前回の補足的お話です、次話辺りが原作的には重要な話になる予定なので、バミューダのお話はちょっと無理矢理ですがここら辺で切り上げさせて頂きます。
「・・・・・・と、言うわけで昨日の出来事をまとめちゃおうか」
「だな、あれから私も色々考えることがあった」
槇田元首相をフルボッコにした後、ぼろ雑巾と化した元首相をバックパックに詰めて篠ノ瀬製作所に帰還してきた束達、
当然の如く、最初の話題は霧のなかで見た、「白騎士を撃墜した戦艦」のことであった。
「まずさ・・・アレの正体として一番考えられるのって何よ?」
「それはもうみんな決まった答えがあるんじゃない?」
「じゃあいっせーのーせする?」
「・・・だな、どうせ一致するだろうが」
「じゃあ行くよ?、いっせーのーせ!!」
「「「「「シャルンホルスト!!」」」」」
白騎士の撃墜した戦艦の正体に対しての見解が一致した、以降、シャルンホルストを説明するかのように話が流れていく・・・・・・
「間違いないよ!!あの艦型ならシャルンホルスト級だって!!!それはつまり、《悪魔》が霧の中でよみがえったんだ!!」
「・・・・・・荒唐無稽だがブリュンヒルデが撃墜されている以上まるで否定しきれん・・・なによりシャルンホルストはそもそもをして恐ろしい戦艦だしな・・・・」
「座乗司令官はもう1人の黄金柏葉剣ダイヤモンド付騎士鉄十字勲章受賞者だもんねー・・・・・・取りあえずみんなが無事で良かったよ。」
「えーっと、私は歴史は詳しくないがシャルンホルストとなると
「あってるよー、ダイナモ作戦の妨害のためにダンケルク港に突入して当時未成の状態でやって来たフランス戦艦「リシュリュー」と交戦したのがシャルンホルストVS格上の始まりだねー」
「確かビスマルクが沈められた後《覚醒》したかのように次々にと英国の戦艦を沈めていったんだよな?」
「《ビスマルクの敵討ち》と言わせんばかりにロドネーを血祭りに上げたあと、次々に格上と遭遇しては撃沈していったからね、輸送船に目もくれず格上を葬っていったから、《通商破壊の在り方を履き違えた船》とまで呼ばれる始末だし・・・・・・」
「これと同型艦のグナイゼナウを沈めるため
「対独戦線最後の最後に小規模とは言え艦隊決戦があったのは何の皮肉か・・・」
「第二次ユトランド沖海戦はいまでも伝説扱いだからねぇ・・・・・・」
(シャルンホルストとグナイゼナウを沈めるためだけに英国と自由フランスが総力を挙げて行った作戦の結果発生した海戦、作戦は成功し二隻の正規空母と多数の輸送艦を犠牲に、リシュリュー、ヴァンガード《急造に成功》、ウォースパイト、レナウンの4隻でシャルンホルストとグナイゼナウを大破に大破に追い込み、両艦は10日後、バルト海にて自沈することとなる)
「でもさー、何であんなところにいたんだろうね?」
「・・・全く理由が思い付かないな」
「(カタカタカタカタ、ターン!!)・・・なるほど、あの男、アルバン元帥の・・・で、Wikipedia準拠だと・・・・・・なるほどな、そう言うことか。」
「「えっ?」」
「はるるん、何かわかったの?」
シャルンホルストがあの場にいた理由がまるでわからない束達、そんな折、いつのまにか復帰していた義照がインターネットで何かしらを検索し何かに気づいて結論付けたらしく束から尋ねられる。
「自信は無いが・・・予測される中ではコレが一番だろうな、って言うのがあるな」
「本当か?ひとつ聞かせてくれないか?」
「良いだろう、まぁ刑事時代の勘が頼りだから、余り期待はするなよ?」
かなり真剣な表情の義照は、先程までのぼろ雑巾の如き姿を整え、話始める。
「まず・・・事前に話忘れていたことがある実はお前らがバミューダについていたのには理由があってな、二隻の戦艦に運ばれていたんだよ、千冬達は」
「・・・それはつまり、私たちはあの場で撃墜された後、何らかの形で救助され、あの船でバミューダまで運ばれたと言うことか・・・」
「いや?たぶん千冬達の目の前に姿を表した戦艦が白騎士を
「シャルンホルストとグナイゼナウも来ていたのか・・・それでもって私達は二隻にうまく翻弄されてしまったと。」
「じゃあ何で自分達が撃墜したのをわざわざバミューダまで?」
「それは多分・・・彼の性格が影響してるんだろうねぇ・・・・・・」
そう言って見せたのは、彼が見た二人の男の内の一人、独海軍の元帥で、シャルンホルストに座乗し指揮を行っていた男、「ウォーダン・ラインラント」のWiki○edia項目であった。
「・・・《シャルンホルストの悪魔》か、
「いやさ?俺は元首相だけど無学の身だから彼が残した功績を見てもそれがどれだけ凄いのかよくわからないが、彼は大戦中一貫してシャルンホルストにいたと記されていたんだよ。」
「黄金柏葉剣ダイヤモンド付騎士鉄十字勲章を受け取るとき、先に受け取ったルーデルにあやかって《自分をシャルンホルストから外さないこと》とかを条件に組み込んだくらいだからねー、シャルンホルストに愛着沸いてたのは事実だろうね」
「んで、彼が残した実績とバミューダで起きたらしい事に共通点を見いだしたんだよ。」
義照はあのときウォーダン元帥がシャルンホルストで
「シャルンホルストは・・・・・・、シャルンホルストとウォーダン元帥達は
「・・・・・・何をだ?」
「《彼の
「「「・・・・・・え?」」」
槇田の放った言葉には、幾つもの疑問点が存在した、だが槇田はそれに一つずつ答えて行く・・・
「・・・在り方をといっていたが、具体的には?」
「シャルンホルストで格上を沈め続けたことそのものだよ、相手がほとんど純粋な格上でもやりようはある、って事だよ、シャルンホルストは純粋な主砲だけでもバーラムって言う戦艦を沈めているらしいしね」
「多分だけど、昨今ISが軍事兵器として発展して行く中で証明されるようになって来た、《ISはISのみでしか勝つことは出来ない》を間接的に破壊しようとしたんだろうなぁ」
「だったらバミューダに展開したISとかを狙えばそれで済んだんじゃ?」
「シャルンホルストだよ?沈んでる筈の船でそんな事になっても不思議体験扱いされるだけだよ、だから多分、フィールドにバミューダを選んだんだろうね、調べた感じ、一部海域はISの航続距離限界になるらしいし、宇宙開発用だからってやけに突出した航続距離と、最強とも呼ばれている千冬を専属パイロットに持つ白騎士だけをおびき寄せたんだろう、現場の都合の良い霧に関しては知らん、さすがにこれは原因を掴めないね。」
「それならば私に《暮桜》を使わせてそれを撃墜した方が・・・・・・」
「正直に聞くけどさ?モンド・グロッソの時手加減してたでしょ?」
「そ・・・それは・・・」
千冬がモンド・グロッソで手加減をしていたのは事実なので彼女は何も返すことが出来ない。
「まぁ、IS開発してから暫くしかたってない段階だと一番強いのが千冬なのは一目瞭然だから、パフォーマンス混ぜないと試合がつまらなくなるだろうからって言う配慮があったのだろうとも予測できるけど、千冬さん多分《白騎士》じゃ無いと本気出せないでしょ?」
「モンド・グロッソの決勝戦、こっそり観戦してたけど、千冬さんの《暮桜》、一度も大したダメージは受けてないのに機体がギシギシ言ってたもん、はっきり言って《暮桜》じゃ千冬さんが出せる限界の機動に機体が耐えられないと見ているんだけど?」
「・・・凄いな、確かに私が一番本気を出せるのは《白騎士》の時だ・・・あれはもうすっかりと私の愛機になってしまってな、《暮桜》では私の戦いを完璧に出来ないのもその通りだ」
「・・・凄いよよっしー!《暮桜》のことはよっしーには伝えていなかったことなのに、自力で答えにたどり着くなんて」
千冬と、《白騎士》《暮桜》それぞれの相性の事について、ついでながらにして出てきた義照の推理に千冬と束は感嘆せざるを得なかった。
「まぁつまり何を言いたいのかと言うと、《ウォーダンは、白騎士に乗った千冬こそISにおける現在の最強であると何かしらの手法で確信し、白騎士を撃墜してISが単独で最強と言うわけではなく、既存の兵器でもISを倒すことができる》と自らの手で証明して見せたんだよ」
「ついでに・・・多分ウォーダン氏はこの作戦が成功しても大きな影響があるとは考えてないだろうね・・・・・・いかんせんチート人間と第二次世界大戦時の兵器での証明だ、現代とは何もかもが違う中では余り効果は期待できないだろうし、何人かに認識させられれば良かった程度なんじゃないかな?」
「最後にひとつ聞いて良いか?」
「ん?」
大方彼の予測を話終え、千冬の最後の質問へと話が移って行く・・・・・・
「確か、《彼らは墓標へ帰還する》だとか《亡霊は亡霊らしく》だとかいっていたんだよな?
「だね、俺の聞き間違いがなければそんな感じのだよ」
「じゃあ何で彼らは
「・・・・・・Wikipediaの語録に良い言葉が載っていたよ、」
「どんなのだ?」
「彼が残した《死》に関する一言だ」
「「私は、生涯にて、ただ唯一愛した艦の為だけに、《強大な戦艦が格下の戦艦には強い》だとか《ヒトラーはドイツを救う英雄である》だとかそう言った、
「・・・・・・そうか、私は彼を単純な《強者》として見ていたが・・・・・・その認識は間違っていたようだな。」
「ちーちゃん?」
「ありがとう、義照元首相、お陰で私も新しく
「そうか・・・・・・あ、そうそう、私はそろそろ此処を発たねばならない、イギリスに約束を残していてな・・・後処理を頼めるか?」
「・・・はいはい、了解了解っと、千冬にどんな変化があったのかはよく解らんが凄い体験をしたのは確かだと解った、義照元首相、またどこかで」
槇田の推理が終わった後、足早に空港へと向かう義照、
・・・・・・実はこの時、日本からはるかドイツではこの時、世間を揺るがす大事件が今まさに始まろうとしていた。
「もしもし、私だ、アルバンだ・・・・・・・・・何?どういう事だ!」
「
「今すぐデザインベイビーで実験を行っている所を教えろ!こうとなっては問答無用だ!!」
「あ、首相ですか!!私です!!アルバンです!!緊急事態のため、これよりヴィルヘルムスハーフェンの連邦IS研究所に軍を突入させます、大騒ぎになるのが目に見えてますので鎮静化よろしくお願いします!!」
「何故ですかって!!作られたとは言え人の命がかかっているんです!!急ぎよろしくお願いします!!」
この日、ドイツに長年潜んでいた《闇》が1つ、暴かれようとしていた・・・・・・
~続く~
以下、参考資料として、彼らの会話にて出てきた《シャルンホルストの格上殺し》の実例を一部状況説明つきで解説。
《以下、シャルンホルストの格上戦果》
シャルンホルストの被害者リストとも言う(戦艦限定)
英国
QE級戦艦
「クイーン・エリザベス 」
シャルンホルストの魚雷により大破、後に自沈処分
「バーラム 」
シャルンホルストの主砲が直角に近い状態で放った弾が、偶然煙突内部に入り込み、機関部直撃、燃料と弾薬に引火して爆発四散
「ヴァリアント」
「マレーヤ」
R級戦艦
「リヴェンジ 」
船団護衛中にUボートの雷撃を受け大破、直後にシャルンホルストがやって来たため応戦するも大破した部分から次第に浸水、シャルンホルストの砲弾が搭載水上機の燃料庫に命中したのが致命傷となり、大傾斜の後沈没
「レゾリューション 」
「ラミリーズ」
シャルンホルストの魚雷により沈没、同行していた英国空母イラストリアスもまとめて撃沈させられる
「ロイヤル・サブリン」
同級の中では本艦の沈没が時系列的には一番最後、この船の沈没によりR級は全てシャルンホルストによって沈められたことに・・・
「ロイヤル・オーク 」
ネルソン級戦艦
「ネルソン」
正確にはティルピッツの魚雷が成した成果、シャルンホルストはティルピッツとの交戦で大きく消耗していたところを突いただけ、
「ロドネー」
艦尾部分に主砲弾と魚雷が合計12連続命中し、副砲全滅、スクリューが爆散、航行不能になったところを後ろに回られビスマルクの敵討ちと言わせんばかりに一方的に嬲り殺しに会い、艦尾から沈没
KGV級戦艦
「キング・ジョージ5世」
魚雷を片舷に集中投射され沈没、コレを見てお分かりの通り、英国戦艦のネームシップは大体シャルンホルストの手にかかって戦没している。
「ハウ」
正確には沈没しておらず、直接的な沈没理由はUボートの魚雷だが、それとは別にシャルンホルストに艦橋を3回全損、艦橋要員全滅の憂き目にさせられている、人材的な意味では最大の被害者
「デューク・オブ・ヨーク」
戦艦の中では一番最後の被害艦、チャーチルは本艦が沈められた時、《シャルンホルストは英国貴族に恨みでもあるのか!》と叫んで3日間寝込んだとか、尚、史実ではこの船にシャルンホルストは撃沈させられている。
その他被害者
「ブルターニュ」
「ダンケルク撤退」で有名なダイナモ作戦の後に史実で行われた撤退作戦、「エアリアル作戦」の支援のためブレストを守備していたが、作戦妨害のためにやって来たシャルンホルストと交戦し、シャルンホルストの前部主砲を一時機能停止に追い込むも、残っていた後部主砲弾が「バーラム」と同じように煙突内部に入り込み、機関部直撃からの爆発炎上の後沈没。
しかし、シャルンホルストは主砲修理のため帰投せざるを得ず、エアリアル作戦は成功する。
《メタ話》
シャルンホルストは、こうして見ると凄まじいですね、「千冬+束に勝てる」って言う設定にするためだからってこれは強すぎな設定になってしまった。
どうしてこうなった