ISのソシャゲーが配信開始されたので先にぶっちゃけておきますが、本作はその作品の要素はそんなに入る予定がないです。
本格的に関わってくるとしても、新しい代表候補生関連ぐらいですので悪しからず。
あと新作スパロボにナディア参戦てマジか。
~side束~
モンド・グロッソの件がどうにか片付き、束達が帰国して早数日・・・・・・
「・・・・・・・・・ねえはるるん、みとりん、ゆっきー、ちーちゃん」
(パソコンでデータ処理を亜光速で済ませながら)
「ん?どした束?」
(速度そのものは普通より多少早い程度なものの、下手な筆箱より小さい超小型キーボードで指一つにつき1つの、計10台のパソコンを操作するとか言う離れ業を披露しながら)
「・・・・・・そろそろ掃除が必要だよねコレ?」
「・・・そうさね」
私達の目線の先には、今にも中の物が溢れだしそうな勢いになっている倉庫のドア、
ドアの先にははるるん達が仕事をこなす上で出てきたゴミ(受注したISに塗装を施すためのペンキをいれてたゴミやら、仕事が忙しすぎで後回しにしていた家庭ゴミの袋の山やら)がぎゅうぎゅう詰めにされていたのであった。
「・・・完全に仕事優先で後回しになってたからなぁ、しかし今もコレ完成したらすぐ次のを受注しないと、だからなぁ、正直片付けてる時間があるのかと言う・・・・・・」
「だよねぇ・・・はるるん、受注機体用のプログラム組み終えた?」
「一応残ってた四機分全部終わったが、思えば受注したISを保管するための倉庫なのに全然使ってないな、あそこ」
「作業するのに都合良いからってこっちに機体置きっぱにしてるからね~、オフィス兼作業場だから広くスペースとられててIS置いときながら作業できるし」
「だからって10機同時受注はやっぱりやりすぎだったな」
「受注元が同じ職種のだったからなぁ、【ナイチンゲール】やら【レイバー】やらなんやら個別受注多すぎたからめんどくさいしと思って一気に受注しちまったわけだが。」
「要求仕様が細かいところで全部違ってたからプログラム共通させれなかった悲劇な」
倉庫がゴミ捨て場みたいになったのには、本来倉庫に保管しておく筈の製造中機体を作業しやすいからと全部広いオフィス兼作業場に持ってきていることにあった。
IS保管に使う予定の倉庫が使われなくなったので一時的なゴミ置きにしようとしてそのまま・・・・・・と言う有り様である。
更に、出来るからと言って総勢5(+2)名の製作所で10機も同時に受注したのが祟り、受注数が多過ぎて怠けると大惨事になると思った為に誰も殆ど休まずに製作し続けた為、まだまだ納期に余裕があるのに他のことに手をつける気力が起きないという事態に私達は陥っていたのだ。
最も、そもそもこんなことになった理由と言えば、この10機を完成させても、世界各地から寄せられた受注待ちの予約がまだまだ数十件も残っているほどの需要過多にあったわけだけど。
【んで、お母様どうします?あのゴミの山】
「んー、気分転換もかねてサクッと片しちゃおうか」
「そうしますか」
白ちゃん(白騎士の略称だ)に促されて、私達は早速、ゴミの山と化した倉庫の清掃を行うことにした。
それが大惨事の引き金になるとも知らずに・・・・・・
「ねぇ束、取り敢えずゴミ処理始める前にどっかに機体を避難させといた方がよくない?」
「しかし、待機形態にしとくと搭乗者登録してない物だから無くす可能性が・・・それに作業するならそのままの方がいいし・・・」
「それならカーゴの出番だな」
「・・・お?、【オメガ・カーゴ】竣工早々に本領発揮か、正晴?」
「そう言うことだ」
「よーし!じゃあ白ちゃん、暮ちゃん(暮桜のry)、機体のカーゴへの搬送お願いね!」
【了解しました!】
【了解した】
「どれ、私も手伝うか」
まず私たちが始めたのはオフィスに鎮座されていて邪魔になる11機のIS(10機が受注機体、残りの1機は製作所に保管している試作機)を、車庫にある私とはるるん設計の超大型IS運搬専用車輌【オメガ・カーゴ】に積むことから始まった。
この【オメガ・カーゴ】は民間用のISを現地に運び込む為に国とIS委員会に話を通し、内部にIS開発設備やキャンピングカーの性能を要求してまで製造された超大型の専用輸送車だ。
待機形態になってないISを5機ほど積みこめて、なおかつISの開発及び整備設備やキャンピングカーとしての性能を有している他、シュノーケルやら悪路走破性能やらスモークチャージャーやらレーダーやら何やら何でもかんでも詰め込んで、挙げ句の果てには専用モジュールを用意して色んな状況に対応できるようにするなど、天才たる私とはるるん、みとりんの三人を中心に色んな人の技術とアイデアのあらんかぎりを詰め込んだ代物となっている。
その代わり、特許関係で入る収入やらなんやらで金はあるからって金に糸目をつけずに技術を惜しげもなく投入し、日本特殊車輌製造メーカーの力も借りた一点物なため、他でも製造可能だがお値段は一輌で億単位とか言う末恐ろしい価格になったんたけどね。
「搬入口は開けとくから、半数はそのまま車内のスペース、半数は待機形態にした上で車内にあるガラスケースに入れておいてくれ、本人達へ引き渡すときはそれに入れておくからな」
「わかった、取り敢えず無銘と受注機体の内4人組の機体をそのままに、残りの6機を待機形態にしてから保管しておくぞ」
「了解」
【取り敢えず最初の一機をカーゴに積み込みまーす】
ちーちゃんが待機形態のISを、ちーちゃんとは別に独自に動けるようになった白桜がそのままの状態のISをカーゴに運び込んで行く。
【・・・・・・これでよし、と】
【Master、すべての機体をカーゴに乗せ終えました】
「了解した、束、終わったそうだ」
「了解だよー!んじゃ開けよっか、おーぷんせさみ~!うわわわっ!?」
ドバァァァァァッ!
機体を退かし終えた私達は早速、倉庫へのドアを開ける。
その直後、ドアの方から雪崩れ込んで来た物の数々によって私の視界は暗転したのであった。
~side out~
~side 箒~
「・・・・・・なぁ一夏、ここは確かに姉さん達のいる筈である製作所だったよな?」
「そのはずだけど・・・・・・」
今、私達の目の前にはゴミ屋敷、とでも言うべきほどにまでモノに溢れてしまった姉さん達の職場である筈の建物があった。
本来は私と一夏、友人の鈴音と同じく友人で千冬さんの教え子でもある赤と黒のオッドアイをした女性、鳳 志乃(おおとり しの)の四人で姉さんの職場にお邪魔する予定があって来たのだが、大変なことになっている姉さんの職場、篠ノ瀬製作所をみてそれどころではなくなってしまったのだ。
本当のところは母さんと、最近一夏達と再会した一夏の双子の姉、円香も一緒に来る予定だったのだが、帰還した際に色々とやらかしている一夏の両親、千秋さんと一春さんへの折檻とそのフォローのためにこれなくなった、という事情があった。
「・・・・・・イメチェン?」
「いやいや、コレ明らかに束さん達が何かやらかした後でしょ」
志乃が建物を見て一言、それに対する鈴の的確なツッコミ。
「それにしてもいったい何故・・・・・・」
「また千冬姉かな?いい加減にしてほしいんだけどなぁ・・・・・・」
「いくらししょ・・・千冬さんが実際のところズボラだからってここまでひどい事態になるとは思えないのですけど・・・?」
「志乃の言うとおりだ、確かに千冬さんは私生活で一夏に苦労を掛けてばかりだが、一夏がいないからとここまで酷い惨状を引き起こす人ではない筈だ」
「じゃあいったい誰が・・・?」
一夏がこれまでの実績(本人の生活力皆無)から千冬さんを疑うが、志乃の言う通りの話、いくら千冬さんが前まで私生活の殆どを一夏に頼りっぱなしだったとは言え、ここまでの惨状を一人で引き起こすことは無いだろうと考えられるのだ。
この後、あーだこーだと色々四人で原因を考えてみたが、結局あれこれこの場で考えるには情報が少なすぎたので、取り敢えず付近を調べてみることにした。
「・・・・・・うっわ臭い!コレもしかしてペンキの臭い?」
「くんくん・・・・・・確かに束さん達に【ナイチンゲール】の塗装工程を見学させてもらった時に嗅いだ臭いと一緒ですね、束さん達がIS塗装に使っている塗料と見て間違いないかと」
「なぁ箒、あっちの方に転がってるゴミ箱の中身って正晴さんが没にしたISの設計図じゃ?」
「・・・・・・本当だ、ここで今制作中の音楽演奏用IS群の1つの設計図だな、3つの音楽ユニット合計10名分の専用機設計を一度にこなしてて、ユニット別に機体に共通性持たせたいとか言ってたな、とすれば原因は・・・」
「束さんに限らない製作所全体になるのかな、これ?」
鈴が塗装に使われていたペンキ缶らしき物を発見したのを皮切りに、製作所敷地内のそこら中に溢れているゴミの正体が段々と掴めてきた。
見つかったゴミは悉く姉さん達がISを開発する際に使っていたものばっかりだった。
そこから推測すれば、出てきた廃棄物を仕事が押しているからと適当に一時保管し続けておいた結果、保管の限界を迎えて一気に溢れだしたのではないか、と推論できる。
千冬さんを除けば、姉さんを筆頭に自分の領域に関しては熱中し過ぎて時間を忘れてしまう人ばっかりなのが篠ノ瀬製作所の人達だ、比較的手の空いてるであろう千冬さんと行信さん、そして、姉さんの話で聞いた白騎士、暮桜の二人では正直姉さん達を止められそうもないし・・・・・・
「・・・・・・んで、どうするのコレ?このゴミの山から束さん達探すのはさすがにキツいってレベルじゃないわよ?」
「清掃業者さんでも呼んでゴミをまとめて取っ払って貰います?」
「正直志乃の言うとおり俺も業者さんを呼んで纏めてゴミ収集してもらった方がいいとは思うんだけど、そうするとゴミ回収の際に束さんたちも巻き添えにならないかな?」
「そうならないようにするためにゴミの撤去が遅れる可能性は大いにあるな、多分」
取り敢えず原因に見当がついたあたりで、次はどうするべきか考える必要性が出てきた。
鈴の言うとおり、このままこのゴミの山から姉さん達を探すのは困難を極める。
そもそものスペックが異常な千冬さんもそうだが、姉さん達も姉さん達で生身の千冬さん相手にタイマンで多少は戦える位には恐ろしい身体スペックをしている。
だから姉さん達がゴミに埋もれてあっさり圧死してるようなことは無いだろうが、製作所外の庭一帯と建物内のオフィス兼作業場及び倉庫におよぶ広さに渡ってゴミが散乱していたのでそこから探すとなると私たちだけではいつ終わるかわかったものではないのだ。
志乃の言うとおり業者に頼んで重機投入してゴミを一気に撤去してもらう手もあったが、その場合は一夏の懸念通り、重機械でゴミを動かすときに埋もれていた姉さん達を巻き込む可能性があるため、それを防ぐために作業が遅くなる可能性があった。
「・・・・・・箒、もう警察呼んじゃおうよ、冷静に考えたらコレフツーに警察案件だって」
「わ、私が呼ぶのか!?姉さん達がゴミの山に埋もれたからって!?」
「そうした方がいいかもしれませんね、いくら師匠といえどこの状態で身動きできるとはとても思えませんし、何よりこのままだと普通に近所迷惑ですし…」
「・・・・・・あっ、あんなところに全員いた!箒、鈴、志乃、あそこ!!」
「「「えっ?」」」
ここで、普通に考えて異常事態であるために警察の手を借りるべきだと言う鈴とそれに同調する志乃。
鈴の言うとおりにゴミに埋もれたと思われる姉を探すために警察の手を借りるべきなのか、って言うか理由が理由なのでそんなことしていいのか?
……などと考えて迷っていたところ、一夏がオフィスの隅っこにペンキまみれになってダウンしている姉さん達を見つけたのだった・・・・・・・
~side out~
~side 正晴~
「鳳さん、本当に、本ッ当に申し訳ない!!」
(五体投置しながら)
「いえいえ正晴さん、何もそんなに畏まらなくても・・・・・・」
「いやしかしだね・・・あっやば肩が・・・」
「正晴さん!?」
私達が倉庫からのゴミの雪崩に巻き込まれ、オフィスの隅っこの方で使い残した塗料にまみれてぶっ倒れてから数時間が経った。
結局のところ私達は織斑君たちに助けられ、ゴミの方も箒ちゃんの通報でやって来た警察の人が文句を垂れつつも清掃業者の人を呼んでくれて一件落着へと至り、現在はシャワーを浴びて服を着替えることで体についたペンキを落として身だしなみを整え直した状態で、清掃業者の神業によって僅か数時間で元通り綺麗になった研究所の入口前で、見苦しい所を見せてしまった箒ちゃんたちに対して、全力で謝ることとなったのであった。
この件によってオフィスにあったパソコンがほぼ丸々全損、車庫にあったオメガ・カーゴもペンキまみれになり、更に【白桜】が軽く損傷して白騎士と暮桜から文句小言が暫く続くはめになった。
幸いオフィスのパソコンはデータのパックアップを残していたのでPCを新調し次第すぐに再開できる見通しだったし、受注していた機体と志乃さんの専用機【無銘】(ノーネーム、と読む)はカーゴに避難させていて無事でカーゴ自体も軽く洗車すればすむぐらいの被害だったのでPCが壊滅したこと以外で仕事に大きな支障のでる出来事はなかったのだが・・・・・・
「箒ちゃん、私怖かったよ~(ToT)」
「姉さん・・・・・・(姉さんが泣きつく姿なんて初めてみたな・・・)」
「ウーン、やっぱこうなるよね~」
【うっわぁとんでもない費用請求されてますねぇ・・・・・・】
【重機投入して一気にかたづけたからな、まぁ母上達にとっては良い薬になっただろう】
「姉さん?言いたいことはわかるよね」
「・・・・・ハイ、ホントウニモウシワケアリマセンデシタ…」
「はぁ・・・円香がこの光景みたら何て言うだろうなぁ・・・」
「アイダダダ・・・・・・やっば、腰逝った感があるわコレ・・・アイダダダダ・・・」
「行信さん大丈夫ですか?あまりに痛むんなら病院に向かったらどうです?」
「ああ、鈴ちゃん心配してくれてありがとう、あ、ヤバいこりゃマジで通院した方が良さげ・・・アイダダダ・・・・・・」
束は倉庫のドア手前にいたので真っ先に巻き込まれたのにも関わらず軽いけがですんだが精神的ダメージがでかく妹の箒ちゃん相手に泣きつくことになり、みとりと白騎士、暮桜は清掃業者からの請求書を見て唸り、千冬は一夏の形相を見て縮こまりながら謝罪している。
私と行信は不幸なことガチの大ケガをするに至り、私は右肩を骨折して全治1ヶ月、行信は全身打撲と腰痛で全治半月と後に診断され、入院する羽目になるのだがそれはまた別の話である・・・・・・・・・。
~side out~
~side ????~
「スコール、偵察結果はどうでした?」
「ありゃダメだね、あのIS、自前で動くから手の付けようがないよ」
「じゃあ総帥閣下の予想通り、最早製作所を直接襲撃することは叶わないと、」
「はぁ・・・製作所からの技術奪取に躍起になってた上の方針が急に変わったから何事かと思ったけど、まさかあんなヤバいのがいたなんてね・・・」
製作所から少し離れた場所にある廃工場、ここに現れたのはモンド・グロッソ大会の際暴れたロボットを運送し、試合中に起動させて惨事を引き起こした二人の人物、オータムとスコールである。
「総帥閣下のお話によると白騎士と暮桜の融合体かつ、現行の数世代先を行くオーパーツ……でしたっけ?」
「委員会の公式発表では白騎士の予備パーツを流用して作った戦闘仕様の改修機だとの話だったけど、実際に調べてみたら公式発表と何もかも違ったわよ、総帥閣下はいつあんな情報を集めたのやら・・・・・・」
「それは気にすることではないでしょう、しかしこれからどうするのですか?」
「【都市】の捜索はまるで成果が挙がらないし、製作所からの技術奪取は諦めざるを得ないし・・・参ったねぇ実行部隊の出る幕が無い」
スコールは暫し考え込む・・・が、結局のところよい結論は出なかったようでため息をつきながらオータムに次の行動を伝える。
「一度総帥に報告するわ、元々【都市】の捜索を中断させてまで今回のことの調査を行わせたのは総帥だし、総帥からの情報が正しかったことを確認出来ただけでも収穫だからね」
「了解しました」
(・・・・・・それにしても、何故総帥は実行部隊の1つを束ねているだけの私にこんな重大情報を直接調べさせたのかしら?、総帥には直属の諜報部隊が別にいるのに)
「スコール?」
「・・・ああ、ご免なさいね、ちょっと考え事」
「いえ、それなら気にしませんが早く戻りましょう、総帥閣下に」
最後に、スコールは1つの疑問を心の内に秘めつつ、自身に指令を出した【総帥】のもとへと向かうために動き出す・・・・・・。
~続く~
そろそろ作中用語やらまだ解説されてない新登場のキャラやらなんやらの解説回を挟みたいと思っています。
次回はこれまで殆ど話にかかわってなかった例の組織の話になります。