イナズマイレブン 少年サッカー伝説の威光 作:ぬんちゃくティッシュ
───練習試合当日───
とうとうこの日がやって来たな。朝練でもみんな緊迫した中でボールを蹴っていた。やはり伝説の学校と試合をする機会は滅多にないことだし、可能な限りは100%の力でぶつかりたいもんな。
実を言うと、あれから1週間経って、誰一人として技の完成を見ていない。惜しいところまで来ている選手もいれば、もう少し特訓が必要な選手もいる。今回の試合では技が使えるか使えないかで大きく変わるだろう。かとはいえ、身体能力は言うことないから、テクニックで勝る可能性は二十文にあるはずだ。
……そして、授業はすべて終わり放課後、練習試合が一時間弱にまで迫った。
練習試合の会場はウチのグラウンドで行われる。わざわざ雷門中はご足労叩いて下さるらしい。感謝感激だね。
「はぁ…緊張するよぉ…」
「大丈夫ですよ、あれだけ練習したんですから!」
互いを互いにモチベーションアップして、闘志をあげている。そんなに緊張するんだな。俺に限っては雷門中のように凄いチームやらは目が腐るほど見てきた。ただ、俺も雷門中のサッカーを見るのは初めてだから、しっかりと観察させてもらうとしよう。
「来たぞ。イナズマキャラバンだ」
とうとう到着したみたいだ。全身鮮やかなブルーで輝くイナズママークがイカす雷門中サッカー部専用車、イナズマキャラバンから、フットボールフロンティアで伝説を作った選手が次々と降りてくる。
「ここが聖クラウド学院中か。ワクワクするな!」
来た。頭にオレンジのハチマキを巻いた雷門中サッカー部キャプテン、円堂守だ。
「ようこそ来てくれた。歓迎するぞ。雷門中」
一応、ウチのキャプテンである関山先輩が円堂に挨拶へ出向いた。顔はああなのに筋はきっちり通す生真面目な人だから、まるで893なんだよな…。
「おう、よろしくな!良い試合にしようぜ!」
…お互いに自分のベンチに準備し、いつでもフィールドに出れるようになった。もう運命の時は目の前ってことだ。後戻りはできない。
「良いですか?相手は知っての通りです。並大抵の体運びじゃ太刀打ちは難しい、いつも以上に本気で自分の実力を世界一に見せましょう!」
「「「おー!」」」
この試合を境に、さらにレベルアップしてくれることを信じて、俺も手加減混じりで頑張るぜ!
「さぁ…見させてもらうぞ。真村爽、お前のサッカーへの思い…必ず潰す…」
───聖クラウド学院中 VS 雷門中───
聖クラウド学院中メンバー
1、風祭 華澄 GK 風 3年
解説は前作で…。
2、大地 響 DF 山 1年
解説は(以下略)
3、静井 勇樹 DF 林 1年
解(以下略)
4、水野 涼 DF 風 2年
水のように冷ややかで、見る者を凍てつかせるような冷たい目力を持つ不思議な雰囲気のプレイヤー。その不思議さゆえにプレイも一筋縄では読めないルートで攻防を建てるため、変わり種としてチームに貢献している。
一概にDFと言うより、敵陣に上がってシュートすることもあれば、攻撃の要になる事もあるから、チームとしては万能型プレイヤーとして君臨。
俺の事は気にしてはいないようで、ただ上手い人には従する考えの様。
5、深山 楓 MF 林 2年
キーパーの風祭先輩についで二人目の女性プレイヤー。スラッとしていて新体操の経験があるとかで、ボールを滑らかに運ぶことが出来る。
力はあまり強くなく、シュートの勢いやタックルの攻め合い等では負けることは多いが、その場面に持っていかないようにプレイをしているようで、ワンツーの要員となることがほぼ。
ちなみに判断力が長けていて瞬時にルートを判別し最適な手段を導くことが得意なため、ゲームメイキングを担うことも。
俺にはあまり関心を示さない態度をとっているが、他の先輩からの話では、あの強力なシュートを見て、心から尊敬するようになったと言う。真実は分からない。
6、関山 焔 MF 火 3年
解説は前(以下略)
7、柳 生斗 MF 火 3年
かつて最強無二と唱われた剣豪、柳生十兵衛をこよなく尊敬し、サッカーも武士道を忘れるべからずして忍のようなプレイをする。しゃべり方も侍のような口調で、必要以上に口を開かない寡黙な武士プレイヤーである。
ポジションはオールラウンダーとして使えて、居合切りのようにスプリンターを生かしてボールを追う。放たれるシュートは太刀筋のようで、敵を待ち伏せる姿は静かな闘志を燃やしている侍のような…そしてシュートを遮る姿は歯向かう手裏剣を両断するかの様…。
8、五十嵐 颯太 FW 風 1年
パワーシューターが重宝される中でもテクニックで点を奪う事を大切にしているストライカー。位置的にはMF寄りからのストライカーだが、ボールキープが上手く、オフェンスに向いた身体能力を持っている。
彼の点の取り方は思いがけない方向から攻め、シュートに持ち込むかと見せかけて他にフェイントするか、キーパーが少しゴールから離れた所を突いてシュートするか…。戦略的には小賢しい手を使うプレイヤーだが、味方である以上は嬉しい限りだ。
俺には友好的で、同じクラスでも入学当初から仲が良かったので、もしかしたらエースコンビと呼ばれる日が来るかも知れない。
9、天野 雄大 FW 山 3年
寛容な性格に豪快な人柄、おっちょこちょいで呑気な感じの見た目ダメダメなプレイヤー。…だが、サッカーのフィールド立つと雰囲気が急変し、力強いシュートを放つ野獣と変貌を遂げる。その力は天を操るとか操らないとか。
チーム内でもキック力はトップクラスで俺が入る前までエースストライカーだったらしい。こんな見る者を不安にさせるような面影があり、相手チームは油断することが多いらしく、そこに漬け込んでオフェンスに入れると言うことで雰囲気も大事にしているとか。
まぁ普段は気さくで話上手だから、誰とでも仲良くなれる先輩として、副キャプテンとしても、関山先輩からも一目置かれている。
10、真村爽 FW 林 1年
省略…
11、戊琉 慧乃 FW 火 2年
チーム三人目の女性プレイヤーでもう一人のエースストライカー。豪炎のように激しいシュートは技をも砕く…は言い過ぎだが、かなりの力を秘めている。…と言うよりは、ボールのどこを蹴れば芯にクリーンヒットしてシュート伝導率が極限まで上げられるかを研究に研究を重ねて産み出した力らしい。女性でも珍しいパワーシューターとしてチームの活力剤にもなっている。
実を言うと、俺のあのシュートを見て一目惚れしたらしく、えらく積極的に話しかけて来るなと思って、恋ばなは地獄耳の風祭先輩に聞いてみたところ、俺の事が好きなんだと言われた。風祭先輩が言うなら本当なんだろう。…はぁ。
とりあえず、ウチのチームはこれがスタメン。恐らく始終このメンバーでやると思う。そんなハードな試合をするわけではないのでな。
さぁ、聖クラウド学院中入って初めての試合。久々にボールを蹴れるのか、存分に楽しませてもらおう。サッカーやろうぜ!
続く