管理局からは何度もフェイトとプレシアの引き渡しを要求してきた。
『龍燕が戻るまで待て』と追い返した。
「私は……このままでいいのかな?」
フェイトは心配になっていた。
「ん……」
虎牙は悩んだ。
「交渉を…してみるか?」
「交渉?」
「ああ。だが、軽くても一月か二月程の保護観察がつく可能性とかがあると思うが……」
「虎牙、それでも……」
真剣な顔でフェイトは虎牙に言った。
虎牙は短くそうかと返しながら笑う。
「え?」
「お前を見てるとなのはを思い出す」
「なのはに?」
「それになんか、龍燕も思い出すな」
「え?龍燕も?!」
意外だったのかフェイトは驚いた。
「明日、リンディ提督に会ってくる」
フェイトは頷いた。
次の日、虎牙は時空航行船アースラの艦長に会うため、通信で呼びかけ、アースラ内で話しに行った。
虎牙はアースラ艦長のリンディ提督、クロノ執務官らと一室で話しを始めた。
虎牙の突き出した要求は『テスタロッサの犯罪を全て帳消しにし、自由にする事』だ。当然、クロノはその要求に激怒した。しかし、虎牙は突入最後に龍燕からもらった記録を突き出すと黙り込んでしまう。
二人に突き出した記録はプレシア・テスタロッサが犯罪を犯してしまったそのきっかけが入ったものだ。
当時プレシアは管理局に勤めていた。その時魔導炉の製作に着手し、管理局の上からの命令で未完成で不安定さが残る魔導炉の起動を無理に攻められ、その起動後の事故で愛娘のアリシアが死亡してしまった事。
「時空管理局のある世界でも情報機関はあるのだろう?もし、この情報を公開したらどうなる?」
虎牙は強い口調で二人に言った。
「僕達を、管理局を脅す気か」
「事実だ。だが君達が俺の条件を飲むならば公開はしない」
二人は暫く黙り込んでしまった。
そして、リンディ提督は口を開いた。
「…わかりました。その要求を飲みましょう」
「母S、艦長!」
クロノは立ち上がった。
「執務官、この事を公にされれば管理局はおしまいです。管理局が犯罪人になってしまう素をつくってしまった、と」
クロノは静かに座り直した。
管理局と話しを終えた虎牙は特務機動隊の城、マスラオに帰還した。
同時に不安にもなった。龍燕が帰る前に勝手に話しを集結させてよかったのかと。龍燕は虎牙にプレシアの記録の入ったのを渡した。
「お帰りなさい。虎牙」
「ただいま」
プレシアが迎えた。
「ごめんなさいね。私がずっと過去に囚われていたから」
「いや、いいんだ。龍燕が決めて、俺が今代わりにやってる事だ」
そういうと居間に移動した。
「この世界内ならなんとかなると思うが。龍燕は今何処にいるんだ」
虎牙は呟く。
「虎牙」
振り向くとフェイトがいた。
「どうしたんだ、フェイト」
「えぇと、模擬戦の相手をしてもらえない、かな?」
「模擬戦の?いいよ、わかった」
虎牙は立ち上がり、フェイトと多目的訓練場に向かった。