ZOIDS ~Era Travelers~   作:Raptor

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なんだ、なんなんだあの鋼色のラプター型のゾイドは…………。


遠距離からの攻撃はもろともしない。

格闘戦で勝てたのもシュンのライガーだけだ。

多くの仲間を失ってしまった。

これも隊長の私の責任だ。

このまま俺らはどうなってしまうのだろうか、この世界は一体なんなんだろうか。

それにしてもあのゾイドについていた国章、あれは………

いや、恐れていても始まらない。

前に進もう。



第3機甲師団第7中隊 隊長 スチュアート・エーリエンス 戦闘日記より抜粋。










プロローグ

この日もいつもと変わらず雲ひとつない青空が広がっていた。

 

「ったく………今日もあっついなぁ………。」

 

水が入ったタンクを岩場まで運びながら彼、シュン・タキハラ少尉は額の汗を拭う。

 

「おいシュン、早く運ばねぇと日が暮れちまうぞ!」

 

「はぁい、わかってますよぉ!!」

 

うっとおしそうに空返事をしながら目の前の愛機にタンクを装着する。

 

「ったく、水が足りないからってなんで俺のライガーまで水を運ばなきゃなんねぇんだって。」

 

そう愚痴を叩きながら彼は愛機を見上げる。

4足歩行の美しい体躯、純白の白い装甲が包むそのゾイドはただ何も言わずおとなしくコックピットを空けて主人の帰りを待つ。

 

そのゾイドの名はライガーゼロ。

オーガノイドシステムは採用せず、完全な野生体をベースとしたライオン型ゾイドで現在のヘリック共和国の主力高速ゾイドである。

このゾイドの最大の特徴はCAS(チェンジングアーマーシステム)によって自由に外装のアーマーを換装させられることである。それによって様々な装備を瞬時に変更することができ、戦局に合わせた幅広い運用が可能である。

 

元はガイロス帝国(主にネオゼネバス派)が過去のライガータイプの戦闘データ及びエレファンダー、デススティンガーのノウハウをも取り入れ、バーサークフューラーと共にかつての「U作戦」の一環として開発した機体だったが共和国がそれをニクシー基地で略奪、現在にいたる。

現在は同盟国としての関係をもつガイロス帝国とはその件で和解しており、お互いの情報を共有し合い新しいアーマーの開発をしてるとかしてないとかである。

 

「みんな準備は大丈夫か、そろそろ出発するぞ。」

 

中隊を束ねる隊長ーーーースチュアート・エーリエンス大尉は作業を行ってる隊員にそう告げる。

 

「あの丘を越えたら目的地のハーロック前線基地だ。夜の丘越えは避けたい、ちょっと急ぎ足で向かうぞ。」

 

そう言うと彼はグスタフに乗り込む。

 

ヘリック共和国とガイロス帝国の戦争が終結して早3年の月日が経っていた。

だが、平和な世界がやってきたのも束の間のことであった。

突如、ネオゼネバス帝国がガイロス帝国の侵略を開始、戦乱は瞬く間に広がりガイロス帝国は追い出される形で国土を占領され共和国に亡命をしたのであった。

 

ガイロス帝国の亡命を受け、ヘリック共和国は全国に非常事態宣言を勧告。

ガイロス帝国とは同盟国を結び領土奪還計画を立案、即座に実行された。

ヘリック共和国、ガイロス帝国両国合わせて20個師団からなる陸空同時の波状攻撃を敢行した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、失敗に終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

約3日間に及ぶ波状攻撃は失敗し、部隊はほぼ全滅。

ネオゼネバス帝国の投入してきた新型のゾイドに全く歯が立たなかったのだ。

しかもヘリック共和国、ガイロス帝国ともに肝心なその新型ゾイドの姿を確認すらできなかった。

 

唯一の情報といえば砲撃の着弾確認を行ったヘリック共和国の航空部隊が撃墜される前に

 

「見たこともない鋼色のゾイド」

 

という言葉を残したぐらいである。

パイロットはおそらく戦死したと思われ事実確認はできていない。

 

そんな中で現在、第2回目の攻撃を行うべくスチュアート大尉率いる第3機甲師団第7中隊は前線にほど近いハーロック前線基地に向かっているのであった。

 

 

 




ドロドロとした血なまぐさいゾイドの世界を展開できたらいいなと思ってます。

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