兎に優しいIS世界   作:R.H.N

32 / 42
なんだかんだでモンド・グロッソのその後について軽く触れる回です。

メインとしては暮桜と白騎士が合体したやつのスペックの説明回でもあります。


IS委員会と一つになった二つのIS

事件の3日後・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~独国首都、ベルリン郊外のとあるホテル~

 

 

 

・・・「モンド・グロッソ」が中止になって早3日、事件が起こってから多少時間が経ったものの、この頃も世界中はモンド・グロッソの事件の前後関係で持ちきりになっていた。

 

 

一つ目はモンド・グロッソ会場・・・・・・独国キール近隣の町で暴れたあの巨大なロボットのこと。

 

 

2つ目はその際に生まれた新たなIS・・・暮桜と融合した白騎士についての話。

 

 

3つ目は初代ブリュンヒルデである千冬が、長いこと会えずにいた両親と再会することが出来たこと・・・・・・。

 

ざっくり言えば話題は上述したこの辺りの話に集約されていたが、それとは話を別にこの日、事件の重要参考人としてベルリン郊外のホテルに警護付きで滞在することになっていた束達は、これからくる来客の事で話が持ちきりになっていた。

 

 

「ねーねー、このタイミングで言うのもアレだけど、この場にいる誰もIS委員会会長の事なにも知らないって色々と問題だよね?」

 

 

「・・・・・・ぶっちゃけ俺達は完全にIS関係の政治的話には関わらないようにしていたからなぁ、ISに関する政治的事情の調整を主に設立された委員会の事なんて知ったこっちゃないんだが・・・」

 

 

「義照がこの場にいればその辺の説明もしてくれたんだろうが、生憎のところ重要参考人として会場の調査隊に同行することになったからな、仕方ないだろう?」

 

 

今現在ホテルのVIP御用達な部屋であるこの場にいるのは、束、正晴、千冬(with白騎士+暮桜)、みとり、の4(+2)人だが、その誰もがこれから彼女達に会いに来る国際IS委員会の会長がいかなる人物なのかを知らなかったのである。

 

 

【国際IS委員会】

 

国家のIS保有数やISの開発に関しての世界各国の動向を監視する委員会。

 

IS運用規定に関する諸協定(アラスカ条約の事)基づいて設置された国際機関であり、各国のIS保有枠を種別毎に厳しく規定して監視、管理しており、その本部はギリシャのテッサロニキ。

 

 

 

 

原作と違って、この世界ではISに関する技術情報の公開は、日本が首相代行(当時)の天ヶ瀬深那の判断によって束達の同意を得た上で全世界にISに関する当時の情報の公開を約束。

 

 

約束通り当時持ち合わせられる殆どのデータを各国に提供、時には白騎士の予備パーツを各国に資料として提供したりした上で、(製造経緯が経緯のため)実質ブラックボックスであるコアの利権を束に、ISに使われる装甲材及びハイパーセンサーの技術利権を正晴に、機体制御システムであるPICの利権をみとりに集中させてライセンス制を取り、後の利権に関してはその一切を国際IS委員会の元で共同管理にすることで技術独占状態を実質回避しつつ利権の一部を手元に置く事にしたため、日本がアラスカ条約で不利になるのを回避しているのだ。

 

 

序でに、ISの開発関係で束達に口出し出来ないようになってたりするので、この世界での委員会の仕事と言えば、まさしくISに関する世界情勢の管制と各国(束達以外)が提出する新型機開発に関する認可の発行と、各国のIS保有数枠が増える事になった場合の追加のコア製造を日本政府仲介で束達に依頼することぐらいであった。

 

 

本当のところはISに関する事件の調査権限等もあるのだが、この世界ではまだISを使ったテロ等は起きていないし、ISの事故等に関しても現地政府機関がマトモに調査して報告するため、実働に関しては今回の事件で初めて本格的に捜査権限を振るう以前は表に出る大きな仕事がなく、影が薄い存在だったのである。

 

 

 

「早いとこ帰って所長達が溜め込むことになってる仕事片付けたいんだけどねぇ・・・」

 

 

「私たちがドイツに留まる羽目になってるからって行信とJAXAの人達が臨時で対応してくれてるが正直いつまでJAXAの人達が持つかだしな」

 

 

【まぁそもそもをしてオーレンドルフさんに頼み込まれなければ私達全員揃って日本に帰る気満々でしたからね】

 

 

【ほとぼりが冷めるまでアルバン元帥直属の海兵隊の警護付きでココに滞在することになったわけだが、半軟禁状態で今だ帰れそうに無いがな。】

 

 

実際問題、開発者である束達に委員長の名前と顔を認識されてないことや、帰国後の仕事の方を優先事項に据えられることが影の薄さを最も端的に表していた。

 

 

最も、束たちも事件の事情聴取のため委員長自らが赴くからそれまで此所にいてほしいとオーレンドルフ首相に言われるまでは後始末を国に丸投げして帰国、千冬の家族再会祝いのパーティの準備をする気満々であったのだ、少なくとも束達にとっての国際IS委員会がいかほどの立場なのかはコレだけでお察し頂けるだろう。

 

 

「・・・にしてもちーちゃん、さっきからずっと(元)白騎士纏いっぱなしだけど良いの?」

 

 

「いや・・・その・・・何だ、IS委員会の委員長がどんな人物か知らないから甘く見られないようにだな・・・・・・」

 

【第一印象は大事ですからね】

 

 

【と、言っても今のMasterの姿は一歩離れて見ると精巧な戦乙女のコスプレにしか見えないがな】

 

 

「僕も初めて見させてもらうけれども、兜の羽根とか白い翼のような動翼とか、鎧中心で露出がかなり抑えられてることを除けば姿がゲームやら何やらで描かれるヴァルキリーのイメージっぽく纏まっているって言うね」

 

 

「!!?」

 

 

「・・・・・・委員長さんよぉ、やっぱり不味くないか?」

 

 

「こういうのは第一印象が大事だから、ね?」

 

千冬がISをまとったままやってくる客人を出迎えようとしてることに対して言及してるうちにさらりと会話に入った人物の存在を関知し、束達は出迎え予定のドアの反対側、窓の方を見つめる。

 

そこには、メガネとテンガロンハットを足しただけといえるレベルで義照に似ている男性と、申し訳なさげな表情で日本の公務員と思われる男性が窓際に腰かけて佇んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「驚いた、まさか、IS委員会の委員長がこんな登場の仕方をするとは・・・」

 

 

「始めましてだね、織斑千冬さん、川城みとりさん、篠ノ之束さんに村ノ瀬正晴さんだね、僕の名は槇田 義秋(まきた よしあき)、こう見えて国際IS委員会の委員長さ、よろしく頼むよ」

 

 

「・・・・・・日本国情報省長官、正確には天ヶ瀬政権の情報大臣、天城 義成(あまぎ よしなり)だ、よろしく頼む」

 

 

束達のもとにやって来た国際IS委員会の委員長は、束達の想像とは遥かにかけ離れた人物であった、

 

 

「よ、よろしくお願いします」

 

 

「義秋さん、よっしーにそっくりに見えるんだけど、ってか名字まで」

 

 

「・・・・・・アレ?もしかして兄さんからの紹介受けてない?」

 

 

「えっ(°Д°)?義照には弟がいたのか!?」

 

 

「私もそんな話知らんのだが・・・・・・」

 

 

「・・・・・・ああ、完全に兄さんが紹介し忘れてるね。」

 

 

「工工エエェェ(´゚д゚`)ェェエエ工工」

 

義照とは長い付き合いになる束達だが、義照に弟がいたことなど知らなかった、ましてや彼が委員長を勤めてるなど思いもよらなかった。

 

 

「・・・・・・確かに元首相が委員長の事を紹介したと言う話は聞いてないな、おいおいマジかよあのボウズ、10年近く身内についての話してなかったのかよ」

 

 

「・・・やっぱり兄さんに内緒で委員長になったことが裏目っちゃったかのなぁ・・・」

 

 

「よっしーェ・・・・・・」

 

 

「まぁそれはおいておこう、千冬さんが報告にあった新しい白騎士を纏っているようだから話は早い、早速スペックを説明してくれないか?」

 

 

「え?義秋さんの聞きたいことってそれ?」

 

 

 

「だね、IS委員会としては新しく生まれたISのスペックは早いとこ確認したい物なんだ、だけど条約での規定の手前、篠ノ瀬制作所製のISに関しては他国は愚かIS委員会でもスペックに関しての仕様書の提出を請求できないんだ」

 

 

「だから、義照元首相の弟さんである義秋委員長を使ってスペックの確認だけでもできないかとなって直接会いに来たわけだ、私は義照元首相との関係で委員長と知り合いだからつれてこられたのと、情報省傘下の事件調査隊を率いてるから調査が一段落したついでの挨拶だな。」

 

 

「ああ、あなたが私の親族関係の調査を・・・有難うございます、お陰で私は会えないと思っていた両親と妹に・・・」

 

 

「ははははは、貴方からはそのお礼だけで十分ですよ、名高き初代ブリュンヒルデから頭を下げられるだけでも恐れ多くてね」

 

 

束が義秋から来訪の理由を聞いたり、千冬が義成に礼を言ったりするが話がそれだしたので、この後本題に移ることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、千冬のIS・・・白騎士と暮桜の融合体について説明させていただきます、簡易的に判明したことに関しては、現状わかるだけで以下の通りです。」

 

 

「ふむ・・・・・・・・・・・・!?」

 

 

「どれ・・・・・・・・・!!?」

 

 

 

正晴の一言によって束から渡された資料を読んだ義秋と義成が声も発せず固まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《名称》戦乙女 白桜(いくさおとめ しろざくら)【束命名】

 

 

《分類》先進世代該当汎用機(専用機)

 

《製造元》篠ノ瀬制作所(正確には所属の機体の融合体だが、便宜上記載)

 

 

《搭乗者》織斑 千冬(実質専属パイロット)

 

 

《世代》第5~7世代に該当、現在何世代に該当するか検討中

 

 

《特徴》

 

展開装甲(元は第四世代向け技術)

 

高速変形機能(第4or5世代向け技術)

 

装備化機能(後述、第5世第以降向け)

 

最適化機能(後述、第5世第以降向け)

 

デュアルコア(特異部分1)

 

コア・ワールド(特異部分2)

 

フルシンクロ機能(特異部分3)

 

付喪神二人(特異部分4にして最大の特徴)

 

 

《武装》

 

固定武装である4つと展開装甲、装備化機能、のみ説明。

 

専用ロングソード【夕凪】(千冬命名)

 

本機体専用装備、千冬命名、刃渡り110㎝の美麗な剣。

 

明確に分類するとバスタードソードの系列といえる、(by正晴)

 

・・・のだが、千冬が軽く一振りしただけで固いものはダイヤモンド、柔らかいものならこんにゃくまで綺麗に真っ二つにしてしまう程の常軌を逸した切れ味を誇っている。

 

専用の鞘が用意されており、これと鞘のセットだけを単純に見れば比較的細身で軽いことを除けば中世ヨーロッパ製儀礼用もかくやと言わせんばかりの綺麗な見た目をしており、切れ味を無視しても英国王室や天皇家に永久保存したくなる一品。

 

(正直、総合的に見ても歴史さえあれば古今東西の聖剣、邪剣と並べても違和感のない代物である)

 

単純にスペックが馬鹿高いと言うタイプの代物なため、所有者が千冬でないと扱いきれない可能性大、むしろ剣に振り回されるやも。

 

 

 

 

専用突撃槍【ロンゴミニアド】(正晴命名)

 

事件後、固定装備として発見された大型の槍、見た目が某ゲームの白い槍そっくりとの事で命名。

 

こちらも夕凪と同等の鋼材が使われているらしく、おっそろしいことに騎馬槍のくせして大太刀みたいな運用も可能とか言う代物である。

 

(流石に切れ味は夕凪に劣るし、重いために機動力が落ちる欠点もあるし、どっちかと言えば鈍器扱いした方がよい構造だが。)

 

この他、槍本体を海自所属、轟天の「荒覇吐」の如く高速回転させることも可能であり、仕込まれた装置と合わさるとその場で槍を中心として前方に小型の帯電した竜巻を発生させることができるとかいう鬼性能を誇る。

 

 

(そのせいで、やっぱり千冬以外に扱えない)

 

 

夕凪との差別化で言うと、夕凪の方が完全近接特化かつ【切る】事を主体としてるのに対し、本槍は被害を考慮しなければ竜巻で遠距離戦をこなせる他、槍の本髄である突きに拘らず【破壊する】事を主体として産み出されたものと推測される点で差別化されていると思われる。

 

 

 

展開武装銃砲【ハルバード】(みとり命名)

 

変形させることで実弾兵装と光線兵装を状況に会わせて運用可能な大型ライフル。

 

変形すれば実弾は(サブ)マシンガン、ショットガン、レールガン、手持ち艦砲(護衛艦の並み)等の。

 

光線は照射型のレーザーや光体発射型のビーム砲、チャージ式のビームライフル等に変形させることができる。

 

形態ごとのサイズ差が激しいが、変形する武装の種類が多すぎる故と思われる。

 

この武装のみ、変形できなくなるなどの制約を受けるも、他の機体でも登録を行えば使用可能であることがわかっている。

 

 

 

専用輸送用超大型バックパック【オービタ】(行信命名)

 

 

超重量の荷物や多数の人々を仕舞い込めるバックパック。

 

通常は拡張領域に収納されているが、いざ出番となると搭載能力700t(スウェーデン製の最新鋭コルベット艦が満載で一隻ギリギリ入るレベル)とか言うふざけたレベルの恐ろしい搭載力を誇る収納として、後述する装備化機能との組み合わせで鬼も真っ青の猛威を振るう。

 

搭載された物は瞬間に専用の空間に放り込まれ、乗り込んだ人は驚くほどに大きくなっていくバックパックの中に佇むことになる。

 

人員は最大20数名同乗可能、満載したときは本体とあまりにも不釣り合いのバックパックを見ることができる。

 

基本的に本体に10人前後の人員と、専用空間へ乗組員が乗り移る宇宙船そのものを搭載、搭乗させて宇宙へ行き、現地宙域にて展開していくスタイルで使用することになると思われる。

 

・・・が、後述する装備化機能で装備になった代物が此所に保管されるため、実運用の能力は未知数。

 

因みに前述の3つの武器はこれの中とは別の場所に収納されるらしく重量換算されてない。

 

 

 

【展開装甲】《鎧》

 

白桜本体のこと、正しく言えば機体自体が展開装甲となっており、状態に会わせて形状を変えることが可能であることが判明している。

 

分かりやすく簡略化すれば、【白桜本体は全身が鎧であり、スラスターであり、姿勢制御装置であり、近接武器なのである】。

 

あまりにスペックが高いため、千冬がその気になれば機体が徒手空拳状態でも第三世代機を軽々とあしらうことが可能であると想定される。

 

序でにこの展開装甲こそが白桜の恐ろしい機動力の原点の一つであると考えられる。

 

 

 

 

 

【装備化機能】

 

本機の特異機能、兼本機の最も驚異的な機能。

 

普通、ISというのは使用装備には事前登録が必要であり、登録されてない装備や根本的にIS向けではない装備は使えないようになっている。

 

 

・・・が、本機は生物以外なら触れているものがいかなるものだとしても、本人の意思次第で本機の武装として即刻登録して、一時的に装備扱いにすることができる機能のこと。

 

やろうと思えば既存の拳銃だろうがRPGだろうが、核兵器だろうがゲーム機だろうが宇宙船だろうがなんだろうが、重量限界ギリギリまで装備扱いでオービタか本体の拡張領域にしまっていつでも取り出して装備できるようになる機能なのである。

 

この機能を持ってるだけで機体の汎用性が大幅に上がるため、一気に対策しづらくなる。

 

・・・が、問題はこいつが持つ副次機能の方で、原理不明ながら・・・

 

オービタに必要資材を用意しておけば、装備化指定した装備をそのまま()()()()()()()製造できる】のである。

 

(現状、制作所の面子をもってしても解析すら満足に出来ない本機の予備パーツは、この機能で用意することになる)

 

また、展開装甲が機体自体にダメージが入ると併せて機能が低下するのに対しての補填機能を有しており、この機能とオービタの大容量を元にすれば、損傷箇所を予備パーツと瞬時にすり替えなんて言う10式戦車も真っ青の芸当もできるようになっているため、実際のところ本機との相性が一番良い機能であったりする。

 

 

 

《解説》

 

 

最初のISである白騎士と二番目の機体である暮桜が融合し、一つとなった上で両機が抱えていた経験値を一気に自己進化に使った結果生まれた紛れもないオーパーツ機。

 

 

現在、白騎士及び暮桜の強力を得つつ、束達の手で持てる技能総動員して調査を行っているが未だにその全容が解っていない程の膨大な技術とデータが詰まった、間違いなく現行最強の汎用機である。

 

以下に詳述されてない機能を現段階でわかるまで記載しきっておくこととする。

 

 

【高速変形機能】

 

本機は現在の姿の他、機体そのものが気象衛星と観測衛星をかねる形態や、海中の深海潜航艇の役目を担う形態、挙げ句の果てにはマグマの中に飛び込んでも大丈夫になっている局地専用の形態等があることが判明している。

 

単純な変形だけなら第二世代以降機もパッケージ換装を行うことで基本的には可能だが、本機の場合展開装甲によって瞬時に行われるため、即応性が大幅に向上しているのが特徴である。

 

んで、この機能は、単純にそれらの形態へとあっという間に変形できるという事実を機能として扱っているだけの事である。

 

他の形態に関しては未調査の部分が多すぎるため、別の機会に記すとする。

 

 

 

【最適化機能】

 

機体の乗り手のニーズに併せて装備やら何やら(外見すら)を変化させる機能。

 

現在本機を扱えるのは千冬(適性S)と束(適性A)の二名のみだが、千冬と束とがそれぞれ纏った時点で全く姿や装備が違っていたと言うことがあった事から判明した機能。

 

誰が乗るかによって機体のコンセプトが大きく変化すると言うものである。

 

(書くと長くなるため未記載だが、束が纏った時は何故かメイド服状にISが展開され、ISの工厰の役割をもつための装備が多数展開された)

 

前述の装備化機能とはバッティングするところがあるらしく、装備化機能で装備扱いになった装備を最適化することは不可能。

 

(むしろ出来たらそれはそれで恐ろしいものである。)

 

 

【デュアルコア】

 

本機の特徴の一つ、単純に言えば暮桜のコアIN白騎士のコア。

 

本機は一つになったこのコアを使うことでのみ稼働する。

 

後述する付喪神二人が併存する理由と思われる。

 

 

 

【コア・ワールド】

 

コア・ネットワークの発展形。

 

 

実のところ、これについて語るにはその前にコア・ネットワークについて語らなければならない。

 

 

元々、ISのコアには元々広大な宇宙空間における相互位置情報交換のために設けられた専用ネットワークが存在しており、オープン・チャネルとプライベートチャネルによる操縦者会話などの通信手法に流用されていた。

 

(後に、この会話用ネットワークは【コミュニケート・ネットワーク】としてコア・ネットワークとは切り離されて考えられるようになる。)

 

 

・・・・・・・・・のだが、みとり技師がそれとは別に、上述の専用ネットワークとは別に、全てのコア同士が共有し、各自そこに其までに得たデータを送って共有することで、そのデータバンクを基点として様々な情報を入手、自己進化の糧として吸収していることを近年の研究で突き止めたのだ。

 

 

んで、みとり技師はこのISコア専用のネットワークの事を、【コア・ネットワーク】と名付け、そこへコアが個別にデータを送って他のコアと共有することを非限定情報共有(シェアリング)と命名していた。

 

 

やっとこさ、これまで発者達自身にもわからないことだらけだったISの進化に関する発見があったのだ、この発見によりISの進化過程に関しての研究に一定の定説が出るようになり、研究手法にも一定の方向性が出て来初めていた。

 

 

そんな中でのコア・ワールドの出現である。

 

その事実は、このコア・ネットワークでさえもがIS進化の対象になっていることが判明した瞬間であった。

 

そしてその次にISが()()()()()()()()ことがいかに大きな影響を与えているかを示したいたのである。

 

このコア・ワールドは、特に新しく機能が加わった訳ではない。

 

コア・ワールドとは、ISが新たに情報を収集してコア・ネットワークに放出するだけでなく、収集した情報を元にISが独自の意思で行動可能になったと言う事実を指摘するものである。

 

もっと単純に言えば、先の事件の際、白騎士がJAXAから独りでに千冬の元にたどり着いた事がコア・ワールドの存在を指し示している。

 

 

(IS初心者にも分かりやすいように更に噛み砕けば、【ISを動かすのに操縦者を必要とはしなくなった】のである。)

 

 

 

【フルシンクロ機能】

 

上述のコア・ワールドに続いて成立したと考えられる機能。

 

そっくりそのまんま操縦者とISがリンクする機能であり、操縦者が自身の体を動かしている感覚で操縦可能になると言うもの。

 

千冬曰く【機体と一体化する感覚】であり、操縦者本人の反応に併せて動かせるようになる。

 

 

・・・・・・がこれは千冬にとってのメイン機能らしく、本来は只でさえクソ高い本気のスペックを限界以上に引き出すための機能と思われる。

 

機能が適用されている間は、先の事件で見せた時よりも遥かに恐ろしいスペックとなる模様。

 

 

要はガン○ムのト○ンザムだと考えれば良いが、千冬はこの機能を使った状態でやっと全力を出しきれるらしく、本人の素のスペックが一番気になるところである。

 

 

 

 

 

 

 

 

単一仕様能力【夕凪極夜】

 

千冬が搭乗時にのみ繰り出せる単一仕様能力、

【零落白夜】の改良版といえるが、その効果は大会使用禁止レベルに至っている。

 

【夕凪】か、【ロンゴミニアド】のどちらかでのみ使用可能。

 

武器を構えて念じ、一瞬で相手の元へと急加速しつつ、すれ違い様に対象を切る(or対象に突き刺す)と言うもの。

 

対象ISのシールドエネルギーをダイレクトに削って来た零落白夜と違い、命中時点ではこちらは只の斬撃と言えると思われるが、直後に対象のシールドエネルギーを数十秒の間【×0】に固定するらしく、もしも斬撃とその効果の順序が逆だったりしたら、相手のIS乗りは命中したら絶対防御すら発動できずに即死がほぼ確定するとか言う代物と化すところだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《以下、公的には秘匿することを強く推奨する。》

 

 

 

付喪神【白騎士】【暮桜】

 

 

【白騎士】と【暮桜】のコアに知らないうちに宿っていた()()

 

 

電子生命体と言うのが一番正しいといえるのかもしれないが、IS本体を物理的肉体と考えれば電子生命体と言うには問題があまりにも多くなるので、これまでの知識や常識とは分離して考えるべき存在。

 

形式上、他の電子機器(パソコン、スマホ、テレビの3種が主)に入り込んで岩男EXEのナビの如く姿を表せるため二人の特徴について記すが、自分達の自我を意識してから彼女たちの【生】は始まったそうなので、ISが女性にしか使えないなどの根本的要素の答えを知ってるわけでは無いことを念頭に願いたい。

 

本人たち曰く普段はコアの中にいるらしく、意思を伝えたい時のみ何かしらを経由して出現するとのこと。

 

(本人たち曰く、コアは人間で言う自宅なんだそうな)

 

元々は白騎士、暮桜それぞれにいて、融合の際にデュアルコアとなったために、1つの機体に二人の付喪神がそのまんま居着くようになったとだと思われる。

 

以下に本機にいる二名の付喪神について簡単に説明することとする。

 

 

 

 

【白騎士】

 

白いワンピースを着たロングヘアーの少女として現れる、元白騎士の人格。

 

言動はどことなく子供っぽく、幼さゆえの容赦なさも見受けられるとは千冬の談。

 

人格のベースはコア完成直後にすでに存在していたらしいが、人格として成立したのはバミューダの件以降の事だったらしい。

 

(みとりが神社で縁担ぎすることを提案した経緯や、ISスーツの開発過程の話など、訳アリで部外秘になっている情報も持っている。)

 

開発者の影響か、正晴と束をそれぞれ【お父さん】、【お母さん】と、行信とみとりをそれぞれ【叔父さん】【叔母さん】と言っており、千冬を【お姉さま】と呼ぶ。

 

【暮桜】

 

騎士の鎧を着た千冬、といった感じの姿で現れる元暮桜の人格。

 

機体完成直後ごろに人格ベースが成立し、大会直前、ファーストシフトによる【零落白夜】の完成とともに人格として成立したとのこと。

 

千冬に見た目も似ていれば性格もそっくりと言った感じであり、違うところと言えばれっきとした【主】を有する騎士と言った成りをしていることだろうか?

 

正晴と束をそれぞれ【父上】【母上】と呼び、行信を【先生】みとりを【姉上】、乗り手の千冬のことは【Master】と呼ぶことにしているらしい。

 

(曰く、白騎士とは開発経緯が異なる故の呼称の相違なのだとか・・・・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・マジか」

 

 

「・・・とんでもなくヤバい機体だとはわかったよ、アカンねこりゃ」

 

 

仕様を見終えた二人が言葉を絞り出すには、しばらく時間がかかったが、共にスペックに驚きを隠せないようであった。

 

 

「・・・束さんたちに依頼なんだが、まずは取り敢えず本機のスペックは基本的に部外秘としてくれ、私の方も委員会に関してはこのスペックを適当に劣化させたものを報告させてもらう、理由は色々あるけどこの機体、そもそも単純スペックの時点で色々と不味い代物だ」

 

 

【・・・・・・どういうことか、一応一例をあげて説明していただけませんか?委員長殿】

 

 

「各国が第三世代のコンセプト模索の佳境に入っているこの時期に本機体のスペックが露見すれば、機体の情報をもっと寄越せと各国がいってくる可能性が極端に高い、」

 

 

「第一世代の白騎士もそういった理由で資料用のパーツを各国にせがまれた訳だけど、白騎士自体が宇宙開発向けの機体を操縦者の超絶技量で実践に使えるようにしていたってだけで、すぐに各国が実践向けの機体開発に取りかかれたからこそ、白騎士の予備パーツをあーだこーだする必要がなかった。」

 

「しかし、白騎士でやったことと同じ事を今回やると、マシな想定でも提供した予備パーツが()()()()()()、と言う可能性が大きいと言う結論になる」

 

 

【IS委員会による各国への定期監査や各国諜報機関の相互監視網があるから難しいのでは?】

 

 

「よく相互監視網の存在を知っていたね……だけど・・・・・・」

 

機体スペックの確認を終えた義秋が要請したことに疑問符を投げ掛ける暮桜、簡単に説明し初めたが、白騎士がさりげなく機密に触れたのに気づくと、大きく頭を抱えながら話を続けた。

 

 

「残念だけど、委員会による監視網も、各国間の相互監視網にも限界はある」

 

 

「詳しくは別の機会にでも紹介させてもらうけど、IS委員会は一枚岩ではないし、スペックが完全に露見すれば各国にとってその機体は日本と戦争してでも欲しくなる代物になる・・・とは僕の口から先に言っておくよ」

 

【・・・わかりました、肝に銘じさせていただきます】

 

「わかったよ義秋さん、」

 

「私からも千冬さんたちに1つ、構いませんね?委員長、」

 

「ああ、構わない」

 

義秋が彼女たちにある程度話を通したところで、義成から話が続けられる。

 

 

「千冬さんたちも、この二人に関しては特に気を使うようにしておいてくれ、この二人は露見した場合、下手するとモルモット扱いになる可能性がある」

 

【モルモット・・・・・・】

 

 

「実感薄いだろうが、白騎士と暮桜の嬢ちゃんはそうなるだけの貴重性を持ち合わせている」

 

 

「もうちょい踏み込んだ話をしよう、もしも世界に最初の男性操縦者がいきなり沸いて出てくるような事態になったとしても、各国は【嬢 ちゃんたちの方を】モルモットとしては貴重と見なすだろう、ひどい話だけど嬢ちゃん達は単純なISの研究だけじゃなく、生物学的な、或いは人工知能とかの研究分野においても非常に有用な立場なんだ、サンプルとしてね、束さんたちもその辺は承知の話だろう」

 

 

「・・・・・・・・・ですね、」

 

 

「あまり言いたくはないけど義秋さんの言うとおりかな、白ちゃん暮ちゃん、両方とも貴重な存在だからその辺は笑えないね」

 

 

 

義秋の指摘は、束達が危惧しながらも言うのを躊躇っていたことそのままであった。

 

 

「部外秘の件に関しては了解しました、所でこの後はどちらへ?」

 

 

「ん?ああ、僕の紹介をしてくれてなかった件で兄さんに早いとこ会わないといけなくなったからね、事件現場へと向かう予定だよ」

 

 

「あ、そうそう、明日には帰国できるように調整しといたから、後はドイツを観光するなり何なりお好きにどうぞ」

 

 

「そうか、やっと先に帰国した父さん達に会えるのか・・・・・・」

 

「じゃあそういうことだから僕達ははこれで失礼するよ、義成さん、案内頼みます」

 

「了解した」

 

 

一通りの話を終えた義秋は千冬達に事情聴収(と言う名のスペック確認)が今日で終了することを告げ、部屋から去っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んで、義成さん、兄が()()ぶっ倒れたって言うのは本当なのかい?」

 

 

「その通りだ、あのボウズ、調査の立ち会いやってる中過労でぶっ倒れたんだそうだ、近くの病院に秘密裏に入院してるらしいから向かうぞ」

 

 

 

部屋を去り、ホテルの道を歩く二人は、知らずのうちに入院していた義照の事を案じつつ、彼のいる病院へと向かうのであった・・・・・・

 

 

 


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