イナズマイレブン 少年サッカー伝説の威光   作:ぬんちゃくティッシュ

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第2章 希望の狼煙、再び

俺の実力をチームのみんなに知らしめれた所で、世界の広さと言うものを痛感しただろう。

1対チーム戦から3日が経ち、チームのやる気が随分変わってきた。どうやらビタミン剤になったようで結果オーライってやつだな。みんな良い人で快く迎え入れてくれる人も居れば…当然、年下のぺーぺーに舐められて頭に来ている奴も居るだろうが、そいつらもバネにして成長しているならば、俺としては何も問題ない。

 

「先生、いや…監督。この先輩達、実はかなり鍛練積んでるんじゃないですか?」

 

この聖クラウド学院中のサッカー部員はほぼ全員良い運動神経をしており、ボールを追うための瞬発力や基礎的な体力とパワー。これはかなり鍛えられている。

 

「そうだ。トレーニングと基礎固めは怠らせてはいないつもりだ。テクニックも少しが教えているが…」

 

「悪く言ってしまえばですが、テクニックと言うのは見よう見まねです。ただ、それを数こなすから優劣が生まれる。決定的に足りてないのは、実践…ですかね」

 

今までこの監督は何をやってたんだろう…。こんなにも素晴らしいコンディションの基礎が出来てるのに、実践がないゆえ華が咲かないし、技も習得出来ない。

こうなったら、一人ずつ技やら教えないといけないな。

 

 

 

───翌日───

 

「と言うことで、今日は個人一人ずつ極意的な物を教えます。それを踏まえて、これからはその練習してみてください。それと…」

 

「それと…何なんだ?」

 

「来週の火曜日放課後に他校との練習試合があります。ちょうど1週間後ですね」

 

練習試合があることを言うと、部員はざわめきだした。今までまともなことをしてきてないのにいきなり試合なんてするから仕方がないけれど、やはり気張ってやるものには目標がないとね。

 

「他校って?爽君、一体どこの学校と?」

 

「雷門中、かの有名な学校です。一昨年からですか?弱小だったのを日本やおろか世界一にまで成り上がった名門校です」

 

「じゃあ、あの円堂守さん達と戦うわけか…」

 

「うぅ…一気に緊張が…」

 

まぁ無理もないだろう。今や雷門中は全国から英雄だと称され、総理大臣から直々に賞状を貰ったんだっけ?

 

「大丈夫ですよ。皆さんのプレイを見させてもらいましたが、努力が表れてます。基本的な動きから身体運びまでスムーズな動きです。あとは持ち技があれば少しは太刀打ち出来ますよ」

 

「そうだ。弱音吐いてたって仕方がねぇぞお前ら。おい、真村。俺らに、サッカーの極意、教えてくれ」

 

「…関山先輩、珍しいですね。俺に一番敵意示していたのに」

 

彼の名は関山 焔(せきやま ほむら)。本サッカー部のキャプテンであり、仲間以外は冷たい態度を取るが、誰よりも仲間を大切にする。でもちょっとコワモテ。 聖クラウド学院中の中ではかなりの頑張り屋で、自主的にトレーニングをすることも多い。 俺を気に入ってないらしく、結構ツンケンしてたんだけど…。あ、ポジションはMFだけど、基本的にどこでも力を発揮できる汎用型選手だね。

 

「勘違いするな。相手のチームに失礼がないように精一杯の努力をする。筋を通すためであって、お前を買い被っているわけではないんでな。おら、こんな御託並べてる間があるなら準備しやがれ」

 

「分かりましたよ、キャプテン。…筋を通す…ねぇ…俺への筋はねぇんだな」

 

「しょうがないよ爽君。キャプテンは外からの大きい面は嫌いなんだ」

 

今話しかけてくれた優しそうな彼の名は静井 勇樹(しずい ゆうき)。

最初に俺とすぐ打ち解けてくれた同じ1年生。回りと溶け込めるのが早くて感じの良い少年って感じかな。 名前の通りプレイは静かなる林の如く…きっちりと情報整理して動く頭脳派プレイヤー。また情報処理も素早いから機械のように正確な動きも出来る。フィジカル面も優秀。ポジションはDF。

 

「その言い草じゃ、静井君だって俺の事煙たがってんじゃない?」

 

「まさか、僕はキャプテンほど感情は偏ってないつもりだよ(笑) あと勇樹で良いって!」

 

「いやぁそれは…せめて勇樹君ね?」

 

とまぁ、他愛もない会話をしたところで、早速個人指導と入ろう。まずはキーパーからだ。

 

 

背番号1、風祭 華澄(かざまつり かすみ) GK

 

聖クラウド学院中サッカー部の主キーパーであり、チーム内で数少ない女子プレイヤー。女性と言って侮るべからず、沈着冷静に対応し、堅実なセービングをする。磨けばとても優秀な守護神となるだろう。

 

「お願いします。風祭先輩」

 

「先輩なんてやめてよぉ~爽君のが上手なんだから、教えてもらう身からしてもね」

 

「いやいや、風祭先輩で勘弁してくださいよぉ…」

 

こんな感じで気難しくなく明るくて楽しい人なので、俺もなかなか好きだぜ。…恋愛面ではないからな。

実際可愛いからモテるらしいけど。……この話は止めよう。また今度だな。

 

「…でですね。今回はセービングの基本はしっかり鍛えられてるので、技と行きましょうか」

 

本当にみんな優秀な基礎固めが出来てるのに弱小なのは技がないからだと、やはり技がないと決定打に欠けて押し負かされるのがオチだからな。

…と言うか、技の練習はしなかったんだろうな。実践があればテクニックも向上して、自然と技が出るようになるだろう。ただ、俺からすれば、まだ粗削りだ。これからサンドペーパーで磨く勢いで鍛えてやる。

 

「技…かぁ。私に扱いきれるかしら」

 

「大丈夫ですって。とりあえず、簡単に強めの技を教えますね。風祭先輩、シュートお願いします!」

 

「うん、行っくよー!それぇ!」

 

風祭先輩の細い足から放たれたシュートはなかなか威力があり、これならカウンターに使える…と思いつつ迫ってくる!

 

「よく見てくださいね!」

 

『真・ゴッドハンド』

 

見事にきっちりキャッチ。はなたれたゴッドハンドは力強くシュートを止め、余韻を堂々犇々と醸している。

 

「風祭先輩には、これを覚えてもらいます」

 

「それって確か、円堂守さんが一番最初に覚えたって言う伝説のゴッドハンドじゃない?」

 

「えぇ、よくご存知で」

 

「かなり難しいって聞いてるわ。私に出来るかしら…」

 

「大丈夫ですって。俺が一緒ですから…俺と完成させましょう?」

 

「爽君…」

 

…何やってんだ俺は?

とにかく風祭先輩にはゴールキーパーである以上、簡単にシュートを決められても困る。そのため、キャッチやパンチング等、形はきちんと出来ているようなので技でカバー出来ればと思う。

 

もしかしてだが、これだけトレーニングと努力をしてきたのなら、技やら何やら使いこなしたらとんでもない強豪になるんじゃないだろうか?監督は何も言ってないが、現役はかなり弱いチームの出らしい。そのためまともに技は教えられないんだと、他の先生が言ってた。ただ人一倍努力する人だから部員はそれの鏡になったんじゃないか?…と。

 

…まぁ、今はなんにせよ控えた練習試合のために教えられることを教える。技が全てとは言わないが、やはり使えるか使えないかで白黒がつくこのご時世だ。技がないと劣勢しかないからな。

 

 

背番号2、大地 響(だいち ひびき) DF

 

チームのDFの中で最もブロック率が高い。見た目は肉付きの良い感じだが、思いがけぬフェイントに対応する瞬発力がチーム1位2位を争うくらい高く、敵を手こずらせる要となる選手。

 

「よろしく。大地」

 

「何だよ。同級なんだから下の名前で呼んでくれたって良いんだぜ?」

 

「そうか。響、よろしくな」

 

大地は俺の同級生で、同じクラスでちょっとは見知ってたくらい。でもこれからは仲間だ。頑張るぜ。

大地って名前の通り…かどうかは言いづらいけど、体格が良いからディフェンスに於いては良いブロックをしてくれるかも知れない。手先の器用さも視野に技の習得と行こうか。

 

「じゃあ、早速技に入るんだけれど、その前にボールをキープする俺にチャージしてみてくれ」

 

「ぇ?まぁ、良いけど…。行くぞ!はあぁぁぁぁああ!」

 

来た…!まぁ普通に避けるんだけど。やはり、突進力は強いし、ごり押しでもイケる選手だな。

 

「なんの!」

 

何っ!?地面を蹴ってリカバリーして突っ込んできただと!予想していたとはいえ、あのスピードから急に蹴り返しが効くとは…DFはこうでないとな!

 

「なるほど…分かった。じゃあ、技に入ろうか」

 

「技か…頑張るぜ!俺には出来るさ!」

 

良いねぇ。技はモチベーションが良いほど答えてくれるからな。期待できるぞ。

 

「良いか?今から技を実演するから、よく見とけよ?」

 

「実演って…相手は?」

 

「ふふふ…、こいつが相手をする」

 

…と指を鳴らすと俺の身体から明るい色彩の霧が発生し、その霧からは一人の少年が生成された。

 

「な…何だそれは!」

 

「デュプリだよ。発信者の能力を様々な感情のもとコピーされた化身の1つだ」

 

「へぇ…テレビでしか見たことがなかったけど、デュプリって人間まんまなんだな…」

 

「まぁね。ほら、よく見とけよ!今からやる技を習得してもらうからな。来い、サガン!」

 

俺がデュプリを呼ぶと、ドリブルで攻めてくる。当然、技を受けてもらうから何もしてこない。

 

『ビバ!万里の長城』

 

「こんな技を…?」

 

「こんなって失礼な…。それとも?もっと難易度の高い技と行こうか?」

 

「いや…文句があるワケじゃないんだ。こんなカッコいい技を…俺が?」

 

「あぁ。お前はシュートブロックの金字塔にもなるし、守りの要にもなるだろう。期待してるぜ!」

 

 

 

とりあえず、これで二人終わったのか。あと9人は…省かせてもらうが、全員良い技を伝授したつもりだ。あとは…この1週間、成果があるような特訓をしてくれてる事を祈るばかりだ。

               続く




次回はとうとう雷門中との練習試合!…の前に、この度聖クラウド学院中にはどんなメンバーがいるのかを次回紹介したいと思います。皆さんよろしくお願いします!

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