こんにちは 沙霧真由です。
今夜はじめて戦術機に乗りました。そしていきなり実戦です。
なんて豪華な戦術機デビュー!
現在流星の武器はビーム長刀一本だけです。普通警察でも軍隊でも銃器類などの武装は厳しく管理されていますが、戦術機のものでもそれは同じです。専用の保管庫があり簡単には取り出せないんですよ。ビーム長刀だけは流星と一体型なのであるんですけどね。
戦力的には圧倒的不利ですが私は物理学チート。銃を発砲する瞬間も弾の軌道も全部読めちゃうので、ヒョイヒョイ躱すことができます。
さて、現在の状況ですがクーデター部隊は全滅。機体捨ててスタコラ逃げちゃいましたがどうでもいいです。私が乗ってる流星はヴァルキリーズ9体と対峙してます。先に任官した207訓練部隊のA分隊は新潟でのBETA襲撃に出動せず、ここでも高原さんはやられなかったので全員生きてます。先の攻防で銃を破壊したのは6丁。予備を2丁持ってきたので計5機が銃を持って撃ってきます。
距離を保ちながら私を囲い込もうとしますが、私も銃を持っていない機体の後ろに巧みに回り込んで弾を集中させないようにしました。そうこうしている内に一機が弾切れをおこし、一丁をスキをみて破壊しました。そろそろ離脱出来そうですね。
『速瀬、涼宮!機体をぶつけてヤツの動きをとめろ!銃を持っている者は二人の機体ごと撃ってかまわん!管制ユニットだけには当てるな!』
う~ん伊隅さん二機潰す覚悟で止めにきましたか。これくらいしなきゃ私を止められないと見切って、何とか私の動きについてこられる二人を潰れ役に任命して……ですか。
『了解!』
『やってやります!』
速瀬さんは自分の銃を他の機体に渡して長刀は持たず、追加装甲を構えて私の正面に。涼宮茜さんは長刀と追加装甲を構えて後ろに。速瀬さんの方が完全にぶつける覚悟を決めてますね。こっちが正解。この作戦なら長刀なんか持っても動きを遅らせるだけです。涼宮さんの方は簡単に避けられそうだけど速瀬さんの方は……ギリギリ?でも真後ろに伊隅さんがいます。さすがいい位置にいますね。右にも左にも上にも対応出来ます。速瀬さんを盾にしても他からの射撃には私は対応出来ません。
向こうは位置についたまま静止。タイミングを測っているのでしょう。
こっちはビーム長刀を持ちますが、構えず腕をだらんと下げます。
注目するのは速瀬さんだけ。最初に動かなきゃならないのは彼女ですから。
こっちも向こうもピタリ動かずそのまま。
こういうシーンってバトル漫画や時代劇によくありますが、相手が動くか集中力が切れるのを待っているのです。両方集中力を持ったままなら後の先を取った方が有利ですから。でも今の私に勝てるわけありませんね。戦術機なんで顔色見てとか不可能ですが、事前準備なしで動かせるわけもないので大して苦も無く読めちゃいます。それに対しこっちは脳波コントロール装置の即応性。こんな体勢からでもあっという間に最大パワー出せちゃいます。でもそれを知らない向こうからすればあまりに簡単に勝てそうなのがかえって不気味でしょう。この両手ブラリ戦法で精神力をゴリゴリ削ります。
おっと出力を上げた。来ますね。
速瀬さん姿勢を低く、追加装甲を前に出して発進準備。
だが速瀬さんが突進に入る前にこっちが飛び出す!
くらえ! ぶちかましです! ドガン!!
そして腰を取りガッチリお相撲状態! どすこい!
ワシが戦術機相撲横綱、流星じゃあぁぁぁぁ!!!
そのまま電車道! 地獄行き超特急じゃあ!
ガガガガガガガガガガガ!!
オラオラオラオラ!道にいるやつぁ全員轢殺覚悟せい!!
そこで突撃銃構えてマヌケに突っ立ってる伊隅、お前のことじゃあ!
ガシャァァァァァァ!!!
戦術機一体抱えてるとは思えないスピードで伊隅にブチ当たる!
ワシの電車道は死神すら泣かせるワイ!
とどめじゃあ! ビーム長刀!二機の胸に串刺し!
ザグッ!! ……………ガシャン!
管制ユニットは勘弁したる!刺したのは姿勢制御機器なんかが集中しとる場所じゃ。もう動かせんが部品交換で済むかすり傷じゃ。
『た、大尉!無事ですか!?』
『速瀬中尉!返事をして下さい!』
…………おっと、どすこいなおっさんになってしまいました。
私への攻撃も忘れてずいぶん慌ててますね。ま、管制ユニットにグッサリ逝ったようにも見えますからね。では、その隙をありがたく頂戴いたしましょう。
猛ダッシュ猛スピード!
私はその場を風のように去りました。
「どうもごっつあんでぇ~す♫」
遂に突破!
目指すは伊豆スカイライン跡・丸野山!
義兄に会えるその時をはるかに想い描け!