兎に優しいIS世界   作:R.H.N

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過去を記す番外編です。

今回は散々話に出ている【流星宰相】についてのお話です。

(とはいっても、後半は彼に関するチャット形式の雑談みたいなものですが。)


外伝【流星宰相】と呼ばれた男

ISが日の目を見る10年ほど前のとある日。

 

side【流星宰相】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「義照、義秋、今日は急がしい中すまんな」

 

「・・・どうした親父そんな神妙な顔しやがって、とうとうしっぽ掴まされたのか?」

 

「兄さん!・・・・・・いや、無駄か、何だい?父さん」

 

「私は多分、明日には死ぬ」

 

「「ハァ!?」」

 

 

息子たちに私の死期が目前に目前に迫っていることを告げた。

 

義照はふざけてんのかという顔で、義秋は信じられないと言った表情で私を見つめる、当然だ、これまでに何回も死にかけるような目に遭っているとはいえ、その全てを()()で凌いだ私がもうすぐ死ぬ何て言われたら、そうでなくとも、例え憎まれようとも尊敬されていようとも、肉親が何の前触れもなく自分の死期をカミングアウト何てして正気を疑われないほうがおかしいのだ。

 

それに・・・・・・

 

 

「・・・・・・ヤケにらしくねえ言葉だな親父、政治家として口を開けばやれ現実だのやれ真実だの・・・・・・過去と今の薄暗い事ばっかり話して、政治家のくせして未来のことなんざいい意味では一度も口にしなかったアンタが、何の風の吹き回しだ?」

 

 

「・・・・・・人間、下らん直感に囚われることなんざいくらでもあるということだ、散々政治・経済で暴れまわったから長くはないだろうとか思っていたのが早まっただけだ」

 

・・・・・・相変わらず義照からは嫌われてるな、私も知らない間に随分老いたもんだ。

 

「・・・・・・認めねぇぞ親父、最後の最後で逃げに走る何てのはよぉ」

 

「私が逃げていたかどうかは私の死後に放たれる情報を見てからにしておけ」

 

 

・・・・・・全く、義照も誰に似たのやら、我が息子ながらほんの数日前までの現役バリバリな私を見ているかのように、私に大して敵執心をむき出しにしてくる。

 

「必要だから」、「そうする方が良いから」、と無茶苦茶な量の裏付け資料と正論で他の意見を圧殺し続けて、国を少しでもマトモにしようと突っ走り過ぎたツケが息子に、義照にだけやけに重たくのしかかってるのだ、恨まれるのも当然か。

 

 

 

 

 

 

・・・・・・この足で集めた情報と、この口先とで死に追いやった人の数は、最早数えきれない程になっている。

 

既存の政治機構、経済機構を蹂躙するだけならともかく、教育委員会や幾つもの宗教団体、果ては前の米合衆国大統領でさえ、私が用いた口先と資料とを用いた一方的かつ圧迫的な罵倒と非難に耐えきれなかったのだ。

 

お陰さまで教育制度や祖国の政治体制が文字通り木っ端微塵になって、言葉通りのリスタートとなったりしたわけだ、他国も一部そんな感じだから尚更の事である。

 

経済界もフルボッコに仕立てあげたせいで資本家と労働者の両方に大概恨まれたのだ、まぁ私の在任中に既存の企業が国籍業種大小一切関係なく30%も一気に破産に追い込まれて世界経済が死にかければ当然と言った所だろうか。

 

思えば私は政治家として動いた6年ほどの間に破壊と再生しかやってることがなかったりするなぁ・・・・・・

 

 

「・・・・・・親父の事だ、これ以上は無駄だな、まぁ死んだら葬式くらいは挙げてやるよ」

 

 

「本当は葬式すら不要・・・といいたいところだが法律があるしな、テキトーにやっといてくれ、ぶっちゃけ無縁仏扱いでも構わんけどな」

 

「・・・チッ、」

 

「ちょっ兄さん!」

 

 

自分の死後の始末を頼んだら舌打ちされて出ていかれてしまった。

 

 

・・・・・・まぁ仕方がないのだろう、義照にしてみれば私は・・・・・・・・・いや、それ以上は悲しくなるからやめるか・・・。

 

 

「義秋、私が死んだら義成情報大臣に会うようにしてくれ、彼に遺書を託してある」

 

「父さんも死ぬの確定みたいな雰囲気出さないでよ!兄さんを差し置いて僕が喪主やらなきゃならなくなる感じじゃないかこれ!」

 

「そうなっても構わん、あいつからしたら私の葬式の喪主なんて願い下げだろうしな」

 

「父さん!!いい加減にしてよ!!」

 

「さて、どうしたものかねぇ・・・・・・」

 

 

 

 

義秋にキレられるが無視する、はっきり言ってこの場で取る態度としては最悪の部類だが、私自身の目的の都合上仕方がない。

 

まぁ、ここまで冷たく扱っておけば、私が死んだ後、私の息子云々という理由だけで二人が憎まれることは無いだろう、まぁ、仮にそうでなかったとしても元からヘイトまみれの私に対して今更ヘイトためられようが大した問題ではない、あの二人なら乗り越えられると信じている。

 

 

何時のまにやら義秋が居なくなっていた、折角だ、義成のところで最後の別れを済ませるのも一興か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだかんだと6年間、よくも悪くも突っ走り過ぎたものだ」

 

懐からお気に入りのタバコを取りだしライターで火をつける、最近は自分で分煙とマナー問題への対応を進めてきたからか今の私のように歩きながらタバコ吸うような人間への目線は冷ややかなものだが、それでも喫煙は止まらないものだ。

 

 

「はぁ・・・・・・」

 

夜空を眺める、生憎と曇っていたが、それが私自身の心情を表しているようにも思えて、なんだが悲しくなった。

 

 

「孤児から苦学生へ、飛行艇輸送会社を立ち上げて政界入り、最終的には暴君か・・・・、私はただゆっくりと過ごしたかっただけだったのだがなぁ・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ、これでようやく()()()のだと思うと、そこはかとない達成感を感じるのであった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~時系列は最近まで戻って、とある匿名型チャット交流サイトのとあるチャット~

 

 

 

 

【21初頭の】流星宰相を語るチャット、part50【大妖怪】

 

 

 

 

1、:チャット管理人@流星宰相研究中。

 

ここは【流星宰相】、槇田義貞について議論と交流を行う公開チャットです、政権奪取と共に大暴れして今尚評価が極端に別れる彼についてトコトン語り合うと同時に、謎だらけの彼の人生について迫って行きます。

 

尚、記念すべき50茶目の模様

 

 

2、:名無しのなっさん

 

茶立て乙

 

 

3、:紫う☆さ☆ぎ

 

立て乙だよー、

 

 

4、:胃痛の元帥

 

立て乙、

 

しかし、こうして前スレから【4.2】の状況整理を続ければ続けるほど、死の間際に彼が()()()()()理由が分からないなぁ・・・・・・マジでどうしてだ?

 

 

 

5、:チャット管理人@流星宰相研究中

 

>> 4本当に謎ですよねー、彼自身が破壊しまくった世の中構造、その大方の再編は始まってて後は時間に任させればどうとでもなったとは言え、彼自身やろうとしてたと思われる事柄は他にも非常に多くあるのに後悔してる様子無いですもん・・・・・・

 

 

6、名無しのなっさん

 

義貞が何か小言を一つ発した直後に、突如発狂した米海軍女性士官の発砲から奥さん庇って至近距離から脳天に一発、心臓に二発直撃弾もらって【自主規制】が【自主規制】してるのにまだ動けてたからなぁ・・・・・・

 

 

7、名無しのなっさん

 

奥さんも心臓に一発致命的なの貰ってたけどな。

 

ってか映像そのまんまだとあのタイミングにはすぐ近くで目撃することになった一般の人達の他に、

 

当時刑事だった義照元首相、

 

義貞から会社引き継いでた義秋社長、

 

若手下士官で犯人の隣にいたアイリーン・アークライト現米太平洋方面艦隊総司令、

 

その他名のある人物沢山いるのに、誰もなにもしようとしてないというのがね・・・・・・

 

 

8、:名無しのなっさん

 

いやあれ無理だって、漏れもあのばでなにも出来なかったパンピーだけど、あれ完全に夫妻と犯人とのステージ見たいな雰囲気醸し出してたもん、義貞のあの笑顔絶対状況に介入させたくない感醸し出してたもん。

 

 

9、:胃痛の元帥

 

テレビ越しでリアルタイムで見てた私でさえその場の光景に釘付けになって動けなかったからね・・・・・・少し前に娘達に見せたんだけど、下の子がトラウマになっちゃって・・・

 

 

10、:紫う☆さ☆ぎ

 

私も映像見たけどあれはちょっと誰も手出しできないと思うよ?見方によっちゃ義貞さんゾンビ扱いされても仕方ないし・・・・・・

 

後胃痛さん子供に無茶させ過ぎ。

 

 

11、:名無しのなっさん

 

そう言えばあの事件の犯人どうなったんだろ、現地である日本で裁くか改正日米地位協定発行前なのを理由にアメリカで軍法会議にかけるかで大揉めしたって話は聞いてるけど。

 

 

12、:チャット管理人@流星宰相研究中

 

>>8確かにあの雰囲気は割りと本気で誰も近寄れなさそうな・・・私も同じ状況になったら足とめるでしょうし・・・・・・

 

 

>>11、確か結局は米軍に引き渡して軍法会議だったはずですが・・・・・・判決どうなってたっけなぁ?ちょっと資料漁り直してみます。

 

 

12、:胃痛の元帥

 

確か完全に秘密法廷扱いになって裁判結果は公開されてないはず。

 

ただ、その後件の女性士官を見た人物はいないから処刑された可能性大だったはず。

 

秘密裁判扱いになったのを受けて政府がマジギレして判決結果公開を再三要求したのに却下されてると言う。

 

その結果義貞政権下で冷え込んでた日米関係が修復不可能一歩手前に到達して後の政権の反米親露路線がほぼ確定したとか言う流れだったはず。

 

 

13、チャット管理人@流星宰相研究中

 

資料見つかりました、どうやら当時の米国軍法では、法律の不備の関係上、法律通りの場合犯人をどうあがいても死刑に出来なかった(終身刑が限界、しかもそれすら厳しい)らしく、只でさえ氷点下だった日米関係のさらなる悪化を恐れた米軍によって秘密裁判下で処刑してしまおうとしたのではと言う話がありましたね。

 

どうやら夫妻の最後の空母からの落下が自殺とも取れるらしく、そのせいで犯人の行動が【首相を殺した】のではなく【首相に大ケガを負わせた】に刷り代わる可能性が高かったとか。

 

 

完全に槇田政権を読み違えてますね、おかしいと感じたら法律を変えることから始めるタイプで、そうでなければあくまで法律順守の意向が強かった政権だから規定通りなら渋々納得してた可能性が高いのに無理矢理処刑とか大津事件の逆かと・・・・・・

 

 

14、:紫う☆さ☆ぎ

 

それが原因で今なお在日米軍は冷や飯喰らい扱いなんだ・・・・・・割りと自業自得感がするけど、現場の兵士と関係ない他の士官がかわいそうな気もする。

 

 

>>4案外彼自身も自己嫌悪してたのかもねー、前々から話題に上がっていた息子の扱いの悪さも、わざと自分と対立させてその様子を印象付けることで、自分の死後に二人に降りかかるであろう風評被害を押さえるためだったりするのかもしれないし、もしかすると彼の打ち出した数々の政策や行動は【必要だと感じだからやった、言った、行った】のであって、それと【やりたかった】かどうかは別なのかもねー

 

 

15、:名無しのなっさん

 

>>14それはねぇだろ・・・彼が政権取ってから、明らかに殆どの政策は彼主導で動いていたし、言動が過激すぎだと非難されても反省どころか非難してきたやつに自身の言動の正統性示す論文、資料を2桁単位で送り付けて、反論には更なる反論を重ねて・・・最終的には完全に黙らせてくるような奴がそんなネガティブ野郎だとは思えんがなぁ・・・・・・

 

それ以上に、【平成のヒトラー】、【世界一質の悪い男】【悪意と狂気の塊】、【生きた疫災】【血みどろの救世主】その他もろもろの称号で呼ばれるあの男が実は自己嫌悪の塊とか正直想像がつかん。

 

 

16、:チャット管理人@流星宰相研究中

 

当時の既存政権を与野党全部纏めて徹底的に非難して空中分解させてますからねぇ・・・無所属新人出馬ラッシュ引き起こした挙げ句新人勢力まとめあげて日本中引っ掻き回した結果衆参同時選挙で無所属新人()()議員になれなかったとか言うウルトラC見せつけられたら最早どうしようもないとしか。

 

>>15合法的に政権取って独裁体制に突入してる辺りヒトラーそっくりですからね、彼の場合は全権委任法に類似する法律をつくるとかで独裁状態を正当化せず、純正に彼個人への人気だけで実質的な独裁体制を維持し続けたことが相違点になりますが。

 

自分ageをしないで相手を徹底的にsageすることで相対的にマシ扱いまで持っていくとか言う恐ろしい戦法で最終的に首相にまで上り詰めてる辺りバケモノとしか言いようがない。

 

 

17、:胃痛の元帥

 

しかも、経歴を辿ると野宿者の孤児から人生スタートと言う難易度ルナティック というね。

 

 

オマケに、学歴上は高等学校卒業程度認定試験経て大学出てる苦学生って所だけど、孤児だった都合上()()()()()()()()()()()からね・・・天才とか言うレベルじゃねーから!

 

 

 

19、:名無しのなっさん

 

本当彼の人生に関しては突っ込みどころが多すぎる・・・・・・

 

やむを得ない理由あるとは言え義務教育ブッチして大卒まで至った挙げ句、沿岸地域向け飛行艇輸送会社で大成してから政界凸して35で首相になるとかいろいろと頭おかC。

 

それ以上に恐ろしいのは政策の必要性に関する裏付け資料をマシンガンの如く用意してから周到な準備して、反論を完全に圧殺して確実に通すその情報収集能力よ。

 

 

20、:紫う☆さ☆ぎ

 

・・・・それにしても不思議な人だよねぇ。

 

他人を卑下することはあるけれど、自画自賛は絶対にしない人で、他人を卑下するときもいちいち資料にして恐ろしいくらいはっきりとした理由付けを行うって、そこまでする必要性あるのかなぁ?

 

でも本当に何で最後の最後で笑顔になったんだろうね?

 

もしかしたら誰にもわからないような秘密があったのかなぁ・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だとしたら、彼は一体今の世界を見て何と言うのだろうね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





このチャット、名無しと管理人以外の同一HNは全て本作登場人物の書き込みだったりします。


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