異聞 艦隊これくしょん~艦これ~ 横鎮近衛艦隊奮戦録   作:フリードリヒ提督

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どーも、天の声です。

青葉「どもー恐縮です、青葉です!」

実はこの間翔鶴改2甲沈めちゃってます。(15/10/16)
今は翔鶴改33、翔鶴クエも終わらせて天山村田隊も復活しました。(3-5で余所見運転、烈風601空二つと天山村田隊、流星601空を喪失。皆も気を付けよう。)

青葉「ご愁傷様でした。」

うん、まぁお前ならそうなるな。

青葉「今日は何の解説ですか?」

(・・・慈悲がねぇ)そうだな・・・あらかた説明終わってるんだな、これが。ではどうしようか・・・。

青葉「なにかありましたっけ?」

ない。そんじゃちょっと現状の解説だけしておこう。

青葉「了解です!」

直人達横鎮近衛艦隊は、土方海将の命令で無人のサイパン島に布陣、要塞化を進めている状態にある。

地政学上で見れば南に敵のラモトレックアトール泊地を抱え、南西に壊滅させたナルカレクシー、その先にパラオ、そしてタウイタウイがある。東南東方向に向かえばトラック島があり、北には日本本土、東は無人の大海原が続く。

現状トラック島を発して偵察機や威力偵察は度々であり、海上防衛は現状ザルと言っていい。

本土から2400km離れたこの島は半ば孤立状態にあり、自衛が要求される状態であり、また勢力圏の外周にある為、絶対防衛ラインと言って差し支えない。横鎮近衛艦隊は現状、態勢を整えるべく日夜要塞化を推し進めている状態にあり、艦隊行動など満足に出来る状況ではなくなっている。測量も徐々に進んできている状況だ。

全体を見ると、戦況は決していいとは言えない。シナの海の安定的確保こそ達成したが、東シナ・南シナ海、黄海、渤海、日本海を確保しているに過ぎず、前線は大湊ー横須賀ー小笠原諸島ーサイパンーパラオータウイタウイーブルネイーリンガのラインでほぼ停滞している。西はマラッカ海峡以西には進出していない状況にあってマラッカ海峡を死守している状態にある。

しかしハワイ強襲作戦から1ヵ月しか経っていない事もあって、各鎮守府はその打撃から回復する途上の段階にある。ダウンした戦力がそう簡単に復旧出来ない事は、提督諸氏には周知の事と思う。

アリューシャン列島線へも進撃が度々行われるが、今一つ芳しくない状態にある事も、既に劇中で述べられた通りだ。現状は過半が受けに徹して練度を上げている段階であろう。南西諸島への敵の進軍もこの時期度々ある為でもあり、大きな外征を行いうる能力が今一つ欠けていた事も要因として数えられることが多い。

中央では何やら大掛かりな侵攻作戦が画策されているとまことしやかに噂されているとも言うが、真偽の程は定かではない。

青葉「超兵器級の動向も、現状は前線から遠い地域にいて温存されている様子で、前線に強大な敵の存在は、現在の所見受けられないようです。ただ、絶対数で勝る深海棲艦隊が、前進してきた人類の勢力圏を数に頼んで押し戻しにかかっている状態ですね。」

そうなるな。必然的にそう言う戦略にシフトするだろう。サイパン島やパラオにいつ敵襲があってもおかしくはない状況下にあるという訳だ。

青葉「来ないといいですけどねぇ。」

そりゃそうだ、その方が第一楽だろうしな。

青葉「理想ばかり挙げても詮無い事ですよ。」

わーってますって。10月22日から25日にかけて更新が停止してしまい申し訳ありませんでした。所用にて手が付けられませんでした、御了承下さい。

青葉「そんな時もありますよねやっぱり。」

・・・やっぱりって・・・まぁいい。では始めていきましょう。この章は小ネタ集です、一気に2か月ほどかっ飛ばします。

青葉「あぁ、分かっちゃいましたけど本当の小ネタ集やりますか。」

そう言うな、ネタ切れかました。

青葉「ぶっちゃけるんですかそれ!?」

ぶっちゃけちゃったよもう遅い。(エブリスタでまだのんびり構えてられた時期のお話で御座います。)

青葉「あぁぁぁ~~~・・・。」

取り敢えず、参りましょう。色んな艦娘のエピソードを取り上げる予定です。
どうぞ~。

※注:時系列順ではありませんその保証はしません出来ません。気まぐれの産物ですので御了承下さい。またこの章が一旦終わっても更に増える可能性があります。


第1部6章~司令部の1日~

~朝潮と長良~ 2052年7月初旬

 

朝潮は努力家気質であり、なにか一点でも人に劣る点があれば、彼女はそれを越えようとする、そんな艦娘だ。

 

そんな朝潮を、直人は珍しい時間に見かける事になる。

 

 

 

7月4日午後2時10分 技術局

 

 

提督「おいすー。」

 

直人は昼食終わりに技術局の門をくぐっていた。技術局を入って真正面に、この時は3人の艦娘がいた。

 

如月「あらぁ♪ いらっしゃぁい!」

 

朝潮「ど、どうも。」

 

雷「いらっしゃい!」

 

提督「おっと―――様子を見に来たら朝潮がいましたよっと、どうした?」

 

朝潮「そ、その・・・」

 

雷「長良さんのトレーニングぶりに触発されて、自分もやってみようとしたらしいんだけど、オーバーワークでちょっと肉離れをね。」

 

長良は言わばトレーニングを恋人にするかのような性格をしている。それを真似るとは相当な気合いだが、何かあったのだろうか。

 

因みにこの時間にいるのがなぜ珍しいかと言うと、この時間朝潮はまたぞろ色々な事をしているからである。その為必ず忙しそうにしている。

 

提督「長良の筋トレは相当やり込んでる風な感じだからなぁ。で、なんでまた?」

 

朝潮「それは・・・。」

 

提督「―――うーん、雷、朝潮借りてっていい?」

 

雷「借りっぱなしでもいいわよ。」

 

提督「おおう、了解。」

 

朝潮「ありがとうございました。」

 

朝潮は雷に一礼して礼を述べると、去っている直人の背中を追いかけていった。

 

 

 

午後2時14分 司令部裏ドック

 

 

提督「・・・ふぅ。」

 

朝潮「司令、何でしょうか?」

 

提督「―――朝潮、なんでまたオーバーワークなんかを?」

 

朝潮「うう・・・それは、提督のお役に立ちたいと、思ったからです・・・///」

 

少し照れながら言う朝潮。

 

提督「・・・はぁ~っ、そんな事だろうとは思ったよ。」

 

若干呆れそうになったが立て直す直人である。

 

提督「朝潮。無理して役に立って貰っても俺はあまり嬉しくないぞ? オーバーワークは逆効果になる。慣れない事をするときはまず軽めにやるのが基本だ、忘れるなよ?」

 

朝潮「は、はい・・・。」

 

提督「いいか。無理はするな、無理が過ぎればそれはお前の身を滅ぼす。それを分かった上で努力を積むんだ。いいな?」

 

朝潮「・・・分かりました、肝に銘じます。」ザッ

 

敬礼してそう言う朝潮。

 

提督「うむ、それでいい。」ザッ

 

直人も答礼して応える。

 

この日以降、朝潮は何事も無理を慎むようになったそうです。

 

 

 

~川内と射撃~ 2052年7月初め

 

提督「川内ってもしかして射撃とか出来たりするの?」

 

直人がある日問うたこの一言は、川内と相互理解を深め合ういい機会となった。

 

 

 

7月3日午前11時43分 訓練場・屋内射撃場

 

 

ガチャッ

 

 

提督「ほれ、ここだ。」

 

川内を案内してくる直人。

 

川内「おぉー、凄いねぇ。」

 

提督「ありあわせの素材で作ったから建物がお粗末だけどね。」

 

屋根がトタン葺き、壁は木材の余りである。

 

川内「流石近衛艦隊って所かなぁ、こんなものがあるなんて。よぉーし、ちょっと張り切っちゃうぞー!」

 

提督「そう言えば、川内が持参してた銃って?」

 

川内の右足には牛革製のホルスターが一つ装着されていた。

 

川内「あぁ、これね。」

 

川内はそう言いつつホルスターの銃を抜き放つ。

 

提督「・・・ふむ。」

 

川内の獲物はH&K USPと言う拳銃だった。銃口にサプレッサーを装着してある。ホルスターの底に穴をあけてあり、サプレッサーが飛び出しているのは直人も気付いていたが。

 

提督「んじゃ、手並み見せて貰っちゃおうかな。」

 

川内「はいはーい。」チャキッ

 

 

ガシャガシャガシャガシャ

 

 

起倒式ターゲットがいくつか起き上がる。

 

川内「―――ッ!」タァンタァンタァンタァン

 

それを次々と撃ち抜く川内。

 

提督「へぇー・・・反応速度も速い、しかも一撃で急所を射抜くか。凄いね、俺なんかよりよっぽど上手だよ。」

 

川内「ふふ、ありがと。提督の射撃も見てみたいかな。」

 

提督「あまり得意じゃないんだが・・・」

 

どの口が言う。

 

直人は自分の14インチバレルDEがホルスターにある事を確認すると、抜かずそのまま位置につく。

 

川内「ん?」

 

川内は首を傾げた。

 

 

ガシャ・・・

 

 

提督「ッ!」ガショッ

 

 

ターゲットが立つか立たないかと言う所で直人はDEを抜き放ち、抜き放ってから構える僅かの間にスライドを引いて薬室に弾を送り込む。そして―――

 

 

ダアアァァァァァァァァーーーーン

 

 

瞬時に放たれたその一撃は、直立した瞬間のターゲットの頭部を撃ち抜いていた。それも眉間の辺りを。

 

川内「おぉーー・・・。」パチパチパチ

 

提督「ふぅ。真面目に狙うよりこういう小芝居じみてた方が良く当たるんだよ。不思議な事にね。」

 

川内「いいじゃない!」

 

提督「え?」

 

川内「そう言うのってむしろ凄いしカッコいいわよ!」

 

提督「まともに狙えたほうがカッコいいと思うけどね。」

 

照れ隠しにそう言う直人。

 

川内「フフ、練習すればうまくなるわよきっと!」

 

提督「ははは・・・ありがと。」

 

 

<でもやっぱり夜討ち朝駆けの方が好きだなぁ。

 

お?提督も夜戦好き?>

 

<そりゃ勿論、スリリングでいいよな!

 

うん! 見えない相手を探し当てて撃つ、いいよね!>

 

 

色々と相互理解が深まったようで、何よりであります。

 

 

 

~サイパンのビーチ~ 7月21日

 

夕立「~♪」

 

夕立は一人、日照り厳しい司令部を徘徊していた。

 

夕立は目的も無く1カ所に留まるのがいまいち苦手で、故に毎日ぶらりと歩いている事が多い。

 

が、この日は明確な目的があって徘徊していた。

 

 

 

午後2時3分 食堂

 

 

この時提督たる直人は、遅めの食事を摂っていた。

 

こう言う場合厨房への事前連絡は欠かさない。でないと下からカチ上げてくるからだ。

 

提督「~♪」ウマシウマシ

 

ご機嫌である。

 

夕立「ん、あ! ここにいたっぽい!」

 

その背後から夕立がご機嫌な足取りでやってくる。

 

提督「ん? ほほひは(どうした)?」

 

夕立「まず飲み込んでから喋るっぽい、私、そんなにせっかちじゃないっぽい。」

 

提督「う、うん・・・んっ。」ゴクリ

 

そう言われて急いで口の中の物を飲み込む直人であった。

 

提督「ふぅ。で、どうかした?」

 

更にお茶も一口飲んで流し込んでから直人は尋ねた。

 

夕立「ビーチの話っぽい!」

 

提督「・・・えーと。」

 

夕立が切り出したのは、何時ぞやに測量中だから待ってと言ったビーチの話だった。

 

提督「あぁ、あれか。測量はビーチ付近は終わってるね一応。」

 

 

ガタガタッ

 

 

その声を聞きつけた、閑散とした食堂にいる数名が直人の方を振り向く。

 

夕立「で、どうだったっぽい?」

 

提督「丁度深海棲艦の攻撃着弾痕やらうちらの攻撃跡が残っててダメだってさ。今年はダメだね。」

 

夕立「そっかー・・・っぽい・・・。」

 

提督「埋め戻せば大丈夫だってさ、それの作業で今年ダメなんだと。結構深いらしい。」

 

夕立「じゃぁ来年なら!?」

 

提督「多分、行ける、筈。」

 

夕立「やったああああああああああ!」

 

提督「今年は御免だけどお預けな。」

 

夕立「分かったっぽい!」

 

ま、どうぞこうぞ今年は無理っすな。

 

 

 

~料理好き~ 6月27日

 

この日鳳翔は、意外な艦娘から意外な言葉を聞いた。

 

 

 

午後0時10分 食堂棟1F・大食堂

 

 

満潮「ちょっと厨房貸してくれないかしら?」

 

鳳翔「―――まぁ。」

 

その相手とはエプロンを持った満潮であった。鳳翔がその背後を見やると、荒潮がテーブルに座っていた。

 

鳳翔「でも何を作るんですか?」

 

満潮「卵焼きと肉じゃがなんだけど、いいかしら?」

 

鳳翔(・・・丁度今日も肉じゃがですし、その残りがありますね。)

 

鳳翔はざっと在庫状況を脳裏で思い出していく。

 

鳳翔「分かりました。どうぞ。」

 

満潮「ありがとうございます。」

 

そう言って満潮は厨房に籠る。鳳翔も続く。

 

 

~そうしてかれこれ50分~

 

 

荒潮「わぁ~。」

 

荒潮の前には見事な肉じゃがと卵焼きが。

 

提督「見事なもんだ。」

 

そこに現れる直人である。

 

鳳翔「でしょう? 中々いい出来です。」

 

満潮「って、なんでアンタがいるのよ!?」

 

荒潮「いいじゃなぁ~い? 時間的にもおかしくないわよ?」

 

提督「こんな面白そうな騒ぎ俺が見逃す訳がない!」

 

面白そうな事に目がないのはどちらかと言えば局長なのだが、直人も多少そう言う所がある様だ。

 

満潮「ちょっ!? どういう意味よ!?」

 

提督「それだけ意外だって事さな。」

 

満潮「・・・フン。」

 

ちょっとだけ照れてそっぽを向く満潮。

 

鳳翔「あのー、」

 

提督「ん?」

 

鳳翔「提督が宜しければ、満潮さんの肉じゃが丁度一食分残ってますので、お出ししましょうか?」

 

提督「おぉ!」

 

満潮「ちょ!? 何を勝手に!?」

 

提督「じゃぁ、お願いしちゃおうかな。」

 

満潮「そんなぁ!?」

 

鳳翔「ではお持ちしますね。」

 

提督「よろしく~!」

 

満潮(くっ・・・分量をミスしたせいで一番知られたく無かった相手に・・・なんてことっ・・・いや・・・期待なんてしてない・・・わよね??)

 

心の葛藤を覚えた満潮である。

 

 

提督「頂きます。」

 

荒潮「頂きま~す。」

 

満潮が緊迫した面持ちで見守る中、直人が肉じゃがのジャガイモを一つ・・・

 

提督「・・・おぉ、旨い! なんというかほっとする味付けだな。」

 

荒潮「流石満潮姉~♪」

 

提督「ホントに美味しいよ。」

 

満潮「そ、そう・・・よかったわ・・・///」カァァァァァッ

 

嬉しさと照れで赤面する満潮。

 

提督(・・・なにこれかわいい)

 

これに内心ニヤ付きながらガッツリ食っていく直人であった。

 

 

 

~ある日の五月雨~ 7月後半

 

五月雨は、優しいが故に荒事を好まない。

 

なので普段は白雪と共に大淀や秘書艦のアシスタントに就いている。

 

 

 

7月22日午前10時48分 中央棟2F廊下

 

 

五月雨「ふぅ~・・・」

 

五月雨は分厚く積まれた書類を一階の無線室にいる大淀の元へと運んでいた。

 

五月雨「この書類で最後の筈、頑張ろう。」

 

 

 

因みに、五月雨は無二のドジっ子として知られる。

 

ちょっと五月雨の書類運びを観察するとしよう。

 

 

~螺旋階段途中~

 

五月雨「こんにちわ!」

 

提督「おう! こけるなよー。」

 

なお直人はトイレに行った帰りの模様。

 

五月雨「こ、転びませんよっ!!」

 

 

~階段下~

 

夕立「五月雨ちゃん、お疲れ様っぽい!」

 

五月雨「ありがとうございます。夕立ちゃん今からどこに?」

 

夕立「哨戒行動っぽい、艤装倉庫に行かなきゃ。」

 

五月雨「頑張って下さいね。」

 

夕立「うん、いってくるっぽい!」

 

五月雨「はい! いってらっしゃい!」

 

 

~1F廊下~

 

五月雨「お、重い・・・」

 

木曽「よぉ、今日も頑張ってるな。」

 

五月雨「あ、ありがとうございます。」

 

木曽「その書類の量じゃ重いだろ?」ガチャッ

 

そう言いながら木曽は無線室のドアを開けてやる。

 

五月雨「あ、ありがとうございます。」

 

木曽「なに、どうってことはないさ。ほれ。」

 

五月雨「あ、はい。では・・・」

 

木曽「無理はするなよ。」

 

五月雨「ありがとうございます!」

 

 

~無線室~

 

五月雨「大淀さん!」

 

大淀「あぁ、五月雨さん、いつもありがとうございます。」

 

五月雨「いえ! 私、これ位しか出来ないので・・・。」

 

申し訳なさそうに言う五月雨。

 

大淀「いいえ、人にはそれぞれ得手不得手があります。皆さん訓練で五月雨さんが頑張ってらっしゃるのを、知っていると思いますよ?」

 

五月雨「そうですね、私にも出来る事はきっとありますよね。」

 

大淀「その通りです。ですから無理をせず、一日を大切に過ごしましょう。」

 

五月雨「はい!」

 

案外こういう役回りをすることも多い大淀である。

 

というかまさか五月雨はドジっ子卒業か!?

 

 

 

午後3時22分 五月雨私室

 

 

五月雨「~♪」ゴロゴロ

 

ベッドの上で何かご機嫌に転げまわる五月雨。

 

五月雨「~♪ ―――おおっ!?」ズルッ

 

気付けばベッドの端っこ・・・

 

五月雨「きゃぁっ!?」ドスン

 

※ベッドの端から落ちました。

 

五月雨「いたたたた・・・」

 

お尻をさすりながら起き上がる五月雨ちゃん。

 

ドジっ子卒業なんてそんなことは無かった。(なお仕事中はドジっ気が抜ける模様)

 

 

 

~追いかけっこ~ 8月中旬

 

島風「提督! かけっこしよ!」

 

提督「・・・。」

 

「うげぇ・・・」というような表情を浮かべる直人。

 

右手にうちわを持ってしきりに扇いでいる直人は、「扇風機欲しいなぁ」と思いつつそんな表情を浮かべていた。

 

今日は8月の19日である。そりゃ暑いわ。

 

大淀「・・・。」(とうとうきますか・・・。)

 

提督「・・・マジでやるの?」

 

島風「もっちろん!」

 

提督「・・・資源が・・・。」

 

大淀「・・・提督、一度本気で相手してやって下さい。」

 

提督「・・・マジで?」

 

大淀「資材は何とかします!!」(迫真

 

提督「・・・!」

 

迫真の言葉に言葉を呑んだ直人である。

 

実は島風、追いかけっこと称して短距離航走で勝負を方々に売りまくっていたのだ。

 

大淀(現状勝てたのはたったの3人だけ、この上提督にまで負けられては困るんですよ・・・。)

 

というのは、島風に負けた場合何度でもリトライさせられると言う性質の悪さであった。

 

現状勝てたのはワールウィンド、川内、そして夕立だけだった。

 

金剛が惜敗したのが唯一の勇戦だった、という所である。

 

提督「・・・わかった、大淀さんがそう言うなら。」

 

島風「やったー!」

 

 

 

14時22分 司令部正面水域

 

 

何故かギャラリーが集まってしまった。(大体局長と青葉のせい

 

提督「で? 1km先に早く辿り着いた方が勝ち、でいいんだな?」

 

島風「うん。」

 

提督(あれを・・・やってみるか。)

 

霧島「ジャッジは私霧島が。」

 

提督「頼む。」

 

スタートラインとゴールラインを示す紅白のブイが浮かべられ、今、フラッグが降りる・・・!!

 

霧島「3!」

 

提督(バーニア、出力フルへ・・・)

 

 

キィィィィイイイイイイイイイ・・・

 

 

島風「?」

 

霧島「2!」

 

提督(フフ、貰うぜ。)

 

霧島「1!」

 

島風「私が・・・」

 

霧島「GO!!」

 

島風「いっち・・・」

 

提督「はああっ!!」ザバッ

 

直人が前方へ跳躍する。力が、解き放たれた。

 

 

キイイイイィィィィィィィィィィーーーーーー・・・ン

 

 

島風「うおわわわわ!?」ザッバーーーーーン

 

そう。この勝負、最初から帰趨は知れていた。

 

覚えている方もいるかもしれないが、直人の艤装『紀伊』には機動力向上用のバーニアが5つ装備されている。

 

元々核融合炉で稼働していたこの艤装は、バーニアで海面から浮揚させ、スラスターで前進や後退をすると言う形態をとっていた。つまり自力航行は前提とされなかったのだ。そのバーニアのうち一つが左右の脚部艤装だった訳だが。(現在は撤去)

 

艦娘艤装の規格へと改装されてからも、このバーニアは残っていた。それが意味するところはただ一つである。

 

提督「ひゃっほおおおおおおおおおおい!!」

 

 

キイイイイイイイイィィィィィィーーーーーー・・・ン

 

 

霧島「なっ・・・!!」ブワッ

 

霧島の前を一瞬で通過する。一足飛びで優に1000m飛んでしまったのである。

 

提督「おっと・・・」ザバアアアアアアアアアッ

 

着水した勢いで反転してスピードを相殺する直人である。因みに艤装は格納状態のままだ。

 

主砲は左右にそれぞれ5×3段のレイアウトで、上から80cm3連装砲・80cm3連装砲・51cm連装砲の配置。金剛型の艤装の様に台座があり、その上に砲が乗っている。

 

展開時は台座ごと下部に接続されるアームで、斜め上・水平・斜め下の3方向にそれぞれ分離展開されるが、格納時は前後方向に折り畳まれている。前から見ても上から見ても逆ハの字に見える感じである。なお主砲の120cm砲は、格納する時には砲座と装填機構ごと外れて後ろに倒れ、背部艤装に装着する形で背負う。バズーカ背負ってるみたいなあんな感じ。

 

島風「・・・はっやーい・・・。」

 

これを遠くから見ていた局長は・・・

 

局長「・・・ホーウ? ウィングデモ付ケテヤルカ・・・。」

 

などとのたもうておりました。(※勿論許可は出ませんでした。)

 

 

 

島風「こんなの聞いてないよぉぉぉ!」

 

などとのたまう島風。

 

提督「ハッハッハー。俺は誰にでも容赦はしない性質なんでな。俺の勝ちだ。」

 

霧島「そうですね、提督の勝利です。」

 

島風「ぐぬぬぬ・・・。」

 

提督「んじゃ、俺が勝ったから今後スピードレースは禁止な、燃料が減る。」

 

島風「えぇぇぇぇぇ!?」

 

提督「えーじゃない! やり過ぎて苦情来てるんだぞ。」

 

 

島風「だってそれは皆が遅いのが悪―――」

 

提督「命令だ、禁止だぞ。」

 

島風「うぐっ・・・。」

 

強☆権★発☆動

 

提督「いつまでも甘やかすだけだと思って貰っては困るぞ。」

 

島風「あ・・・はい。」orz

 

突っ伏す島風でした。

 

この日以降スピードレースは行わなくなったそうな。めでたしめでたし。

 

 

 

~司令部のメカニック~ 8月初旬

 

 

8月3日午後3時10分 司令部南・造兵廠

 

 

明石「20m三胴航洋内火艇・・・改良点とかないでしょうか・・・。」

 

明石は例の直人用内火艇の改良を考えていた。

 

というのは、見た目が滅茶苦茶悪いのだ。更に言うとほぼ取ってつけた状態な為、高性能化の調整に余地があった事も明石の疑問の一助になっていた。

 

局長「ヨォ。ドウシタ?」

 

そこに現れたのは局長とワールウィンドである。

 

明石「あぁ、局長。実はこの提督用のボート、改良できないかなぁと思いまして。」

 

局長「実戦テストヤッテナイダロウ?」

 

明石「それはそうなんですが・・・。」

 

改良するにしたってデータがいる。決定的にデータが無い状態ではやりようもないのだが。

 

ワール「ま、いずれ機会があるまで待つのね。」

 

あっさりと言うワールウィンド。

 

明石「うぐぅ・・・そうですね・・・。」

 

局長「ソレハソウトダ。」

 

明石「なんでしょう?」

 

局長「入渠棟ノ機器ノ調子ガオカシイソウダ、見ニイッテヤッテクレ。」

 

明石「あっ、はい、わかりました。うーん、今から提督の艤装の稼働チェックだけやろうと思ったんだけどなぁ。」

 

局長「イツダッテ出来ルダロウソレハ。」

 

明石「そうですねー。まぁ、一度見てきます。」

 

明石はメカニックだ。局長は開発者だ。彼女らはそう言った体で役割を分担していたのである。

 

この二人のおかげで、この艦隊はまずまずいつも通り生活でき、戦えるのである。

 

そして明石は入渠棟へと向かった。

 

明石にとっての戦いは日常にこそあった、というお話でした。


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