異聞 艦隊これくしょん~艦これ~ 横鎮近衛艦隊奮戦録   作:フリードリヒ提督

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ういーっすどうも、横鎮提督の天の声です。

青葉「今回随分と軽いですね、あっ、どもー恐縮です、青葉です!」

いいじゃないたまには。コメント来たらこの辺でコメ返しでもするところなんですが、如何せんまだ知名度「それ以上はいけない。」せ、せやな。(エブリスタ時代の痕跡である。)

まぁ、今回も伏線を幾つかばら撒いたつもりで書き進めましたが、絶対回収するのでその辺は心配しなくてよし。後次回予告の節ですが、やりたかったからやった、準拠するとは言っていない!!

青葉「アッハイ。それにしてもスクープ写真が・・・。」

やかましいわ直人に消されても文句言えんようなスクープだろうが。

青葉「そ、そうですね・・・。」

という事で今回は解説事項として入渠でも説明しましょうか。多分皆想像はついてると思うが。

青葉「ですね。」

ざっくり言っちまうと、入渠=お風呂です。しおいもガッツリ「お風呂直行!」って言ってるしね。

青葉「ちょっとメタいです。」

いいのいいの此処そう言う場所だから。因みに高速修復剤は艦娘に効能がある入浴剤、と言う感じになってます。アニメみたいに上からダバーして・・・とかはないです。

青葉「何で今言うの途中でやめたんですか。」

なんか気恥ずかしくなった。

青葉「さいですか。」

流石に高速建造材=バーナーだとね、修復剤は真面目に考えないと。

青葉「あれ使うと一気に建造棟の中蒸し風呂になりますからね・・・」

ほんの10秒位の間だからいいけどね。

青葉「ですねぇ~。」

さて、この物語は一旦この辺りで節目を迎えます。実の所前章の作戦は2-1~3を統括した作戦(と言うかバシー島沖とかオリョール海とかどこだよっていう。)なのですが、実は作者は13年4月11日頃着任してそのきっかり2週間後に放置に入ってます。

青葉「そうなんですか?」

うん、2-4で心折れたらしい。ついでにプライドも砕け散ったようで。

青葉「あちゃぁー・・・」

という訳でこの次の章以降暫く出撃は余り無いと思います。なので暫くは平和な・・・平和な日常が続くと思います。

青葉「なぜ言い直した。」

こまけぇことは気にするな、では始まりまーす。


第8章~戦いの終わりと・・・~

午後5時半、直人が司令部に帰り着いたころには辺りはすっかり暗くなっていた。

 

 

天龍「よぉ提督! どこ行ってたんだ?」

 

帰って早々屋内に入る前に天龍に見つかった。

 

提督「まぁ、仕事で大本営にな。」

 

天龍「そうか。冷えて来たから中に入っとけ、金剛達ももうすぐ帰って来るからよ。」

 

見回りに出ていたと言う天龍はそう言う。

 

提督「そうだな、そうしよう。」

 

天龍「おう、お疲れさん!」

 

天龍は“左目”でウィンクして言った。

 

実は天龍は本来つけている筈の“左目の眼帯”を着けていない。彼女の特異点でもあったが、彼女の両目はしっかりと見えているのである。彼女の黄金色の双眸は、宵闇の中であっても輝きを放っていた。

 

大淀「ところで提督? 今日は書類がまだ1枚も片付いてませんが?」

 

提督「ゲッ・・・」

 

嫌な事を想いだした直人であった。デスクワークは傍から見れば達人級だが直人自身あまり好きではないのだ。

 

天龍「アッハッハッハッハッハッ!! 提督、『ゲッ』はないだろwwwww」

 

腹を抱えて笑う天龍である。

 

大淀「キッチリやって頂きます。」キラーン

 

メガネのレンズがきらりと光る。

 

提督「あ、明日じゃ――」

 

大淀「ダメです。」

 

提督「ぐぬぬ・・・はい。」

 

どうにか逃げようと悪知恵を巡らすも、結局観念した直人は執務室へ足取りを速めたのだった。

 

 

 

大淀「次はこの書類を・・・」

 

提督「ぐおおおお・・・」カリカリカリカリ・・・

 

中々に苦行であった。

 

 

 

天龍「・・・あの事伝えなくて良かったのかねぇ、龍田。」

 

龍田「教えたらお仕事に差し障るでしょうし。」

 

天龍「それもそうかぁ・・・。」

 

 

 

提督(―――幹部会との内通者・・・成程、その様子をつぶさに見ていた艦娘が、二人ばかりいたな。成程あいつか。)

 

直人はあれから様々な可能性を考査したが、やはり内通者だろうと考査してみていたのだ。

 

大淀「提督!!」

 

提督「はっ、はいっ!」

 

大淀「ぼーっとしてないで次の書類!」

 

提督「分かった分かった(焦)」カリカリカリカリ・・・

 

案外厳しい大淀さんでした。

 

大淀「あと開発と建造のお仕事も残ってます!!」

 

提督「な、なんだってぇ~~!?」

 

素っ頓狂に驚く直人。流石にその辺りは終わっているのだろうと思っていたらやっておいてはくれなかった。

 

提督「うーむ・・・仕方ない、扶桑を呼べ、早く!!」

 

大淀「はい!」

 

 

~5分後~

 

扶桑「開発と建造、ですか?」

 

事情を説明した直人さん。

 

提督「そうだ、今すぐに取り掛かってもらいたい。資源量は任せる。」

 

扶桑「・・・分かりました。私で宜しいのでしたら、お任せ下さい。」

 

そう言って立ち去る扶桑。

 

提督「ふぅ、あっちは何とかなった。」

 

 

バサッ

 

 

提督「!」

 

大淀「次の書類です。」ニッコォ

 

提督(・・・こいつ、隠れSか。)^^#

 

げんなりしつつも・・・

 

提督「OK任せろ。」ペラッ、カリカリカリ・・・

 

やらざるを得ないのだが。

 

 

・・・で

 

 

提督「これで終わりっと。」

 

大淀「お疲れ様でした。そろそろ金剛さん達が戻ってきますね、お出迎えに行かれますか?」

 

提督「オフコース。」Σd(・ω・

 

という訳で司令部裏の停泊用ドックへ。

 

 

 

4月28日(日)午後8時半 司令部裏ドック

 

 

提督「すっかり暗くなったな・・・。」

 

仁王立ちで待ち構える直人

 

局長「ソウダナ。」

 

と、局長。(ナンデヤ

 

天龍「おせぇなぁ・・・。」

 

更に天龍と陸戦隊第1大隊の妖精達。力仕事があるといけないので妖精たちに来てもらったのだ。彼らならお手の物である。

 

補足すると、この陸戦隊妖精が件の大本営に要請した陸戦隊1個連隊の一部である。この妖精陸戦隊1個連隊は4個大隊より成り、総兵力は3000名程度になっている。1個大隊750名前後の計算だ。

 

大淀「ですね・・・。」

 

当然ながら大淀も同行。

 

提督「そろそろの筈なんだが・・・。」

 

大淀「来ました!」

 

提督「うむ。」

 

金剛達の姿は目視で確認こそできたが、始めは夕闇の中に溶け込んでいてよく見えなかった。だが近づいてくるにつれてそれが鮮明に見えてくると、直人の表情からしても、彼は尋常ならざるものを悟っていた。

 

提督「―――! 天龍、明石さんを呼んで来い、入渠の準備だ! 陸戦隊は損傷した艤装を運べ! 大淀は俺と一緒に戦闘詳報をまとめる用意を!」

 

局長「艤装修理ハ、私ダナ?」

 

提督「いいんですか?」

 

局長「ナントナクコウナル気ハシテイタ、準備ハ済マセテアル。」

 

提督「では、お願いします。」

 

直人が頭を下げる。

 

局長「顔ヲ上ゲテクレ提督、ソレガ仕事ダ。」

 

提督「そう、ですね・・・。では艤装は造兵廠ではなく技術局へ回せ!」

 

明石「もうー! どうしたんですかご飯中だったのに!」

 

そこへ明石さんが食堂の方から姿を現した。

 

提督「あぁ明石さん、食事中すまない、入渠とドロップ判定の準備、特に入渠の準備を大至急!!」

 

明石「―――明石の出番ですね。」

 

提督「あぁ。頼む!」

 

明石「はいっ、お任せ下さい!」

 

明石が走り去った後、金剛達が岸壁にたどり着く。

 

金剛は加賀と愛宕に担がれていた。その艤装も半壊しており、航行するのも青息吐息と言ったところであっただろうことは見て取れた。

 

提督「一体何があった、金剛!」

 

神通「それは私が。」

 

神通が金剛に代わって説明を始める。その神通も左腕を押さえていた。

 

神通「金剛さんは午後5時ごろ、作戦を殆ど終えて残敵掃討をしている時、うっかり突出してしまったんです。そこを死角からリ級フラッグシップに狙い撃たれ、大破してしまいました。」

 

提督「その敵はどうした?」

 

初めてこのような損害を被り動転したのか、提督が強い口調で聞き返す。

 

愛宕「私達が撃沈こそしましたが、金剛さんはここに戻って来る途中で意識を失ってしまいました。」

 

提督「・・・!」

 

その事に、直人は衝撃を禁じ得なかった。金剛の実力は彼も横須賀防衛戦の戦闘詳報で知っていた、しかしその金剛がこの有様になって帰って来るとは考えもしなかったのだ。

 

他に負った損害は、綾波・筑摩・加賀中破、雷・初春・神通・蒼龍・摩耶小破と言うものであった。

 

摩耶「すまねぇ提督、金剛を守り切れなかった・・・。」

 

自責の念に駆られる摩耶を直人は諭す。

 

提督「いや、それは違うぞ摩耶、傷だらけになってまで頑張ったお前も、皆も、賞賛するに足ると俺は思う。今はゆっくり、休んでくれ。」

 

摩耶「おう。」

 

提督「金剛には高速修復剤を使用、入渠終了後、金剛の部屋のベッドに運んでおいてくれ。雷、看病頼めるか。」

 

雷「え、えぇ。勿論よ!」

 

雷は艤装損傷だけで済んでいた為、艤装修理だけで済みそうであった。

 

提督「よし、なら頼む。軽傷者はすぐ入渠に回せ、必要なら高速修復剤も使用を許可する。」

 

大淀「で、ですが在庫が・・・」

 

この頃、司令部の高速修復剤の備蓄は、補充されればすぐ使うと言った状況であった為、大淀のこの危惧は当然だった。

 

提督「構わん、補充出来次第順次充当すればいい。」

 

大淀「・・・分かりました。」

 

しかしいつも通りやるしか、結局はそうするしかないのだ。

 

局長「デハ損傷シタ艤装ハコチラデ預カル、シッカリ直シテオイテヤロウ。」

 

神通「はい、お願いします。」

 

天龍「提督! 担架持ってこさせた!」

 

提督「ナイス天龍! 金剛を入渠棟へ!」

 

そう言うと妖精さん達が金剛を担架に乗せ、実に50人がかりで運んでいった。

 

その妖精達が金剛を運んでいくのを見送る際、直人は視界の隅に、物陰から様子を窺う影を目ざとく見つけた。

 

天龍「龍田の奴どこ行っちまったんだこんな時に!」

 

提督「―――さぁな。」

 

この時、疑惑は確信へ変わった。

 

 

 

午後9時半 造兵廠への小道脇にて

 

 

龍田「・・・えぇ。そうです。横鎮近衛は大損害を負いました。・・・はい・・・はい、暫くは・・・、分かりました。では。」

 

 

ピッ

 

 

龍田「さて――――」

 

 

ヒュッ

 

 

龍田「ッ!」バッ

 

 

ドッ・・・

 

 

龍田「・・・そこにいるのはだぁれ? 出てきなさぁい? 怒らないからぁ♪」ブン

 

自慢の槍を構えながら呼びかける龍田。

 

提督「ほう、あの一撃を避けるか。」

 

木立の陰から出てくる直人。

 

龍田「何のつもりかしらぁ? こんなことをしちゃぁ、天龍ちゃんが黙ってないわよぉ?」

 

提督「それはこちらのセリフだ。龍田。」

 

龍田「?」

 

わざとらしく首を傾げる龍田に、直人は本題を突き付けた。

 

提督「今、どこのどいつに連絡していた?」

 

龍田「!!!」

 

提督「まさか俺の気配に気づきもしないとは、迂闊だな龍田よ。」スッ

 

そう言って構えたのはナイフのグリップ、但し刃がついているはずの方にはばねが付いている。

 

提督「諜報員ならこのナイフの事は知っているはずだ、バリスティック・ナイフだ。それともスペツナズ・ナイフと言った方がいいか?」

 

さっき龍田に向かって飛んで来たのは、刃を飛ばして敵を殺す武器、スペツナズ・ナイフの刃であった。そして直人は帯刀さえもしていた、疑惑でこそあれ龍田の不信さには完全に気付いていたのである。

 

龍田「・・・いつ私と?」

 

提督「確信に至ったのはさっきだ。だが疑念は査問会に呼ばれてよりずっと考え続けていた。誰かであろうとな。」

 

龍田「・・・悟られたんじゃ黙っては返せないわねぇ?」ブン

 

提督「・・・残念だ。」ジャキィン

 

龍田は槍を構え、直人も抜刀し下段に構える。

 

数瞬の沈黙・・・

 

龍田「はぁっ!」ブン

 

最初に動いたのは龍田、直人から見て左下から右上に向けて斜めに払う。

 

 

が―――

 

 

提督「・・・!!」

 

 

ザイイィィィーーー・・・ン

 

 

龍田「!!!?」

 

 

ドッ・・・

 

 

それと対抗する形で直人は刀を振り上げ、龍田の槍を正面から一閃して刃を両断した。

 

提督「ふんっ!!」ヒュッ

 

 

ドッ・・・

 

 

龍田「うっ・・・。」

 

そのまま直人は刀を峰打ちで斜めに振り下ろして龍田の鳩尾を打ち据えた。

 

 

ドサァッ・・・

 

 

提督「フゥ~・・・ッ。」チャキン

 

明石「提督どこ行ったのかなぁ・・・あっ、提督!」

 

提督「おう!」

 

そこに司令部の方から明石がやって来た。

 

明石「って、えぇぇ? 何があったんですかこれ、大乱闘でもしたんですか?」

 

提督「へ?」

 

明石が辺りを見回してそう言うので提督も見てみると、辺りの木々に刻まれた無数の傷が、しかもかなり鋭い。

 

提督「いや、龍田としか戦ってない。」

 

明石「それはそれでどうなってるんですか・・・。まさか衝撃波とかおこってませんよねこれ。」

 

提督「あー、それかもしれない。」

 

明石「え。」^^;;;

 

原因は龍田槍の刃を両断した時。その時の直人の一閃で衝撃波が起こったのである。直人がそう言った時、明石はただただ驚いた。

 

明石「そんな技なんで提督が使えるんですか・・・。」

 

提督「テイ○ズオブデス○ィニーの裂衝蒼破刃(れっしょうそうはじん)真似てたらいつの間にやら出来てた。」

 

明石「なんでゲームの技体得しようとなんか・・・。」

 

提督「浪漫だ。」

 

明石「アッハイ。」

 

一応納得したようです。

 

提督「取り敢えず龍田は司令部にでも運んどいてー。」

 

明石「わ、分かりました・・・。」

 

提督「で? 俺に何か用があったんじゃないのかな?」

 

明石「あっ、そうでした。」

 

明石は忘れてたと言う様子で話し出す。

 

明石「ドロップの判定と建造結果出たんで呼びに来たんです、あと金剛さんの入渠、終わりました。」

 

提督「おっと、それは一大事だ、すぐ戻ろう。」

 

明石「はい!」

 

そう言って直人は駆け足で司令部に向かった。

 

 

 

龍田の名誉の為に補足しておくが、龍田は槍術使いとしては達人クラスの技量を持つ、それこそ片手でぶん回して確実に敵を斬り裂き突き殺す程度には。

 

だがあそこまで龍田があっけなく倒されたのは技と技量もあるがもう一つ、直人自身の殺気と気迫である・・・。

 

 

 

司令部に戻った直人、戦闘詳報の報告を受けてから建造棟に向かう。

 

ドロップ判定も建造も同じ場所でやっていたりする。

 

扶桑「あっ、提督。」

 

提督「扶桑さん、どうなった?」

 

扶桑「それが・・・」チラッ

 

扶桑が見た方向を見ると、中々もの凄いメンバーが一堂に会していた。

 

まず建造組。

 

日向「あなたが提督? ふうん、いいけど。伊勢型戦艦2番艦、日向よ。一応覚えておいて。」

 

雪風「陽炎型駆逐艦8番艦、雪風です!どうぞ、宜しくお願い致しますっ!」

 

響「響だよ。その活躍ぶりから不死鳥の通り名もあるよ。」

 

最上「ボクが最上さ。よろしくっ!」

 

提督「・・・扶桑、よくやった!」

 

扶桑「ありがとうございます。」^^

 

うむ、良い笑顔だ。

 

提督「さてドロップの方は・・・っ」

 

完璧に絶句したその目線に先にはとんでもないメンツがいた。

 

比叡「金剛お姉様の妹分、比叡です!」

 

榛名「高速戦艦、榛名、着任しました。あなたが提督なのね?よろしくお願い致します。」

 

山城「扶桑型戦艦姉妹、妹の方、山城です。」

 

飛龍「航空母艦、飛龍です!」

 

伊勢「超弩級戦艦、伊勢。参ります!」

 

ここまででも十分そうそうたる面々だが、極めつけは・・・

 

紅蓮の眼光、毛先にピンクのグラデーションのかかったベージュの髪、特徴的なくせ毛、両太腿の4連装魚雷発射管、右手に連装砲、左手に魚雷。出会った敵全てを灰塵に帰し鉄底に沈め伏す最強の駆逐艦と言えば、皆さんもご存知であろう。

 

夕立「こんにちは、白露型駆逐艦「夕立」よ。よろしくね!」

 

提督「・・・。」

 

流石に絶句せざるを得ない。

 

提督「・・・。」チラッ

 

さっきからこっちを誇らしげに見つめる雷を見る。

 

雷「フフン。」^^v

 

・・・褒めて貰いたいんだな。

 

提督「雷、よくやったぞ~、今度間宮のアイスでも食べに行こうか。」

 

雷「やったぁーー!!」

 

提督「よしよし。」ナデナデ

 

雷「―――! エヘヘ・・・」

 

提督(・・・なにこれ可愛い。)

 

因みに間宮さん、まだ未登場ですが4日前に着任してオープンしてます。

 

なお雷は建造とは別の用でここにきている。

 

提督「それにしても駆逐艦増えたな・・・ん?」

 

響「・・・。」ジーッ

 

提督「・・・。」

 

直人はため息を一つついてから響の頭もなでてあげた。

 

響「・・・ハラショー///」

 

提督「それにしても今回姉妹同士と対面するケースも発生したな・・・。」

 

扶桑「そうですね・・・。」

 

提督「姉妹二人まとめてと言うケースは置いといてもだ・・・。」

 

伊勢と日向を見ながら言う直人、少し離れて二人で和気あいあいと話をしている。

 

提督「そう言えば雷、金剛の様子は?」

 

比叡「お姉様に何かあったのですか!?」

 

提督「のわっ!?」

 

比叡が急に話しかけるものだから驚く直人。

 

雷「まだ意識は戻ってないみたい。」

 

提督「そ、そうか・・・。」

 

直人の表情が曇る。

 

比叡「提督、何があったんですか!?」

 

必死の様相で問いかける比叡。

 

提督「あぁ、それだがかくかくしかじかでな。」

 

比叡「そんな―――っ。」

 

これで通じるのは2次元だけの特権である。

 

提督「そんな訳だから、俺も付き添おうと思ってる。」

 

比叡「なら私も!」

 

提督「お前は訓練!」デコピン!

 

比叡「ひゃうん!?」ペチン

 

・・・なにこれk(ry

 

提督「俺が無責任に送り出した責任でもある、俺が寄り添わなければ。」

 

比叡「でもそれは、艦娘の宿命でもあるのではないでしょうか?」

 

提督「・・・確かにそうかもしれん。だがな、俺は提督だ、彼女たちを守る義務があると思う。俺はお前たちを、一隻たりと沈めたくはないんだ。察してくれ、比叡。」

 

比叡「・・・。」

 

比叡が沈痛な面持ちで考え込み、そして言った。

 

比叡「分かりました。訓練に精進します。」

 

提督「ありがとう。」

 

比叡「いえ! これからこの鎮守府で、気合!入れて!頑張ります!」

 

提督「おう、頑張れ!」

 

提督と比叡は拳をぶつけ合う。

 

比叡「ではこれで!」

 

提督「おう。」

 

比叡が立ち去った後、提督は雷の案内の元金剛の部屋に行った。

 

 

 

4月28日23時10分 艦娘寮第2棟(大型艦寮)二階・金剛の部屋

 

 

雷「ここが金剛さんの部屋よ。」ガチャッ

 

雷の後から部屋に入る提督。

 

窓は北向き、入って正面にちゃぶ台があり、右奥にベッドが一つある。

 

後はベッドの東側の壁に押入れが1つ、全室共通の内装である。

 

そのベッドに金剛が横たえられていた。

 

提督「金剛・・・。」

 

神通によると、もう少し帰着が遅ければ、どうなるか分からなかったところであったと言う。

 

それだけにより一層直人の想いは深刻であった。

 

提督「雷、今日はもう上がって、明日からまた訓練に精励してくれ。」

 

雷「でも・・・。」

 

提督「金剛は俺が見るから、いいね?」

 

雷「・・・えぇ、分かったわ。おやすみなさい、提督。」

 

提督「おやすみ、雷。」

 

 

 

雷が去った後、提督は雷の使っていたと思われるベッド脇のパイプ椅子に腰掛け、金剛の目が覚めるのを待ち続けた。

 

提督「・・・。」

 

提督はずっと黙ってある事を思っていた。

 

『もし彼女らが帰ってこぬ事があれば』と・・・。

 

今回は運が良かったかもしれないが、次はどうか、次の次はどうであろうか。

 

彼の不吉な想念は尽きる事を知らなかった。

 

 

 

4月29日午前7時前 艦娘寮・金剛の部屋

 

 

チュン、チュン・・・

 

 

提督「うぅ・・・ん・・・」ウトウト

 

流石に眠たいご様子の直人。

 

提督「・・・。」ゴシゴシ

 

瞼をこする。

 

提督「んん~~・・・っ。」ノビ―

 

背伸びをする。

 

提督「・・・。」(`・ω・´)キリッ

 

シャッキリ起きた直人。

 

金剛はまだ目覚めていない。

 

故に直人の顔からも、陰鬱な表情が消えない。

 

提督「―――はぁ・・・。」

 

直人自身、実はなぜここまで金剛の事を心配するのか分かっていなかったのだが。

 

提督「・・・。」クラッ

 

やべぇ―――流石にしんどい・・・。

 

直人がめまいを覚え始めたその時であった。

 

金剛「ウウ・・・ン?」

 

提督「・・・!」

 

金剛「ここは・・・私の、部屋? 一体何があったんデース?」ムクリ

 

提督「金剛・・・ッ!」

 

その瞬間直人は無意識に金剛を抱きしめていた。

 

金剛「テッ、提督ッ、何を・・・」

 

提督「良かった・・・本当に・・・良かった・・・!」

 

涙ぐみながら声を絞り出すように言う直人。

 

金剛「―――!」

 

最初こそ困惑した金剛だったが、その言葉で全てを察した。自分は被弾して重傷を負い、辛うじて司令部に担ぎ込まれたのだという事を。そして彼が、ずっと付きっ切りで自分の意識が戻るまで付きっきりでいた事を。

 

提督「・・・」ギュッ

 

金剛「―――ごめんなさい提督、心配かけて・・・。」

 

提督「いいんだ・・・こうして帰って来てくれたから・・・。」

 

直人は心底安堵していた。金剛が大破したと知った時、的確に指示こそ飛ばしていたが、心中かなり動転していたのだ。

 

金剛「これからは気を付けマス。大好きな提督の為に・・・。」ギュッ

 

金剛も直人を抱きしめる。

 

提督「ありがとう・・・」ボソッ

 

金剛「・・・。」

 

直人と金剛は暫く抱き合っていたが・・・

 

金剛「・・・?」

 

提督「スー・・・スー・・・」

 

金剛「!」

 

安堵と疲れからか、直人はいつの間にか寝息を立てていた。

 

金剛「もう・・・仕方ないですネー。よっと。」

 

 

金剛は直人をお姫様抱っこで抱き上げると自分のベッドに寝かせ、膝枕もしてあげた。

 

金剛「・・・フフフッ。」^^

 

ある意味で金剛大勝利。

 

 

ガチャッ

 

 

榛名「―――! 金剛姉s」

 

金剛「シーッ。」

 

榛名「むぐむぐ・・・。」

 

榛名は咄嗟に口元を押さえて声を殺すと、金剛の所へ歩み寄る。

 

榛名「一体何が・・・?」

 

金剛「私が目覚めるまで、ずっとここで起きて待っていたみたいデース。」

 

榛名「成程・・・さぞや、お疲れだったのですね・・・。」

 

二人は暫く黙っていたが、ふと榛名がこういった。

 

榛名「・・・提督はお優しいのですね。」

 

金剛「心配性なだけデース。」^^

 

榛名「でも、これだけ私達を気遣ってくれる提督も、そういないのではないでしょうか?」

 

金剛「ウーン、言われてみればそうですネー。」

 

榛名「・・・フフフッ。」

 

金剛「ハ、ハハハ・・・^^///」

 

二人が微笑みを交わしている所に、どたどたと慌てた様子の足音がした。

 

雷「提督っ、金剛さんは・・・、―――?」

 

榛名がウインクしながら口元に人差し指を立て当てていた。

 

雷「―――え? これ、どういう状況なの・・・?」

 

雷、困惑中につき。

 

金剛「どうもこうも、こういう状況デース。」^^

 

雷「あー、司令官、疲れて寝ちゃったのね。」

 

半分(←ここ重要)把握したようです。

 

榛名「一睡もしてらっしゃらなかったみたいですね。」

 

雷「えーと? 昨日は司令官がお仕事? で留守にしててその後あの騒ぎだったし・・・寝てないわね。確実に。」

 

榛名「その内過労でお倒れになったりしませんよね?」

 

雷「仕事『だけ』は真面目な司令官の事だから保証はしかねるわ・・・。」

 

金剛「デスネー。」^^;

 

榛名「・・・“だけ”?」

 

なぜか一部分強調したのは理由がある。まぁ大淀さんの目を盗んで色々やってるのもあるが、仕事終わりの行動を一度ならず目にしているのだ。

 

今から4日前の事・・・

 

 

 

4月25日昼過ぎ 司令部裏ドック

 

 

雷「ん~、今日もあったかいわねぇ~。」

 

雷はこの日特に業務も無い為、司令部をうろうろ散歩していた。

 

雷「ん?」

 

雷はドックの先に誰かが座っているのを見た。

 

純白の2種軍装、直人である。

 

傍らにバケツを置き、手に釣竿を持っていた。

 

雷「・・・何やってるのよ司令官・・・。」

 

 

 

提督「~♪」

 

はい、釣り中です。本来ならまだ仕事やってる筈が今日は仕事少なかったっぽいです。

 

提督「!」グイッ

 

 

ピチピチ・・・

 

 

釣れました、アジが。(え

 

提督「アジフライにして貰うかな後で。」

 

針から外した後バケツに放り込み、餌を付け再び仕掛けを投入する。

 

なぜか妙に釣りが上手いと言う特技があるのだ。

 

 

 

雷「全く、仕事から解放されてると妙にノビノビしてるわね。」ボソッ

 

榛名「?」

 

雷「いや、なんでもないわ。金剛さん、もうあんな無茶、やめてよね?」

 

金剛「分かってマース。慢心、ダメ、絶対デース!」

 

どこで知ったかと思えば蒼龍さんが常日頃言ってるからであろう。なんだかんだで金剛は全快した。が、提督が今度は疲労で爆睡すると言う様相を呈した。

 

この様には大淀も・・・

 

 

 

大淀「うーん・・・今日はお休みにしてあげましょう。」

 

金剛「そうデスネー。これじゃぁ仕事もまともに出来なさそうデース。」

 

榛名「なら、今日は私が代行しましょうか? 金剛姉さんもここから動けないでしょうし。」

 

これは取り敢えずの所事実であった、金剛も疲労で動ける状態ではない。

 

雷「私も手伝うわ!」

 

大淀「いいんですか?」

 

榛名「お任せ下さい!」

 

雷「もっと私に頼ってくれていいのよ?」

 

大淀「はいはい。じゃぁ二人とも、お願いします。」

 

この有様である。

 

 

 

3人が去った後、金剛はぽつりと独り言を言った。

 

金剛「・・・。提督は心配性なのかなんなのか・・・、これは分かんないデスネ。」

 

だが信頼や友情とは違う何かを感じる、金剛は微笑みを浮かべながらそう結論付けていた。

 

 

 

そして、その光景を天井裏から隙間越しにシャッターを切りながら眺める者が一人。

 

 

 

青葉(フフフ・・・今度こそ大スクープです! 今度こそ!)カシャカシャカシャカシャ

 

どこにでも現れる最強のブン屋青葉である。

 

実は不幸にも大型艦寮は恐らくそこまで数はいないという事で三階のスペースをケチられ、金剛型姉妹の部屋となる4部屋の区画はちょうどケチられた部分に相当する。つまり金剛型の部屋は二階だが、その真上に部屋はない。

 

しかもその余白を使ってその4部屋は屋根と天井版の間に収納スペースがある為、青葉は余裕で入ってこれると言う寸法だ。こっそり青葉が屋根に作った侵入口から、である。

 

青葉(さて、そろそろお暇しましょうかね。)

 

と、青葉が屋根の上に出た、その時である。

 

 

ヒュッ

 

 

青葉「グホォォッ!?」ズドムッ

 

どこからか飛んできた飛翔体(ほうだん)によって青葉は屋根の上から弾き飛ばされ地面に落下した。

 

青葉「イタタタ・・・」

 

 

ザッ

 

 

仰向けに倒れている青葉の頭上で誰かの足音が。

 

青葉「―――!?」

 

自身の左右をきょろきょろと見て、カメラが無い事に気付く青葉。

 

比叡「『カメラが無い』と仰りたそうな顔ですね、青葉さん?」

 

青葉のスクープ写真入りカメラは、またしても青葉の手から離れ、比叡がボールで遊んでいる感じで弄んでいた。

 

青葉「あの・・・返してくれませんかね?」

 

比叡「勿論お返しします。が、それはお姉様の写真を消してからです。」

 

青葉、再び地獄見ゆ。

 

青葉「そんな事はさせない!」

 

比叡「私に勝てると?」ガシャガシャガシャ

 

何と比叡、フル装備に付き。

 

さっきのも比叡の徹甲弾(信管抜き)だったのだ。

 

青葉「くっ・・・!!」

 

青葉はまたしてもスクープが消える瞬間を見ていることしか出来なかった。

 

比叡「青葉さん?」

 

青葉「は、はい。」

 

比叡「今度お姉様を相手に変な真似をしたら私のカレー(裏)を御馳走するんで、覚悟してくださいよ?」ゴゴゴゴ・・・

 

青葉「!!??」ゾクッ

 

青葉はその光景を想像し戦慄した。

 

今日の比叡、激おこに付き、さわるな危険。

 

比叡「はい、お返しします。」

 

青葉「は、はい。では、これで・・・。」

 

青葉はしょげ返って帰っていった。

 

比叡「・・・比叡、お姉様をお守りしました。」キリッ

 

達成感に満ち溢れた顔の比叡さんでした。

 

 

 

4月29日夕刻

 

 

金剛「~♪(英国擲弾兵行進曲(ブリティッシュグレナディアーズ・マーチ))」

 

提督「う・・・うううん・・・。」

 

お目覚めのようです。

 

金剛「提督、お目覚めですカー?」

 

提督「・・・ハッ、今何時!? てかあれから寝てたのか・・・。」

 

金剛「今午後5時半デスネー。」

 

提督「・・・。」←記憶探り中

 

金剛「・・・?」

 

提督「―――ッ!!///」

 

大体思い出した様子。

 

金剛「・・・クスッ。」

 

提督「・・・なんか・・・ごめん。」

 

金剛「提督へのプロポーズレースは、私の圧勝デスネー。フフッ。」^^

 

提督「そっ、そうだな(赤面)」

 

滅茶苦茶恥ずかしい様子の直人。

 

金剛「フフッ、可愛いデース。」

 

提督「うるせー、俺、こう言う方面の事は、その・・・」

 

彼女いない歴=年齢の哀しさである。

 

金剛「フフ、まぁ、その内慣れるデショー。」

 

提督「だ、だといいがな。その・・・デートとかはしばらく先になりそうだけどな。」

 

金剛「まだ忙しいデース。またいずれ、機会があればにしまショー。」^^

 

提督「あぁ。」

 

思えば直人と金剛はこの頃から深い絆で繋がっていたのであった。直人がそれを思い出すのは、かなり先の事になるが――――。

 

 

同日薄暮 執務室への廊下

 

 

提督「やべぇ、仕事仕事・・・。」

 

直人が慌てた様子で執務室へと向かう。

 

 

ガチャッ

 

 

提督「大淀さ・・・ん?」

 

執務室には誰もおらず、代わりに執務机の上に書き置きが残されていた。

 

提督「・・・。」

 

『今日のお仕事は榛名さんと雷さんに代行して頂きました。

 ゆっくりお休みになって下さい。     -大淀-』

 

提督「はぁ~、弱ったな・・・。あまり貸しは作りたくないんだが・・・。」

 

空いている左手で頭を掻きつつ呟く直人。

 

困ったと言う表情だが自嘲気味に笑っていた。

 

提督「・・・椅子、まだ少し暖かいな。」

 

ふと自分の椅子に手を当てた直人はその事に気付く。どうやら誰かが執務机を使ったらしい。

 

提督「・・・そうだ。~♪」サラサラ

 

直人は執務机の上にあるペン立てからシャーペンを取り出し、その書き置きの裏に大淀宛で書き置きを残した。

 

提督「さて、龍田の部屋に行くか。」

 

直人は険しい顔つきで執務室を後にした。

 

 

~5分後~

 

 

ガチャッ

 

 

大淀「ふぅ、あとはここの戸締りね。」

 

戸締り確認に来た大淀さん。

 

大淀「ここはよし、ここも、よし。って、あら?」

 

大淀が提督の書き置きに気付く。

 

『なんかごめん、ありがとう。

     二人にもお礼伝えておいて。

              -直人-』

 

大淀「直人・・・確か提督の名前でしたね。はぁ・・・。」^^;

 

つくづく忙しい人だなぁ、これからもっと大変そう。と思った大淀さんでした。

 

 

 

4月29日薄暮 艦娘寮・龍田の部屋

 

 

直人が龍田の部屋に出向くと、扉の前に監視を命じた二人がいた。

 

天龍「おぉ提督、遅かったじゃねぇか。龍田ならもう起きてるぜ。」

 

神通「もう下がっても宜しいのですか?」

 

提督「あぁ、うん、ご苦労様。」

 

神通「ではこれで。」

 

神通を見送った天龍が、提督に一つ勧告を飛ばす。

 

天龍「紀伊提督、龍田に妙な事したらタダじゃおかんぞ?」

 

提督「あのなぁ・・・。」

 

直人は腰に両手を当てて言う。

 

提督「他所の無能共と同じにするな、やるにしたって相手選ぶわ。おめぇと言う姉がついてる奴を相手取っちゃ面倒だしな。」

 

割と軽いテンションで言う直人。

 

天龍「ヘッ、よく分かってるじゃねぇか。じゃぁ後は任す。」

 

提督「任された、フフッ。ところでお前は龍田の事は分かってたのか?」

 

天龍「まぁな。だかまぁ敢えて何も言わなかった。提督にも龍田にも。」

 

提督「・・・そうか。」

 

天龍は恐らくそれがお互いを守ると考えたのだろう、それは事実であったが、直人としてはそれを冷徹な事実として、伝えて欲しかったのだったが、彼は敢えてそれを言わなかった。

 

天龍「じゃぁな、おやすみ。」

 

提督「おやすみ。」

 

天龍の背を見つつ、直人は天龍に聞こえない様に呟いた。

 

提督「・・・龍田、良い姉貴持ったじゃねぇか。」

 

そして直人は雑念を振り払い龍田の部屋に入った。

 

 

ガチャッ

 

 

提督「よぉ。」

 

龍田「あらぁ~、女の子の部屋にノックも無しに踏み込むのって失礼じゃないかしらぁ?」

 

提督「陰でうちの動向をスパイしてた奴と、どっちがマシだ?」

 

龍田「フフッ、そうね。」

 

鋭い眼光で言う直人に龍田はただ肯定したのみだった。

 

提督「―――誰の差し金だ?」

 

龍田「独立監査隊、ひいてはそれを操る牟田口陸将ね。」

 

提督「独立監査隊?」

 

眉間にしわを寄せる直人、どんな組織かと問うまでも無く龍田は話す。

 

龍田「憲兵隊では監査権限の無い―――そもそも存在自体知らされていない―――近衛艦隊を監査する、大本営・・・いえ、幹部会議長牟田口陸将の直轄組織でありなおかつ彼の私兵集団。機動人員を人間で、諜報人員を艦娘で固め、近衛艦隊の動静を探るのが、私たち独立監査隊諜報部の仕事。」

 

提督「諜報人員を艦娘で、だと?」

 

龍田「えぇ。それも記憶の刷り込みをして諜報と戦闘に特化した冷徹な諜報員に仕立て上げているわ。」

 

提督「なんと言う悪辣な真似を・・・」

 

憤激を自覚する直人だったがそこへ龍田が畳み掛ける様に続ける。

 

龍田「私も独立監査隊に属しているわ。勿論自然体でね。」

 

提督「―――!」

 

龍田「私は自分の意思で監査隊に参加した。でも、気が変わったわぁ。」

 

龍田はそう言うが、直人は簡単に信用出来なかった。

 

提督「・・・どういうつもりだ?」

 

龍田「考えれば考える程、あの組織はいつ暴走してもおかしくないの。あの組織の真の目的は、人類が“自ら”深海棲艦を打倒する術を見つける事よぉ。いつ腐敗し暴走するか分からない不穏分子ってところね。だから私はやめる、なにかいけない?」

 

提督「・・・成程、だからそこまで喋ったのか。」

 

龍田「で? あなたは私をどうするつもりなの? いっそ手籠めにするのかしら?」

 

発想は天龍と似てるが彼にその考えは絶対的にない、どう考えても姉に殺される。

 

提督「いや、どうもしない。」

 

龍田「!」

 

直人は無能ではない、その程度の言葉で揺らぎはしないのだ。

 

提督「魅力的な提案だがこっちには損しか残らんからな。」

 

龍田「分かってるじゃなぁい?」

 

提督「その代わり、お前にはいずれ役に立ってもらう。俺の艦隊にいる以上、その独立監査隊は無関係だ。むしろ俺がいずれ機会を掴み俺の手で潰す、この俺を相手にナメた真似をした事を後悔させんとな。それに一役買って貰う。これが俺からお前に与える罰だ。」

 

つまり『今までの仲間を裏切れ』と言うある意味最も辛辣な懲罰、という訳である。それを冷厳たる口調で述べた時、龍田は自らに選択肢がない事を知ったのだった。

 

龍田「・・・分かったわ、引き受けてあげる。」

 

提督「そうか。では龍田の拘禁を解く。」

 

龍田「でも、貴方存外甘いのねぇ。」

 

そう言うと直人は

 

提督「深慮遠謀、と言って欲しいがまぁいいだろう。」

 

と言った。

 

龍田「深慮遠謀、ねぇ。ウフフフフッ。」

 

提督「フン・・・じゃぁな。」

 

龍田「あの時の剣捌き。」

 

提督「?」

 

背を向けたまま立ち止まる直人。

 

龍田「見事だったわぁ。天龍ちゃん以上ね。流石は極光、流石は提督ね。」

 

提督「・・・フッ。」

 

直人が向き直り恭しくお辞儀をする。

 

提督「お褒めに預かり光栄の至り。」

 

龍田「フフッ。まぁ、精々頑張る事ねぇ。」

 

提督「そうだな。」

 

そう言って直人は龍田の部屋を後にし、その一日にようやく幕が下りたのだった。

 

 

 

4月29日午後9時 提督宅

 

 

キィィィィィィィィィィ・・・ン

 

 

魔法陣が輝く部屋の中、その陣の中心に直人がいた。

 

提督「―――全工程、終了(クラフトアウト)。」

 

 

シュウウゥゥゥゥ・・・ン

 

 

提督「・・・よし、今日の1本は出来た。」チャキッ

 

直人が中心に置かれた1本の剣を手に取る。

 

白金で出来たその剣は、白金千剣に使う為の物。

 

こうして毎日1本ずつ錬金しているのだ。

 

と言ってもここ5年の間に既に3千本は作っているが。

 

提督「・・・寝よ。」

 

どんなに疲れていても欠かさない日課を終え、直人は深い眠りに就いたのであった・・・。

 

 

 

4月30日黎明 八島入江奥部

 

 

奥部と言っても司令部付近の辺りを指すんだがねww

 

天龍「だぁぁぁぁぁりゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」ヒュバッ

 

提督「はああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」ヒュッ

 

 

ガシイイイィィィィィィィ・・・ン

 

 

天龍の刀と直人の極光がぶつかる。お前ら砲撃戦しろ。

 

提督「筋はいいな、剣筋もいいところを突いてる。」ガチガチガチッ

 

天龍「ヘヘッ、そりゃどうもっ。」ガチガチガチッ

 

鍔迫り合い、拮抗。

 

提督「だがっ!」ガィィィ・・・ン

 

天龍「なっ!?」

 

天龍を弾き飛ばし間合いを取る直人、次の瞬間には突進していた。

 

提督「セィヤアッ!!」ドムッ

 

天龍「ガハッ・・・」ザバァッ

 

右下から天龍の左脇を掠める形で脇腹を一閃する。峰打ちで。

 

天龍はその一撃で両ひざをついた。

 

提督「脇下の守りが薄いな。」

 

天龍「こいつは、一本取られちまったな。だが、」

 

天龍が直人に向き直り刀を構え直す。

 

天龍「まだまだぁぁぁ!!」

 

提督「そうこなくては!」

 

 

 

4月30日同刻 司令部裏ドック先端

 

 

ガキィンガキィンガシィンキィンキィン・・・

 

 

龍田「あらぁ~、いい勝負じゃなぁい~?」

 

荒潮「ほんとねぇ~。」ウズウズ

 

ワール「飛びだしたいのは分かるがやめときな荒潮。」

 

荒潮「分かってるわよぉ~。」

 

観客が若干3名ほど。

 

ワール「それにしても頑丈ね極光は。あれだけ打ち合ってるのに。」

 

荒潮「局長がやわなもの作ると思う?」

 

ワール「それはあり得ないわね。」

 

局長「アァ、アリエナイナ。」

 

荒潮「!?」

 

ワール「やーっぱり来るのね、モンタナ。」

 

局長「面白ソウダカラナ。」

 

ワール「はぁ~。」

 

面白そうだと思うとどこからともなく現れる局長なのでした。

 

 

結局直人が競り勝ったようです。

 

 

 

4月30日午前9時 中央棟2F・提督執務室

 

 

この時直人は執務中であった。

 

大淀「提督、大本営から函数暗号で命令書が届きました。」

 

提督「お?」

 

何気に大本営からの命令はこれが初である。前回の南西諸島沖掃討戦は、大本営の指示を受けた横鎮と呉鎮から命令を受けていたのである。

 

大淀「『5月初頭、横鎮近衛艦隊はその総力を挙げ、フィリピン・ルソン島太平洋岸並びにフィリピン南部に駐留すると思われる敵勢力を殲滅し、マニラ泊地司令部並びに艦隊のパラオ移転の障害を排除せよ。』とのことです。」

 

提督「いきなり大仕事だな、フィリピン南部、特にレイテ島には強力な艦隊が在泊していると聞く。此方もただでは済むまいな・・・。」

 

大淀「できるでしょうか?」

 

提督「やらねばなるまい。そこに敵がいて、上が行けと言うなら。だが準備がいる。戦力強化を徹底しよう、頭数不足は非常にまずい。司令部防備用に新しい艦娘の建造を行っておいてくれ。」

 

大淀「分かりました。」

 

やるとなれば余念はない直人ではあったが、大作戦ともなればその身に負う不安は少なからざるものがあった。慢心によるところが大きいとはいえ、金剛の例もあるのである。

 

提督「あぁ大淀さん!」

 

大淀「はい、なんでしょう?」

 

提督「次の作戦、俺も出撃する。留守は任せるぞ。」

 

大淀「・・・!」

 

大淀はその言葉に一瞬驚き、そして一瞬考え、こう答えた。

 

大淀「分かりました。その間司令部は私が預かりましょう。」

 

提督「・・・。ありがとう、大淀。」

 

大淀「いえ、私は、提督をも艦と成す、近衛艦隊の任務担当武官ですから。」

 

提督「・・・そうか。」

 

提督はその言葉の裏にあるものを聡く読み取った。

 

大淀は、この作戦命令書を受信したとき、直人がこう言うと半ば分かっていた、だが敢えて止めなかったのである。

 

彼は自身の疲労を省みず、艤装半壊、体にも大怪我をして帰って来た金剛の傍についていた。大淀はその姿に、彼が艦娘を道具として見ていない事を悟ったのである。

 

彼女ら艦娘は本来兵器であり、兵器たる以上冷徹であるべき存在である。だが直人はそうは思っていない。

 

提督は大淀も含めて彼女らを自分と同じ人と考え行動し、怪我をすれば彼女らを労わろうと必死で動いた。その表れが、金剛の戻った晩の行動で無かっただろうか?

 

そして直人も、彼女が分かってくれるであろうことを信じて来た。

 

この日直人は遂に大淀にも理解された。彼女らを道具として扱えぬ彼は、執務室に籠るのに限界が来ていたのだ。彼は仲間を『使役』できる人格は持っていないのだ。

そしてその人格は、仲間と『共調』し合い『共同』し合い『協力』することを最初から選択していたのだった。

 

提督「さて、そうと決まれば仕事を片付け出撃の準備だな。」

 

金剛「グッドモーニーング!!」

 

その傷をすっかり癒した金剛が執務室にやってきた。この回復速度の早さもまた、高速修復剤を擁する艦娘ならではであろう。

 

提督「おう、おはよう! 今日はさっさと仕事終わらせて出撃の準備をしよう!」

 

金剛「了解デース!」

 

大淀「ウフフッ。そうと決まれば、早くやっちゃいましょうか!」

 

金剛&提督「OK!」

 

ハモった、見事なまでに。

 

そうして直人はペン立てからシャーペンと万年筆とボールペンを取り出し、仕事を始めたのであった。

 

 

 

その日の正午ごろから武器の手入れを始める艦娘達。

 

直人に至ってはその巨大な艤装に適応すべく霊力を流し込んでいた。今回彼は7割装備で出撃しようとしていた。7割と言っても戦闘を行うに当たり不必要な装備を外すだけなので、実質ほぼフル装備と変わりはしないのだが。

 

提督「フゥー・・・。」コォォォ・・・

 

艤装に適応するには必要の倍の霊力叩きこめばよし。艦娘には出来ない彼なりのやり方である。圧力が掛かればパイプに物が詰まっててもその内抜けるのと一緒と考えた力技である。なぜそうなる。

 

提督「・・・ふぅ。」

 

適合が終わったようで。

 

提督「それにしてもデカいなぁ・・・」

 

ペンギン【ちわっす!】

 

綿雲【ちょっとちょっと!】

 

赤松「よぉー提督! でけぇ艤装だなぁおい。」

 

提督「おめーらどっから来たんだよ。」

 

3人【「霊体化してきた。」】

 

提督「ええええ!?」

 

妖精と言うのもなかなか奥が深いようです・・・。

 

提督「はぁ~・・・それはさておきなんか用か?」

 

ペンギン【ただの気まぐれです。】

 

綿雲【保護者(お目付け)役です。】

 

赤松「ペンギンと語らってただけだぜ? ヒック。ンム・・・」クビクビ

 

提督(おまえらなぁ。あと松ちゃん一升瓶ラッパ飲みすんなwwww)

 

呆れ顔になりつつ心の中で的確に突っ込みを返す直人である。

 

赤松「プハァーッ。次の作戦もバッチリ任せて貰おうか提督さんよ。なんせ俺は300機以上叩き落としたベテラン中のベテランだからよ!」

 

提督「はいはい。」

 

赤松貞明の撃墜スコアは終戦時35だが、かなり誇張して言う事が度々あり、今赤松貞明の言ったスコアはあくまで自称である。但しエースと言うのは5機落とせば資格を満たすとされるので、彼も立派なエースなのは事実ではあるが。

 

ペンギン【んじゃ私たちはこれで。】

 

綿雲【失礼します。】

 

赤松「またなー。」

 

気まぐれで現れ風のように去っていく3人。

 

提督「・・・何だったんだ一体(汗)」

 

直人は首を捻りながらも装備の調整に勤しむのでした。

 

 

 

5月1日午前9時 八丈島

 

 

「ハァ・・・ハァ・・・」

 

「皐月ちゃん、大丈夫?」

 

皐月「ウン、なんとか・・・平気。文月ちゃん、三日月ちゃんの様子は?」

 

「今は何とか持ち堪えてるクマ。でもそう長くはもたないクマね。」

 

「何とかならんのか・・・。外は敵だらけ、助けも来んし司令部との連絡も・・・。」

 

「球磨。いっそ、救難信号(SOS)を出しつつ横須賀へ戻ってみてはどうだろうか?」

 

皐月「それじゃぁ敵を呼んじゃうかもしれないんだよ!?」

 

球磨「でもそうするしか他に手も無いクマ。三日月を修理するには司令部に戻らないといけないクマ・・・。」

 

皐月「・・・ッ!」

 

三日月「もしかして・・・司令部が・・・無くなってたり、しませんよね・・・?」

 

最悪の想定をする三日月、しかし二人の艦娘が否定した。

 

「馬鹿な・・・敵の侵攻が無い限りあり得ん。」

 

「そうだな・・・。」

 

三日月の予想は正鵠を射ていた。だがそれを知り得た者は彼らの中にはいない。

 

「敵中突破するのぉ~? しんどそう・・・。」

 

気怠そうな声が、彼らの潜む洞窟に響く。

 

「で、そうするんだ? 皐月。」

 

皐月「・・・よし、いこう。」

 

「なら私が信号を出すにゃ。」

 

皐月「でも多摩さん、損傷が・・・。」

 

多摩「大丈夫にゃ、問題にゃい。」

 

多摩の普段少し眠そうな目は、決意の眼差しに変わっていた。悲壮な、決意の眼差しであった。

 

皐月「・・・分かった、お願い! みんな、ボクに続いて!」

 

横須賀防衛戦から15日を経たこの日、八丈島のとある洞穴に潜んでいた皐月たち8人は、SOSを乱発しつつ横須賀を目指し一路北に向かった。

 

それが大海戦の火種になるとは予想だにもせずに・・・

 

 

 

同時刻横鎮近衛艦隊では、艦隊編成の発表が行われていた。

 

艦の数が多くなってきたので今回からは編成表になるのが非常に残念だが。

 

 

第1水上打撃群 旗艦:金剛

金剛 榛名 摩耶 羽黒 筑摩 木曽 蒼龍 飛龍 飛鷹

 

第1水雷戦隊 旗艦:神通

神通 綾波 初春 雷 夕立 響 雪風

 

第1艦隊 旗艦:扶桑

扶桑 山城 伊勢 日向 比叡 最上 赤城 加賀 千代田

 

その他

超巨大機動要塞戦艦 紀伊(艤装7割携行)

 

お留守番艦隊 旗艦:鳳翔

鳳翔 妙高 青葉 愛宕 天龍 龍田 白雪

 

 

はい、重量編成です。かなりの重量編成です。

 

え? 1個艦隊は6隻じゃないかって? そんな決まりこの世界にはない! あっても囚われない!(え

 

山城さんが喜び勇んでました。あと加賀さんが人知れず戦意高揚してます。あと夕立の鼻息がやけに荒いですね、戦闘狂になりそうな予感。(手遅れ)

 

提督「ではこれにて編成発表を終了する。今回はフィリピン方面における敵残存勢力の排斥が主目的だ。敵戦力やその抵抗は相当あるだろう。気を引き締めてかかる様に。1000時に出撃する。各自準備する様に。」

 

一同「「はい!!」」

 

提督「では一時解散!」

 

艦娘達が思い思いに去っていく。

 

そして全員が去った後、唯一残った直人と大淀。

 

大淀が直人にあることを問い質す。

 

大淀「・・・提督、資源大丈夫なんですか?」

 

提督「・・・。」

 

大淀「・・・な、なんで黙ってるんですか?」

 

なぜか返事を返さない直人に大淀が不安になって問う。

 

その答えは想像に難いものではなかった。

 

提督「―――事と次第によっては、やばいかも知れない。」

 

大淀「えっ・・・。」

 

二人「・・・。」

 

はい、資源的にあかんフラグでした。

 

提督「・・・だがこれ位しないと勝てない気がした。」

 

大淀「そ、そうですか・・・。」

 

と言うのはこのフィリピン南部海域、とんでもない強さの巨大な武器を持った深海棲艦がいると噂になっていたのである。

 

その真偽の程を確かめるのも任務であった。

 

提督「・・・遠征とかしなきゃ、ダメかな?」

 

大淀「しないといけない、と思います。」

 

提督「・・・まぁ、考えておきましょう。」

 

大淀「是非御一考ください。」

 

と、そんな会話をしてから二人も会議室を後にしたのであった。

 

 

 

5月1日(水)9時35分―――

 

 

大淀「提督! 緊急電です!」

 

提督「どうした!」

 

大淀「艦娘の一団が、SOSを発しているようです!」

 

提督「なに!?」

 

大淀「発信地点は御蔵島の東10km付近、こちらに向かって移動しています。」

 

提督「・・・!」ガタッ

 

大淀「あっ、提督!」

 

提督「予定を20分繰り上げる! 全艦出撃、白雪と天龍、龍田を随行させろ!」

 

大淀「はっ、はい!」

 

それだけ言うと直人は艤装倉庫に走った。

 

 

 

艤装倉庫地下格納庫

 

 

提督「よし、今回は工作艦機能と強襲揚陸機能、陸戦用装備をパージだ。超巨大機動要塞戦艦紀伊、出撃する!!」

 

 

ゴゴゴゴゴ・・・

 

 

地下格納庫の床はそれ自体が巨大なエレベーターであり、この艤装が出撃する際にのみ使用される。

 

この艤装自体相当な重量物でもある。それこそその発進方向である司令部裏ドックに向かって、この艤装を射出する為の電磁カタパルトが設置されているほどである。

 

そして、エレベーターが上りきると、目の前には司令部裏ドックが。

 

上昇と同時にこの隔壁も開閉しているためすぐに出撃できるのだ。

 

金剛「提督ゥ!」

 

提督「フッ、流石に早いな。他には?」

 

金剛「まだ誰も来てないデース。」

 

まぁ緊急出撃だからか。

 

提督「では先に出る。あとから皆を連れて来てくれ。」

 

金剛「了解デース!」

 

金剛の返事を聞き、直人は脚部艤装をカタパルトに接続する。

 

 

キュゥゥゥゥゥゥゥィィィィィィィィイイイイ・・・

 

 

紀伊のバーニアが点火され、気流が渦巻く。

 

提督「バーニア点火確認、発進!」

 

 

バシュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ

 

 

電磁カタパルトに射出され、戦艦紀伊は5年ぶりにその装いを新たに進水したのである。

 

提督「ん? 思ったより随分と軽いな、これが艦娘機関とやらの力か・・・。」

 

その手と背中には、30cm速射砲一式が装備されていた。

 

局長「ホーウ? アレガ『紀伊』カ。」

 

荒潮「凄い装備ねぇ~。」

 

ワール「けど重そうね。」

 

ザックリ言い切るワールウィンド。

 

荒潮「そうでもなさそうだけれどねぇ。」

 

 

 

飛龍「えっ!? なによあれ!?」

 

蒼龍「あんな装備見たこと無いわよ!?」

 

雷「なにあれぇぇぇ!?」

 

直人の艤装の事を知らない3人。

 

金剛「そんなコトより早くするデース!!」

 

3人「は、はい!」

 

 

 

房総半島西端付近 午前9時50分

 

 

提督「間に合ってくれ・・・」

 

出撃10分で既に東京湾抜けだしてるやーつ。

 

大きさで言えば平屋の家に匹敵する程の大きさを誇る紀伊だが、バーニアを点火している為結構スピードは速い。というか下手をすれば滞空する事も出来なくはない。

 

だがバーニアはあくまで機動性確保の為であり持続時間が短いのが欠点なので、あんまり長い事使うと過熱で冷却しないと使えないオチが付きます。海水で急速に冷やすのは焼き付き起こすのでやめましょう。(なんのこっちゃ)

 

 

 

三宅島北方 午前9時57分

 

 

ドオォォォ・・・ン

 

 

「っああ!!」

 

皐月「長月ちゃん!」

 

長月「くっ、やるな・・・!!」ダァンダァンダァァァァァン

 

球磨「左舷に敵艦だクマ!」

 

皐月の決断は、危惧された通りの状況を引き起こしていた。見事に敵を呼び寄せていたのだ。

 

「このままでは半包囲されるぞ!」

 

皐月「どうしよう、菊月ちゃん!」

 

菊月「どうしようといっても・・・」

 

菊月が口ごもりながら三日月を見遣る。

 

文月「みんな! 敵機が来たよ!」

 

長月「なんだって!?」

 

多摩「このままじゃまずいにゃ!」

 

皐月「とにかく逃げるしかないよ!」

 

球磨「皐月! 上!」

 

皐月「なっ!?」

 

皐月の真上にダイブに入っている敵艦爆がいた。

 

菊月「―――皐月! 避けろ!」

 

皐月「そんな―――ボク、ここまで?」

 

回避など、とっくに間に合わなかった。皐月が覚悟を決め目を閉じた。

 

その瞼の隙間から一筋の涙が零れ落ちた刹那――――

 

 

―――――諦めるな!―――――

 

 

そんな声が聞こえた気がした・・・その時であった。

 

 

ゴシャァッ・・・

 

 

皐月「えっ?」

 

菊月「!?」

 

急降下中の敵艦爆に、どこからともなく砲弾が突き刺さった。

 

 

ドガァァァァァァァ・・・ン

 

 

四散する敵機、皐月は済んでの所で救われた。

 

 

 

提督「間に合った・・・」ゼェゼェ

 

円盤状の艤装に据えられた高射砲の1門が煙を曳いている。正確極まる15cm高射砲のレーダー射撃が敵機を射抜いたのである。

 

 

ゴォォォォォォォォォォォ・・・

 

 

その頭上を、彼の艦載機が飛んでゆく。

 

敵を殲滅する為、ただそれだけの為に征く。

 

戦闘機隊は既に敵機と交戦を始めていたのである。

 

 

 

菊月「なんだ? 何が起こってる?!」

 

次々と落ちる敵機、次々と轟沈する深海棲艦達に、8人の艦娘達は困惑の色を隠せなかった。

 

皐月「もしかして、助かった・・・のかな?」

 

球磨「SOSを聞いた味方の艦隊が来たのかもしれないクマ。」

 

長月「これで・・・一安心だな!」

 

多摩「12時の方向、艦影にゃ!」

 

皐月「―――な、なにあれ!?」

 

その時皐月達に無線で呼びかける声が届く。

 

提督「“こちらは横鎮近衛艦隊、提督の紀伊直人だ。SOSを傍受し、出撃予定を繰り上げ参上した。これより貴艦隊を援護する。”」

 

三日月「助かった・・・のですね・・・。」

 

提督「“無論だ。すぐにここを退避してくれ。ここもじき戦場になる。”」

 

皐月「分かりました! 詳しい話は後で。」

 

提督「“話が早くて助かる。では下がっててくれたまえ。”」

 

皐月「はい!」

 

 

 

提督「よーし、ではおっぱじめるとするか。」

 

金剛「提督ゥー!」

 

提督「おー金剛、ちょっと下がっててなー。」

 

金剛「watt?」

 

提督「仰角調整、測的良し、装填良し、誤差修正良し。」

 

直人が久方ぶりにその砲を斉射する時が来た。

 

提督「ファイエル!!」

 

 

ドオオオォォォォォォォーーーンズドドドドドドドドドォォォォォォーーー・・・ン

 

 

幾本もの轟雷を束ねたような轟音と共に、一斉に砲を放つ。

 

その主砲の口径は、肩の後ろから背負い式に装備した巨大な2門の火砲が120cm、両脇にウィング上に展開された台座に据えられた副砲は、80cmと51cm、全て砲塔式だ。

 

金剛「オーウ、ビッグサウンドネー・・・。」

 

夕立「提督、凄すぎるっぽい・・・。」

 

雷「ていうか、司令官一人でもよかったんじゃ。」

 

蒼龍「私もそう思うけどね、いつも『一人じゃ戦えない』って言うのよね。」

 

榛名「確かにそうですけど・・・。」

 

120cm砲弾や80cm砲弾の威力たるや凄まじいものがあった。

 

追撃中の深海棲艦隊の大型艦に絞って撃たれた砲弾は深海棲戦艦に120cm砲弾が容赦なく降って来た。

 

その一撃は1発1隻を屠るという驚異的な命中率で2隻の戦艦を一瞬で沈め、深海棲空母や深海棲重巡に降り注いだ30発の80cm砲弾は、これまたそれぞれが1隻づつ敵を葬り去っていった。

 

ものの見事に跡も残さず沈んでいったのである。

 

また51cm砲弾12発も軽巡に降り注ぎ、見事なまでに高い命中率100%を叩き出していた。これは彼の高い集中力とこれまた優れた針路予測の為し得た技である。

 

提督「全艦突撃!! 1水戦は友軍艦隊の保護を図れ!」

 

金剛「OK! レッツゴーグッドラックガールズ!!」

 

摩耶「いっくぜぇぇぇ!!」

 

天龍「天龍様のお通りだぁぁぁ!!」

 

神通「神通、行きます!」

 

扶桑「私の力、お見せします!!」ドォォンドォォォォーーーン

 

蒼龍「攻撃隊・・・は、いらないわね・・・。」

 

出すほど残ってないし紀伊の艦載機が戻って来てるタイミングだったようです。

 

飛龍「出番なしかぁ。じゃぁここにいよっか。」

 

加賀「そうね。」

 

赤城「そうしましょう。」

 

提督「フィリピンに到着するまでお預けよー。」

 

空母組(加賀以外)「そんなー(´・ω・`)」

 

加賀「まぁ、仕方ないわね。」

 

 

 

その後程無く敵は全滅しました。

 

 

 

同海域 午前10時5分

 

 

提督「ご苦労様、金剛。」

 

金剛「ノープログレムデース!」

 

提督「さて・・・」

 

直人は皐月たちの方に向き直る。

 

提督「君達の所属と艦隊名、旗艦が誰か、教えてくれるかな?」

 

皐月「毒嶋艦隊所属第2艦隊、旗艦はボク、皐月だよ。」

 

提督「・・・!」

 

毒嶋艦隊、確か横須賀防衛戦の折、深海棲艦の先制攻撃で艦娘諸共司令官と司令部を吹き飛ばされたと聞いていたが・・・。

 

皐月「どうかしたんですか?」

 

提督「・・・君達には酷な事を伝える様だが、毒嶋艦隊は、寝込みを襲われて全滅、提督も死亡したそうだ。」

 

直人は事実を、包み隠さず告げた。

 

皐月「そんな・・・!!」

 

提督「お悔やみを申し上げる。」

 

直人は帽子を脱いでそう告げた。

 

菊月「三日月の想像は、半ば当たっていたという事か・・・。」

 

提督「君は?」

 

菊月「第2艦隊3番艦、菊月だ。司令官の名は?」

 

提督「紀伊直人、階級は元帥だ。」

 

皐月「げ、元帥―――!?」

 

改めて胸元の階級章を見た皐月が驚きの声を上げる。当然だろう、彼女らにとっては元帥という高位の将校を見る事の方が稀だからだ。それこそ元帥の指揮する艦隊でもなければ・・・。

 

菊月「では・・・紀伊提督、勝手な事を言うようですまんが、三日月の修理をお願いしたい。」

 

提督「三日月?」

 

菊月「そこで球磨が肩を貸している駆逐艦娘だ。」

 

菊月の指差す方向を見た直人は、大凡の事情を把握した。

 

提督「ふむ・・・分かった、引き受けよう。白雪。」

 

白雪「はい!」

 

提督「この8人を司令部へ―――損傷の大きい艦娘から修理をしてやれ。」

 

見ると8人はいずれもボロボロになりまた埃を被った服を着ていた。

 

白雪「でも司令官、良いんですか? 他所の艦娘を招き入れて・・・機密性が失われてしまいますが―――」

 

提督「彼女らには毒嶋艦隊に代わる新たな『家』がいる。そうだろう?」

 

白雪「―――!」

 

秘匿された艦隊ではあるが、そう言った帰る場所が無い艦娘を招く事が出来るほどの特権すら彼らは持つ。彼はそれを縦横に活用するつもりであった。

 

提督「いいね?」

 

白雪「分かりました。」

 

白雪は納得して頷いた。

 

提督「天龍と龍田は白雪とこの8人を護衛して戻るといい。」

 

天龍「まぁ、元から留守番だったからな、仕方ねぇ。」

 

龍田「分かったわぁ。」

 

直人は二人にそう言うと皐月に向き直ってこう言った。

 

提督「皐月、我々はこれから任務に向かうところだ。すまないが暫く我々の秘密司令部で待ってもらう。転属願いの方も大淀に頼んでおこう。」

 

皐月「じゃぁ!」

 

提督「あぁ、皐月達は消滅した毒嶋艦隊から、我々横鎮近衛艦隊に転属だ。後で自己紹介もしてもらう事にしよう。」

 

白雪「ではその様に大淀さんにも伝えておきますね。」

 

提督「あぁ、頼んだ。」

 

皐月「ありがとう! 司令官!」

 

それまで不安そうな顔をしていた皐月が、この時始めて笑った。

 

長月「そうか・・・これから世話になるぞ、司令官。」

 

菊月「そこまでして貰えるとは、助かる。」

 

球磨「新しい艦隊・・・どんな感じクマ?」

 

多摩「昼寝が出来れば十分にゃ・・・。」

 

途端にのろけを見せる多摩である。

 

提督「では白雪、あとは任せるぞ。」

 

白雪「はい。皆さんお気を付けて。」

 

そうして直人らの艦隊は白雪に見送られ、皐月たちと別れて、遥か遠い決戦海面へ前進を開始したのであった。

 

 

 

――――その先にあったのは、煉獄の戦場であった。

 

しかし、征かざるを得ない、なぜならもう進みだしてしまった足だ。最早止まる事は許されない。

 

横鎮近衛艦隊は征く。彼らは出しうる全速を以って、南下を開始した。

 

目指すはフィリピン諸島東部。そこには、彼らの目指す“敵”がいればこそ、彼らはそれを倒す為に、船足を速めたのであった―――。




艦娘ファイルNo.25

伊勢型戦艦 日向

装備1:35.6cm連装砲
装備2:14cm単装砲
装備3:零式水上偵察機

扶桑型から発展した伊勢型戦艦の2番艦。
姉の伊勢共々14インチ砲艦としては中々飛び抜けた火力を誇る。
後に航空戦艦となった後は、戦艦として砲撃戦を行うと同時に索敵や瑞雲による爆撃などを一時に行う能力を手に入れ活躍する。


艦娘ファイルNo.26

陽炎型駆逐艦 雪風改

装備1:12.7cm連装砲
装備2:12.7cm連装砲
装備3:13号対空電探

言わずと知れた幸運艦。
装備や錬成度合いから特異点が見て取れる。
彼女が幸運艦たる所以は日頃の鍛錬の賜物でもあり、持ち前の幸運に助けられているからかもしれないとは後の本人の談。
自称どころか本当の幸運の女神だったりはするがそこんところは秘密である。


艦娘ファイルNo.27

特Ⅲ(暁型)型駆逐艦 響

装備:12.7cm連装砲

直人に後に重宝される事になる第6駆逐隊の1艦。
戦闘は勿論遠征や後方勤務もこなせる万能な才を持つ。
ヴェールヌイと名を改めた後は各地で奮戦するがそれはまた別のお話。


艦娘ファイルNo.28

最上型航空巡洋艦 最上改

装備1:瑞雲
装備2:瑞雲
装備3:22号対空電探
装備4:15.5cm3連装砲

(ようやくスロット毎艦載機数を意識し始めたようです)
これだけ特異点持ちが多いと「工廠妖精お前らどんな天才だ」と褒め称えたくなる様な気がせんでもないが、最上型航巡の1番艦である。
なぜか主砲が換装されていないが、これも特異点の一つで、9門の主砲で敵を滅多打ちにしつつ瑞雲での爆撃を加えると言う立体戦術を使う。
配属早々主力艦隊に組まれたが大丈夫か?


艦娘ファイルNo.29

金剛型高速戦艦 比叡

装備1:35.6cm連装砲
装備2:15.2cm単装砲
装備3:3式弾

金剛の妹分としての地位を既に確立した金剛型2番艦。
比叡と言えば2階級特進カレー(=料理下手)だと思っていると推察するが、この比叡は装備だけでなく料理の腕さえも特異点である、めっちゃいい意味で。
というのは比叡はその用途に応じて技量の棲み分けとも言うべき能力を持ち、提督や他の艦娘達に振舞う際はとてつもなく美味な料理を提供するのだが、お仕置き的な意味で2階級特進カレーを作れたりするのだ。


時に比叡は金剛(と提督)の守護者として行動することもしばしばであり、青葉による金剛のスクープ流出が無いと言う面に於いては比叡は陰の功労者である。
主力艦隊の一翼を担って高速戦艦部隊として各地を転戦することになる。


艦娘ファイルNo.30

金剛型高速戦艦 榛名改2

装備1:41cm連装砲(ダズル迷彩)(火力+20 対空+5 命中+1 回避+2)
装備2:41cm連装砲(ダズル迷彩)
装備3:3式弾改
装備4:33号対水上電探

だから妖精お前らなんでこうな(以下略)
直人が絶句した理由その一。
という事で、栄えある30番キリ番は金剛型戦艦の3番艦、榛名(改2)です。
いきなり改2だったり本来の装備の13号対空電探が33号対水上電探に置き換わっているなど特異点は割とある。
挙句ダズル迷彩の砲は41cm砲に上位互換、なぜそうなった。
金剛姉妹が順不同で着任すると言う偶然が(作者の鎮守府でも横鎮近衛艦隊でも)起きているが、榛名は本来第3戦隊の3番艦であるところ2番艦に繰り上げられ、尚且つ金剛ら第3戦隊を戦艦部隊の中で最も重用した為に、金剛に劣らぬ武勲を立てる事となる。


艦娘ファイルNo.31

扶桑型航空戦艦 山城改2

装備1:試製41cm3連装砲
装備2:41cm連装砲
装備3:瑞雲12型(634空)
装備4:32号対水上電探

姉の扶桑に類似した特異点を持った妹。
因みに作者曰く、「山城ほど暗い雰囲気の子は苦手」とのこと。なお扶桑はまだ大丈夫らしい。


艦娘ファイルNo.32

飛龍型航空母艦 飛龍改

装備1:零式艦戦21型(岡嶋隊)(対空+6 命中+2 索敵+1)
装備2:97式艦攻(友永隊)
装備3:99式艦爆(小林隊)(爆装+8 対潜+3 命中+4 索敵+1)
装備4:零式艦戦62型(精鋭/爆戦)(爆装+6 対空+7 対潜+4 命中+1 索敵+2)
装備5:山口多聞&2航戦司令部(対空+8 索敵+4 命中+3 回避+2 射程:長)

沈没時の飛龍艦載機隊に精鋭爆戦と2航戦司令部が合流して最強化している特異点を持つ航空母艦。
まさかの5スロである。
妖精共が張りきった結果やり過ぎたようです。いつかやると思ったと思われていた方もいるかもしれませんがやりやがりました。
なお直人が絶句した理由その2でもある。(南雲艦隊の空母が揃ってしまった為)
雷撃の神様と呼ばれた友永丈市大尉と急降下爆撃の名手小林道雄大尉、芙蓉部隊の主力、戦闘303飛行隊飛行隊長も務めた岡嶋中尉など練度十分であり、殲滅力では赤城にも引けを取らないほど。

指揮官妖精 山口多聞

最終階級は海軍中将、第2航空戦隊司令官として南雲忠一中将麾下で奮戦した潜水艦の専門家。山口提督は日華事変の際重慶に対し護衛無しの爆撃を強行したことから搭乗員には「人殺し多聞丸」の異名を取っていた。
海兵40期の首席という秀才であり、軽巡由良(副長)・五十鈴(艦長)・戦艦伊勢(艦長)・長門(第1艦隊司令部随員)などへの乗艦歴がある。
ミッドウェー海戦時飛龍に乗艦、他の3空母が戦闘力を喪失する中で艦載機を出しヨークタウンを大破させるも力尽き、飛龍艦長加来止男大佐と共に飛龍と運命を共にした。
航空に関しては素人であったがそれにしてはよくやっていたようで、その才幹は妖精となって甦った今でも健在であり、尚且つ『喋れる』←ここ重要


艦娘ファイルNo.33

伊勢型戦艦 伊勢

装備1:35.6cm連装砲
装備2:14cm単装砲
装備3:零式水上偵察機

扶桑改型戦艦の長女、後に航空戦艦化されるまでは妹の日向と同じであるが、伊勢は艦隊決戦ではなく対潜部隊に配属され、瑞雲での潜水艦狩りに従事することになる。
一応鎮守府防備艦隊旗艦の肩書を貰ってではあるが・・・。


艦娘ファイルNo.34

白露型駆逐艦 夕立改2

装備1:12.7cm連装砲B型改2
装備2:12.7cm連装砲B型改2
装備3:61cm4連装酸素魚雷
装備4:吉川艦長(命中+5 回避+4 運+10)

『ソロモンの(小)悪魔』として艦これ提督には知られる最強駆逐艦の一角。
いきなりガチ状態での見参となった。
更に4スロであり指揮官妖精がまたも乗り込んでいる。
まだ多少可愛げが残っちゃぁいるが夜戦になれば本性剥き出して徹底的に暴れたおす深海棲艦絶対殺すウーマンである。
この艦隊でのあだ名は「ソロモンの小悪魔」。

指揮官妖精 吉川潔

最終階級は海軍少将(死後2階級特進にて)、第3次ソロモン海戦時の夕立艦長。
海軍生活を通して駆逐艦と共に過ごしており、開戦時は大潮艦長として南西方面(東南アジア)で戦果を挙げている。
その戦術は大胆にして沈着冷静、典型的な猪突猛進型の水雷屋であり、「吉川艦長の戦機をつかむことのうまさは特別だった。1小隊(村雨、五月雨 第2駆逐隊第1小隊の2隻の事)も真似てみたが、うまくいかなかった」と評される向きもある。
その最後は夕雲型駆逐艦「大波」艦長としてセントジョージ岬沖海戦に参加、応戦する間も無く撃沈させられると言う悲惨極まるもので、大波生存者はいなかったと言う。
その豪胆さは夕立の猪突猛進型の戦術に深く関わっていたりもする。

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