異聞 艦隊これくしょん~艦これ~ 横鎮近衛艦隊奮戦録   作:フリードリヒ提督

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どうも、天の声です。

青葉「どもー、恐縮です、青葉です!」

11章までシリアスとバトルでぶっ通しだったので、12章は読み易く説明もそこそこに簡潔に書いてみましたが、如何だったでしょうか。小ネタ集になってしまいましたがww

青葉「自覚は、あったんですね、あれ。」

そりゃぁね、小説全体に小ネタをちりばめるスタイルなので。自覚なきゃやってられんです。

青葉「そうですか・・・。」

一応青葉の広報部は新聞発行の都合上横鎮司令部施設内に移転して活動を続けるそうで、基本青葉は鎮守府を不在にしている場合が多い・・・と思います。

青葉「まぁ、横須賀市広報課と連携してますから、仕方ないですね。」

まぁな。今回はなんの解説だったかな?

青葉「艦娘機関の解説では?」

あぁ、そうだったな。

艦娘機関と言うのは、艦娘が航行/戦闘時使用する外部エネルギーデバイスで、艤装を稼働させる為の霊力を供給する為の機構の総称だ。

艦娘の艤装機構と言うものは、人間の機械の機構と全然異なるものであるらしく、電力回路の代わりに霊力回路と言うものが張り巡らされ、これを人間や艦娘の精神や神経と同調させる事で制御するらしい。その霊力回路に霊力を送るのが艦娘機関で、機関を稼働させるのに艦娘の霊力を使うという訳だ。

元々紀伊は精神と神経の同期だけで稼働/制御する大変負荷の多い艤装だったものが、艦娘機関を搭載したことで相当楽になったらしい。

青葉「艦娘の霊力保有量って、どれ位なんですか?」

どちらかと言うと瞬間的な霊力生産量かな、艦娘に転生する前の基準排水量と同数値が普通だな。霊力と言うのは魔力と違って体内に蓄えられないのが難点なんだよ。使われない場合その瞬間に消滅してしまう。

青葉「ほうほう。」

無理に貯めようとした場合、その瞬間に体が霊体化して現世とあの世の間を行き来する幽霊になる。

青葉「えぇぇぇぇ!?」

数例ほど前例があるのさ。霊力者が人前で霊体化すると言う出来事が。それまでは体内に霊力を蓄積しようと試みられていたのが、それ以降ぱったりだ。

青葉「・・・いろいろ危険なんですね。」

そゆこと。ただ熱を持つのは普通の機械と同じらしい。シリンダーとか普通のエンジンにある様なもんもあるらしいから焼き付きとかもあるらしい。

青葉「整備が必要な理由ですね。」

因みに霊力だが、特異点として普通より霊力を多く持った場合は特殊な能力が身に付いている場合があるらしい。

青葉「ほほう?」

お前もだよ?

青葉「ふえっ!?」

因みに時雨のは直人の様に魔力と霊力を両方持った例です。

さて、これ以上は際限なくなっちゃうので行っちゃいましょう次。

青葉「そ、そうですね・・・。」

13章、どうぞ。


第13章~戻ってきた休息の日々~

2052年5月20日早朝 技術局

 

 

提督「局長ー・・・う!?」

 

局長「・・・。」チーン

 

完全にうつ伏せダウンしているモンタナ局長。

 

提督「局長、どうしたん?」

 

如月「あら、おはよう提督。」

 

そこへ現れる如月。

 

提督「お、おう、おはよう。」

 

如月「局長ね、突貫作業でサイパンの自然発電設備を修理してたのよ。一睡も一食も摂らずにね。」

 

提督「・・・なんか、すまない。」

 

局長「ペラペラ喋リスギダゾ、如月。」

 

いつの間にか仰向けになっていた局長。

 

如月「あら? 私はただの独り言のつもりだったのだけれど?」

 

局長「・・・マァイイ。デ?提督ハナンノ用ダ?」ピンクノレース

 

 

ゲシィッ

 

 

提督「・・・あぁ、少々改造してもらいたいものがあってな。」

 

局長の顔面を踏みつける如月を華麗にスルー。

 

局長「ホウ?」イダダダダ

 

提督「俺がサイパンに乗って来たサーブ機なんだが、本土との往来が出来る様にして欲しいんだ。」

 

局長「具体的ニハドウスルンダ?」

 

普通にしゃべってるし。

 

提督「俺のサーブ340Bはいかんせん短距離機で航続距離が短い。妖精たちのサポート込みで何とか運んできたんだが、それではあまりに心もとない。エンジンの性能を上げて何とかできないか、やってみてほしいんだ。」

 

局長「・・・ソレデ燃費モ下ゲルンダロウ?」

 

提督「あぁ、今の段階だと1700kmちょっとだが、2480km飛べるようにしてほしい。」

 

局長「ソレハマタトンデモナイ注文ダナ。ダガマァイイ。ヤレルダケヤッテミヨウ。」

 

提督「ありがとう。」

 

局長「ダガソノ前ニメシダ。腹ガ減ッタ。」

 

提督「電気はもう使えるのか?」

 

局長「勿論ダ。」

 

提督「鳳翔さんたたき起こしてくるわ。」

 

雷「この時間ならとっくに起きてるわよ?」

 

提督「へ?」

 

雷「おはよう、司令官。」

 

提督「お、おはよう。」

 

電「鳳翔さん、この時間は食材の仕込みやってるわよ?」

 

直人はそう言われて時計を見る。

 

提督「・・・5時半か。」

 

局長「食堂イクカ・・・。」

 

提督「俺も行こう・・・。」

 

雷「私も・・・」

 

如月「私も。」

 

荒潮「私も行こうかしら~。」

 

4人「!?」

 

気配無く忍び寄る荒潮に驚愕する4人。

 

荒潮「そんなに飛び上がらなくてもいいんじゃないかしらぁ♪」

 

・・・確信犯だこいつ・・・。

 

 

 

午前5時40分 鎮守府食堂棟

 

 

サイパン特別根拠地隊総司令部(警備府扱い・管轄は横鎮)となった横鎮近衛艦隊司令部。その食堂棟に朝一に現れたのは言うまでもなく直人達であった。

 

提督「腹減った・・・。」

 

鳳翔「~♪ あ、提督、おはようございます。」

 

提督「おはよ。」

 

鳳翔「今日は、珍しい組み合わせですね?」

 

提督「んお?そうかな・・・?」

 

局長「確カニナ。」

 

疑問符を浮かべる直人と相槌を打つ局長、この差はなんなのか。

 

鳳翔「もう少しお待ち頂ければ、出来ますので。」

 

提督「うん、ありがとう。」

 

雷「お腹空いたぁ~。」

 

雷の言葉を境に、5人は思い思いに席に着いた。

 

 

 

提督「はむっ・・・」モグモグ

 

多聞「おはよう、紀伊提督。」

 

提督「ふへっ!? ぬぐっ、おはようございます。」

 

多聞「ハハハ、そう驚かなくてもいいだろう。」

 

食事中やって来たのは山口多聞提督、足元にいました。

 

多聞<上にあげてくれ アッハイ>提督

 

 

 

多聞「食事中邪魔してすまんな。」

 

提督「いえいえ、それで、何か御用ですか?」

 

多聞「まぁ、用と言うほどでもないが、一つ聞きたい事が出来たのでな。」

 

提督「・・・なんなりと。」

 

多聞「うむ。あの時の会話、『自分は英雄ではない』と言ったな? そう呼ばれたくて戦っている訳でもないと。」

 

提督「えぇ・・・はい。」

 

多聞「では貴官は、この終わる当てのない戦いの先に何を求めるのだ?」

 

提督「・・・!」

 

それは直人の戦う理由の根幹を突く言葉だった。無論、この時その理由すら、定まってはいなかったのだが・・・。

 

多聞「どうなのだ? 富か? 栄誉か? 栄達か? はたまた大それた望みでも持っているのか?」

 

提督「・・・富や栄達の為に戦おうとは思いません。そもそもこの艦隊は秘密の存在、栄達はもとより望めません。」

 

多聞「そうだな、飛龍から聞いたよ。」

 

あいつもおしゃべりだなぁ・・・まぁ山口提督ならいいか。

 

提督「名声も望む事は出来ませんし、富など得ても詮方ない事です。」

 

多聞「随分割り切っているな貴官は。では紀伊提督の戦う理由とは何か?」

 

提督「・・・正直、よく分かりません。」

 

多聞「ほう?」

 

直人はそう答えた後に続ける形でこう述べた。

 

提督「私は、決して恵まれた家庭とは言えない家に生まれましたが、内面は恵まれた人間です。しかし、その日常は時に楽しく時に辛く、しかもこのご時世、明るいニュースも知らせも無い世の中です。だから、『人間にとって』明るい平和な日常を取り戻すと言う『使命感』に縛られてきました。それ以外、戦う理由を見出す心の余裕は、ありませんでした。」

 

多聞「・・・一つ聞くが、『人間にとって』明るい平和な日常と言うが、それが深海棲艦達の幸せに、果たしてなるのか?」

 

提督「それは―――」

 

直人は口籠ったがすぐに続ける。

 

提督「それは、違うと思います。誰かの幸せを排斥する幸福など、ただの偽りです。」

 

直人は少し考えてそう言った。

 

多聞「そうだな、その通りだ。我々の様に、自分達を護る為に戦った軍人と、君の立場は、少し違う。だが理由が無ければ戦いに積極的になれないのも事実だ。そうだろう?」

 

提督「・・・はい。」

 

多聞「土方龍二海将、といったか。彼がせっかく用意してくれたひと時の休息だ、じっくり考えて、答えを見出すといい。」

 

提督「・・・分かりました。」

 

話が区切りを迎えた所に、食堂の喧騒に混じってぼやきと足音が聞こえてきた。

 

飛龍「全く多聞丸ったらどこに・・・」

 

提督「おう、おはよう飛龍。」

 

やって来たのは飛龍であったが。

 

飛龍「あっ、おはようございます提督・・・って、多聞丸こんなとこにいたんだ♪」

 

多聞「なんだ、起きていたのか。」

 

飛龍「ちょっと心外ね。」

 

多聞「いつもはもう少し遅いと思っていたのでな。」

 

飛龍「今日はたまたま・・・ね?」

 

多聞「だろうな。」

 

直人はその会話を聞きながら腕時計に目を落とす。針は6時35分を指していた。

 

飛龍「では提督、私達は、これで。」

 

多聞「ではな。」

 

提督「はい。」

 

山口提督は飛龍の左肩に乗って去り、あとに残された提督は一人、食事に戻った。

 

提督「・・・なんだか親子みたいww」

 

と、一人呟きながら。

 

「ヘーイ提督ゥー!」

 

背後からいつもの声が聞こえるのを捉えながら。

 

彼にとっての安寧の日常の一日は、まだ始まったばかりである。

 

 

 

5月20日 午前9時半 提督執務室

 

 

提督「むー・・・」カリカリカリ

 

大淀「ファイトです。」^^

 

提督「手伝う気ないなお前!?」

 

大淀「当然です、スキルアップの為と思って、頑張って下さい。」

 

このところ立て込んでいた分のツケが来ました。書類に忙殺されております。

 

提督「こんな日に限ってなんで書類出来る奴いないの!?」

 

大淀「近海警備と鎮守府内戦闘訓練で出払ってますね。」^^

 

因みにこの鎮守府も47人(+1&α)の艦娘が着任しているが、書類仕事が出来る艦娘はそこそこにおり、金剛・榛名・霧島・日向・白雪・響・雷・電・長月などがいるが、実はそれらは全員前述の理由で出払っており、秘書艦席には誰も座っていない状態であった。

 

提督「・・・。」(謀られたか・・・。)

 

流石に参ったと書類の山を見る。

 

うず高く積まれた書類の山が3つもあった。

 

提督「・・・そうだ。」

 

大淀「なんでしょう?」

 

直人はここで一計を案じた。

 

提督「ドロップ判定だ、判定の出た奴割とあったろ。全部処理にかけてみよう。そうだな・・・よし、雪風にやらせてくれ。」

 

大淀「そんなことはいいので書るi」

 

提督「提督命令だ、急げ。」

 

大淀「・・・はい、分かりました。」

 

と言っても、ドロップ判定、21もあるのだが。

 

 

 

提督「・・・自己紹介よろしく。」

 

という訳で、判定結果が被りながらも色んな子が来てくれました。

 

※以下着任艦挨拶一覧

 

陽炎「陽炎よ、よろしくね!」

 

不知火「不知火です。御指導、御鞭撻、よろしくです。」

 

黒潮「黒潮や、よろしゅうな!」

 

朝潮「駆逐艦、朝潮です。勝負なら、いつでも受けて立つ覚悟です!」

 

満潮「満潮よ。私、なんでこんな部隊に配属されたのかしら。」

 

白露「白露型駆逐艦の1番艦、白露です!」

 

村雨「白露型駆逐艦、村雨だよ。みんな、よろしくね!」

 

五月雨「五月雨って言います! よろしくお願いします!」

 

子日「初めまして! 子日だよぉ!」

 

若葉「駆逐艦、若葉だ。」

 

漣「綾波型駆逐艦、漣です、ご主人さま。」

 

潮「特型駆逐艦、綾波型の、潮です。」

 

初雪「初雪・・・です。よろしく。」

 

深雪「深雪だよ! よろしくな!」

 

睦月「睦月です! 張り切って参りましょー!」

 

長良「軽巡、長良です。よろしくお願いします!」

 

名取「名取といいます。ご迷惑をおかけしない様に、が、頑張ります!」

 

由良「長良型軽巡、四番艦の由良です。どうぞ、よろしくお願いいたします。」

 

 

 

総勢18隻、着任。因みに被り艤装は幸い3つ(金剛・白雪・朝潮)にとどまり、大幅な隻数増加が為されたのであった。

 

提督「こんな司令部によくぞ来てくれた。みんな、歓迎するよ。」

 

大淀「駆逐艦が一気に増えますね、これで。」

 

提督「あぁ。」

 

潮「あの・・・もう、下がって宜しいでしょうか?」

 

提督「ん? あぁ、構わないぞ。あとで誰かに頼んで、司令部を案内してもらうといい。解散!」

 

18人「はい!」

 

うーん、やっぱ現役時代の癖か、号令には鋭いな皆。

 

朝潮「あの、司令官。」

 

提督「ん? なにかな?」

 

朝潮「なにか、私に出来る事はありませんか? 何でもやります!」

 

提督「え、えぇと・・・。」

 

唐突に言われてもなぁ・・・あ。

 

提督「朝潮、書類仕事出来る?」

 

朝潮「はい、出来ますが。」

 

大淀「!!」シマッタ!?

 

提督「じゃぁちょっと書類処理を手伝ってくれるかな? 今日はちょっと書類を処理できる子が出払ってて困っていたんだ、その山なら誰でも処理できる筈だ。好きなだけ持ってって貰って構わない。」

 

そう言って300枚以上重なっている書類の山を指さす直人。

 

朝潮「分かりました!」ヒョイッ

 

そしてそれを『全て』持って行く朝潮、秘書艦席に座ると猛スピードで作業を始めた。

 

提督「・・・。」ポカーン

 

流石に唖然となる直人だった。

 

提督「・・・俺もちょっと頑張ろう。」

 

大淀「・・・。」

 

張り合い甲斐が無いとやる気も出ない性質だと悟る大淀、その横でバリバリと書類を片付ける直人。瞬く間に山が消えていき・・・

 

 

 

~1時間半後~

 

提督「終わり!」

 

朝潮「終わりました!」

 

終わりやがりました。

 

大淀「では、鎮守府に転送しておきますね。」

 

提督「あぁ、頼む。」

 

朝潮「提督も、デスクワークは出来る方だったのですね。」

 

提督「まぁ、競争相手がいないとやる気も起きないんだけどな。」

 

朝潮は分からない所をちゃんと聞き、各所をしっかりと書いていた。しかも字も綺麗ときていた。

 

朝潮「普段はどなたがお手伝いをなさっているのですか?」

 

提督「まぁ、金剛が中心かな。日によってまちまちだよ。」

 

朝潮「そうなんですね。他に何かありませんか?」

 

提督「うーん、特にはないかな。」

 

朝潮「そうですか、ではこれで。」

 

提督「うん。」

 

敬礼してから去る朝潮。何とも頼もしい事だと、そう思う直人でした。

 

 

 

5月20日 午前12時 食堂棟1F・食堂

 

 

提督「ごちそうさまっと。」

 

鳳翔「お粗末様でした。」

 

提督「うおおおっ!?」ビックゥ

 

背後の気配に気づかない直人も大概だが気配を消すお艦こと鳳翔さんも大概である。

 

柑橘類「よぉ。」

 

提督「お、おう。」

 

その肩に乗っていた柑橘類戦闘隊長。

 

鳳翔「今日は随分お早かったですが、何かあったのですか?」

 

提督「今日はいつもより早くお腹が空いたので、鳳翔さんの料理を食べに来ました。」(キリッ

 

聞きようによっては口説いている直人。

 

鳳翔「まぁ。」

 

柑橘類「おう、口説いてんじゃねぇ。」

 

提督「・・・この野郎。」

 

鳳翔「フフッ。食器、洗っておきますね。」

 

提督「あぁ、お願い。」

 

鳳翔「ではこれで。」

 

そう言って空の皿を乗せたお盆を持って去っていく鳳翔さんの背中を見送る直人、その時ある言葉が耳に飛び込んできた。

 

「うーん、この司令部、訓練が無いから楽でいいな。」

 

「私に教官を任せて頂けるなら、しっかりご指導させて頂くのですが・・・。」

 

提督「!」クルッ

 

後ろを振り向くと、その言葉の主はすぐに分かった。

 

前者は天龍、龍田に対して言った一言。

 

後者は神通、一人呟いた言葉であった。

 

 

 

提督「・・・ほう?」

 

 

紀伊直人、悪知恵(良)スキル発動。

 

 

 

12時45分 提督執務室

 

 

提督「~♪」

 

大淀「・・・? 提督、戻って来るなり上機嫌、しかも執務も終わってるのに、どうされたんですか?」

 

提督「あぁ、神通待ってるんだ。」

 

大淀「神通さん・・・ですか?」

 

提督「うん。」

 

 

コンコン

 

 

ドアがノックされる。

 

金剛「どうぞ~!」←さっき戻って来たばかり

 

神通「失礼します。」

 

勿論神通がやってきました。

 

提督「おっ、来たか。」

 

神通「司令官さん、あの・・・お呼び、という事でしたが。」

 

提督「うん、お前は食堂で言ったな?『教官を任せて貰えればしっかり指導してやれる』と。」

 

神通「!!」

 

ぎくりとした表情と共に驚く神通。

 

神通「き、聞いてらしたんですか・・・?」

 

提督「たまたまお前の後ろで食べ終わったところだった。」

 

神通「うう・・・提督もお人の悪い・・・。」

 

提督「そう言うな。お前に損な話じゃぁない。」

 

神通「?」

 

そう言われて怪訝な顔になる神通だったが、敢えてスルーして話を続ける直人。

 

提督「明日付でお前に艦隊教導艦を任せたい。」

 

神通「えっ!?」

 

提督「どうした?言いだしっぺは神通だぞ?」

 

神通「そっ、それは・・・。」

 

提督「それに神通といえば、華の二水戦旗艦じゃないかな? 猛訓練で鳴らしたそうじゃないか。」

 

神通「あの・・・その・・・。」

 

提督「これは提督としての正式命令だ。いいな大淀さん?」

 

大淀「えっ、えぇ・・・まぁ。」

 

提督「という事だ。引き受けてくれるな?」

 

神通「・・・分かりました。この一身に賭けて、皆さんを鍛え上げます。」

 

どうやら腹をくくったようである。

 

提督「ありがとう。とりあえず訓練が無いからと弛んでる連中はビシバシ扱いておいてくれ、主に天龍。」

 

神通「了解しました。」

 

提督「じゃぁ下がっていい。明日からに向けて休んでおくといいだろう。プログラムは任せるぞ。」

 

神通「はい・・・では、これで。」

 

 

コツッコツッコツッコツッ・・・、ガチャッ、バタン

 

 

提督「・・・ふぅ~。」

 

大淀「・・・宜しかったのですか?」

 

提督「なにがですか~?」

 

大淀「神通さんに教導艦を任せて?」

 

提督「・・・往時の二水戦の練度は知っておろうが。」

 

大淀「えっ、そこまで引き上げるんですか?」

 

提督「ったりまえだ! あいつらはまだ超兵器とやり合うには未熟に過ぎ、相手を選ばねば俺がやるしかないんだぞ。」

 

大淀「それは、まぁ・・・。」

 

提督「あと、大淀さん達も艤装が着次第加わるんだからね?」

 

大淀「・・・正気ですか・・・。」

 

提督「デスクワークだけじゃダメだぞ、運動しろ運動。」

 

大淀「うう・・・///」

 

提督「司令部内放送の準備を。」

 

大淀「アッハイ。」

 

 

 

雪風「ここが入渠棟で、修理の際に使うんです!」

 

陽炎「へぇ~、こうして見ると、色んな施設があるのね、慣れるまで大変そう。」

 

雪風「明石さんがここには一番詳しいそうなので、聞けば大丈夫だと思いますよ?」

 

不知火「そうね、その方が確実かも知れないわ。」

 

黒潮「明石はんもここにきて出世したんやなぁ~。」

 

提督「“あー、あー、マイクテス、マイクテス。”」

 

黒潮「なんや? 司令はんか?」

 

 

 

提督「“司令部所属各艦娘に伝達する。今までは手が回らず、全くと言っていい程行ってこなかったが明日より――――――”」

 

 

 

~食堂~

 

天龍「おいおい、まさか・・・」

 

摩耶「なんだなんだ?」

 

鳳翔「いよいよ始まりますか。」

 

柑橘類「何がだ?」

 

 

 

~艦娘寮~

 

皐月「なんだろう?」

 

文月「なんだろうねー?」

 

三日月「うーん?」

 

長月・菊月「もしや・・・。」

 

 

 

~造兵廠前~

 

明石「まぁ、いつかやるとは思いましたが・・・。」←艤装着てない

 

局長「ダナ。」←ゲストその一

 

ワール「ま、私達は関係無いでしょ。」←ゲストその二

 

荒潮「そうね~。」←非正規艦娘

 

如月「嫌な予感しかしないわ・・・。」←技術局と艦隊非常勤兼務

 

 

 

提督「“練度向上の為、明日より猛訓練を行う。”」

 

 

 

天龍&摩耶「げえええええええええええええ!?」

 

長月&菊月「やはりか・・・。」

 

皐月&三日月「訓練かぁ・・・。」

 

如月「やっぱりね・・・。」

 

 

 

~その他艦娘の反応~

 

赤城「まぁ、そろそろないとおかしいと思ってましたが・・・。」

 

加賀「そうね。でも、やっと体を動かせるのね。」

 

 

 

蒼龍「うぅ・・・訓練・・・。」

 

飛龍「あちゃぁー・・・よりによって出られない・・・。」←艤装全損

 

 

 

雪風「・・・私どうなるんでしょ。」←艤装全損

 

陽炎「着任早々からかぁ・・・。」

 

不知火「雪風、今まで訓練は無かったのですか?」

 

雪風「無かったですね。」

 

黒潮「あかぁ~ん、ついとらへんなぁ~・・・。」

 

 

 

最上「随分急だねぇ・・・。」

 

妙高「まぁ、何もしないよりはいいんじゃないでしょうか。」

 

最上「そうだね、もっと強くなっておきたいし。」

 

 

 

響「訓練か。」

 

電「どんな訓練でしょう?」

 

雷「今までなかったんだけどとうとうかぁ・・・。」

 

電「無い方がおかしいと思うのです・・・。」

 

 

 

金剛「訓練デスカー!?」

 

榛名「まぁお姉さん、大事な事ですから・・・。」

 

霧島「そうですよ、お姉様。無い方がおかしいと言うものです。」

 

比叡「お姉様となら、どんな訓練でもやって見せます!」

 

金剛「アウウ~・・・。」

 

 

 

夕立「遊ぶ時間減っちゃうっぽい!?」

 

時雨「無い方がおかしいのは分かってたけど、いよいよか。」

 

白露「どんな訓練でも、きっと私が一番よ!」

 

村雨「教官誰だろうね?」

 

時雨「少し、気になるね。」

 

 

 

まぁ多種多様な事で。割り切ってる子も大分多いけども。

 

但し次の一文で絶望の坩堝と化す。

 

「“教導艦は神通に任せた、明日朝8時に司令部正面水面に集結しておくこと。以上。”」ブツッ

 

 

 

「「「な、なんですってえええええええええええええ!?」」」

 

 

 

明石「神通さんといえば、かつての2水戦旗艦ですよ!?」

 

荒潮「・・・大分きつくしそうねぇ。」

 

如月「いやぁぁ~・・・」(涙目)

 

 

 

霧島「そ、そんな・・・」

 

榛名「こんなことって・・・」

 

比叡「ないんじゃ・・・」

 

金剛「あんまりデース。」

 

金剛型「終わった・・・」orz

 

 

 

提督「ふふーふ。」^^

 

大淀「・・・。」(悪い笑みが・・・。)

 

この提督、割と鬼畜に付き。

 

 

 

5月20日午後4時 司令部裏ドック(入泊用ドック・因みに北東向き)

 

 

提督「・・・。」クビクビ

 

 

艤装倉庫裏の岸壁に座り、一人ビール缶をあおる直人。自分の力を確認しながらではあったが。なおビール缶は350ml、土方海将の差し入れの中身に交じってた。

 

因みに直人は酒を飲まない訳ではない。好きで飲む事は少ないだけである。

 

提督「ふぅ。・・・あり? この力、剣術に応用効くってか、これチートじゃね?」

 

と独語しながら。

 

赤松「よぉ! 提督さんよぉ! ヒック。」

 

提督「お、松ちゃん。」

 

加賀制空隊長、赤松貞明。久々の登場。一升瓶片手に。

 

赤松「一人寂しく酒なんぞ飲んでるのか。」

 

提督「いいだろー別に。」

 

赤松「悪いとは言わんさ、隣いいか?」

 

提督「誰とも待ち合わせとらんよ。」

 

赤松「んじゃ失礼して、よっと。」ストン

 

直人の隣に座る赤松大尉。

 

提督「相変わらず酔ってるのね。」

 

赤松「酒が無きゃ戦闘機乗りなんざやってらんねぇっての。」

 

提督「・・・まさかコックピットでも酔ったまま?」

 

赤松「まぁそうなるな、飲酒運転ならぬ飲酒飛行ってか? ガハハハハハッ。」

 

提督「・・・呑まれるなよ?」

 

赤松「ん? 酒にか?」

 

提督「いや、“空”にさ。」

 

赤松「・・・ヘヘッ、なんだ心配してくれんのかぁ? なぁに、俺が帰らなかった日にゃうちの母艦が悲しむ。だから帰ってこなければな。」

 

提督「ま、違いないな。」

 

赤松「それにしたってここの娘共は皆べっぴん揃いだが活きがいいねぇ。」

 

提督「松ちゃんにはそう見えるか?」

 

赤松「そりゃそうともよ。一度負けたくらいでへこたれる様な芯の弱い奴は、そういないと見えるね。んっんっ・・・」ゴクゴク・・・

 

だから一升瓶あおるなと。

 

提督「じゃぁ、逆にへこたれてるのは?」

 

赤松「羽黒だったか? あの大人しそうな重巡洋艦娘。」

 

提督「ん? あぁー、そうだな。」

 

赤松「時々フィリピンの時の事を口にしてるな。ただ、へこむでも無くむしろ気合い入れてるような口ぶりだったな。」

 

提督「・・・ふむ。ならいいんだけどね。」

 

赤松「お前さんもいい部下持ったな提督さんや。みんな羽黒チャンと似たようなもんよ。そうあっさり折れるハートは持ってねぇってことだな。」

 

提督「・・・そっか。」

 

赤松「それはさておきよぉ~。」

 

提督「ん?」

 

赤松「娘共のチチ揉んじゃダメか?」ニヤリ

 

提督「ダメに決まってんだろ。」ニヤリ

 

赤松「だよなぁ~。」

 

提督「相手選んでもダメだからな?」

 

赤松「へいへい。」

 

提督「全く噂通りだな・・・ん? あれは・・・」

 

直人が何かを見つけた様だ。

 

 

 

加賀「まったく、どこに行ったのかしらあの子は。」

 

その頃加賀は、自分の艦載機妖精が一人どこぞへと行ってしまっていた為、艦載機を飛ばして探していた。

 

赤城「どうです?」

 

傍らにいた赤城が問いかける。

 

加賀「まだ見つからないみたい・・・あら、いたわ。艤装倉庫裏よ。提督と一緒にいるみたい。」

 

赤城「行ってあげますか?」

 

加賀「自分の搭乗員だもの、行くしかないわね。」

 

赤城「ふふっ。いってらっしゃい。」

 

加賀「・・・えぇ。」

 

 

 

提督「あれは・・・加賀搭載の97式艦攻じゃないか。」

 

赤松「胴体に赤の2本線、間違いねぇな。」

 

提督「加賀が心配してるんじゃないか?」

 

赤松「ならこっちにくるだろうさ。」

 

提督「あくまで自分で帰るつもりなさそうだな・・・。」

 

赤松「命令も無いのに帰る気になんぞならんよ。」

 

提督「自由奔放だな、ホント。」

 

赤松「ヘヘッ、それが取り柄かも知れんな。」

 

加賀「全く、何をやってるのかしら?」

 

提督「加賀か。」

 

 

赤松「ようおかん! チチ揉ませろー!」

 

提督「ブッ!?」

 

唐突過ぎて口に含んでいたビールを思いきり吹く直人。

 

加賀「なっ、何馬鹿な事言ってるんですか? 帰りますよ、ほら。」

 

一瞬鉄扉面が剥がれた加賀だったが、すぐに元の表情に戻ってしまった。直人が見るより早く。

 

赤松「へいへい。またなー。」

 

提督「お、おーう。」

 

 

 

加賀「ところで赤松さん? 提督とどんなお話を?」

 

赤松「松ちゃんと呼んでくれや。そうさな、最近のお前さん達の様子の事をな。」

 

加賀「・・・そうですか。本当に奔放なのは変わりませんね、あなたは。」

 

赤松「ヘッヘッヘ、まぁな。ヒック。」

 

加賀「全く・・・いつもそうですが飲み過ぎです、あとでお水でも飲みなさい?」

 

赤松「分かった分かった。」ゴクゴク

 

加賀「・・・はぁ。」

 

 

 

提督「・・・ふぅ。」

 

局長「何一人デ黄昏テイルンダ?」

 

提督「ん? 局長か。」

 

荒潮「あたしも居るわよぉ?」

 

現れたのは荒潮を連れた局長であった。

 

提督「よう荒潮。うちでの暮らしはどうだ、不便ないか?」

 

荒潮「おかげさまで~。」

 

提督「そいつはよかった。そんで? 局長は何の用だ?」

 

局長「イヤイヤ、オ前の飛行機改造ノ合間ニ戻ッテミレバココデ黄昏テイタカラナ。」

 

提督「・・・生憎なんも無いぞ。」

 

局長「ラシイナ。」

 

提督「改造のほう、進捗はどうなんだ?」

 

局長「アァ、エンジンノ改造トタンク増設デナントカナリソウダ。」

 

提督「・・・インテグラルタンク(※)はかんべんな?」

 

局長「元カラソウダッタゾ?。」

 

提督「マジでか・・・仕方ない、諦めるか。」

 

 

※インテグラルタンク

機体構造の一部(胴体・主翼など)を水密構造にして燃料を積む形式の燃料タンクの事。

燃料容量の向上に伴う航続力向上や軽量化が見込めるが、反面被弾した際に燃えやすいという欠点がある。

史実では日本海軍の97式艦攻や1式陸攻が採用しており、また現代の旅客機では常識的に搭載されている。

 

 

提督「うーん、まぁ、任せる。」

 

局長「了解シタ。デ? コンナ所デ一人酒トハ、ナニカアッタカ?」

 

提督「別に何もないさ、何もな。」

 

局長「ソウカ、デハ、我々ハ引キ上ゲヨウ。」

 

荒潮「そうね~。」

 

提督「またなー。」

 

局長「アァ。」

 

いつも通りさっさと去っていく局長でした。

 

提督「・・・そういや、話通す時も大変だったなあの二人。嶋田はあの時まで知らなかったようだが。」

 

そう回想する直人でありましたとさ。

 

 

 

2052年5月21日午前8時 鎮守府正面水面

 

 

ざわざわざわ・・・

 

 

神通(取り敢えず、基礎部分は今手にするプログラム通りでいいはず、あとは一人一人問題を是正すれば・・・。)

 

流石にプランを一晩で立案した為不安に思う神通さん。

 

 

天龍(ま、適当にやっときゃいいだろ)

 

三日月(が、頑張りましょうか私!)

 

そして正反対の思惑の二人、この後天龍は激しく後悔することになる。

 

 

 

神通「それでは、今日から教導艦を務める神通です。よろしくお願いします。」

 

一同「よろしくお願いします!」

 

神通「今日は一日目という事で、皆さんの基礎技能の再確認から始めます。なお本日は第1回という事で、提督の御臨席を賜っての訓練ですので、恥ずかしくない様に、訓練に精励して下さい。」

 

提督「あー、一応様子を眺めるだけだから、気負わずやって欲しい。」

 

神通「では早速始めます。まずは全員の航走技能からチェックします。睦月型の皆さんから順に審査して行きます。準備を。」

 

睦月型「了解!」

 

こうして初日の訓練が始まった。

 

航走・砲撃・敵弾回避・雷爆撃回避(協力:鳳翔航空隊)など、一通りの基礎技能のチェックが、神通によって行われていった。

 

それが済めばいよいよ訓練なのだが・・・

 

 

 

神通「天龍さん、そんな砲撃ではいつまでも当たりませんよ! 弾着修正、腰を入れて撃ちなさい!」

 

天龍「お、おう!」

 

神通「如月さん、もっと大胆に回避運動をしなさい! 実戦で身だしなみを気にする暇があると思うの!?」

 

如月「わ、わかってるのだけれど・・・」

 

神通「言い訳は無用です!」

 

如月「ッ!」

 

天龍(やべぇ、厳しいってのは聞いてたが、噂以上だぞ、こいつはやべぇ!!)

 

 

 

神通「陽炎さん。もう少し体全体のバランスを考えながら航走なさい。荒天時に艦隊から遅れますよ?」

 

陽炎「そうは言われても、まだこの身体に慣れて無いのにぃ!!」

 

不知火「それは、少々遅すぎませんか?」スィーッ

 

神通「不知火さんと黒潮さん達は航走はバッチリですね、砲撃訓練に入りましょう。」

 

黒潮「どこまで当てられるんかいなぁ。」

 

不知火「やるしかないでしょう。」

 

陽炎「なんでそんなに適応早いのよ・・・。」

 

陽炎達新着任艦18人は基礎訓練中、すでに長良型の3人と睦月と朝潮、満潮、特型5人は砲撃訓練に移行していたりする。

 

潮「おっとと、わわわ、きゃぁぁっ!」バッシャァァァァーーン

 

神通「潮さん、大丈夫ですか?」

 

潮「は、はい、なんとか。」

 

漣「潮、そんなにドジだった?」

 

潮「中々バランスがうまく取れなくて・・・。」

 

若葉「まぁ、精進あるのみだろうな。」スィー

 

子日「張り切っていきましょう!潮ちゃん!」

 

神通「頑張りましょう、潮さん。」

 

潮「あ、はい。ありがとうございます。」

 

神通「若葉さんと子日さんも航走は出来る様になったわね、じゃぁ砲撃訓練を。」

 

子日「はーい!」

 

若葉「了解した。」

 

新しく着任した艦には丁寧に指導する神通さん。

 

 

 

提督「・・・ふむ、指導として悪くはない、って所、かな?」

 

遠間で見ていた直人はそう感じていた。

 

大淀「あの・・・」

 

提督「ん?」

 

大淀「そろそろ執務の方、始めて頂きたいのですが・・・。」

 

提督「分かった。」

 

飛龍「提督、書類処理、お手伝いしましょうか?」

 

いつの間にか傍らにいる飛龍さん。

 

提督「いつからそこに・・・それより、いいのか?」

 

飛龍「勿論です。」

 

提督「・・・じゃぁ、お願いしようかな。鳳翔さんは訓練の方に回っちゃったし。」

 

飛龍「お任せ下さい♪」

 

提督「神通、すまんが執務室に行く、あと頼むぞ。」

 

神通「“分かりました。”」

 

提督「行こうか。」

 

大淀「はい。」

 

直人は飛龍と大淀を伴って執務室へと向かったのであった。

 

地獄の訓練風景を背後に見ながら・・・。

 

 

 

午前12時前 提督執務室

 

 

提督「よし、書類終わった。」

 

飛龍「少し遅くないですか?」

 

提督「!?」

 

飛龍は既にお茶を飲んでいた。

 

提督「ウソだろ・・・。」

 

飛龍「デスクワークは、私達の勝ちですね。」

 

提督「・・・多聞丸ェ・・・。」

 

多聞「おいおい、そんな事で大丈夫か? 紀伊提督。」

 

虚空から霊体化を解いて現れる山口提督。

 

提督「ハハハ・・・面目ないです。」

 

多聞「まぁそう項垂れるな、軍人として、これも仕事の内だったのでな。」

 

提督「はぁ・・・。」

 

まぁ言われてみればそうなのだが。

 

多聞「もっと精進することだ。ハハハハッ。」スゥーッ

 

そう言って消える山口提督でした。

 

提督「・・・ずりーぞ飛龍。」

 

飛龍「別にいいじゃない、捗るんだし。」

 

提督「・・・はぁ。」

 

思わずため息をついてしまう直人。

 

溜息をつきながら彼は、平和を謳歌できる今このひと時を、天に住まう神々に感謝していた。

 

こんな何のたわいもない会話をしているこの時が、平和なひと時だという事を、知っていたから・・・。

 

大淀「・・・フフッ。」

 

提督「ん? どうした大淀?」

 

大淀「平和ですね。」

 

提督「・・・だな。」

 

大淀「この平和は、守り抜かないといけませんね。」

 

提督「その通りだ大淀。その為にも、打てる手は全て打っておこう。」

 

大淀「まずは、防空から始めますか?」

 

提督「・・・言われてみればここ何にも無いんだったな、防空設備もレーダーも。」

 

大淀「空襲でもあった日には大変ですよ?」

 

ついでに防空壕すら皆無です。(鎮守府前のあのトンネルが兼ねてはいるが。)

 

提督「・・・取り敢えず余ってる装備を据えとくか?」

 

ここで捕捉するが、艦娘が装備する主砲等の装備は、艤装に装着しない場合結構大きかったりする。その為割と場所を食ってしまうのである。因みに艦載用の兵器が陸上転用された例などいくらでもあるので安心してよい。

 

大淀「ついでに睦月型の装備も刷新しますか?」

 

提督「そうだな、12.7cm連装砲は結構あった筈だから、あるだけ2つ一組で積んでおこう。12cm単装砲は海岸線に据えて防御砲台にしよう。」

 

大淀「装備格納庫に連装高角砲もいくらかあった筈です。」

 

提督「飛行場周辺に地上配備という事で宜しく、あと25mm3連装機銃とかの機銃類も。」

 

大淀「レーダーの方はどうしますか?」

 

提督「うちにも数人レーダーを持ってる艦娘はいた筈だ、そいつらで当面は何とかするさ。」

 

大淀「時間が解決してくれる、という事ですね?」

 

提督「そういうこと。」

 

大淀「かしこまりました。」

 

飛龍「そう言えば航空機の機材が大分余ってたはずだけど。」

 

提督「それだ! サイパン飛行場に96式艦戦や97式艦攻とか、余ってる航空機材を配置しよう。」

 

飛龍「分かりました!」

 

提督「任されてくれるか?」

 

飛龍「勿論よ! 任せて下さい? 提督。」

 

提督「では、任せるぞ!」

 

飛龍「ほいさっさ~!」^^

 

・・・漣ェ・・・。

 

兎にも角にも、特別根拠地隊である以上防備も自分たちで固めなければならない。試験的ではあるが、艦娘の装備を転用した日本海軍航空隊が、サイパンに復活する運びとなったのである。

 

機材は27機の零戦21型(予備機8機)、57機の96式艦戦(4号型 予備機18機)、42機の99式艦爆(11型33機・22型9機 予備機11機/3機)、33機の97式艦攻(予備機14機)、総数158機からなる。

 

軍事方面に精通する人からは「なんだこの構成」と言われる可能性があるが、事実これだけしかないのだから仕方ない。

 

作者(私の着任当時の開発がこんな感じで偏ってまして、放置から復活した際にいらない艦載機を纏めてポイしてたりします)

 

直人が驚いたのはその実行スピードである。

 

 

 

飛龍「凄いでしょう? あれ皆航空機妖精の乗る艦載機達なんですよ。」

 

提督「それよりも作業スピードの速さにびっくりしたわ、たった7時間ておま・・・。」

 

只今午後の7時回ったところです。飛行場の着陸管制も復活させやがりました。

 

元々電力は太陽光発電で発電しており、燃料電池に溜め込んで夕方以降も使っていたが、余りまくって消費リソースも無かったものを、それすら解決してしまったようです。

 

提督「俺の知ってるサイパン空港だ・・・。駐機してある機材は別として。」

 

飛龍「旧名アスリート飛行場、日本軍の滑走路だった。でしょ?」

 

アスリート飛行場は日本軍の飛行場であったが、マリアナ諸島の一連の攻略戦によって航空戦力が潰滅、米軍の手に落ちた後、B29の発進基地として機能していた。

 

大戦末期には、日本軍が双発の陸攻『銀河』等による片道攻撃を数度行っている。

 

提督「その頃の面影が今蘇った訳だな。」

 

飛龍「そうね。私の艦載機隊も、暫くここで教官やらせる事にするわね。」

 

提督「あぁ、頼む。」

 

実はと言うと、飛龍艦載機隊は、フィリピン沖で亡失した訳ではない。

 

飛龍は、失われ行く艤装機能の最後の一欠けらを使い、艦載機隊を全機収容して帰還していた。精鋭パイロット達は、装備格納庫内に埋もれてしまっていたが、その艦載機隊もここに配備されていた。但し定数には含まれていない。

 

飛龍「高角砲の砲座は、徹夜で作るみたい。機銃座は割とすぐ出来上がるらしいから明日やるってさ。」

 

提督「気合入ってるのはいいが、無理はして貰いたくないなぁ。」

 

飛龍「そうね。」

 

提督「そろそろ夕食だな、司令部に戻ろう。」

 

飛龍「そうね。お腹も減ったし。」

 

提督< ぐぐぅぅぅぅぅ~~ >飛龍

 

ハモりました、腹の音が。

 

提督「・・・はやくいこうか。」

 

飛龍「そ、そうね///」

 

二人は揃ってサーブ340B掩体の東側にあるトンネルへの階段へと歩いて行くのでした。

 

 

 

提督「・・・このトンネル長いんだよねぇ。」

 

飛龍「そうですね、熱もこもりますし・・・。」

 

提督「・・・トロッコは願い下げだな。」

 

自然と移動時間短縮の話になってしまう。

 

飛龍「騒音が凄そうです。」

 

提督「動く歩道も無理だな、特に夜間。」

 

飛龍「電力の無駄ですね。」

 

提督「うーん・・・自転車はどうだろう?」

 

飛龍「人数分揃えるのは、無理でしょうね。」

 

提督「難しいねぇ・・・。」

 

飛龍「目立たずなおかつ早い移動手段ですか・・・スケボー?」

 

提督「俺が無理。」

 

飛龍「えっ、そうでしたか。私もですけど・・・。」

 

提督「うーむ・・・手頃かつ素早く移動できる手段を、何か考えないとな・・・。」

 

飛龍「現実的な案って、あまりないんでは?」

 

提督「それな。難しい・・・。」

 

提督と飛龍は揃って頭を捻りながら、白い蛍光灯に照らされたトンネルを、司令部に向け歩くのでした。

 

因みに今回はラッキースケベなんてありませんよ!(当たり前だってのww

 

 

 

5月22日午前1時20分頃 横須賀・???

 

 

「う・・・ここは・・・“私の”甲板?」

 

横須賀にその身を置くある船に、淡い光と共に降り立つ一人の女。

 

その身に深海棲艦と戦う術を持ったその姿は、まごうこと無き艦娘の姿をしていた。

 

「・・・また、私に戦えという事ね・・・。戦争が終わって100年以上、散々酷使されたのに、またなのね・・・。」

 

かつて、日本の栄光と退廃、そして衰退と発展を見、そして今ここに出でた彼女は、何を見、何を聞くのか。その道は彼にとって思わぬ所で直人と交錯することとなるのであるが、それはまだ先のお話である・・・。




艦娘ファイルNo.48

陽炎型駆逐艦 陽炎

装備1:12.7cm連装砲
装備2:61cm4連装魚雷

日本の艦隊型駆逐艦、その一つの完成形とも言える陽炎型のネームシップ。
普通にしっかり者の長女と言った具合、特に目立った点も無いものの、リーダーシップは駆逐艦の中ではそれなりにある。


艦娘ファイルNo.49

陽炎型駆逐艦 不知火

装備1:12.7cm連装砲
装備2:12.7cm連装砲

陽炎型の2番艦で、クールな次女ポジなのは知っての通り。
装備に小さな特異点が見られる。
提督に対しては割と寡黙な方で、事務的な事以外は大して余り話さないものの、陽炎や妹達とは色々と話をする。


艦娘ファイルNo.50

陽炎型駆逐艦 黒潮

装備1:12.7cm連装砲

陽炎型の3番艦、関西弁でペラペラよく喋る為、お喋り好きだったりもする直人とは割と相性がいい艦娘でもある。
楽天主義で現金な子だが、素質もかなりある為過剰な自負という事はない様子。


艦娘ファイルNo.51

朝潮型駆逐艦 朝潮

装備1:12.7cm連装砲
装備2:61cm4連装酸素魚雷

陽炎型の前級である建造された朝潮型のネームシップ。
努力家で事務処理能力で直人を凌いだ最初の艦娘で、更に特異点として4連装酸素魚雷を持参してくる。


艦娘ファイルNo.52

朝潮型駆逐艦 満潮

装備1:12.7cm連装砲

朝潮型の1隻で、中々素直でないツンデレタイプ。
そのクセ素になると・・・?
なお料理が結構できる様です。


艦娘ファイルNo.53

白露型駆逐艦 白露

装備1:12.7cm連装砲
装備2:61cm4連装魚雷

白露型のネームシップ、駆逐艦のネームシップは普通にしっかり者多いよね。(大型艦の1番艦はなんでああなった。)
どんなことでも常に一番を追い求める向上心旺盛な艦娘だが、朝潮の様な努力家とは少し違うようで、朝潮と比べ器用貧乏さが目立つ。
割と思考は楽天的だが、無自覚ながら柔軟な思考を持つ。


艦娘ファイルNo.54

白露型駆逐艦 村雨改

装備1:12.7cm連装砲
装備2:22号対水上電探

白露型の3番艦で、初期から改&電探装備と言う特異点を持つ。
姉の筈の白露より何故かお姉さんっぽいのはご愛嬌。
その才はどちらかと言えば教導艦に向いたもので、戦闘は若干不得手としている。


艦娘ファイルNo.55

白露型駆逐艦 五月雨

装備1:12.7cm連装砲

白露型の1隻。
この司令部でもドジっ子ぶりが健在なのか、期待がかかるところである。


艦娘ファイルNo.56

初春型駆逐艦 子日

装備1:12.7cm連装砲
装備2:12.7cm単装砲A型(→同連装砲)

初春型の2番艦。
実はこちらが初春型の標準装備で、特異点なのは初春の方。
夕立とはまた違う方向とベクトルでやたらと元気がある。
なお装備2の単装砲は装備更新で陸上砲台に回されてしまった。


艦娘ファイルNo.57

初春型駆逐艦 若葉

装備1:12.7cm連装砲
装備2:12.7cm単装砲A型(→同連装砲)

初春型最終の4番艦。
半端じゃなく影が薄かったりはする。


艦娘ファイルNo.58

特Ⅱ型(綾波型)駆逐艦 漣

装備1:12.7cm連装砲

この司令部での第7駆逐隊を束ねる駆逐艦。
中々に普通にキャラが濃い。


艦娘ファイルNo.59

特Ⅱ型(綾波型)駆逐艦 潮

装備1:12.7cm連装砲
装備2:61cm3連装酸素魚雷

装備に特異点を持った綾波型の1隻、第7駆逐隊所属。
何がとは言わないが大きい上に、なぜか微妙にサイズの小さい制服を着ている。
その為パツンパツンである。
但し秘める才はその普段の態度や雰囲気からは想像を絶するレベル。


艦娘ファイルNo.60

特Ⅰ型(吹雪型)駆逐艦 初雪

装備1:12.7cm連装砲

特に取り柄も無いように見える吹雪型3番艦。
その実、実力は高い為だらけまくってるのも見て見ぬフリをされており、完全な利害一致を見ている。


艦娘ファイルNo.61

特Ⅰ型(吹雪型)駆逐艦 深雪

装備1:12.7cm連装砲

活発さが取り柄の吹雪型の1艦で、史実では電のラムアタック被害に遭った艦娘なのは提督であれば大抵は知っているであろう。
基本は司令部防備部隊に所属している。


艦娘ファイルNo.62

睦月型駆逐艦 睦月改

装備1:12.7cm連装砲
装備2:12.7cm連装砲
装備3:61cm3連装魚雷

2つの特異点を持つ、遅れてやって来た睦月型駆逐艦ネームシップ。
元は12cm単装砲2つに魚雷を持ってきていたが、装備換装&陸上砲台への転用で更新された後の装備。


艦娘ファイルNo.63

長良型軽巡洋艦 長良

装備1:20.3cm連装砲
装備2:61cm4連装魚雷

水雷戦隊旗艦用軽巡である長良型のネームシップ。
特異点はなかったが装備を更新されてこんな装備になっている。
トレーニングが恋人の艦娘である。
ブルマは正g(ゴホゴホあー喉が痛いなぁー


艦娘ファイルNo.64

長良型軽巡洋艦 名取

装備1:20.3cm連装砲

長良型軽巡の1隻で、大人しい性格で物腰の据わった艦娘。
長良と同じくサイパン要塞化の余波を受けている。
中々高い実力を誇るが、覚醒していない様子。


艦娘ファイルNo.65

長良型軽巡洋艦 由良

装備1:20.3cm連装砲

長良型軽巡の1隻、やはり装備更新を受けている。
戦闘より事務の方が若干得意であるという事で後方勤務が大半ではあるものの、実力は平均以上であり、ある意味で器用貧乏。

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