歌】の中で、Dミラクルは特殊攻撃を尽く打ち潰され、響の連続パンチが炸裂する。

 

「高鳴れ!G-best!!」

 

 メーターをガンと! 振り切れ!

 

 この両手で この歌で 守り切ってやる!

 

 目にも止まらぬ速度で繰り出されるマシンガンパンチ、そしてキック……攻撃は最大の防御の言葉通り、Dミラクルはまともに逃げることすら叶わない。

 

「貫け!G-best!!」

 

 信念を 燃えろ! 激しく!

 

 強烈なアッパーカットが決まり、満身創痍となったDミラクルは、情けなくひいひい言いながら後ずさる。

「そ、そんな……私はまだ!」

 高く、高く飛び上がり最後の一撃を振りかぶる響を見て、ついに背を向けた。

 

「限界なんていらない知らない……ぜったぁああああああい!!」

 

 

 

「ぎゃあああああああ!!!!!!」

 

 

 

 上空からの渾身の一撃が、Dミラクルの体を地面深くに沈み込めた…………。

 

 

 

「繋ぎ離さない!!」









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