今回、義照がセシリアから設計図を託されるのですが、これに関係した今後に関する募集を、1つ後々行います。
詳しくは活動報告の更新をお待ち下さい。
義照がオルコット邸に到着した翌日、英国から離れてドイツでは、先日までの平穏が嘘だったかのように、どこもかしこも荒れに荒れていた。
「・・・では首相、今回のデザインベイビーの件、軍や首脳陣はその少女達の両親に当たる人物には全く心当たりが無いわけですね?」
「誠に残念ながら、デザインベイビーの計画そのものが研究所とーー陸軍大将の独断であり、尚且つ陸軍大将の発言が正確であったとするならば、その見解の通りになると答えざるを得ません」
「その少女達の今後は?事件時、海兵隊が保護したと話にはありましたが・・・・・・」
「それについては、詳細をお答えすることはできません、ただ、本件の詳細を説明された人が
「現在IS委員会から猛抗議が来ているとの事ですが・・・・・・」
「10日前に研究所に監査を入れておいて、本件を見落としスルーしてしまっている段階で、委員会の事は当てにしない事にしています、ただ、本件が発生してしまった以上、アラスカ条約の「不当な手法によるIS適性者の確保」の条項に基づいたIS枠没収処分等の罰則は甘んじて受けるつもりですし、本件の終息後、内閣を総辞職する用意もしてあります」
「《ウォーダン・オージェ》の手術処置の内容が正しければ、此方は此方でISのハイパーセンサーに関する特許契約に反しているものでは無いのでしょうか?」
「その通りです、現在、特許の持ち主である村ノ瀬博士に連絡を取り、対応を急いでいるところです」
槇田がセシリアと話をしている頃に起こった《オージェ事件》のほぼ全容を公開し、謝罪会見に望んでいるマインラート・オーレンドルフドイツ首相、
事件の公表に伴い集ってきた記者の集団への応対にただ1人追われており、その心中は決して穏やかなものではなかった。
(大将め・・・やってくれたな、これで更に女尊男卑が加速するな・・・・・・全く、相変わらず男性に優しくない世の中だ)
オーレンドルフは今回の件で、まず最初に、現状ただでさえ良くない男性への視点が更に悪くなることを危惧していた。
(私の次が・・・まぁ、状況的にほぼ間違いなく女性になることを考えると・・・・・・残った先進国の宰相クラスの男性はハロルドの奴だけか・・・幸い、日本はMs.深那がマトモだから大丈夫だろうが・・・・・・このままだと男性の雇用や学業に非常に大きな支障が発生しかねん・・・・・・)
オーレンドルフは心の内で、英国首相、ハロルド・バーミンガムの事を心配した、
日本、フランス、アメリカ、ロシア、中国、オーストラリア、と言った先進国諸国の首相、あるいは大統領と言ったトップの職務は今や殆どが女性の物と化してしまった。
この事は地味に大きく、女尊男卑に悪い意味で一役買ってしまっており、現状でも男性の日常生活に支障が出ている程なのだ、このまま放置しておけばどうなるか解ったものではない。
特に、現在いまなお英国首相の座に立ち続けているハロルドの立場が更にキツくなることを考えると、とても彼が安心して首相の座を離れる事が出来る状態では無かったのである。
(先進国首脳会談とかが女性に囲まれて一人突っ立つ男性の図になるのだ、ハロルドの精神的キツさは推して知るべしである)
「さて、まだまだやることは残ってるからな、辞任するにしてもなんにしても、とりあえずやるべき事は完遂しなくてはなぁ・・・」
(ハロルド卿、暫く厳しい立場になるけど大丈夫かなぁ?)
オーレンドルフはマスコミに対応しつつ、将来的なハロルドの立場を心配し続ける・・・・・・
「・・・・・・でさぁ、私だけ何でこんな首相業務ハードモードなのかなぁ?、オーレンドルフが首相辞任とか今の私へのダメージでかすぎるんだけどさぁ………………」
「ハロルド首相・・・・・・お気持ちはわかりますが、朝から一介の貴族の邸宅にやって来てヤケ食いとか止していただけませんか?」
「今日ぐらいは勘弁してくれカレンさん……にしたってこのままだとマジで先進国首脳会談とかが女だらけの中男一人で凌がなければならんようになるとか本当に地獄だなオイ……」
ちょうどそのころ、英国首相ハロルド・バーミンガムは朝早くからオルコット家にやって来ていた、ついでに自前で用意した食べ物をヤケ食いしていた。
「バーミンガム卿、お気持ちはご理解出来ますが、ヤケ食いなら別の所でも出来るじゃ無いですか」
「槇田元首相がここに来たと女王陛下より話を聞いてな、槇田と相談したいこともあるし、と思ってな」
「私に相談事とは何事ですかな?」
「ブーッ!!」
ハロルドは元々槇田に用事があったようだが、その槇田が後ろにいると気づいてハロルドは思わず飲んでいた紅茶を吹き出す、
「ビックリした!義照元首相いたんですか!?」
「来たばっかだ・・・っと、とりあえず机拭いてな?」
「あ、ああ」
ー数分後ー
「で、話ですが・・・・・・ってか左腕動くようになってたのな」
「まぁ、リハビリしてたらいつの間にかな、まだ世間には公表してないけど」
「やっぱり・・・・・・まぁいいや、それよりもです、あの爆破事件に関して、最近やっと捜査に進展があったんだ」
「ほう?」
ハロルドから聞かされたのは、あの鉄道爆破事件にて、新たに判明した事実の事であった。
「・・・・・・横流しにおいて、陸軍から放出されたC4が犯行に使われるまでに、1度アメリカに渡っていたことが判明した」
「はぁ?アメリカに?」
それは、槇田とオルコット夫妻の暗殺未遂にて使われた爆弾が、イギリス陸軍から何者かへと渡り、事件に使用される前に、1度米国に渡っていたことが判明した、と言うものだった。
「何でアメリカに?」
「わからない、ただ、普通に考えれば爆弾の横流し先として、警察の捜査を恐れて逃げるとしても、EU圏内→ロシアとかのルートの方が合理的で、普通なら爆弾を持ったままアメリカ何かに行ったら検問やらなんやらでバレて大惨事になるのが目に見えている、だが、アメリカに渡っていたことが事実として判明した以上・・・・・・」
「アメリカ国内でテロリストに取引された可能性があるのか・・・・・・痕跡追うのが途端に辛くなったな」
「それでも、引き続き捜査は続けさせますがね、まぁ伝えたかったのはこんなところです」
「すまんな、しかしこの様子だと、今度はアメリカを巡る必要があるか」
「それじゃあ私は伝えたいこと伝えたし、ヤケ食いもすんだしで長居は不要で帰路につくので」
「おう、気をつけてな」
短い話の後、ハロルド首相は去っていった。
「さて、私もそろそろ一旦帰路につくかぁ・・・」
「義照さん、最後に1つ宜しいでしょうか?」
「何だ?」
ハロルドが去ったあと、槇田も帰ろうとしたのだが、ここでセシリアに呼び止められる
「あの・・・義照さんは篠ノ之さんたち、JAXAの人と知り合いなんですよね?」
「知り合いもなにも、彼女の発明に援助したのは私と彼だからね、彼女に愛称呼びされてるよ?」
「でしたら・・・こちらを束さんにお渡ししてくれませんか?」
「ん?設計図?」
「英国空軍、英国宇宙局、英国海軍の三ヶ所がそれぞれ設計した第三世代インフィニット・ストラトスの設計図ですわ」
「ほほう、こんな軍機に近しい代物を私に渡すとは・・・余程束と接触したいようだな」
義照がセシリアから受け取ったのは、4つのIS設計図であり、説明によればそれぞれ、英国空軍、英国宇宙局、英国海軍、民間の4ヵ所からの物であった。
「篠ノ瀬製作所と直接アポを取ろうと首相を経由して話をつけようとしたんですけど、3年待ちとか言われたらしくて・・・・・・」
「・・・知らんのか?篠ノ瀬製作所、あそこ民間人向け、或いは専用機中心の製造メーカーだから、公的機関からの依頼製造は基本後回しなんだよ・・・・・・最近の例だと医師向けに医療機械満載したISだとか、後は適性Aあった女性の消防士個人の依頼で、その人専用の災害救助用ISの試作型を製造していたな」
「そ、そうだったんですの・・・・・・」
「まぁ私を経由するんだ、近いうちに三機とも製造されるだろうなぁ、所でこの三機どんなのよ?」
篠ノ瀬製作所の仕事を聞かされたセシリア、続け様の質問に多少戸惑いながらも説明を加える。
「まず空軍のですが・・・まぁはっきり言って試作機ですわね・・・・・・《ブルー・ティアーズ》と呼ばれる機体で、名前を冠した遠隔操作式兵器、ブルー・ティアーズ・システム、通常BTシステム、或いはBT兵器と言うのを有する第三世代機ですの」
「何々・・・ビット・・・!?モロにガ○ダムじゃないですかやだー!!、ってかミサイルビットとか何処のペーネロペー?」
「(ペーネロペー?)・・・・・・で、海軍設計のは第二次世界大戦時、第二次ユトランド沖海戦にて《悪魔》と称された《ウォーダン・ラインラント》氏座乗の戦艦《シャルンホルスト》を撃破し、デヴォンポート港にいまなお記念館として保存されている栄誉艦、《ウォースパイト》を模して、重武装かつ、飛行能力のほかに水上での滑走機能を搭載した第三世代のコンセプト機として開発された《ウォースパイト》ですわ、ウォースパイトは此所、オルコット家が建造費用を全額負担したことでも知られているので、完成の暁には此所で披露する予定なんですの」
「ヤバイ・・・これだけ露骨に熱が入っている・・・・・・」
「序でに言いますと、これら三機の内、一機が母に、一機が私の物になる予定ですわ」
「・・・・・・何故に?」
「各国に遅れて、第1回モンド・グロッソの後に、第二回へ向けて行われたISの適性検査で、私がA、母がSを記録したんですの、だからだと思いますわ」
「えぇ・・・・・・(困惑)、チャールズさん、貴方が萎縮してしまう理由を悟ったよ、コレはチャールズさんが弱いんじゃない、カレンさんが強すぎるんだよ・・・・・・」
設計図を見ながら交わしたセシリアとの会話で、槇田はチャールズが萎縮してしまう理由を何となく察してしまった、適性Sと言えば、それだけを形式的に比較すれば千冬と同等である。
単純な習熟度に近く、鍛えれば変動する信頼性の薄い適性ではあるが、採用条件がヤケに厳しいと非難轟々であったドイツ陸軍のIS部隊でも適性だけなら確実に通るレベルの逸材である、槇田は、セシリアにそんな恐ろしい人物の血が確かに流れていることをその場で感じとる事となった。
「それで、宇宙局の機体なのですが・・・・・・」
~数分後~
「・・・成る程、熱意は解った、これを束たちに見せればいいんだな?」
「はい、評価して頂くだけでも十分ですので」
「解った、あとで渡しておくよ、それじゃあオルコット家の皆さん又、機会があれば会おう」
「はい・・・・・・またお会いしましょう!!」
「お気をつけて~」
「また、お会いできるのを楽しみにしてますわ」
「またのご来邸をお待ちしております」
設計図の説明を粗方聞いた後、オルコット家の人々に見送られ、日本への帰路の途につく義照。
「・・・きゅぴーん!!面白いISがやって来る予感!!」
「束・・・・・・この時期にまたISの製造依頼が来る感じか?」
「そうみたいだね~、この感じだとよっしーから数機分の設計図が来る感じかな~?」
「ホントにそんな数依頼されるか?専用機は基本個人向けだからそんなに依頼来ないぞ?普通はだけど」
「でもさ~はるるんにもよさげな設計図が来るみたいだしさ~取り合えずいっくんと箒の剣道大会見てから作ろうかな~って、」
「そういや、明日一夏と箒が出る剣道の大会だっけか、束のカンの通りなら明日義照氏が設計図持ってくるらしいし、そっちも準備済ませとくか」
一方、日本の篠ノ瀬製作所では、槇田の襲来を予測した束によって、IS製造のための準備が着々と進められていくのであった・・・・・・
折角なのでオリジナルのISを幾つか募集します、詳しくは後々更新予定の活動報告にて