こんにちは 沙霧真由です。
ウソです。コピーじゃありません。
何しろ白銀君は素人ですからね。同じ内容でも私が書いたものだと気づかないと思います。
なので夕呼さんの過去の論文を読みまくりました。そしてレイアウトや筆跡のクセを研究して模倣を可能にしちゃいました。
さらにヘタな絵も練習!謎のクリーチャーがレポートに出現!
そして極めつけ!魂までも香月夕呼を完全憑依!
横浜の女狐ここに降臨!
「ああん、あたしってば天才だわ!自分が怖くなっちゃう☆」
…………鏡はしまっておきましょう。自分の姿をしたとてつもないバカがいます。
そして一筆入魂!身も心も香月夕呼と化し、レポート作成!……………完成!
……ハッ!なにこの格好!?この部屋の惨状!?
そう、私は香月夕呼レポートの贋作を作った…………いや違う!香月夕呼レポートの本物を作ったのです!
こんなに苦労をして造ったレポートも役目は一瞬。白銀君に気づかせたら終わりです。
ありがとう、香月夕呼味レポート!確かにあの時君は主役だった!
さて、夕呼さんは白銀君の元の平行世界に00ユニットを完成させることの出来る新理論があると知りました。そして白銀君を取りに行かせることを計画します。アンリミではない、オルタの方のイベントですね。
念のために言っておきますね? 例の白銀君を不確定存在にして他の平行世界へ行かせるマシーン、あれは白銀君の話を聞いてすぐ作りあげたわけじゃありませんよ?そんなこと出来たら私以上のチートです。
もともとは彼女の研究の平行世界理論の実験検証マシーンなんです。それを因果導体体質である白銀君を元の世界へ渡らせるよう改造したものなんですね。
さて、というわけで私と霞ちゃんは今トイレ掃除中。アレ?なにが『というわけで』?
ふと、もぞもぞとトイレの隅にいる白銀君が動きはじめたのが見えました。
「………あ、起きましたか白銀君。大丈夫ですか?今夜の実験行けますか?」
私はトイレの隅で簀巻きにされてさっきまで寝ていた白銀君に話しかけます。
どうしてこんなことになっているのか。それは今日壬姫さんのお父さんの珠瀬事務次官が基地に視察に来られたため、珠瀬分隊長のご指導のもと……ってホントなんでこんな状況になっているんでしょうね?
「ああ。まったくなんでこんな目にあわなきゃなんねえんだ。とにかくほどいてくれ」
HSSTの落下は事前に阻止しときました。証拠はなくとも画策した連中はわかっているので『連中がHSSTに爆薬を満載にして横浜基地に墜とす』という怪異文章をアメリカ中に流しました。予測スケジュール、軌道予測付きで。
ここまでバレた悪事など実行することは出来ません。今頃連中は情報漏洩の出所を探して大さわぎでしょう。
「おい、考え込んでいないでほどいてくれ!それと今夜の実験は死んでも行くぞ!何しろ元の世界に帰れるんだからな!」
「あ、すみません。霞ちゃん、いま手伝います」
今夜の実験はさっき言ったマシーンで白銀君を『不確定存在』にして白銀君を元の平行世界に送ることです。オルタ原作より展開が速いのは私も手伝ったからです。技術部スタッフは平行世界のことは秘密で使えませんしね。
…………アレ?じゃあどうしてあんなバカでかいマシーン作れたの? 夕呼さんもものすごいチートのようですね。
「それじゃ白銀君、スタッフの一人として話します。
白銀君がもらった強化装備は訓練兵用ので、対衝撃機能が弱かったので、改造して強くしときました。実験時はしっかり着て対衝撃機能は最大にしといて下さいね。何が起こるか予想できませんから」
ウソです。予想できます。
「お、おう!こんなの南の島の総戦技評価演習の地獄に比べりゃ屁でもねえぜ!」
…………アレを引き合いに出しますか。総合戦闘技術評価演習が地獄ならこの先のBETAとの死闘はなんと表現するんでしょうね?
そして夜の実験室。白銀君と一緒に行くと、夕呼さんと霞ちゃんが待っていました。
「来たわね。じゃ、始めるわよ」
白銀君と霞ちゃんが装置に座り、私と夕呼さんは装置の起動準備。
夕呼さんの説明も終わり、いよいよ起動。
始めは順調でした。
ところが途中から異常な出力!
計器もワケのわからない数値を出しまくる!
非常停止ボタンも受けつけない!
「な、何が起こったの!?」
「あわわ、何か計算間違ったのでしょうか!?」
――――――ウソです。計算通りです。
冴え渡る沙霧真由のウソ!
なんと三度も「ウソです」が出現!
彼女に真実はないのか!?