異聞 艦隊これくしょん~艦これ~ 横鎮近衛艦隊奮戦録   作:フリードリヒ提督

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はいどうもー!

大分尺を巻きに巻いた表現をぶっ立てた天の声です!

この話は提督目線で主に書くつもりなので艦娘の活躍は余り書けない事の方が多いです。ご了承ください。

妖精さんの活躍の描写は期待しない方がいいです、柑橘類氏本当にごめんなさい。ですが普通喋る事のない人達なので如何ともし難いですはい^^;

あと局長に関してはニコ生民であれば知っている人は知っている某艦これMMD
ドラマシリーズよりアイデアを拝借しました。動画投稿者様の許可も頂きました、本当にありがとうございます。

超兵器級深海棲艦というカテゴリが存在している時点でお察しの方もいるでしょうが、この作品はコーエーから発売されていた「鋼鉄の咆哮」シリーズの世界観をクロスオーバーさせてあります。ゲーム的に言えばプレイヤーの艦がフィンブルヴィンテルを打倒した後の世界ですが、普通に戦争したりウィルキア帝国が存在しないと言う割とごっちゃ混ぜにしております。この辺りは今後設ける資料集(まだ構想のみ)に於いて説明しようと思っています。

鋼鉄の咆哮シリーズの超兵器は、余程突拍子もないものでなければガンナーやコマンダーの隔たり無く全て登場します。なお超巨大列車砲ドーラ・ドルヒや、超巨大衛星砲ソヴィエツキー・ソユーズなどの水上以外の超兵器は基本登場しません。それ最早艦娘じゃないし。あくまで水上に存在しているもので出します。


では今回は、一旦艦これのシステムの方から離れて『艦娘と人間の違い』と、再び戻って羅針盤についてお話しします。


艦娘と人間の違いというと、これは人によって考えが異なると思います。無論二次創作の作品によっても描写は異なります。

例えば、「艤装を使える人間の脳内に戦闘知識を刷り込み戦わせる」という場合、特殊な力があるだけの人間ですし、「船の魂が肉体を持って顕現した」という場合であるとすれば、それは人間とはまた違った別物という事になります。仮にサイボーグだったりアンドロイドであるとすれば最早人ですらないですし。

この世界に於ける『艦娘』。それは、「限りなく人間に近い人間に無い力を持った存在」という定義で成り立っています。

この世界には、魔法や超能力が存在する事は既に述べた通りです。ですが、それでも人間が持ち得ないとされる力は相当数あります。その一つが霊力であり、艤装を操る力です。

紀伊直人は例外とも言える霊力保有者であり魔力保有者であり、また艤装操作能力をも兼ね備えた、言わば才能の塊とも呼べる存在です。

ですが本来霊力というものは外部にしか存在せず、人間が体内に持って産まれる事はかなり数少ないケースです。それを艦娘はただ一人の例外なく持っており、それを艤装に流す事によって艤装を操る力を持っています。

また艦娘は第2次大戦中の艦艇達である為、後の世で艦名が襲名された艦も多く存在します。それらも含め艦によって異なった特殊な能力を持った個体も存在します。これも人間との相違点です。

はっきり言ってしまえば、艦娘と人間はその体の構造から皮膚の色、血液の色、神経の通り方、血管の配置、果ては生殖機能に至るまで全て人間と何ら変わる点を持つことは無いと断言していいという事です。ただただ目に見えない細かい所が少しずつ違うという事だけです。人間と同じ体をした、人間と同じく意思を持ち、艤装を扱う事の出来る少女達、それが艦娘である。という定義で以ってこの世界での艦娘という存在は完全な成立を見ています。

作ろうと思えば艦娘と人間のハーフも作れますが憲兵さん呼びますよ?(ニコニコ

では艦これの羅針盤の方に話を移しましょう。

これは結論から言います。







羅針盤は回すものじゃありません。(迫真

という事でこの世界では羅針盤はちゃんと稼働します、船乗りさん達は安心して羅針盤に頼っていい。あれはそもそも裏で乱数やってる間の飾りみてーなもんだと勝手に思ってるので、磁場が乱され羅針盤が使えないだとかそういう事はありません。

なお超兵器級深海棲艦の近くでは電子機器への干渉でノイズが発生すると言うのはあります。だからと言って磁場そのものが狂ってる訳じゃありません、気候とかにも影響するから。

艦娘達は方位磁針なんて持ってませんが艦の能力として羅針盤機能を艤装に積んでいる為、方向が分からなくなることはまずありません。現場判断でぶらぶらします。

まぁこんなもんでしょうかね。ウラズィーミルの説明長くてすみませんねつい熱が入ってしまいましたww

こんな感じでミリヲタなんでご了承くださいwwww

という訳で初の日常回です。え? 1・2章はって?チュートリアル部分だよ黙ってなさい。

では始めていきましょう、どうぞ。


第6章~戦の合間の静かな日々~

4月22日正午過ぎ 艦娘寮・鳳翔の部屋

 

 

提督「zzz・・・」

 

鳳翔「フフ・・・」ニコニコ

 

金剛「・・・。」^^;

 

只今、提督昼寝ナウ。

 

鳳翔さんの膝枕で、微笑ましい笑みを向けられながら。柑橘類大尉は不在の御様子。

 

金剛が来てニコニコしているが、特に殺意の様な物は無し。和やかすぎるお昼頃である・・・。

 

鳳翔「提督にもこんな一面があるんですね。」

 

金剛「ムムム・・・提督が甘えん坊サンとは知らなかったのデース・・・。」

 

鳳翔「そ、そうではないと思いますが・・・。」^^;

 

金剛「どうせならワタシが膝枕してあげたかったデース。」ブーブー

 

鳳翔「でもだからと言って提督のお邪魔をするのは、いけませんよ?」

 

金剛「ウ・・・。」

 

しっかりと釘を刺しておく鳳翔。金剛から見れば鳳翔さんは年下の筈なのだが、なぜかそんな金剛を含め皆鳳翔さんには頭が上がらない。

 

流石は艦隊のおかん、格が違う。

 

提督「zzz・・・」

 

そして提督はぐっすりお休み中。

 

鳳翔「それにしても、この艦隊に来て1週間以上になりますけど、良い艦隊ですね。みんな元気ですし、まだまだ人も少ないですけど、これから大きくなるでしょう。」

 

金剛「それは同感デース。提督も普段はいい人なのデス。お仕事中はチョットそっけないですけどネー。」

 

何気に本音をぶっちゃける金剛。

 

鳳翔「生真面目なのも、それはそれでいいんじゃないですか?」

 

金剛「それはそうネー。でも少しつまんないデース。」

 

鳳翔「フフッ・・・そうかもしれませんね。」

 

鳳翔もひとまず同意して置く事にした。

 

 

同じ頃直人は夢を見ていた。昔の、夢を―――

 

 

直人「くたばれぇ!!」ズドオオォォォォォーーー・・・ン

 

そこは戦場であった。

 

直人の放った120cm砲の巨弾が、狙った敵は勿論、周囲の敵をも巻き込み沈める。

 

「直人! ここはもう持たん、先へ進め!」

 

青い髪をなびかせた、直人と同じく巨大艤装を身に着けた青年が叫ぶ。

 

直人「けど・・・!」

 

「行け! 遠くで戦ってるあいつらの努力を、無駄にするな!」

 

直人「氷空・・・。」

 

氷空「安心しろ、俺は必ず生きて帰る。お前も早く行ってあの化け物共を、叩き潰してこい。」

 

直人「・・・氷空、ここは任せたぞ。」

 

氷空「あぁ、任された。」

 

直人は氷空に背を向け、先へと進む。

 

氷空「どこを見ている!お前らの相手は俺だぞ!」

 

背後で氷空が砲を放つ。

 

友の想いを乗せ、直人は敵地を目指す――――

 

 

 

「――――ぃとく、提督!」

 

提督「う、うう・・・」

 

鳳翔「やっと起きられましたね、提督。」

 

提督「うん、おはよぅ。」

 

まだ少し寝ぼけているようだ。

 

大淀「提督、お休みの所すみませんが、直ぐに来て頂けませんか?」

 

提督「あ、あぁ。了解した―――ふあぁ~ぁぁ。」

 

伸びをしながらあくびを一つかく直人。

 

鳳翔「良くお眠りになっておいででした、提督。」

 

提督「え、あぁ、ただ話しに来ただけなのに寝ちゃったりしてすまなかったな。」

 

実際のところ提督は鳳翔さんとのコミュニケーションも兼ねて話をしに来ただけだったのである。

 

鳳翔「いえいえ、ふふふっ。」

 

直人の背後で若干ご機嫌斜め気味な金剛を見て、鳳翔から笑いがこぼれる。

 

提督「?」

 

金剛「提督ゥ~、次は私が膝枕してあげるデース。」

 

提督「え、ええ?」

 

金剛の言が余りに唐突なので困惑する直人である。

 

鳳翔「金剛さんは私が“最初”に提督に膝枕をして差し上げたので妬いてるんですよ。」ゴニョゴニョ

 

提督「別に故意にするつもりは・・・。」ヒソヒソ

 

鳳翔「別にご遠慮なさらずとも宜しいのですよ?」ゴニョゴニョ

 

提督「むー・・・」

 

返す言葉が見つからず困ったところに大淀の声がする。

 

大淀「あの~?」

 

提督「あぁ、すまんすまん、行こう。」

 

そう言って立ち上がる直人。行きがけに顔を洗ってから、大淀の話を聞き建造棟へと向かった。

 

 

 

4月22日午後4時 建造棟前

 

提督「新しいドロップ艦?」

 

大淀「はい、あちらで神通さんと話しておられる4人がそうです。」

 

大淀の言う通り建造棟の少し奥の方で、神通と話し込む4人の姿があった。

 

提督「分かった。」

 

提督が神通の方に歩いていく。

 

神通「あぁ、提督!」

 

提督「神通さん、出撃ご苦労様。」

 

神通「いえ、5つほどの梯団に出くわしましたが、全て撃破して参りましたので。」

 

流石の技量、と言うべきだろうか。

 

提督「そうか。で、こちらが今回着任した艦でいいのかな?」

 

神通「そうです。」

 

提督「では順に自己紹介ヨロシク。」

 

筑摩「初めまして、利根型重巡洋艦、筑摩と申します。」

 

清楚な印象を受ける艦娘だな。

 

青葉「ども、恐縮です、青葉です! 宜しくお願いします!」

 

なーにを持ってんだよお前は。

 

千代田「軽空母、千代田です。」

 

千代田って水上機母艦じゃ・・・もう突っ込んでも無駄だな。

 

妙高「妙高型重巡洋艦、妙高と申します。共に頑張りましょう。」

 

大型艦多いなぁ・・・。

 

直人「あぁ、4人ともよろしく頼む。」

 

妙高「この鎮守府は大きいんですね。」

 

提督「これでも司令部なんだけどね、まぁどっちでもいいや。まぁうちの艦隊が特別だと言うのが理由なんだけどね。」

 

青葉「その辺り詳しくお聞かせ願えますか!?」ババッ

 

おうどっからメモ帳とシャーペン出した。(by直人)

 

提督「まぁ、金剛か大淀、明石さん辺りに聞いてみればいいんじゃないかな。俺が言ってたと言えば話してくれると思う。」

 

青葉「はい!」

 

提督(元気はいいな・・・ブン屋っぽい―――ふむ・・・。)

 

青葉型重巡洋艦、青葉。この世界でもやはりブン屋だった。

 

神通「では、私はこの方達を案内してきますね。」

 

提督「うん、行ってらっしゃい。」

 

神通「ではこの司令部を御案内しますね。」

 

青葉「お願いします!」

 

提督「あ、神通さん、司令部技術局も回っといて。」

 

その言葉に神通が

 

神通「いいんですか?」

 

と聞くが直人は

 

提督「うん。それに局長も紹介しとかんと後で騒ぎになるし。」

 

と気楽な返事である。

 

神通「・・・分かりました。」

 

神通は4人を連れて司令部の東側を案内しに行った。

 

提督「ふぅ・・・。」

 

溜息を一つつく直人。

 

大淀「提督、演習の方は如何しましょうか?」

 

提督「いつも通りお願い。」

 

大淀「了解しました。」

 

提督「大淀さん。」

 

ぼんやりとした調子で大淀を呼び止める直人。

 

大淀「はい?」

 

提督「今日はもう上がっちゃダメかねぇ?w」

 

要は休みたいだけである。

 

大淀「定時までは居て下さい。」

 

提督「あと2時間かぁ・・・。」

 

提督が上がれる定時は午後6時だったりするのだが。

 

提督「しゃーない、夕日でも眺めてきますかね・・・。」

 

そう言って彼は神通達と同じ方向に向かった。

 

 

艤装倉庫裏/司令部裏ドック

 

 このドックには艦艇修理に使う大型クレーンが1基据えてある。その根元に提督、紀伊直人がいた。

 

提督「すぅ~・・・はぁ~・・・。」

さて、行きますか―――。

 

 直人は三歩で思い切り踏み込んで飛ぶ。ダァンともの凄い音がしたのと同時に、直人の体は一気にクレーンの高さを超えていた。

そしてクレーンのてっぺんから1m飛び越したところで降下、ふわりと鉄骨に着地(?)する。このクレーンは高さ17mと結構高いので、司令部の全ての建物よりのっぽである。魔術による身体能力強化を乗せた、人間の能力を超えた跳躍である。

西向きに座る提督。地平線の向こうへ、刻一刻と太陽が沈んでいく。地平線全体を朱に染めんとするかのように、夕日は最後まで輝き続ける。

「あの日の夕陽も・・・あんなだったな・・・。」

直人は一人、物思いに耽った。

 

 

「うぐ・・・」

 西日を横から浴びる様に、直人は北へ向かっていた。艤装からは幾筋もの煙が上がり、あちこちから火花が散り、象徴とも言うべき120()()砲は片方がくの字に直角に折れ曲がっていた。

着ていた軍服もボロボロになり、体にも数カ所傷が出来ていた。だがその痛みに顔を歪めてながらも、突き動かされるように彼は航進する。

「とにかく前へ―――日本に・・・帰らなくては。」

 あらゆる深海棲艦を圧倒する目的で作られた巨大艤装『紀伊』。

しかしそれを以ってしても、妖精の力に根本から頼らなかった機構であるが故に、彼の力は最奥部の敵に、ついに届かなかった。彼はあと一歩の所まで来て、敗北を喫したのである。

氷空や仲間の想いは、遂に届かなかったのである。そしてその日の夕陽は、憎らしいほど美しく、空は朱に染めあがっていた。

 

 

雷「しれいかーん!」

 

「―――ッ。」

雷の声で我に返る直人。

 

雷「そんなとこでボーっとしてたら危ないわよ!」

かなりの距離の筈だが、何でボーっとしていると分かったのだろうか。

 

雷「早く降りた方がいいわよ!」

 

提督「そうだな!」バッ

 

そう言って提督はそこから「飛んだ」。

 

雷「え!?」

 

雷が驚いた表情のまま固まる。

 

提督は高速宙返りをしながら落ちてきて、見事雷の背後4mの位置に着地した後前転して勢いを殺す。

 

提督「もう6時過ぎてるのか、大淀さんに言って今日は上がるか。」

 

雷「し、司令官? なんともないの?」

 

提督「全然。鍛え方が違うからね。」

 

どんな鍛え方をしているのだ、と言う質問は野暮である。

 

雷「というか、どうやって上ったのよ?」

 

提督「飛び乗りましたが?」

 

雷「飛び乗った!?」

 

提督「雷、もう日が沈んだぞ、早く部屋に戻りなよ、風邪引くぞ。」

 

雷「そ、そうね。おやすみ司令官!」

 

提督「あぁ、おやすみ。」

 

そうして直人も大淀さんに一言言った後帰りましたとさ。

 

 

 

翌23日火曜日 食堂にて

 

 

提督「牛丼ウマー」

 

柑橘類「そうだな。」

 

提督「ん?」

 

丼の陰から鳳翔飛行隊長柑橘類大尉が出て来た。

 

柑橘類「ウマー」モグモグ

 

妖精さんスケールの牛丼を持って。

 

提督「なーんだ、おめーも牛丼かい。」

 

柑橘類「それがなにか?」

 

提督「いやいや。おかんの牛丼美味しいよね。」

 

柑橘類「何言ってんのおかんの料理は皆美味いじゃろ。」

 

鋭い切り返しに直人も応じる。

 

提督「特にカレー、だな?」

 

柑橘類「そそ、金曜が楽しみなんだよな。」

 

提督「同感ですわー。」mgmg

 

食べながら喋るな。(作者の声)

 

柑橘類「にしても、うちの鳳翔さん伝説級の空母になっちまったな。」

 

提督「あぁ、少なくとも反復攻撃によって空母12隻、戦艦23隻、巡洋艦大小計61隻、その他敵艦撃沈数約140は下らないそうじゃないか。柑橘類隊も敵機180機以上を尽く叩き落として鎮守府を守り、敵直掩機に猛攻を仕掛けてさらに戦果を拡大したとか。搭載機40機少々の空母の出来る仕事ではないな本来は。」

 

柑橘類「流石俺、流石おかんの子らよ。」

 

自画自賛する柑橘類大尉。

 

提督「同感だ。損失も4機だけだったらしいな。」

 

赤城母艦隊は大小艦艇250隻以上、蒼龍母艦隊も200は下らぬ戦果、その他の艦載機隊も少なからぬ戦果を挙げてはいるが、搭載機数に比しての戦果と言う点に於いて鳳翔以上の戦果は無かったのだ。

 

ただ実際のところ虚を突かれたと言う部分が大きいようである。局長もその点は認めている。

 

提督「って、お前は少し言葉を慎んだらどうよ。」

 

柑橘類「フフフ。」mgmg

 

提督「全く。で相変わらず赤城は凄い食べっぷりだな・・・。」

 

牛丼なのに肉とご飯の山が別々と言うとんでもない状態の卓上である。

 

この日の演習メンバーである分致し方ないのかもしれないが。

 

※因みに演習の際は横鎮防備艦隊の名義でやっています。

 

柑橘類「大食いではこの鎮守府で一番だろうな。」

 

提督「むしろ勝てる奴いんの? あとよくバルジがつかねぇな。」

 

柑橘類「同意だな。」

 

本人に言ったら怒りそうなセリフである。

 

鳳翔「あまり陰口叩くと怒られますよ?」

 

二人「!!」ビクゥ

 

素で体が跳ねるほど驚く二人、背後から鳳翔が接近している事に全く気付いていなかったようだ。

 

提督「そ、そうですね、アハハ・・・」

 

柑橘類「ハハ・・・」

 

苦笑する二人。

 

鳳翔「どこにいるかと思ったらこんな所にいたんですね。さ、行きますよ。」

 

柑橘類「はいよー。んじゃ直人、またなー。」

 

提督「おー、またなー。」

 

柑橘類大尉は鳳翔さんの左肩にちょこんと乗っかって去っていった。

 

提督「・・・。はむっはむっはむっ・・・」ガツガツ

 

それを見届けてから曇り空をチラ見しつつ一気にかきこむ直人であった。

 

 

 

23日午後3時 執務室横 提督仮眠室

 

 

提督「zzz・・・」

 

良く寝る事で。

 

外は雨、結構降ってます。どしゃ降りでないのが幸い。

 

因みに今提督が寝ておる場所ですが、床から65cmほど浮いております。

 

はい、ハンモックです、純白のハンモックです。この部屋横幅はそこまで広くないので設営は余裕だったようです。そしてその部屋のドアを開けて隙間から覗きを働く不貞な艦娘が若干1名。

 

金剛「ムムム・・・ハンモックデスカー、考えましたネー・・・。しかももう寝付いてるデース・・・。」

 

どうやら甘えられるチャンスを虎視眈々と狙っている様子。

 

大淀「金剛さん? どうしたんですか?」

 

そこに執務室から出てきた大淀がやって来た。

 

金剛「イ、イヤァ、ナンデモナイデース。シツレイシマース。(棒)」

 

大淀「??」

 

慌てて去っていく金剛に疑問を抱く大淀であった。

 

金剛(グヌヌ・・・まだまだこれからデース・・・。)

 

直人の安眠は、かくて守られたのであった。

 

 

 

23日薄暮 提督仮眠室にて

 

 

提督「出撃命令だって?」

 

大淀「はい、南西諸島への出撃を行い、同地域を解放せよとのことです。」

 

昼寝から醒めた直人は早速のその命令に、来るものが来たと言う感を強めていた。

 

提督「自由裁量でやって来たが遂に正式命令か。だが少々今の我々には無謀ではないか?」

 

大淀「それに関してですが、呉鎮守府より支援艦隊を送らせるそうです。」

 

この時提督は一つ引っかかる事があった為大淀にこう聞いた。

 

提督「その艦隊については何か言ってきてるか?」

 

大淀「はい。呉鎮守府付属近衛第2艦隊から、2個艦隊が出るそうです。」

 

やはりか・・・と言う顔をする直人。大本営からの命令書なのに、『送らせる』という一言が引っ掛かったのである。

 

提督「・・・そうか。その艦隊の司令官は?」

 

大淀「水戸嶋(みとしま) 氷空(そら)元帥です。」

 

提督「!」

 

それを聞いて直人がはっとなる。

 

「水戸嶋 氷空」―――その名は、彼にとって忘れ得ぬ名であった。この事だけは事実であろう。

 

提督「そ、そうか。うん、大本営には了解したと送っておいてくれ。此方も艦隊を出撃させる。」

 

大淀「分かりました。」

 

大淀が部屋を去る。

 

提督「・・・氷空・・・やはりお前もだったか・・・。」

 

 

 

24日朝 八島入江(やしまいりえ)奥部

 

 

横鎮近衛艦隊の司令部は、観音崎が攻撃で削り取られて出来た、八島入江と呼ばれる少し入り組んだ入り江の奥に建てられている。

 

三宅島沖でその時いた艦娘の動きを一通り見ていた直人は、その後加入した艦娘も含めて個別で特訓をつけていた。

 

 

パァァンパァァンパァァンパァァ・・・ン

 

 

ドォォーンドォォーン・・・

 

 

特訓、とは物は言いようで、実際には砲雷撃戦と同義である。実戦同様の猛特訓を直人はつけていたのだ。ついでに言っておけば砲撃戦とは名ばかりの近接戦闘である。

 

綾波「は、速い!」

 

提督「進路予測を徹底しろ! そんな射撃では掠りもせんぞ!」

 

因みに今日は綾波です。兵装は綾波が艤装フル装備、直人はというと、デザートイーグル.357マグナム2丁と61cm3連装魚雷発射管を両足に航空艤装と交換して装備、背部艤装は機関部だけであったが、その空いた背中に何やら大きいモノを装着していた。

 

更に脚部艤装は箱のような大型のものから、必要な機構だけを装着したというようなスマートな物に変更していた。最も強化セラミック+複合素材の二重装甲が付くので多少ごついし太腿までカバーしている。が、足回りの軽量化によってスピードは大幅に増しているのだ。

 

なお弾薬に関しては互いに演習用の超弱装弾を使用している。(なおマグナムの方は装薬をそのままに貫通しない弾丸を使用、つまり痛いだけ、アホみたいに痛い、多分。)

 

 

結果!

 

 

綾波「きゅぅ~・・・」ガクリ

 

綾波、見事ダウン。

 

提督「少しはやる様になったが、まだまだだな。」

 

圧倒的練度の差に涙を禁じ得ない。大人げないとはきっとこの事である。最も、艦娘をハンドガン2丁でダウンさせることが出来る程の戦闘技量を持った提督も珍しいだろう。

 

綾波「もっと頑張らないと、ですね。」

 

そう言いながら立ち上がる綾波。

 

提督「そうだな。」(まだ無駄弾が少し多いかな・・・)

 

そう思いつつ2丁の銃から2つとも空になったマガシンを取り出しながら言う直人。そこへ―――

 

金剛「ヘーイ提督ゥーーー!!勝負デース!」

 

天龍「今日こそは勝つぜ!!」

 

摩耶「行くぞォォ!!」

 

金剛&天龍「オーーッ!!」

 

―――突撃してくる艦娘が3人。

 

この・・・

 

提督「こんの戦闘狂共がァ!!」

 

そう言いながら背中に背負ったもう一つの獲物を構える。

 

フレームに大型2脚を付けその先に双フロートを据えたその銃は、折り畳まれた機構を展開しつつ、金剛らに向けられた。

 

銃身7本、大型の給弾・射撃機構を搭載したその名は・・・

 

『GAU-8-Ⅱ アヴェンジャー改』

 

提督「ぶっ飛べぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

ブイイイィィィィィィィィ・・・ン

 

金剛「あbbbbbbb・・・」ドドドドドド・・・

 

天龍「ぐああああああああっ!!」ドドドドドド・・・

 

摩耶「くっそぉぉぉぉぉぉーー!!」ドドドドドド・・・

 

派手に吹き飛ばされる3人。

 

元モデルが毎分3900発撃てるあたり流石にバルカン砲だけあるっちゃぁあるが、威力と反動がやばすぎる気もする。

 

故に発射サイクルを落として局所防衛用火砲として温存しておく予定のものであるが、戦闘狂の排除に使っていたりもする。(そうでない金剛ごと吹っ飛ばす辺りあれだがきちんと演習用模擬弾を使う辺りは気遣っている。)

 

綾波「・・・。」^^;

 

それを困ったような笑顔で見る綾波。

 

慣れって怖いね。(綾波を見ながら

 

提督「全く懲りねぇんだから。順番待ってなさいな全く。」

 

そう言ってる背中でアヴェンジャー改がガシャンガシャンと音を立てて折り畳まれていた。

 

綾波「いっその事それ艤装にしたらどうですか?」

 

提督「無理です、腕が持たないから。」

 

綾波「アハハハ、そうですよね~・・・。」^^;

 

提督「その代わりと言っちゃなんだがこれ一応砲台だから、弾持ってきて使い方さえ分かってれば誰でも使えるよ。俺とか戦艦クラスであれば移動砲台に出来るけどね。」

 

綾波「成程・・・。」

 

完全に突っ伏している3人をよそに気楽に話す直人。えげつない。

 

提督「んじゃそろそろ戻ろうか。」

 

綾波「はい!」

 

直人はデザートイーグル2丁を脚部武装に付けているホルスターにしまって歩き出す。

 

提督「おーい戦闘狂二人と金剛、戻るぞー。」

 

天龍「オーウ・・・。」

 

金剛「了解、デース・・・。」

 

摩耶「うぐぐ・・・節々がいてぇ・・・。」

 

毎秒65発のサイクルで放たれる30mm弾、演習弾だが当たれば当然痛い。

 

しかも銃口初速が1087m/sと20m/sも引き上げられていたりもする。きっちり改良しちゃった辺り局長も凄い。

 

提督「実弾ならとっくに蜂の巣だぞお前ら。」

 

摩耶「そんなとんでもねー銃を平気で撃つ提督もどうかと、思うがな、クソがっ・・・!」

 

天龍「あー、脳天に当たった、頭くらくらする・・・。」

 

提督「それで済めば儲けもんだろ、技術局行って診てもらっとけよー。」

 

演習弾ですら色々やばいアヴェンジャー改、艦娘だから普通に耐えられるのである。

 

じゃなきゃ演習弾だとしてもボロ雑巾にされているところである。

 

天龍「ていうか、さっきしれっと戦闘凶言ってなかったか?」

 

摩耶「おう、そうだな・・・。後でシメとくか。」

 

天龍「やめとけ。俺の一撃を手品で止める様な奴だ。」

 

素で制止に入る天龍であった。

 

摩耶「・・・なんだって?」

 

天龍「あいつは魔法使い(マジシャン)だ、俺の一撃を瞬き一つせずに止める様な奴だからな。」

 

その手品の正体を言い当てているとは知らず天龍は言った。

 

摩耶「てかお前、提督に何したんだ?」

 

天龍「着任した日に、提督を試そうと思って一太刀浴びせただけだ。首筋を右払いに。」

 

摩耶「おいおい、首狩ろうとしたのかよ。」

 

驚く摩耶に天龍は事も無げに言った。

 

天龍「弱っちい奴に仕えるのは御免だからな。」

 

摩耶「で、止められちまった訳か。」

 

天龍「止められて無けりゃ今頃首筋に切り傷が残ってる筈だぜ。」

 

摩耶「そうだろうなぁ・・・。」

 

ここまで聞いてまだ半信半疑の摩耶。この会話を一言一句漏らさず聞いていた者が一人。

 

提督「ちょっと証拠だけ示しとこうか。」

 

勿論直人である。地獄耳である。

 

提督「呼集(コール)。投擲(シュート)。」

 

直人は剣を1本呼び出すような感じで召喚し、指先をさっと振ってその切っ先を摩耶に首筋に向けさせて放った。

 

摩耶「っ!?」

 

一瞬で摩耶の首筋に突き立てられる白金製の剣。

 

天龍「こ、これだ、この剣だ! って、ヤロー、今の話聞いてやがったか。」

 

摩耶「ん?」

 

その剣には黒い字で「聞こえてるぞー。」と縦書きで書いてあった。

 

摩耶「地獄耳かよ・・・。」

 

白金の剣が直人の元に戻っていった後、摩耶は呆然とした様子で呟いた。

 

摩耶「・・・もうあいつだけでもいいんじゃないか?」

 

天龍「同感だな。」

 実際問題それは事実である。艦娘とか必要なのかというレベルの強さを持っている訳だが、1隻で出来る事なんてたかが知れてるのはお察しである。

因みに金剛達がアヴェンジャー改で薙ぎ払われるところまでがほぼほぼデイリーである。

 

局長「ヨオ。」

 

提督「おっす。」

 

クレーンにもたれ掛って立ってる局長に会った。

 

局長「ドウダ? アヴェンジャー改ノ調子ハ?」

 

提督「素晴らしいね、圧倒的な破壊力をそのままに改良するなんて局長もやってくれちゃいましたなw」

 

局長「ナニ、コノ程度朝飯前ダヨ。ワザワザアメリカカラ買ッテ改造シタンダカラナ。簡単ニ壊シレクレルナヨ?」

 

そう、局長がアメリカからアヴェンジャーの元モデルと弾薬の生産ライセンス取得してたんです。どんなツテだおかしいわ色々と。

 

提督「分かってますよー。さてと、作戦まであと4日だし、色々処理しないとな。」

 

綾波「私も出撃ですか?」

 

その質問に直人はこう答える。

 

提督「機動戦力として綾波は重要だからね、勿論行ってもらう。」

 

綾波「分かりました。頑張りますね!」

 

提督「うん、頑張れ!」

 

綾波「はい!」

 

提督「でも肩の力は抜いて行けよ?そしてなにより、慢心ダメ絶対、だ。」

 

綾波「は、はい。」

 

激励する直人だが注意も歓呼する事を忘れない気の使いようである。

 

提督は綾波達を連れて司令部に戻っていった。各々のその心中は兎も角としても、この日も平穏である事に間違いはない。

 

今日も鎮守府は平和です。




艦娘ファイルNo.20

利根型重巡洋艦 筑摩

装備1:20.3cm連装砲
装備2:零式水上偵察機

艦隊の索敵重巡としての役割を持つ重巡姉妹の次女。
よく仮面ネタが出回るがこの鎮守府の筑摩は仮面ではありません。
作者曰く、『我が鎮守府では何かと影が薄い彼女だが、ゲームシステムや練度とは無関係のこの世界では活躍させたい。』とのこと。


艦娘ファイルNo.21

青葉型重巡洋艦 青葉改

装備1:20.3cm連装砲
装備2:キャノン製一眼レフカメラ
装備3:メモ帳&シャーペン
装備4:ノートパソコン

これを見た提督が最初に放った言葉は、『お前は一体何を持ってるんだ。』であったという重巡。
まともな装備は装備1の主砲だけであとは取材のための道具(ステ無し)という特異点を持つ他、艦娘としての青葉の体に、重巡青葉に生じる物理現象(慣性とか波の抵抗とかね)をインプットする形で自在に操る能力を持つ。
また陸上に於いては群を抜いて足が速い他、屋外側の窓枠に立ち自由にポージングできるという圧倒的身体能力を持ち、挙句の果てには3階建ての屋根に一足飛びで飛び乗ったり、足音を立てずに全速ダッシュ出来たり、極め付けと言わんばかりに短距離ワープまで出来ると言う相当に厄介な艦娘である。なおワープに関しては転移先座標があっさりばれるなど欠点が山積みというガバガバ振りだが。
これだけの力を持っているのなら戦闘も相当なのではないかと思うとは思うが、はっきり言って自衛以上の事は出来ない程度の戦闘技能しか持ち合わせていない。と言っても柔軟な思考を持っているのでその場即興で戦う限りではそれなり、というか並の頭の硬い重巡よりは強い。
この鎮守府では、と言うかこの鎮守府でもと言うべきだろうか、やはりブン屋である。これらの能力はブン屋としての能力にしては出来過ぎているほど向いており、数多くのスクープ写真を撮影しては逃げおおせ、青葉を長とする広報部の発行する鎮守府新聞「横鎮新聞」に1面見出しで掲載されたりする。
なお面白ければ何でもいい模様。

※なお足の速さと言えば島風であるが、彼女と競争した場合、直線で島風が余裕で抜かれ、上り坂では慣性法則インプットによるアシスト込みで距離にもよるが島風に競り勝ち、下り坂で島風が完勝するという特殊な結果になる。


艦娘ファイルNo.22

千歳型航空母艦 千代田航

装備1:零式艦戦52型
装備2:彗星
装備3:天山

デフォから航の航空母艦。
飛鷹とは打って変わって熟練艦載機は乗っていない。


艦娘ファイルNo.23

妙高型重巡洋艦 妙高

装備1:20.3cm連装砲
装備2:零式水上偵察機

はい、ごく普通でした。
水上戦闘部隊の中核戦力ではあるが、普段から出番がある訳でも無い微妙な影の薄さがネックの艦娘。

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