やさぐれエリオとコミュ障キャロwithスカピョン一家 作:アタゴン
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ゴールデンウィーク中に頑張ってもう1話あげたいところ。
遺跡から帰ってきた翌日の昼時。
遺跡で発掘したロストロギアを、現在お世話になっている組織に持ち帰った僕達は思う存分くつろぐことに決めた。
とりあえずは与えられた部屋でゴロゴロすることにして、ベッドに身を委ねた。
ちなみにベッドはキングサイズだ。
僕とキャロが二人で寝転がっても十分すぎるスペースがある。
フリードは枕元に置かれた専用のクッションの上で丸まっている。
「それじゃあお休み、キャロ」
「お休み、エリオくん。夕食は部屋に運んでもらうから」
「ありがとう、やっぱり食堂に行く気にはなれなくて・・・・・・」
「気にしないで、私もあの空気はちょっと・・・・・・」
僕達は苦笑いしながら目を閉じた。
ここの組織には男しかいない。
皆が皆、筋肉質な男が好みという変態集団だ。
最初はただのトレーニングジムだったらしいが、ドーピングしてみたり、違法薬物に手を出したり、ロストロギアで極限まで身体強化してみたり、腕試しと称して好みの男に通り魔のように襲い掛かったり、それで殴り倒した相手をお持ち帰りしたり・・・・・・。
どうしてこうなったのだろう。
夕食時になれば、食堂がプロテインや薬をキメながらポージングをする筋肉達磨達で溢れかえる。
その濃厚な汗の匂いは嗅覚への暴力だし、ポージングで強調された筋肉は視界への暴力だ。
僕とキャロとフリードは、雇われたその日に食堂で食事をとるのを止めた。
そんなことを考えていると僕の意識は黒く染まっていった。
*
そんなことを考えていたからだろう。
僕は悪夢を見た。
「うごご、筋肉達磨の裸踊りが・・・・・・」
「筋肉達磨だなんて失礼ねぇん。あんまりお口が過ぎるようだとまたメニューがプロテインフルコースになるわよ」
「ッヒ。ああ、リズさんですか・・・・・・寝起きにあんまり怖いこと言わないでくださいよ」
「せっかくルームサービスに来てあげたのに失礼なこと言うからよ」
目を醒ました僕の視界に飛び込んできたのはスキンヘッドの巨漢だった。
極限まで鍛えられた筋肉がその身に纏うメイド服を弾けそうな程に押し上げていた。
「いや、すいません。何か変な夢を見ちゃって」
「横に可愛らしいレディがいるんだから、彼女のことだけ見てなさい」
「まあ、キャロからは目が離せないですね」
「そういうことじゃないんだけどねえん・・・・・・」
そうぼやきながら料理の乗った皿を並べていくリズさん。
彼女? の言いたいことは何となくわかるが僕とキャロはそういう関係ではないし、そもそも年齢的に早い気がする。
それはさておき、今日の夕飯はビーフシチューのようだ。
湯気とともに辺りへ漂う香りが食欲をそそる。
更に僕のためであろう山盛りのバゲットも用意されている。
彼女? は食堂を任されるだけあって料理上手だ。
これで変な性癖さえなければいいのだが・・・・・・。
「何か今変なこと考えなかったかしらん?」
「ィェ、ナニモ」
女? の勘というやつだろうか、恐ろしい。
思い返すとキャロも隠し事をしていても、それを見抜いてくる時がある。
そういう察しのよさを他の人にも発揮できれば人付き合いも円滑にこなせると思う。
しかし、彼女が内面を察することが出来るのは僕だけだし、人と接するのを恐れているからまあ無理な話だろう。
この組織全体にはびこる性癖の対象から外れているから、組織の人間となら普通に話せるようになったが慣れるまではひどいものだった。
まともに目を合わせることもできずに僕の後ろに張り付いて、眠りも浅かった。
今ではリズさんがこうして部屋を訪れるのをわかっていたにも関わらず熟睡している。
「じゃ、私は戻るわん。お姫様を起こしてあげなさい」
「ええ、ありがとうございます」
僕が考え事をしている間にリズさんは料理を並べ終わったようだ。
「それと、食べ終わったらボスのところに行ってちょうだい。何か話があるそうよん」
「・・・・・・わかりました」
帰ってきたばかりなのにな・・・・・・。
面倒事の予感を胸にしまいながら僕は未だ熟睡しているキャロとフリードを揺り起こすのだった。
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