アンリミテッドは無理ゲーすぎる!   作:空也真朋

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第六十一話 流星出征する!

 こんにちは 沙霧真由です。

 ”毒薬”を入れる”杯”が決まりました。それは機体ではなく

 

 「純夏さん………ですか?」

 

 「ええ。もしAー01が撃破された場合、彼女を持ち帰って調べる可能性が一番高いわ」

 

 そう………ですね。私は凄乃皇かと思っていたのですが、それを一歩進めて、ですか。でもそれなら確実に『あ号標的』に届くでしょう。さすが夕呼さんですね………

 

 「鑑は了承したわ。部隊では速瀬と宗像のみに知らせてる。その他には凄乃皇に仕掛けてあると言っているわ。このことは極秘扱いよ。

 いい?これは全部あたしが決めたこと。あたしが全部これを背負うから、あんたは絶対にこれを背負うんじゃないわよ!」

 

 「………ハイ、お願いします。とても耐えられそうにありません」

 

 凄乃皇が接触しようと、純夏さんが接触しようと、あらゆる事態を想定した場合で発動するよう純夏さんに”毒薬”を仕掛けました。

 

 

 

 

 

 

 3月30日現在、桜花作戦はすでに発動して各所で忙しく準備が始められています。

 そしてA-01の隊員達にもブリーフィングルームで出撃命令の発令が夕呼さんから行われました。そして私はムショにて流星の整備中。

 おっと、速瀬さんと涼宮さんが来ました。どうやらブリーフィングルームでの発令は終わったようですね。

 

 「………来たわよ、小娘。今回の作戦、私がコレに乗るんだって?」

 

 そうなのです。桜花作戦においては流星が投入されることになり、その搭乗者には速瀬さんが選ばれました。それには次のような経緯があります。

 90番格納庫の戦闘において、凄乃皇四型のダメージはさほどでもなかったのですが、特殊な部品が多いコレは出撃までに完璧には直せません。それにエネルギーもけっこう喰われました。そこでエネルギー制御を厳しくすることで対処することになったんですが、それでは純夏さんの負担が大きくなりすぎます。そこで原作と同じようにパイロットを白銀君、ナビゲーターを霞ちゃんにして運用することになりました。

 ところがそうすると、白銀君が抜けるので突撃前衛が冥夜さん、慧さんの二人だけになってしまいます。他の人を配置しても連携とかに難が有るので速瀬さんに突撃前衛の小隊長に戻ってもらうことになりました。さらに白銀君の抜けた突貫力を補うため、流星に乗ってもらうことになったのです。

 

 「でもいいの? これって貴重な実験機じゃないの?」

 

 「実戦に出せなかった大きな理由は部品なんかの規格が違うんで整備できないからなんですが………流星は今回の任務で使い捨てでいいです。それで戦果をあげてくれれば」

 

 「ちゃんと乗れるの?あんな変態機動とかあたしには無理よ」

 

 「あれは脳波コントロール装置が使える私だけです。ムショでの機動実験じゃ、普段は神宮寺教官が乗っていたんだから大丈夫です」

 

 私は流星のシステムチェックを切り上げ、機体から出ました。速瀬さんの近くに行くと、何か言いたそうな顔で私を睨んでいます。

 

 「……………………………」

 

 「あ~~~やっぱりいろいろ聞きたいですか?反応炉前での続きとかやりますか?」

 

 「…………いい。副司令から詮索無用っていわれたもの。それにあんた、BETAに決定的な一打を与える方法を見つけたそうじゃない。だったら私のモヤモヤなんてどうでもいいことよ」

 

 「そうですか。それにしても反応炉前じゃ速瀬さんとやり合わなくてホッとしましたよ」

 

 そう言うと、速瀬さんはふと遠くを見るような目をしました。

 

 「なんかね………見えたのよ。遙が制御室でBETAに殺されるシーンが。幻と思えないくらい現実的で、とんでもない喪失感があったわ。近くに遙はいるのに、そっちが幻なんじゃないかって思えるくらいの」

 

 ――――!?

 

 それ、オルタ世界の涼宮さん!? 凄い!平行世界を見たんですか!!

 元々A-01部隊は00ユニットの素体候補。平行世界を感じ取り、よりよい未来を選び取ることの出来る人間が集められていますが、速瀬さんは一際優れているみたいです。もしかしたら00ユニットに選ばれるのに一番近かったのは彼女だったのかもしれません。

 

 「じゃ、強化装備の上からそこのパイロットスーツを着てください」

 

 管制ユニット周りを衝撃吸収素材で覆っているとはいえ、まだ発生するGは大きすぎます。なので搭乗者は強化装備の上から専用のパイロットスーツを着て運用します。

 速瀬さん、涼宮さんに手伝ってもらってパイロットスーツを着ましたが…………ウププッ

 

 「ちょっと、なによコレ! なにこのアホな格好!」

 

 いや~~いつも神宮寺教官に着てもらっているんで少しは耐性ついたんですが、やっぱり笑っちゃいます!

 このパイロットスーツのデザイン、60年代のブリキロボットのオモチャの様なモノなのです!60年代にやった”特撮版鉄人28号”の着ぐるみを着ている様だと言えばわかりやすいですね。

 あ、ダメだ。君望ヒロインの顔した鉄人28号が動いて何かしゃべっている!

 

 「ア~~ヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!ブワ―――――ハッハッッハッハッハッハッハ!」

 「ウフッ………水月ゴメン!アハッ、アハハハハハハハハハハ!」

 

 涼宮さんまで笑ってしまいました。いや~~~~コレ見て笑えない人とかいませんからね!

 憧れの君望ヒロインがお笑い芸人に変貌!!

 おや、鉄人28号……じゃなくて速瀬さん、顔がゆでダコみたいに真っ赤ですよ。

 

 「脱ぐ!強化装備のままで乗ってみせるわ!」

 

 「ダメですよ!せめて一目白銀君達に見せてから………いやそうじゃなくて! 着ないと最高速度でダウンしちゃうかもしれないんです!」

 

 「うるさい!強化装備で耐えてやるわよ!」

 

 「ふ~~う、やれやれです。まったく神宮寺教官の教え子のクセにとんだチキンですこと」

 

 「なんですって!?」

 

 おっ、釣れた。このまま引っ張り上げますか。

 

 「神宮寺教官教官がいつも流星のテストパイロットをやっていたんですけど、顔色ひとつ変えず着ていましたよ。戦闘前に最善を尽くすことが出来ないようじゃ、神宮寺教官や伊隅大尉の足元にもおよびませんね。伊隅大尉だって戦闘中はもちろん、戦闘前にも最善の準備をしていたでしょ?」

 

 「う~~~~~~っ、何で伊隅大尉の行動知っているのよ!って、アンタには今更か。いいわよ、大尉をだされちゃ退くわけにはいかないわ!神宮寺教官の教え子としてもね!」

 

 そう言ってズンズンズンと流星に向かう速瀬さん。

 鉄人28号が如きその勇姿で!

 ブ~~~~~~~~!!!ガニ股と肩いからせるのはやめてください!

 本当にレトロな特撮ソングが聞こえちゃいます! ヴオン、ヴオン、プワ~~~~~~!ってヤツ!

 

 

 

 無事、速瀬さんは乗って起動できました。

 さて、テスト機動といきますか。速瀬さんに流星を動かしてもらって不具合がないか確かめます。

 時間もないですが、最高速と急旋回だけは見とかないと。

 

 「水月、がんばって」

 

 おっと、隣でモニターの記録をしている涼宮さんが密かに応援しています。

 いつも思うんですがこの二人、恋のライバル同士とかそんな感じには見えません。

 二人で鳴海さんの思い出とか話しているうちに、いつの間にかデキちゃっているんじゃないでしょうか?

 

 『準備できたわ、小娘。最初はどう動かせばいい?』

 

 ウププッ。ダメだ、このままじゃA-01が笑い死にしてしまう!あとで速瀬さんの強化装備の仮映像を作っときましょう。

 

 

 「まったく私の雪ダルマといい、鉄人28号といい、お前はこんなにカッコイイのに乗る人間はみんな残念になっちゃいますね。お母さんは悲しいです。笑っちゃうけど」

 

 

 銀の巨体が恥ずかしそうに笑っている、そんな気がしました。

 

 

 

 

 

 




 最終回も近いので真由の誕生秘話を

 1.沙霧尚哉っていまいちライバルとしてパッとしないなあ。主人公の白銀と接点も少ないし、対決もしなかったし。そうだ!白銀と仲の良いかわいい妹とかいればグレートなライバルキャラになれるね! 自分で作ってみよう!

 2.夕呼先生が死にたくなるような過去の罪ってなんだろ?ヨシッ、捏造してみよう!

 3.『コミュ』ってエロゲーに出てくる真雪って女の子凄いな。ヒロインなのに嘘吐きなのか。まあ、ここまでひどくはなくても、キャラ付けにちょっとだけ嘘吐きにしてみよう!…………はるかに上回る嘘吐きになってしまった!?

 …………というわけで沙霧真由誕生!

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