イナズマイレブン 少年サッカー伝説の威光   作:ぬんちゃくティッシュ

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第6章 自信と自信の融合、そして反発

「おいお前ら、聖クラウド学園のジャージだよな?」

 

 

 

なんと…バレてしまったか?傘見野サッカー部の一人が声をかけてきた。

確かに、河川敷の土手に座り込んで敵情視察と来たもんだ。それは見つかるのも当たり前ってか…。覚悟はしてたが、面倒だな。いや…ワンチャンあるかも?こいつら聖クラウド学園のジャージ…としか分かっていない。幸い、ウチの学園はどの部も同じジャージだ。だからサッカー部とは気づかれていないはずだ!

 

「あぁ、だったら何なんだ?」

 

「一応聞くが、俺らが何者か分かってるんだよな?」

 

やはり疑っていやがる…。隣の風祭先輩が変な口を滑らさないか不安だが、誤魔化せるかも知れないぞ。

…と言うか、なぜ誤魔化そうとしている?我々は弱小チームなんだ。最近注目されている学校が相手とあれば、情報収集がてら敵情視察など日常茶飯事だ。面倒に越したことはないのだが、ここはあえて、実際に我が手で確かめるって手もあるな。

 

「はい、と言ったらどうする?」

 

「そうだな…ツラ貸してもらおうか」

 

よし、かかったな!

 

「ちょっと爽くん!大丈夫なの!?」

 

「大丈夫ですよ、ほんのちょっと情報収集の幅を広げるだけですから」

 

珍しく風祭先輩が不安げな表情をしている。

いつも明るく恐れ知らずっぽそうな性格をしているって言うのに、可愛いところあるじゃねぇか…って違う違うそうじゃなくて、傘見野の連中はこの前までがこの前だからな。ヤンキーみたいな外見をしているとあれば、仕方がないか。まぁ、向こうも監督が入るから無闇なことはしないだろう。

 

 

 

 

 

 

声をかけられ、ツラを貸せと言われた以上は行かなくては…。と言うことで、練習真っ最中だったグラウンドへと下りてきた。やはり歓迎されていないな…敵がいるんだから当然だが…。

 

「君たちか。視察してたってのは」

 

今度は違う人が出てきた。明らかにチームの選手ではない。となると、この人は誰なのか?聞かずとも分かる。

 

「申し遅れた。この傘見野のサッカー部の監督を勤めている、若木(おさなぎ)と言うものだ。第1回戦、よろしく頼む」

 

「ん?なぜ俺らをサッカー部だと思われる?」

 

「見れば分かる。君の脚の骨付きを、歩いている時に裾から少し見えたが、あれば常日頃から何かを蹴っている人の骨だ。それとも?君が蹴っているのはボールでは無いのか?」

 

この監督…よく分かっていやがる…。確かにサッカーをしている奴の脚の骨付きと言うものは、常人とは少し違った物となっている。物を蹴る動作を繰り返すから骨がわずかに変形を繰り返す。故に、骨の出来が違うんだが、そんなの外観から分かるための情報はほとんど無い。なのにこの監督は見破った。

…だから何だって話だが、おおかたご挨拶の代わりってことか?面白いじゃねぇか。

選手の身体情報を把握できている監督のチームは手強かったりする。実際に、世界でも選手の状態を基に戦略を立てる監督のチームと対戦したことがあるが、常にベストで攻められるから強かった記憶がある。確かあれは…ロシアのチームだったっけ。

 

そんなことはどうだって良い。ご挨拶に魅せてきたとあれば、かなりの自信を持たれてるご様子。当日が楽しみだな。

 

「よく分かりましたね。そうです、私は聖クラウド学園サッカー部エースの、真村爽です。そしてこちらが…」

 

「キーパーの、風祭華澄です…」

 

「なんと、エースだったのか。それはそれは、どうだろう?敵情視察の続きとして、我がチームのエースとキーパー二人と君たちで、力差を知るって言うのは?」

 

…この監督、俺らのこと舐めているのか?今の言葉は、本番の試合の前に力比べをして、予め結果を予想しよう…と言う事だ。

提案はありがたいが、これは俺らにとっては失礼ではないだろうか?自信が過剰してか、前もって戦わせても大丈夫な相手だと思われているのだろう。 確かに、俺らは…俺は違うけど、聖クラウド学園は弱小の名で通っていて、どこと試合しても点差を付けられるのがオチだった。先日の雷門との試合も棄権だったために、点数が上がったのは偶然とまで言われている。

まだ、相手は俺が入ったことで戦力は変わったことを知らないみたいだが、弱小相手に戦意喪失を目論むとは…。

 

「なぁかんt…」

 

「やりましょう!!」

 

ゑ?なんか風祭先輩に遮られたんだけど…。それもさっきまでの怯えはどこえやら…スゴい張り切って賛成したぞ。

 

「このままナメられてたまるものですか!ねっ!?爽くん!!」

 

「え?あぁ…そ…そうですねぇ…」

 

舐められてるって、先輩気付いてたんだ。やはり、サッカー部が好きなんだな。チームを蔑むとすぐこうなるからね、先輩は。

 

「せいぜい後悔しない様に…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

両チームとも、エース、キーパー位置に着き、チーム対になって向き合っている。ルールは簡単、俺が傘見野のキーパーにシュートを打ち、傘見野のエースが風祭先輩にシュートを打つ。3本勝負で点が多い方が勝利…とシンプルなもの。

 

あの監督…元一流選手で、引退と共にこの道に就いて華咲いたらしい。ただ現役の頃から厳格かつ自信家だったからな。少年サッカー界に於いてはベストな人材だったのかも知れない。だが、他人を見下す所は見受けられていたから、もしや…?と思ったら大正解だったな。まったく、その鼻をへし折ってやろうか…。

…だが、今はじっと耐えないとならない。あくまで目的は視察。ここで全力でやっても仕方があるまい。風祭先輩はともかく、情報を仕入れるために、圧勝してはならない。

 

 

さて、互いに準備は出来た。あとは仕切り役が合図するのみ。先攻は俺ら聖クラウド学園だ。

 

 

『ピーーー!(ホイッスル音)」

 

 

さぁ、始まったぜ!見せてみろ!傘見野の本気ってやつを!!

 

『バウンサーラビット』

 

              続く




本当に久々に書く気がする…。

今回は短くて、なんか無理矢理に話を持っていった感じになりましたが、これからも是非よろしくお願いします!

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