やさぐれエリオとコミュ障キャロwithスカピョン一家 作:アタゴン
もし待っててくださった方がいるならすみません!
さて今回も短いですが、感想評価よろしくお願いします!
食事を終えた僕達はボスの部屋へと向かっている。
ビーフシチューはとても美味しくてバゲットもフリードと一緒に全て平らげてしまった。
僕と同じぐらい食べるフリードはともかくキャロは小食すぎるのではないだろうか。
食事量に10倍近く差がある。
それなのに魔力量はキャロの方が多いというのだから驚きが隠せない。
いったいどこから魔力が湧いてくるのか。
僕は何回か電撃を放つだけで魔力がすっからかんになるのに。
そんなことを考えている間にボスの部屋の前についた。
重厚な木の扉の向こうからは何かが軋むような音と「ふん! ふん!」というボスの声が漏れ聞こえてくる。
憂鬱な気持ちが溜息とともに身体から溢れ出てくるのを感じながら扉を開ける。
部屋の中には細身の男がいた。
ベンチプレスをしていたらしいその男は、細身の見た目には不釣合いなほど大きな重りをつけたバーベルを下ろしてエリオとキャロに向き直った。
男の全身は汗に濡れてテカテカしていて非常に目に悪い。
汗臭くて鼻にも悪い。
「やあ、帰ってきたばかりで悪いけど仕事を頼まれて欲しいんだ」
そんなことをのたまった男は今いる組織のボスである。
名前はカルロス。
圧縮というレアスキルを持つこの男は、自身の筋肉を圧縮し見た目からは想像できないような膂力を備えている。
「また何か欲しいものが見つかったんですか?」
自身の強さのためなら手段を選ばないカルロスはロストロギアにも手を出していた。
「例の無人世界でそれらしい遺跡が見つかってね、他に情報が回る前に手に入れてきて欲しいんだ。条件はいつも通り、僕たちが使わないモノだったら君達が好きに使ってくれていい」
この組織の人間は自分達の強化に繋がらない代物には興味を示さないので、探しに行ったロストロギアがハズレだった場合僕達に譲ってくれるのだ。
ただし換金は自分達でしなければならないのがネックだ。
僕もキャロも交渉事にはむいていない。
僕は自分でも自覚があるほどの短気で、幼子だからとナメられるとすぐに電撃が出る。
キャロは換金所にいたロリコンに絡まれて、フリードが火を吹く。
このような失敗談には事欠かない。
失敗をした時は腹いせに関わった人間の有り金を全てぶん盗ることにしている。
そんなことを繰り返しているうちに、金の恨みを買った連中と僕達を追いかけてきた管理局員達がかちあって三つ巴になることが多くなった。
僕達は人数が少ないのをいいことに姿を眩ませるのが常套手段だ。
おかげで表でも裏でも生き難くなった。
今では金に興味がない脳筋共のところくらいにしか居場所がない。
この組織は珍しく居心地のいい場所なので、組織からの仕事は断らないようにしている。
所属している面子は、筋肉大好きな脳筋達だが非常に人情味に溢れている。
好みの男を見境なく襲うのが玉に瑕だが。
僕もキャロも性癖から外れているから平和に過ごせているので問題ない。
これは僕たち二人の共通見解だ。
「はい、わかりました。それじゃ明日の朝一番にここを出ます」
「よかったよかった。私は筋トレに戻るからよろしく頼むよ」
「ええ、それでは失礼します。行こうキャロ、準備をすませたら早めに寝よう」
「お休みなさいカルロスさん。うん、食料はいつも通り現地調達かな」
そうして僕達は汗臭い部屋に別れを告げた。
まあ、ここのアジトの部屋は大抵汗臭いけれども。
*
バックパックに明日の荷物を詰め終わった私達はすぐにベッドに身を沈めた。
でも、お昼寝をしたせいか全然眠くならない。
「ねえエリオくん、まだ起きてる?」
「うん、起きてるよキャロ。キャロも眠れないの?」
もしかしたらと思ってエリオくんに話しかけると、隣のエリオくんが身じろいだのを感じた。
エリオくんも眠れなかったみたいだ。
「いっぱいお昼寝したからかな、あんまり眠くないの」
「僕もだよ、フリードはそうでもないみたいだけど」
エリオくんの言葉通り、枕元からはフリードの静かな寝息が聞こえてくる。
「ふふ、寝る子は育つっていうしまだまだ大きくなるつもりなのかな」
「そうかもね。僕達も初めて会った時と比べたら大きくなったよ」
「・・・・・・もう2年も経つんだね」
「色々あったよね、出会い頭から格好悪いところ見せちゃったけど」
「そんなことないよ、私だって食べ物にあたることもあるし。それにエリオくんは格好いいよ」
「キャロにそういってもらえると嬉しいかな」
そうして思い出話をしている間に私達は眠ってしまい、いつの間にか朝になっていた。
先に寝てしまったエリオくんの手を握りながら寝たのは内緒です。
*
まだ日が昇る前、2人と1匹は組織のアジトを出発しようとしていた。
「さて船の準備も出来たし行こうか、キャロ、フリード」
「うん、もうすぐ日も昇るしお昼には向こうにつきたいね」
「キュクルー」
最低限の非常食と大量の水を詰めたバックパックを背負った彼らは次元航行船のハッチを開いた。
「お早い出発ねえんおチビさん達、お見送りに来たわよ」
そこに現れたのはメイド服を着た巨漢だ。
「リズさん! わざわざ来てくれたんですね」
「おはようございます、リズさん。あれ、もしかしてそのリボン新しいのですか?」
「流石は女の子ねぇん、目の付け所が違うわ! そんなキャロにご褒美よ!」
「あ、ありがとうございますリズさん! トランクに入ってますけど、これは何ですか?」
リズは笑いながらキャロに大きなトランクを差し出した。
「中身はスパイスよん! この前オトモダチになった子達がたっぷり持ってたからもらってきたの。まだまだあるから遠慮なく使っちゃいなさい」
「・・・・・・不幸な人達もいたもんですね」
「何か言ったかしらん、エリオ」
小声でつぶやいたエリオだが、リズには聞こえていたようで頭を鷲掴みにされて持ち上げられている。
まだ7才のエリオはともかく、水を詰めたバックパックごと持ち上げたリズの膂力の強さが窺える。
「あだだだだだだ、すいませんリズさん、アダマガワレルゥ」
「全く、思っても相手を不快にさせるなら言葉に出さないのはイイオトコの必須条件よん」
そういいながらリズはエリオを開いているハッチに放り投げた。
「エ、エリオくん!?」
「大丈夫よ、あれくらいでどうにかなるほどあなたの
「で、でも・・・・・・」
「心配ならこのスパイスで美味しい料理を作ってあげなさい、それじゃあ気をつけて行ってくるのよん!」
自らが投げ飛ばしたエリオを気にも留めずにリズはキャロに激励を送る。
フリードを連れたキャロが心配そうな表情で投げられたエリオの傍に駆け寄る。
「大丈夫、エリオくん!?」
「キュクルー!」
「な、何とかね・・・・・・まあ加減してくれたみたいだから大丈夫だよ」
バックパックが上手くクッションになったらしくヨロヨロと立ち上がるエリオ。
「まあ締まらない出発になったけど行こうか」
「うん!」
「キュクルー!」
飛び立っていく次元航行船をリズが見つめていた。
「怪我には気をつけるのよ・・・・・・」
リズの心配虚しく、目的地である遺跡で謎の爆発に呑み込まれた2人と1匹は無人世界から姿を消した。
最後まで読んで下さりありがとうございます!
次はなるべく早く投稿したいところです。
いよいよタイトルにもなっているあいつらが登場です!
感想批評くだしあ。