イナズマイレブン 少年サッカー伝説の威光 作:ぬんちゃくティッシュ
私自身イナイレのファンで、ゲームから入っていった奴です。にわかですけど、どうかよろしくお願いします!
俺は真村爽。どこにでもいる中学生だ。そう…思いたい。
どんなに普通の生き方をして、どんなに抗ってみても、過去を拭うことはできない。それは分かってるのだけど、今は姿名前もサッカー界から抹消されたハズだ。顔も明かしてはいないから、回りが騒ぎ立てることもない。静かに暮らせるって言う事はこんなにも良いことなのか、中学1年になってようやく分かった気がする。
なぜ、俺がサッカー界から姿を消したか…。
簡単な事さ。俺が小学生だった頃、ただただ楽しくサッカーをやりたかった。ただただ友達とボールを追いかけていたかった。なのに…、俺だけ上手くなっていって、評判が評判を呼んで、世間が俺を放さなかった。
俺は、サッカーをやっていただけなのに…。この力のせいで友達はいなくなり、普通じゃない生活ばかり強いられる。大人の汚れまで見てきた。…もううんざりだ。サッカーでこんな目に会うなら、いっそ辞めた方がマシだ。
そして今に至る感じだ。あれ以来追っかけもいなくなったし、普通の少年として生活できている。そして、やはり自分を見出だせるサッカーから離れられなくて、肩身狭い中でもボールは蹴っている。能力は維持できているハズだ。ちなみに部活には入っていない。帰宅部である。
ただ…だ。今通っている中学校…名前は聖クラウド学院なんだが、1つ問題がある。ちなみに中高一貫校ではなく、立派な中学校である。立派なのは名前だけさw
…サッカーが下手すぎる。
俺自身、サッカーに向かって気が動かないように、敢えて弱小中学校に入学した。そこまでは良かったのだが、いざ下手すぎるプレイを見ていると、過去の威光が疼く。また…蹴りたい。そして、…これで本気でフットボールフロンティアに出場しようとしているのだから笑えてくるし、教えてやりたくもなる…。
あ、フットボールフロンティアって言うのは全国の中学校、高校とサッカー部の最強が決められる…いわゆる選手権と言う奴だ。中学校部門と高校部門とあり、優勝できるチームは真の最強と言うこと。そして、中学校部門において、つい最近まで弱小だったのに優勝した学校がある。その名も、雷門中。某漫画の中学校の名前まんまだが、筆者が原作の1つや2つは入れないと味気ないなんて言い出すから、大人の事情ってことで…。
まぁ、そんな感じで過ごしている。とても充実しているし、満足だ。なんだが、やはり気になる弱小チーム…。
だって、シュートはへなちょこだし、パスなんてまともに渡ってない。終いには技を使っているところを見たことがないんだけど…。あぁああ疼くぅう!
そんなある日の事だ。放課後、授業も終わったし帰ろうかと思って、何気なくふとグラウンド近くを歩いていた時だった。
「…ん?」
足元にサッカーボールが転がってきた。
「おーい!そこのお前~取ってくれ~!」
コイツ…初対面に向かってお前はないだろ…。そこで過去の威光が頭を過った。まぁ、お前呼ばわりされた事に対しての怒りもあるけれど、何となく、サッカーをしてみたくなった。…これが、俺のサッカー人生の再開だったとは、この時の俺は全く知らず、ボールを拾い上げて、何も言わずゴールに対峙する。ちなみにさっきのお前呼ばわりしやがった奴は、お…おい…お前…何のつもりだ…。なんて結局お前呼ばわりを突き通して動揺していたが、俺の耳には入ってなかった。この時の俺は、全意識をボールに目掛けていたからだ。
「おい!キーパー!止める覚悟がねぇと、シュートってものは止まってくれねぇぜ!」
と、カッコ付けた一言を叫び、昔の感じを思い出してボールを全力でゴールに蹴り付けた!
「「……」」
周囲に数秒間の沈黙が訪れる。それもそのはず、俺のシュートはゴールを破壊したに留まらず、射程にはボールによって抉られた後が残っていたのだからな。
「久々に本気で蹴ったな。昔の感じは、まだ錆び付いてなくて良かったよ」
「おい!そこの中1!」
…っと、顧問の先生か。勝手なことしたから怒られるかな?
「君、サッカー経験あるのか?」
「答えは先生の後ろで惨劇のように繰り広げられてますけど…」
「俺の言いたいこと、分かるな?」
「スカウトしたい…でしょう?」
「察しが良くて何より。君が良ければ良いんだが…」
…勢いで蹴ってしまったけれど、どうしよう。ただ…1つハッキリしたことがある。サッカーは、やっぱり、ボールを蹴るのは楽しい!
やはり、俺はサッカーからは切っても切り離せないな…。弱小から、また始めますかねぇ!
「そうですね。入る部活に迷ってましたし、ぜひお願いします。先生」
と言うことで、聖クラウド学院中学校サッカー部に、一人の秀才が入部した。…が。
───翌日の放課後───
「先生。大変恐縮なんですけど、このサッカー部と俺とで勝負させてください」
と、俺は切り出した。どういうつもりか、まぁ話してやるから聞けって!
このチームに入った以上は俺はこのチームの選手だ。でも、仲間の実力も知らないのに、チーム何て言えるか、サッカーなんてチームプレイのスポーツをこなせるのか、いわば俺に向けたテストを提案したのさ。
「どういう事だ?」
「俺の実力と、このチームはかなり違いがあるみたいです。そこで、このチームの実力を知りたいわけですよ」
「…うぅむ。まぁ良いだろう。で、勝負ってのは?」
「普通のサッカーですよ。そちらのキックオフで俺のゴールに決まればそちらの勝利。俺がそちらのゴールに決まれば俺の勝利。これでそちらも、僕の実力がよくお分かりになるでしょう」
…と提案されたワンゲーム。まぁ向こうもやる気みたいで何より。新人にでかい面させてたまるかよ…精神でかかってきてるな…当然だわな。でも、それを粉々に砕いてやる。
自分が何気に上手くて、もしかしたらフットボールフロンティアに行けるかも…なんて甘い考え方を根本から覆して、愚かさを知らしめないと、慢心ゆえに成長できない。俺が、このチームを、フットボールフロンティアに連れていってやる。…もしドラみたいだな。懐かしい…。何にせよだ。このチームの連中だって磨けばダイヤになるハズだ!やってやるぜ!
さぁ、お互い位置に着いた様だ。キックオフは向こうから。俺のゴールにはキーパーはいない。だが、勝てないワケではない。その理由がハッキリ分かるハズだ。ホイッスルで試合開始!
『ピー!』
向こうのキックオフでトップのFW二人が攻めてくる。俺は自陣の真ん中にいる。どうやらワンツーを仕掛けようとしてるようだが、ムダだ。俺には、必殺技と言うものがあるからだ!
『真空魔 V2』
「…な!?何だ!」
「必殺技って奴か!初めて見た!」
おいおい…初めて見たって…経験無さすぎだろこのFW二人…。まぁ、ボール奪えたからには攻めさせてもらうぜ!
あ、1つ言い忘れてたけど、俺ってどんな技でもどんな化身でも使えるから。チートじゃん!って言う人もいるだろう。そのチートのせいで小学生時代はまともに生活できなかったんだから良いじゃないかよ…。
「気にするな…!今は攻め上がるだけだ!」
とは言っても、さすがMFと残りのFWに阻まれるか。だが、これは俺の実力を示す戦いでもある。技は積極的に使おう!
『デコイ・リリース』
最近覚えた技だが、上手く行った。残るは?ゴール前のDFか。ここは敢えて、技を使わず行ってみるか?
………。とは言ってみたが、動きが荒すぎて簡単に避けれる。まったく…。DFが緻密な動きをしないでどうするよ?荒いならチャージングするなりしないと、ボールはいつまで経っても敵の膝元だぞ?
最後はシュート。ちょいと本気だしてやろうか。…まぁ抑えるけどな。
「おい!キーパー!怖いかも知れないぞ!無理そうなら逃げろよ!」
と言い捨てて、キーパーは何ぃ!?…とキレた瞬間、俺の背からどす黒い影がゆらゆらと上がって…。
「見よ…。これが俺の化身だ!」
『魔帝 グリフォン/アームド』
「け…化身?」
「それを…身に纏った…」
「さぁ味わえ!化身アームドの力を!」
『真・ゴッドノウズ』
「ひ…ひいいいいぃぃぃぃ!」
あらぁ…ちょっとやり過ぎちゃったか…。本当はデススピアーとカオスメテオで迷ったけど、ゴッドノウズで正解だね。被害がすごい…。だって、蹴った先数百メートルは抉られてるし、煙ももくもく上がって…。幸い、町の辺境にある学校だから、他の建物に影響はなかったけど、柵やら何やらぶっ飛ばしちゃった…。まぁいっか。ギャグ補正が適用されるだろう。
と、なかなかシュールな感じで勝利を迎えた。この先の戦いは、一体何が待ち受けているのか…。
続く