九天の王となった操炎者   作:【時己之千龍】龍時

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第12話 学園地獄の呪い

 

 エヴァが結界を解いた後、龍燕はエヴァを寝台に寝かせた。

 

「これでいいか」

「ああ、少しじっとしていてくれ」

 

 そういうと龍燕は空間モニターを目の前に出して操作を始める。

 

「よし、読み取り開始」

 

 エヴァの身体を輪が現れ、それが頭から足の指先までを行き来する。

 

「こ、これでわかるのか?」

 

 以前の設定では難しかったが、魔法や魔力等の関連のを記録に加えたため大体のことはわかるようになった。

 

「ああ、その呪いのところを………今読み取れた」

「早いな……。それで?」

 

 龍燕の顔が険しくなる。

 

「あいつ……随分と出鱈目な…」

「どうしたんだ?」

「適当に、出鱈目に呪いの術式を構築して、さらに出鱈目な程の膨大な魔力で組まれてる。術式の構築の核自体はそんな大きくないと思うが、その上に余分に押し込まれた魔力は核をぼかしてるから逆算するのに時間が掛かる」

「……結果的には?」

 

 エヴァはじっと龍燕を見る。龍燕は輪を消してから答える。

 

「俺の隊舎を最高値で稼働させて計算し、出来る限り早く最短で解く」

「そうか」

 

 エヴァは半身を起こした。

 

「そういえば…隊舎ってなんだ?」

「ん、ああまだ教えてないな。俺の隊舎は装置の中にあるんだ。その装置には空間設定というのがあって、設定次第で外と内との時間差を作ることが出来るんだ。例えば、外での一時間を内では一週間にすることができる。しかし老化は外の時間で、老化を多くとることは、初期設定上ない」

「初期?」

「老化の時間を内に設定変更すれば老化する。が設定変更は色々と難しいからほとんどが初期設定にしてる」

「そうか。それで、それはすぐに使えるのか?」

「すぐとは言えないな。随分と使ってなかったから、起動後すぐに異常ないか見るから……1分くらいだな」

「1分?十分早いな」

 

 龍燕はすぐに別の空間モニターを操作し始め、装置を見始めた。

 

「……よし、終わった。ええと、装置は何処に置いていい?」

 

 エヴァはそれならと龍燕を使っていない部屋へ案内する。

 

「この部屋に置くといい。それに確か、住む場所が決まって無いんだったか?だったらここを使うといい」

「いいのか?ありがとう」

 

 龍燕はお礼を言って部屋に入ると装置を部屋の隅の小棚の上に置く。

 

「よし、今の時間は…」

「ん、?時間か、ええと…6時過ぎだな」

「わかった」

 

 龍燕は空間モニターを出し、設定を始めた。

 

「エヴァは来るか?」

「当然だ。私も見てみたいからな」

「わかった」

 

 装置を起動させ、龍燕とエヴァの足元に八方式魔方陣が展開され、光に包まれた。

 

 

 

 

 光りが治まると目の前に大きな門があった。

 

「この和風の門が入り口か」

「和風?…いや、羅暁国という俺の祖国の造りだが……似ているか?」

 

 エヴァは頷いた。

 

「そうか。まぁ開けるぞ」

 

 龍燕は両手をそれぞれの門の扉に触れ、力を入れた。門はギィィ…と音を立てて開く。二人は門をくぐり、広い中庭を通って城の入り口へ向かった。

 

「おー広くて高いな」

 

 入り口を見上げながらエヴァは言った。

 

「俺の家系は長身で3mを越す人もいるんだ」

「3m!?ということはお前も越えるのか?」

「……わからん。俺もそんなに高くなりたくないな」

 

 まずこの国等で長身となれば建物等で常に屈んでいないと駄目になるだろう。

 

 その後エヴァを連れて隊舎案内をした。エヴァはあまりの広さに驚いていた。

 

「さて、外へ戻るか」

「ああ、そうしよう」

 

 エヴァは少し疲れたような声で言った。

 

 

 

 

 戻ると調度食事の支度が終わっていた。エヴァと龍燕は食事をして、その後隊舎内にある風呂に入り、部屋へ行く。

 

「龍燕」

「ん」

 

 龍燕が取っ手に手を掛けた時エヴァに声を掛けられ振り返る。

 

「あの、だな。布団がなかっただろ?だから私のベッドで一緒で寝るといい」

「布団?布団なら隊舎から出すが」

「なに?!……なら言い方を変えよう。龍燕、一緒に寝ろ」

 

 エヴァは少しばかり顔を赤く染めて言う。龍燕は頷いて取っ手から手を離した。

 

「わかった。一緒に寝ようか」

 

 龍燕の言葉にエヴァはうっすら嬉しそうな顔をしていた。

 

「は、早く来るんだ!」

 

 エヴァは早歩きで自室に向かう。龍燕はエヴァを見ながら後を追った。

 

 

 

 

 

 


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