ストーカーの変態男に転生しますた   作:クワルカン

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3話

 

 今日は、実験の為に幻光河北岸に来ている。要はグアドサラムのすぐ近くだ。

 私が現在使える魔法は、四属性(火、雷、水、氷)のラ系までの攻撃魔法、属性攻撃を防ぐバ系の補助魔法、下級の回復魔法、状態異常回復魔法だ。

 先日、本来この世界には存在しないはずの魔法を発動できた。恐らくこれが与えられたチートなんだろう。という訳で色々試そう。

 

「ふむ。まずは分かりやすいものから。"エアロ"」

 

 "エアロ"は、風属性。そもそも存在しない属性だが、

 

「……成功しましたね。他の属性に有利かは分かりませんが」

 

 

 

 あの後、様々な記憶にある限りの魔法を試してみて分かったことは多い。

 まず、使えるのはFFの呪文。"メラ"など、他のゲームの魔法は使えない。全てのゲームの魔法を知っているわけではないが無理だろう。ああ、召喚魔法も使えない。

 次に、FF10にあり、私がまだ修得していない魔法は使えない。例えば、FFシリーズによく登場する魔法"ヘイスト" これは、時間の流れを速め、動きを速くする魔法でFF10にもある。だが、使えなかった。他にも使えない魔法がいくつかあり、共通点はこの世界に存在し私が修得していないことだった。

 最後に、消費MPに関してだ。同じ位の威力の"ファイア"と"エアロ"を比べると、後者の消費MPは圧倒的に少ない。チートとしての補助だろう。だが、ジャ系という最上級の攻撃魔法のみ変わってくる。MPが全て消費され発動しなかったのだ。恐らく大規模な破壊はできないようになっている。

 

 まあ、制約はあるが便利なチートだ。

 

 

 

 暗くなってきたので、グアドサラムに帰ってきたんだが家に入りづらい。というのも、今は父ジスカルが帰ってきているんだ。無邪気にバカップルに割り込む度胸は無い。仕方がない、入るか。

 

「ただいま帰りました」

「ふむ。お帰り」

 

 珍しくジスカルが迎えてくれる。そして母様がいない。

 

「シーモア。少し話がある」

「何でしょうか?」

「母さんの体が弱いのは、知っているな?」

「……ええ」

 

 確かに原作では、若くして死期を悟っているような描写があり、普段から咳き込んだり顔色が悪かったりするからな。何とかしたいと思っているがどうすればいいのか。

 

「母さんが倒れた」

「……!」

「心配しなくても直に回復する。だが持病でな。長生きはできないと言われている」

「母様の病気とは?」

「詳しくはわからないが、不治の病といわれていて徐々に体力がなくなっていくものだ」

 

 あれ?それって……

 

「珍しい病気でな。母さんは昔、未知の魔物と戦ったときに罹ったそうだ。呪いじゃないかとも言われていてな、母さんは周りの人から避けられるようになった」

「母様のところへ行っても?」

「ああ、行ってこい」

 

 可能性は、あるっ。

 

 

 

「あら、お帰りなさい。シーモア」

「ただいま。母様」

「また魔法の練習?いつも熱心ね」

「はい。それで、母様、新しく白魔法を修得したのですが使ってみても良いですか?」

「ふふ。どんどん成長していくわね。流石、私たちの子。ええ、いいわ。見せて頂戴」

 

 母様は、どんな魔法でも楽になったふりをするつもりだろう。

 

「"リブート"」

「こ、これはっ。…………体が、楽に!本当に楽に!?」

 

 はぁ~。良かった。上手くいった。

 

「父様を呼んできますね」

「え、ええ。どうなっているの?」

「ま、まあ、それはまた後で」

 

 で、呼んできた。

 

「おまええぇぇぇ」ガシッ

「あなたあぁぁぁ」ヒシッ

 

 予想通りの光景が広がっている。

 

 私の使った魔法"リブート"は、"ウイルス"状態を解除する魔法だ。"ウイルス"状態とは、HPが減る際、最大HPが減少するという恐ろしい状態異常だ。ただ、本来FF10には存在しない。母様が、本当に"ウイルス"状態だったかは分からない。もしかしたら、未知のウイルスか、体力が最大HPと認識され、それが減り続けるという状態を回復したのかもしれないが、効果があったのは事実だ。

 

「なに?シーモアが白魔法で?」

「ええ。今日、修得したと言っていたわ」

「そうか。シーモア、どういうことなんだ?」

 

 さて、どうしよう。

 

「ええ。"リブート"という魔法です」

「"リブート"今までにない魔法だな。どういう効果なんだ?」

「漠然とですが特殊な状態異常を治すもののようです」

「状態異常?毒のような?つまり特殊な毒を受けていたということか。それこそ呪いのような」

「やっぱり、あの時の魔物かしらね」

「だろうな。しかし、どうやってシーモアはそんな魔法を?」

 

誤魔化すしかないな。

 

「私自身よくわかっていませんが、エボンの賜物かと」

 

 ようは神様のおかげっていってみる。チートくれたからあながち間違っていないし。

 

「ははは。そうだな。きっとエボンの賜物だ」

「そうね。後でみんなでお祈りをしましょう」

「その前に母様、一度お医者様に確認をしてもらいましょう」

「大丈夫よ」

「そうもいかないだろう。待っていなさい。直ぐに連れてくる」

 

 

 

 その後、母様は医者に健康体だとお墨付きを貰った。

 完全にチート頼りではあったがなんとかなったな。それとこの調子だと、世界の修正力というのはないのかもしれない。勿論気は抜けないが、母様が召喚獣になることはないだろう。

 




作者の都合上FF12の魔法が多く登場する予定です。

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