束達のサイドです、
「・・・・・・ねぇはるるん、正直に話して良いかな?」
「ん?なんだ?」
「・・・・・・人増やせないの?」
ここは日本国の某所、通称「篠ノ瀬製作所」と呼ばれる日本国が管轄するIS開発やISに関する技術と利権を取り扱う専用のメーカーである。
本製作所は、主な人員として
所長にISの提唱者たる束を、
副所長にJAXAが産み出した世界初のIS「白騎士」の開発計画総責任者であった正晴を、
顧問弁護士にJAXAIS開発部門顧問弁護士の行信を、
とそれぞれ据えた世界最強のIS開発メーカーなのだが、人員は上記三人に加えるのが川城と専属テストパイロットの千冬のみと言う総人員数5名の超小規模企業であると言うのが祟り、冒頭の束の発言へと繋がっていた。
「無理だろうなぁ、仮にも国営企業だから変なの呼び込めないし、IS開発の中枢とも言える超豪華メンバーしか居ないから使える伝はJAXAしか無いし、肝心のJAXAもまだIS宇宙開発計画のための技術者育成途中だから引き抜き出来ないし」
「詰んでるー!!?」
「お陰さまで人手不足が露骨だからねー、ハァ、さっさと仕事終わらせてIS解析の方に注力したいな~」
「私が《モンド・グロッソ》に出て優勝してから講演依頼がひっきりなしなんだろう?やっぱり私あのときわざと負けた方が良かったんじゃないのか?」
「「その選択肢は無いっ!」」
「ですよねー、まぁ、私も本気を出したかったからあれで良かったんだが・・・やっぱりな?」
ISを使っての世界大会、「第1回モンドグロッソ」に当製作所謹製IS、「暮桜」で千冬が優勝してから早一年。
現在、篠ノ瀬製作所には各国で開発された「第二世代インフィニット・ストラトス」の性能評価とISにおける幾つもの技術の使用契約や千冬を指名してでの模擬戦依頼などの依頼がひっきりなしであり、契約の対応や予定の擦り合わせなどで常在戦場のブラックっぷりを発揮していた。
こうなるのは目に見えていたので千冬がわざと負けることも考えたのだが、「自分達がISの起点であり最先端だ!」と見栄を張りたい束と正晴の二人の心情も鑑みての優勝であったが、「暮桜」が完全な近接専用機であったことを鑑みれば、もう少し「暮桜」の仕様どうにかならなかったの?とか思えてしまうのはご愛嬌なのだろう。
そんなわけで現在絶賛労働中の束達の元に、とある興味深い依頼が舞い込んできたのである。
「・・・・・・ん?束、日本政府からの依頼だぞ・・・なんだこれ?」
「どうしたの?はるるん?」
そこには「外務大臣から緊急の依頼」と言う件名で、とある変わった依頼が書き込まれていた。
「緊急性が高いもの以外は持ってこないでと頼んだんだが・・・どうやら貿易関連らしい。」
「えーなになに、《バミューダトライアングルの調査依頼?》何これ?」
そこには大まかに書いて、以下の通りの事が記されていた。
・最近、イギリスやアフリカ諸国からフロリダ半島経由でパナマ運河へ行き、そこから日本へ行くといった感じで、バミューダ・トライアングル上を航行する船舶の燃料が異常に減少し、航海途中で燃料が切れて漂流する羽目になる船舶がちらほら報告されるようになっている。
・これに対し、アメリカとパナマ共和国が合同で調査チームや軍等を展開して調査を行ったのだが、調査に同行した米軍の原子力空母「カール・ヴィンソン」の原子炉がなんの脈絡も無しに停止したりするなど、船舶を利用した調査ではまるで成果を挙げられないどころか、木乃伊取りが木乃伊になっている有り様で、このままだとねずみ溝的に燃料切れ→漂流コンボを引き起こす船舶が続出しかねず、船舶による海域調査が出来ない。
・次に航空機と、途中調査に協力することになったキューバを加えた三か国のISによる調査も行ったが、航空機による調査ではまるで成果が出ず、ISによる調査の場合、ISの飛行距離の限界による捜索範囲の限界があり、一部海域の調査が出来ていない。
・そこで、宇宙開発用の機体として開発され、突出した航続距離を有する「白騎士」で、同海域の調査を行って欲しいとアメリカ、キューバ、パナマ等の複数ヵ国政府より要請が入り、日本としても「白騎士」をJAXAから引き継いだ篠ノ瀬製作所に連絡と依頼せざるを得ず、メールを回すこととなった、協力を頼めないだろうか?
・調査費用は米国が、報酬はパナマとキューバ政府が主に負担する事となっている。
・ついでとして、各国の調査結果を翻訳して添付しておく、参考にするように。
「ふーん、バミューダ海域の謎ねぇ・・・」
「常識的には船舶の運航会社を疑いたくなるが・・・・・・」
「しかしその・・・なんだ、心惹かれるなぁ、こういうのは」
「ちーちゃんもそう思う?、私もこう言う非科学的なの気になるんだよねぇ・・・・・・」
「三人とも!準備はできてるよ、さあ行こう!!今すぐ行こう!!」
みとりが束、千冬、正晴の三人を急かす、
「ちょっと待って、ゆっきーに電話・・・あ、もしもしゆっきー?国からの依頼でこれからバミューダにいくんだけど、一緒に来ない?」
(ギュウンッ!!)
「話は聞いたぞ!今すぐ出発だ!!」
「お前らノリノリだなオイ!!」
束が行信を電話で誘った直後、直ぐ近くにいたのかダッシュでやって来てさらに急かす行信、流石の正晴もこの有り様には突っ込まざるを得なかった。
「ところで人員どうするの?、白騎士には千冬が乗るの前提で、拡張装備のバックパック3人しか乗れないけど?」
「そこは大丈夫だよ、両肩に二人乗りのショルダーバッグを追加したからねー、両肩に1人づつ、バックパックに二人乗れば完璧さ!」
「なら余ったスペースにテキトーなもの乗っけて行くか!!」
「「おー!!」」
それから数分後、製作所全職員を乗せた「白騎士」は、現地到達のため、まず宇宙へと上がる事となる。
「・・・着いたぞ、宇宙空間だ・・・綺麗なものだな」
「・・・・・・これが宇宙から見た地球かぁ」
「白騎士のバリア範囲を広げるだけでこれだけの人数が宇宙空間にいることができるんだもんなぁ、ホント革新的だよ」
「やっぱりいつ見ても、地球は青くて丸くて綺麗なものだなぁ・・・・・・」
「まさか宇宙飛行士でもない私が宇宙空間に出れるとは思いもよらなかったけど、やっぱり凄いなぁ・・・・・・」
束達は今、地球を離れて宇宙空間にいる。
宇宙飛行士でもない彼女達が、である。
やはり人が宇宙から見る地球の姿は美しく、誰もが見とれてしまうものである。
この光景を見るためにISを産み出した束達からすれば、其は特別な想いであり、そして其は、何時までも此処にいたくなってしまう程の物であった。
「・・・・・・見納めは済んだか?」
「うん、今は依頼の途中だしね、」
「次は大気圏突入か、突入用のフライング・ボードを使用する、揺れに気を付けろよ。」
「はいはいっと、それじゃま急ぎますかね」
「また見る機会はいくらでもあるしな、」
「それじゃあ出発進行!!」
しばらく地球を眺めた後、彼女達を乗せた「白騎士」は大気圏へと至る・・・・・・。
(ザザーーーッ、ザザーーーッ、)
「ブォォォォォォォン!、ブォォォォォォォン!、」
「--・-・ ・-- -・--・ ・-・-・ -・・ -・--・ ---・- ・・-・・ ・-・・ ・・・ ・・・- ・・ ・-・ ・- ・---・ ・・ ・-・ ・・- ・ ・-・-・- --・-・ ・-- -・--・ ・-・-・ -・・ -・--・ ---・- ・・-・・ ・-・・ ・・・ ・・・- ・・ ・-・ ・- ・---・ ・・ ・-・ ・・- ・」
「---- ・・- ・---・ ・-・-・ -・ ・- --・-・ -- ・・- -・・・ --・-・ ・-・- ・- -・-・・ --・-・ ・-・-- ・・ --・-- -・--・ ・-・-・- - --・ -・-- ・・ ・--・- ・-・・ ・・ -- ---・ ・・- -・-・- --- -・--・ ・-・・ ・・ -・ ・- ・・-・- ・-・-・ ・・・- ・・ ・--- -・・・ ・-・・ --- -・・・ ・・ ・-・-・- -・-- ・・ -・-・・ -・・・ -・・・ ・-・・ ・・-- ・・- ・-・-- ・・ --・-- -・--・」
「-・-・- ・・・- ・---・ ・-・-・ -・・・ -・-・- ・- --・-・ ・・- -・ ・・ ・-・-・ ・-・・ ・- ・-・-- ・・ --・-- -・--・ ・-・・ ・・ ・-・-・- --・-- ・---・ --・ -・・・ -・-・・ ・-・-・ -・・-・ ・--・ ・-・-- ・・ --・-- -・--・ ・-・-・- -・-・- ・- ---- ・・ -・-・ --・・- ・・-・・ ---- ・・-・・ ・-・-・- ・-・・ ・--・ ・-・-- ・・-- -- ・・- ・-・ --・・ ・-・-・ ・・-・・ ・・- ・--- -・-・・ -・ ・- ---・- -・--・」
「ブォォォォォォォン!、ブォォォォォン!!」
実はこの時、バミューダ・トライアングル一帯の海域が非常に濃い霧に包まれてだしていたのだが、その時それを千冬達が知っている訳は無く、ましてや、その霧の中に
~続く~
最後の点と線の羅列はモールス信号です、元の文章をネットで変換して張り付けました、多分ちゃんと貼り付けられている・・・筈・・・・・・
読みづらいことこの上ありませんが、表現上モールスを使うのが一番雰囲気あるかなと感じ使用を決断しました。
見辛いとか、その他何かあったら修正します。