「ここにその『ジュエルシード』があるのか」
「うん」
「さて、拠点を造りに行くか」
「「え?」」
「どうした?」
「ちゃっちゃと見付けて帰ればいいじゃん」
アルフが反論を言うが
「見付けられなかった場合、食事はどうするんだ?内容上、管理局の介入が何時始まるかわからない。管理局が現れてしまった時、アルフは『落ち着いて』『冷静』に食事出来るか?」
「うっ」
アルフは口を閉じる。
「じゃ、理解してくれたところで『仮拠点』を造りに行こう」
二人は頷いた。
──山
「人気もないし、認識障害や視覚障害など複数掛ければ問題無いな」
「景色良いね」
「眺めが良い」
するとフェイトが口を開いた。
「けどここ、小屋も無いよ?」
「小屋より城さ。広い方がフェイトも修練できるだろう」
「城?」
「ああ、城だ」
「こんな廃墟どうするんだい?」
アルフが聞いてきた。
「使うんだ。
「はーい」
「はっ!」
すると微妙な高さを保って、廃墟は浮いた。
「廃墟が浮いた?!」
アルフとフェイトはぽかんとしながら、ゆっくりと動き始めた廃墟を見ていた。今までは模擬戦の時にランサーを重力で圧気させて落としたり消したり、壁にして受け止めたり弾かせたりとしたのを見ただけだ。
「その辺りでいいぞ」
「はい」
「んー、少し疲れたかな」
「ありがとう。重力系の消費は結構激しいからな、回復するまで武己《ブキ》で休んでろ」
「うん」
「し、
「
「応用…だったんだ」
フェイトは暁とよく模擬戦をやっていたが、その応用は見ていなかったので驚いていた。
「
「
小さく頷いた
「変わって」
そういうと廃墟内にあった瓦礫等は一つに纏まり、外に出てきた。
「え、と…これが物質変換能力?」
「そうだ。まぁ今のはただ纏めて出しただけだけとな」
フェイトは興味深そうに見ていた。
「中は…、下は丸出しになった基礎か。広い部屋と小さい部屋が廊下を挟んで一つずつ。広い出入口が一つか。
「わかった」
「二人は周囲を調べて、魔力を持つ者がいないか調べてくれ。勿論、認識阻害等を掛けてな」
「わかった。けど、ジュエルシードは?」
アルフは
「基本は魔力を持つ者を探索。今回は最優先に。第二にジュエルシードを発見したら回収してくれ」
「うん。わかった」
フェイトも頷いた。
「魔力を持つ者を見つけても無駄な争いは避けて、情報収集のみになるべくしろ」
「うん。じゃ、行ってくるね」
「ああ」
フェイトとアルフは飛んで行った。
「さて、
「広い部屋は出来ているな。
「はい」
「残りは?」
「廊下の半分と小さい部屋と出入口」
「そうかわかった。それが終わったら休んでいいよ」
「さて、俺はアレの調整をするか」
─夕方
「シエン、只今」
フェイトとアルフは戻り、廃墟の中に入って驚いていた。
「わっ、すごい」
「綺麗になってる」
瓦礫が一つも無くなり綺麗になってるだけではなく、椅子やテーブルも置いてあった。
「シエン、この椅子とテーブルはどうしたんだい?新品みたいだけど」
「生成した。
「どう、かな?」
恥ずかしそうに言う
「あと、二人共来てほしい」
「どこに?」
「ジュエルシードを回収している時も鍛練を出来るように」
「階段?」
アルフが首を傾げた。フェイトも?を浮かべる。
「ついて来て」
「うん」
階段を下りると大型空間モニターを正面と、右側に二つのモニターを備えた司令室のようなところに出た。空間モニターの前に
「あ、
気づいた
「ただいま…て、ここは?」
「ジュエルシードを探すための仮施設のような感じに作ったの。今はまだ調整中で魔力反応のみだけと、そのジュエルシードってのを一つ見つければメインモニターに出せるようになるよ」
フェイトとアルフは驚いていた。
「どこにそんな器材持っていたのさ?ほとんど手ぶらだったのに」
フェイトがそう言うと
「全部俺の
「何か凄いね」
「うん」
「あとフェイトとアルフの鍛練する場所だが、こっちだ」
「その部屋でやるの?」
「いや、その壁に掛かった装置の中でやるんだ」
二人は理解できていなかった。
「装置の中で?どうやって入るの?」
「八方陣の中に入って」
「うん」
二人は八方陣に入る。
「え?」
光が消えるとさっきまでの景色とは全く違い、装置の付いていた壁は門に変わった。
「…ここは?移転?」
「でも魔力は感じなかった」
「ここは装置の中。そして──」
「ようこそ。特務機動隊隊舎、『マスラオ』へ」
「ます、らお?」
フェイトとアルフは驚愕していた。
「広い…」
「あそこの倍以上はあるよ」
「シエン、ここは?」
「玄関口だ。
「靴脱ぐの?」
アルフは驚きの表情を見せた。フェイトも同じだった。これは『文化の違い』と言うものだろう。
四人は城の中を歩き始める。
「広い、ね」
真っすぐ伸びる廊下。扉も幾つかあったが通り過ぎて行く。そして渡り廊下を渡ると建物があった。
「ここは?」
「ここは第二多目的室だ」
中は外から見たこの建物の外見より遥かに広かった。
「どういう仕組みなの?」
アルフは疑問を浮かべ
「この建物内は空間領域を広くしている。それに」
「空間設定をすれば」
周りの風景が荒廃都市に変わった。
「景色が変わった?」
「幻術?」
「完全再現型の立体映像だ」
「立体映像?」
「明日からここで鍛練を始める。昼間はジュエルシードの捜索と回収だから早朝と夕方頃になるな」
「うん」
そのあとは
「はい」
「何?」
「
「ありがとう」
「さぁ行こう!」
「うん」
四人は風呂へ行った。
「さて俺は多目的に行って、久しぶりに思いっきり鍛練するか」