──海鳴近海公園
フェイトとなのはが海上で戦っていた。
その時、龍燕は気配を感じ取った。
「フェイト!その場からすぐに離れろ!」
龍燕の声にアルフとフェレットは振り返った。
フェイトとなのはがぶつかる寸前、その間に魔方陣が現れると、黒服の少年が現れ二人の武器を掴み取った。
「ストップだ!!時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ!武装を解除して詳しい話しを聞かせて貰おうか」
突然現れた管理局執務官という少年に、フェイトは振り払って下がった。その前に龍燕は虚空瞬動を使って駆けつける。
「フェイト、アルフ」
「龍燕!」
「逃がすか!ブレイズキャノン!」
クロノは龍燕に向けブレイズを飛ばした。
「眞炎流炎流技『炎壁』」
ブレイズは炎の壁に阻まれ消えた。
アルフも着き、龍燕は二人に触れ瞬間移動をしようとした時、フェイトの左腕にブレイズが命中した。
「痛ッ!」
「!フェイト」
「…フェイト、アルフ。先に戻ってくれ」
龍燕の言葉に二人は驚いた。
「何言ってんだいシエン!」
「頼む」
フェイトとアルフの下に橙色の魔方陣が展開された。
「すぐに戻る」
「わかった」
フェイトとアルフは消え、魔方陣も消えた。
「時空管理局執務官と言ったか」
「貴様…公務執行妨害で逮捕する!」
クロノは杖を構え直し、龍燕を睨みつける。
「逮捕?無理だな」
「なんだと!」
「簡単に言えばまず、その時空管理局は管理外世界も公務が通用するのか?」
「ぐっ…」
クロノは辛そうな顔で口を閉じた。
「言えないか。ならさっき攻撃したことについて話しをここでしてもらおうか?」
「…犯罪者だからだ」
「そうか。なら今、管理外世界で公務をするならばその国の許可等が必要だろう?執務官として判断を誤っている」
クロノは黙り込み、ただ龍燕を睨みつける。
「何を誤ったかわかるか?拘束ではなく攻撃してしまった事だ」
「お前は誰だ?流れ上、あの少女等と仲間なのか?」
「そうなるな」
「なら、君の言った通り話しをしてもらいたい」
龍燕は少し思考する。
「わかった。しかし、話しをする場所は決めさせていただきたい」
「何処だ?」
「俺の隊舎だ」
「なに?」
クロノは顔が険しくなる。
「話しだけだ」
「……」
クロノは黙り込む。
「わかった」
「そうか。まだ俺の名を言わなかったな。俺は眞羅暁帝王国陸総本部、特務機動隊課長、灼煉院龍燕。階級は特務帝将。今は分け合って彼女等と行動を共にしている」
龍燕は金属板のような札をクロノに投げた。クロノは受け取り、見る。
「なんだこれは」
「中央の水晶部を軽く擦れば隊舎の位置が出る。あと、攻めて来た場合は時空管理局は壊滅すると考えていただきたい」
クロノは一瞬震えた。
「安心しろ。攻めでなく、話しに来ただけなら俺は反撃はしない。明日、昼頃に来るといい」
龍燕はそう言い残すと瞬動で移動した。
─特務機動隊隊舎『マスラオ』
「ただいま」
「シエン」
フェイトが出迎えた。
「大丈夫だった?」
「大丈夫だ。ほら、埃一つとないだろう」
龍燕は両手を広げ、見せた。
「よかった」
「それよりフェイトは大丈夫か?」
「え?」
「腕に攻撃が当たっただろう?」
龍燕はフェイトの、包帯の巻いてある腕をみる。
「大丈夫だよ、このくらい」
「大丈夫ならいいんだが」
すると龍燕のお腹が鳴った。
「あっ」
「お腹空いたの?」
「みたいだな」
フェイトは微笑むと自身のお腹がなり、顔を赤らめた。
「フェイトも、だな」
「うん\\\」
二人は食道へ向かった。
─高町宅
「虎牙君どうするの?」
「あの管理局という組織と関わらない方がいい。今日の話しは……あのリンディという人の話しは立場等と言って俺達を駒として使おうとしていた」
「…でも」
「俺達が管理局の話しを拒否し、ジュエルシードの回収を続ければ捕まえに来るだろうな」
「なら!」
なのはは大きく口を開く。
「そうなれば管理局を潰すかな?」
にやりと笑って言う虎牙に、一瞬なのはと黙り混んでいたユーノが震えた。
「安心しろなのは、ユーノ。殺しはしないよ……皆、半殺しで勘弁してやるくらいだ」
「「それ似たようなものだからね?!」」
二人は虎牙へ息ピッタリにツッコミを入れた。
「むむッ。……そうか?」
「で、どうするの?」
「なのははどうする?自分を、手の内の駒にしようとしている組織に行くのか?」
なのはの問いに虎牙は問い返した。
「私、は……」
なのはは黙り込み、視線を下へ向けた。
「この話しはなのは次第だ。なのはの決めた方に俺も動こう」
悩むなのはを前に、虎牙はそう言って目を閉じた。